東京宝塚劇場花組新人公演「復活」を観劇いたしました。


新人公演演出は児玉明子さんでしたが、特に意識して「演出」として本公演を変えていた部分は無かったような気がします。ただ、役者が違うので完全に別物でしたけどね!


いやー、真由ちゃん(鳳)の芝居は、本当に刺激的。蘭トムさんとは全然違うドミトリーになることは予想していたのですが、、、いやあ、そう来るのか、と(@ @)。
蘭トムさんを突き動かすのが「熱」であり「恋」であるなら、真由ちゃんを突き動かすのは「義務」と「愛」なんだな、と。

からっと明るい、確信に満ちた蘭トムさんのドミトリーと、しっとりと湿った闇の中を、どうしたらいいのか分からずにもがいている真由ちゃんのドミトリー。全く同じ脚本なのに、全く違う人物と違う物語が立ちあがるのが本当に面白いです。真由ちゃんの新公は毎回そうでしたけど、今回は特にそれを感じました。
新人公演を卒業して、これからどんな役を演じてくれるのか、楽しみでなりません(^ ^)。



みりおん(実咲)は、堅実な芝居をする人だな、とあらためて思いました。
「カナリア」のアジャーニは随分と弾けていたので、もうだいたい殻は割れたかな?と思ったのですが、、、
良くも悪くも、みりおんはあくまでも「娘役」なんですね。で、「娘役」という枠に縛られた状態でカチューシャという難役を演じるのは難しいと思うのです。
蘭ちゃんは天然の「蘭ちゃん」で演じているから、清純な乙女と落ちぶれた娼婦がちゃんと一人の人物に見えるのですが、みりおんは、真面目に二つの状況の演じ分けに取り組んで、結果として「二役を演じている」ように見える瞬間があったような気がします。とはいえ、その二つの貌が同じ女の2面であることはわかるんですけどね。……ファナーリンの芝居との相性もあって、その2つが重なる「愛想づかし」の印象が弱かったのが残念です。

それにしても!
サブリナの時も思いましたが、蘭ちゃんのキュートな魅力、抗いがたく惹きつけられる可愛らしさ、というのは、理屈じゃないんですね……。
クリスティーヌとアジャーニをあんなに魅力的に演じることができたみりおん。歌も芝居もダンスもしっかりとこなせる実力派だと思うので、次の作品でも、みりおんらしい魅力を発揮してくれることを楽しみにしています。



そして、蘭ちゃんとは全く意味が違いますが、独自の「天与の笑顔」でミッシィという難役を魅力的にみせたべーちゃん(桜咲彩花)。最初の婚約披露の場面での、ぱぁっと辺りを照らすような明るい笑顔が印象的でした。
本公演では、あの役割を蘭トムさんが担っていたんだなあ、と気づいたりして。

「私と結婚すれば幸せになれるのに、あえて不幸へ踏み込んでいく男」を、憐れむことなく「一緒に悩みたかった」と嘆く少女。新人公演のミッシィはまだ子供なんですよね。それこそ「恋は人生のデザート」だと思っていて、男を「守ってあげたい」と思っている少女。芯の強い明るさと、根拠のない確信。
ミッシィは、物語が終わった後、どうするのかな、と思います。今より少し大人になった彼女が、他の男にその愛情を捧げている姿も浮かぶけど、、、今度こそ、カチューシャに振られて20世紀の扉を開けたドミトリーを「一緒に考えましょう、どう生きるのかを」と言いながら迎えに行ってあげてほしいような気がします。真由ちゃんのドミトリーには、力強く背中を叩いて「気にしない気にしない!」と言ってくれるべーちゃんが必要なんですよ!!(←ちょっとCSに毒されすぎですよ)



大河凜ちゃんのシェンボックも、柚香光さんのシモンソンもとても良かったし、他の役もどれも良かったです。
物語として、とても面白い新人公演でした!

詳しいことはまた後ほど語らせていただくとして。
でも、一つだけ。今日が最後の新人公演となった、真瀬はるかさんについて書かせてください。
(今日が最後の新公になったのは、真瀬くんだけじゃなくて、姫花ちゃんもそうだし91期は全員そうなんですけど、、、ここはご容赦くださいませ)(91期のみなさま、新公ご卒業おめでとうございます)


本役はマルチェンコ(本役:煌雅あさひ)。裁判の幕開きでソロを歌う、進行役の彼です。
真瀬くんが歌手であることはよく知っているつもりでしたが、あの短いソロでも心を掴めるのがすごいなあ、と感心しました。
ただ、スポットが入った瞬間、「ちっさ!」と思ったことは内緒です(^ ^;ゞ


でも。私が今回一番泣けたのは、そっちじゃなかったんですよね。
物語終盤、シベリアへ送られる兵士たちの客席登場。上手通路の先頭であるいてきた真瀬くんの声が、客席にがんがんに響いていました。歌いながら、客席を見向きもせずに(当然)、銀橋に上がって上手花道にはけていく真瀬くんを見ながら、いきなり涙が止まらなくなったのでした。
どちらかといえば涙もろいタイプではありますが、どうしてそこで泣いたのかよくわかりません。
なんだか突然、「あと少しなんだ……」って思ったら、もう駄目でした(T T)。本当に、その瞬間まで泣く気なんてなかったんですけど!!まさか、物語とは関係のないところで泣くとは思いませんでした……(汗)。

相変わらず隅から隅まで(マルチェンコ以外は)小芝居しまくりで、1回しか観られないんだから勘弁してくれ!の嵐でしたが、、、、まあ、楽しそうだったので良かったと思います。
本公演でも兵士なんだから、新公では囚人にならないかなあ……と思っていたのですが。うーん残念。



そして。最後の挨拶の真由ちゃん。
91期花組首席の真由ちゃんしか前に出ないご挨拶。
前半は滑らかに挨拶していて、おお、さすがの真由ちゃんも最後の挨拶はしっかり締めるか!?と私が思った、その瞬間。
聞えてきた言葉は、「~この、かけごえのない新人公演、……」
「かけがえのない」と言いたかったんだろうな、というのはすぐに分かったのですが、、、反射的にごめんなさい!どこで掛け声かければよかったんですか!?と訊きたかったのは私だけじゃあるまい。

んで。
真面目に挨拶する真由ちゃんをじぃっと視ていた真瀬くんが、一瞬倒れそうになっていたのが、とても可愛かったです(*^ ^*)


……真由ちゃん、大好きです(はぁと)(←そっち!?)



【7月1日まで、あと129日】

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