残すことと伝えること
2012年2月20日 宝塚(宙) コメント (5)日本青年館宙組公演「ロバート・キャパ~魂の記録~」千秋楽おめでとうございます。
テルくん(凰稀かなめ)、宙組での初主演お疲れさまでした\(^ ^)/ゆうりちゃん(伶美うらら)も、初ヒロインおめでとうございます!
そして、この作品を最後に花組に組替えするみーちゃん(春風弥里)の幸いを祈っています(^ ^)(これからも逢いにいくので、別れの言葉は言いません。むしろ「花組へようこそ」って言いたい)。
さて、作品としての「魂の記録」について。
個人的には、面白くなる可能性のある作品だったと思います。
題材は興味深いし、キャストは実力派ぞろいでみんな良かったし。
でも、観終わっての感想は、残念ながら「素晴らしい」ではなく、、、「面白い」「興味深い」でもなくて、「もどかしい」だったのですが……(; ;)。
こういう作品は、何度か観ると面白くなってくることが多いんですよね。
脚本的に致命的な破綻があるわけではなく、書き込みが浅いだけで題材は面白いし、役者は巧い人ぞろいでみんなそれぞれに良い味を出している。そもそも登場するのはほとんどが実在の人物だから、脚本的には多少無理があっても役者のがんばりと観客側のフォローで行間を埋めれば、それなりに納得できるのが当然。事実として間違っていないなら、脚本的には飛ばされていても納得できる理由があるはずだ、と思って観ますからね、観客は。
逆に、初見はすごく面白いけど、何回か観るうちに飽きてしまうというか、いろいろ粗(ツッコミどころ)が見えてくる作品もありますが、「キャパ」はそういうのではなかったと思います。
ネットなどで感想を見ても、複数回ご覧になった方は誉めていらっしゃるケースが多いような気がするし。私はスケジュール的に一回しか観られませんでしたが、何回か観たら面白さがわかったのかな?
原田さんの作品は、「ジュ・シャント」「ニジンスキー」に続き3作品目。
私はいちおう3作とも観ていますが、わりとどれも似たような印象……です。「新人の割にまとまっていて破綻はないけど、私には響かない」という感じ。
あくまでも「私」という一人の観客感想ですので、ご容赦くださいませ。
もちろん、良いところもたくさんありますよ!
たとえば舞台美術。……今回でいえば、背景の空(雲)とそれを照らす照明が素晴らしかった!あの空の下で語られるだけで、ありきたりな愛の言葉の羅列が美しいラヴシーンになったんだから、凄いですよね(@ @)。
スタッフは、照明が氷谷信雄さん、美術は……装置の稲生英介さんが仕切られたのかな?キャパの事務所のセットとかは普通でしたけど、あの空と八百屋になっている床(地面)、そして舞台美術の一部としての照明の組み合わせは良く出来ていたと思います。
でもやっぱり、脚本は「もどかしい」し「残念」なんですよね……
そもそも、脚本中のアンドレ・フリードマン(のちのロバート・キャパ/凰稀かなめ)が目指したものが、ジャーナリストだったのかカメラマンだったのかが良く判らなかった(; ;)
たった一枚の写真でも、伝えられるものがある
というのは作品上も重要なキーワードだと思うのですが、
アンドレがやりたかったことは、「その瞬間をフィルムに留める」ことなのか、それとも、それによって「何かを伝える」ことなのか?というあたり。
「残す」ことと「伝える」ことは全然違うはずなのですが、脚本的にはかなり混乱していたような気がします。
「残す」のは時間軸で「伝える」は空間軸。「残す」のは自分一人の問題で、「伝える」ためには相手が必要。根源的なテーマだと思うのですが、いまひとつ整理がつかなくて曖昧なままのように見えました。
あるいは、母親(光あけみ)との確執。
母親が病的な心配性で、そんな母親に感謝しなくてはならないプレッシャーを抱えつつ、心のどこかで疎ましく思っている………みたいな感情があるんだろうな、というのは観ていて思ったのですが、何の伏線もなく突然怒られているのをみても、唐突すぎて全く響かないんですよね。
まだキャパが戦場カメラマンとして名を馳せる前で、大して危険なところに行ったわけでもなんでもないのに。
そこが響かないと、「キャパの正体を公表する」という決意もとってつけたように見えるし、ラストのアンドレが母親に許される場面も、なんのカタルシスもなく唐突に感じられてしまう。
頭で考えれば意味がわかるけど、感情的に伝わりにくいんですよね……って、え、私だけ?
スペイン内戦の取材に行くまでの経緯も唐突だし、、行ってからの展開もよくわからない。場面として突然始まるスパニッシュも、どうかと思うんですよね。彼らはスペインに遊びに行くわけじゃないのに(←いや、ダンサーは全員めっちゃ恰好良いですけどね!!)
「人間を愛したカメラマン」とか「彼が撮りたかったものは戦場ではなく、戦争が終わった後の笑顔」とか、そういう小奇麗なイメージはわかるんですけど、そのために彼が何をしたのか、が見えてこない。
「カメラを捨てて戦うべきじゃないのか」
と悩むところは、テルくんらしいリアルな悩みだな、と思うのですが
「大切なのはどう生きるかだ」とか
「あんたの役目はライフルを持つことでも俺を生き永らえさせることでもない、この現実をフィルムに残すことだ」とか、、、
分かりやすい格言は、あくまでも格言であって共感を得るための台詞ではありません。そういう台詞をクライマックスで語らせることは、「鏡面に絵を彫り込む」ような行為だと思うんですよ。
「いつか、戦場カメラマンが失業する世界が…」とか、良いなあと思う台詞もたくさんあるんですけどね。
設定が、あるいは役の人物の心情が観客に響くか響かないか……それは理屈ではないし、そもそも観客それぞれに違うはず。
ただ、一ついえるとすれば、伏線のないエピソードで共感を得るのは難しいです。伏線があれば、多少無理な設定でも共感が得やすい。それは、「ああ、あのときのあれはここにつながるのか!」という驚きがあるからです。
驚きと共に発見される情報は、感情を動かしやすい。それは、「与えられた(教えられた)情報」ではなく、「自分で発見した情報」に分類されるからだと思うんですよね。
まあ、生田さんのデビュー作(BUND NEON)みたいに、伏線が多すぎて時間内に拾いきれなかったりするのも問題ですが(^ ^;、原田さんみたいにまったく伏線ナシで話を進めるのも限界があると思うんですよね。
原田さんの次作は大劇場公演なので、時間制限もかなり厳しくなりますし……うーん、がんばってほしいなあ。
ここまで脚本の話ばかりしてきましたが、実際には脚本が舞台にあがるわけではなく、そこには当然役者がいます。
で。原田さんは、どちらかというと「自分が描きたいもの」が先に来るタイプで、座付き作家にしてはあまり役者(特に主演者)を視ていない方だな、という印象があるのですが、テルくんの今回の役も、テルくんの本来の魅力からはだいぶ遠い、パッショネイトな役でした。
まあでも、今回はそれもありかな、と。
テルくんも、宙組でこそ初主演だけど、主演自体は3作目。前回の「リラの壁…」がr再演だったので、今回も宛書きではなかったのが残念ではありましたが、今の立場で宛書きではない役と、わかりやすくて裏のない脚本をどうねじふせて盛り上げるか、みたいなところを勉強するのも大切だろうな、と思うので。
実際、ビジュアルから男っぽく創りこんだテルくんは恰好良かったし、「人を愛した」写真家、というところはよく伝わってきたと思います。元々テルくんの優しい芝居が好きなので、それぞれのエピソードの切り方がキャパの「優しさ」や「弱さ」を見せる方向だったのも良かったんだと思います。
回りのキャストは、みんな良かったです。印象的な人ばかりでしたね。
ちや姉(風莉)のピカソ、みーちゃんのチーキ、ちーちゃん(蓮水)のアンリ、(鳳樹)いちくんのフェデリコ、そしてモンチ(星吹)のシム。みんな本当に良かった!あの脚本からよくこれだけ「人間」を立ち上げたな、と感心しました。
役不足で残念だったのは、りっくん(蒼羽)とタラちゃん(愛花)かなあ。二人とも本当に芝居ができる人なだけに、勿体無い。今回も良い仕事をしているので、余計に切ないです。
あ、みーちゃんもこっちに入るでしょうか。良い仕事をしていたこともあわせて。……私はチーキがすごく好きでしたけどね(ラストの長台詞は、「ヴァレンチノ」エンディング前のパクリかと思いましたが)
ゆうりちゃんのゲルダは、脚本の矛盾点を一心に受けて、主役(キャパ)を作家の思い通りに(あるいは歴史通りに)動かす操縦士のような役でしたが……
芝居については経験不足が否めないし、最大の武器であるはずのビジュアルも微妙で残念な感じでしたが、響きのやわらかな、まろやかな声はとても好きです。
ちょっととなみちゃん(白羽)系?とか思ったのですが、これから先、どうなるんでしょうね……
グットマン社長の汝鳥さんはもう最高。
パリでアンドレを迎えるフーク・ブロック社長のまっぷー(松風)も、脂ぎった中年男を好演していたと思います。その愛人・ジャンヌ(美風)も、怖さがあってよかったなあ~。
みーちゃんについては上で書きましたが、ちーちゃんとモンチは可愛かったですねえ。中でも今回はモンチが可愛くてすごくツボでした。可愛かった!
ピカソとフェデリコは、スペイン内戦の象徴的な場面をそれぞれセンターでひっぱる役でしたが、どちらも本当に素晴らしかった。文句なく、この公演のMVPだと思います。
アンドレの弟・コーネル(桜木)は、、、出番が少ないうえに、どの出番も設定が唐突すぎて目眩がしましたが、ずんちゃん自身はすごく良かったです。テルくんの弟、と聞いてスタイルとかスタイルとかちょっと心配していたのですが、なかなかお似合いの二人でした。
兄貴との感情的なすれ違いをもっと正面から描いても話としては面白くなったと思うのですが、原田さんは、そういう「負」の感情をリアルに出す芝居はあまりお好みで無いらしいですよね……残念だなー(T T)。
でも、こうやって見ると、「ジュ・シャント」に比べればだいぶ役も増えてきているんですね。
それでも、あとは、えびちゃん(綾瀬)クラスでも殆ど台詞がなウェイトレスが本役なあたり、さびしいんですが。
次は本公演なので、なんとか頑張って役を増やしてくださいますように(切実)。
あとは、せっかくのサヨナラなので、ぜひともハッピーエンドでお願いいたします!
祐飛さんは、悲劇についてはあらゆるパターンをやってきているので、新人さんが挑むのはハードルが高いだろうと思いますし、ね。ハッピーエンドは少ないので、観劇後に幸せ感があるだけで新鮮だし、ファンも嬉しい(*^ ^*)。
多少行間に隙間の多い脚本でも、祐飛さんすみ花ちゃんと今の宙組メンバーなら埋めてくれると思うので、ぜひとも楽しくハッピーエンドで!!!(祈)
【7月1日まで、あと132日】
テルくん(凰稀かなめ)、宙組での初主演お疲れさまでした\(^ ^)/ゆうりちゃん(伶美うらら)も、初ヒロインおめでとうございます!
そして、この作品を最後に花組に組替えするみーちゃん(春風弥里)の幸いを祈っています(^ ^)(これからも逢いにいくので、別れの言葉は言いません。むしろ「花組へようこそ」って言いたい)。
さて、作品としての「魂の記録」について。
個人的には、面白くなる可能性のある作品だったと思います。
題材は興味深いし、キャストは実力派ぞろいでみんな良かったし。
でも、観終わっての感想は、残念ながら「素晴らしい」ではなく、、、「面白い」「興味深い」でもなくて、「もどかしい」だったのですが……(; ;)。
こういう作品は、何度か観ると面白くなってくることが多いんですよね。
脚本的に致命的な破綻があるわけではなく、書き込みが浅いだけで題材は面白いし、役者は巧い人ぞろいでみんなそれぞれに良い味を出している。そもそも登場するのはほとんどが実在の人物だから、脚本的には多少無理があっても役者のがんばりと観客側のフォローで行間を埋めれば、それなりに納得できるのが当然。事実として間違っていないなら、脚本的には飛ばされていても納得できる理由があるはずだ、と思って観ますからね、観客は。
逆に、初見はすごく面白いけど、何回か観るうちに飽きてしまうというか、いろいろ粗(ツッコミどころ)が見えてくる作品もありますが、「キャパ」はそういうのではなかったと思います。
ネットなどで感想を見ても、複数回ご覧になった方は誉めていらっしゃるケースが多いような気がするし。私はスケジュール的に一回しか観られませんでしたが、何回か観たら面白さがわかったのかな?
原田さんの作品は、「ジュ・シャント」「ニジンスキー」に続き3作品目。
私はいちおう3作とも観ていますが、わりとどれも似たような印象……です。「新人の割にまとまっていて破綻はないけど、私には響かない」という感じ。
あくまでも「私」という一人の観客感想ですので、ご容赦くださいませ。
もちろん、良いところもたくさんありますよ!
たとえば舞台美術。……今回でいえば、背景の空(雲)とそれを照らす照明が素晴らしかった!あの空の下で語られるだけで、ありきたりな愛の言葉の羅列が美しいラヴシーンになったんだから、凄いですよね(@ @)。
スタッフは、照明が氷谷信雄さん、美術は……装置の稲生英介さんが仕切られたのかな?キャパの事務所のセットとかは普通でしたけど、あの空と八百屋になっている床(地面)、そして舞台美術の一部としての照明の組み合わせは良く出来ていたと思います。
でもやっぱり、脚本は「もどかしい」し「残念」なんですよね……
そもそも、脚本中のアンドレ・フリードマン(のちのロバート・キャパ/凰稀かなめ)が目指したものが、ジャーナリストだったのかカメラマンだったのかが良く判らなかった(; ;)
たった一枚の写真でも、伝えられるものがある
というのは作品上も重要なキーワードだと思うのですが、
アンドレがやりたかったことは、「その瞬間をフィルムに留める」ことなのか、それとも、それによって「何かを伝える」ことなのか?というあたり。
「残す」ことと「伝える」ことは全然違うはずなのですが、脚本的にはかなり混乱していたような気がします。
「残す」のは時間軸で「伝える」は空間軸。「残す」のは自分一人の問題で、「伝える」ためには相手が必要。根源的なテーマだと思うのですが、いまひとつ整理がつかなくて曖昧なままのように見えました。
あるいは、母親(光あけみ)との確執。
母親が病的な心配性で、そんな母親に感謝しなくてはならないプレッシャーを抱えつつ、心のどこかで疎ましく思っている………みたいな感情があるんだろうな、というのは観ていて思ったのですが、何の伏線もなく突然怒られているのをみても、唐突すぎて全く響かないんですよね。
まだキャパが戦場カメラマンとして名を馳せる前で、大して危険なところに行ったわけでもなんでもないのに。
そこが響かないと、「キャパの正体を公表する」という決意もとってつけたように見えるし、ラストのアンドレが母親に許される場面も、なんのカタルシスもなく唐突に感じられてしまう。
頭で考えれば意味がわかるけど、感情的に伝わりにくいんですよね……って、え、私だけ?
スペイン内戦の取材に行くまでの経緯も唐突だし、、行ってからの展開もよくわからない。場面として突然始まるスパニッシュも、どうかと思うんですよね。彼らはスペインに遊びに行くわけじゃないのに(←いや、ダンサーは全員めっちゃ恰好良いですけどね!!)
「人間を愛したカメラマン」とか「彼が撮りたかったものは戦場ではなく、戦争が終わった後の笑顔」とか、そういう小奇麗なイメージはわかるんですけど、そのために彼が何をしたのか、が見えてこない。
「カメラを捨てて戦うべきじゃないのか」
と悩むところは、テルくんらしいリアルな悩みだな、と思うのですが
「大切なのはどう生きるかだ」とか
「あんたの役目はライフルを持つことでも俺を生き永らえさせることでもない、この現実をフィルムに残すことだ」とか、、、
分かりやすい格言は、あくまでも格言であって共感を得るための台詞ではありません。そういう台詞をクライマックスで語らせることは、「鏡面に絵を彫り込む」ような行為だと思うんですよ。
「いつか、戦場カメラマンが失業する世界が…」とか、良いなあと思う台詞もたくさんあるんですけどね。
設定が、あるいは役の人物の心情が観客に響くか響かないか……それは理屈ではないし、そもそも観客それぞれに違うはず。
ただ、一ついえるとすれば、伏線のないエピソードで共感を得るのは難しいです。伏線があれば、多少無理な設定でも共感が得やすい。それは、「ああ、あのときのあれはここにつながるのか!」という驚きがあるからです。
驚きと共に発見される情報は、感情を動かしやすい。それは、「与えられた(教えられた)情報」ではなく、「自分で発見した情報」に分類されるからだと思うんですよね。
まあ、生田さんのデビュー作(BUND NEON)みたいに、伏線が多すぎて時間内に拾いきれなかったりするのも問題ですが(^ ^;、原田さんみたいにまったく伏線ナシで話を進めるのも限界があると思うんですよね。
原田さんの次作は大劇場公演なので、時間制限もかなり厳しくなりますし……うーん、がんばってほしいなあ。
ここまで脚本の話ばかりしてきましたが、実際には脚本が舞台にあがるわけではなく、そこには当然役者がいます。
で。原田さんは、どちらかというと「自分が描きたいもの」が先に来るタイプで、座付き作家にしてはあまり役者(特に主演者)を視ていない方だな、という印象があるのですが、テルくんの今回の役も、テルくんの本来の魅力からはだいぶ遠い、パッショネイトな役でした。
まあでも、今回はそれもありかな、と。
テルくんも、宙組でこそ初主演だけど、主演自体は3作目。前回の「リラの壁…」がr再演だったので、今回も宛書きではなかったのが残念ではありましたが、今の立場で宛書きではない役と、わかりやすくて裏のない脚本をどうねじふせて盛り上げるか、みたいなところを勉強するのも大切だろうな、と思うので。
実際、ビジュアルから男っぽく創りこんだテルくんは恰好良かったし、「人を愛した」写真家、というところはよく伝わってきたと思います。元々テルくんの優しい芝居が好きなので、それぞれのエピソードの切り方がキャパの「優しさ」や「弱さ」を見せる方向だったのも良かったんだと思います。
回りのキャストは、みんな良かったです。印象的な人ばかりでしたね。
ちや姉(風莉)のピカソ、みーちゃんのチーキ、ちーちゃん(蓮水)のアンリ、(鳳樹)いちくんのフェデリコ、そしてモンチ(星吹)のシム。みんな本当に良かった!あの脚本からよくこれだけ「人間」を立ち上げたな、と感心しました。
役不足で残念だったのは、りっくん(蒼羽)とタラちゃん(愛花)かなあ。二人とも本当に芝居ができる人なだけに、勿体無い。今回も良い仕事をしているので、余計に切ないです。
あ、みーちゃんもこっちに入るでしょうか。良い仕事をしていたこともあわせて。……私はチーキがすごく好きでしたけどね(ラストの長台詞は、「ヴァレンチノ」エンディング前のパクリかと思いましたが)
ゆうりちゃんのゲルダは、脚本の矛盾点を一心に受けて、主役(キャパ)を作家の思い通りに(あるいは歴史通りに)動かす操縦士のような役でしたが……
芝居については経験不足が否めないし、最大の武器であるはずのビジュアルも微妙で残念な感じでしたが、響きのやわらかな、まろやかな声はとても好きです。
ちょっととなみちゃん(白羽)系?とか思ったのですが、これから先、どうなるんでしょうね……
グットマン社長の汝鳥さんはもう最高。
パリでアンドレを迎えるフーク・ブロック社長のまっぷー(松風)も、脂ぎった中年男を好演していたと思います。その愛人・ジャンヌ(美風)も、怖さがあってよかったなあ~。
みーちゃんについては上で書きましたが、ちーちゃんとモンチは可愛かったですねえ。中でも今回はモンチが可愛くてすごくツボでした。可愛かった!
ピカソとフェデリコは、スペイン内戦の象徴的な場面をそれぞれセンターでひっぱる役でしたが、どちらも本当に素晴らしかった。文句なく、この公演のMVPだと思います。
アンドレの弟・コーネル(桜木)は、、、出番が少ないうえに、どの出番も設定が唐突すぎて目眩がしましたが、ずんちゃん自身はすごく良かったです。テルくんの弟、と聞いてスタイルとかスタイルとかちょっと心配していたのですが、なかなかお似合いの二人でした。
兄貴との感情的なすれ違いをもっと正面から描いても話としては面白くなったと思うのですが、原田さんは、そういう「負」の感情をリアルに出す芝居はあまりお好みで無いらしいですよね……残念だなー(T T)。
でも、こうやって見ると、「ジュ・シャント」に比べればだいぶ役も増えてきているんですね。
それでも、あとは、えびちゃん(綾瀬)クラスでも殆ど台詞がなウェイトレスが本役なあたり、さびしいんですが。
次は本公演なので、なんとか頑張って役を増やしてくださいますように(切実)。
あとは、せっかくのサヨナラなので、ぜひともハッピーエンドでお願いいたします!
祐飛さんは、悲劇についてはあらゆるパターンをやってきているので、新人さんが挑むのはハードルが高いだろうと思いますし、ね。ハッピーエンドは少ないので、観劇後に幸せ感があるだけで新鮮だし、ファンも嬉しい(*^ ^*)。
多少行間に隙間の多い脚本でも、祐飛さんすみ花ちゃんと今の宙組メンバーなら埋めてくれると思うので、ぜひとも楽しくハッピーエンドで!!!(祈)
【7月1日まで、あと132日】
コメント
キャパ、脚本については全く同感でした。伏線が無さすぎて、セリフの瞬間に、そうだろうなぁ?とは思うけど・・・って立ち止まってしまいます。先生はやらせたい事を羅列しただけだったのかな?恋愛がテーマでも戦争がテーマでも親子愛がテーマでも無かった。ただ、キャパの足跡の一部を表していただけだと思いました。あ、3回観たのですが、毎回、かなめちゃんの演技に彼女の個性・持ち味がダブって、それはそれで良いのだと言い聞かせていましたよ。
私は、かなめちゃんには甘さを消した男らしさを期待していたようです。今のこの時期に主演のかなめちゃんに宛てる役だったのかどうか、疑問でした。
でも、
>今の立場で宛書きではない役と、わかりやすくて裏のない脚本をどうねじふせて盛り上げるか、みたいなところを勉強するのも大切だろうな、と思うので。
みつきねこさんの仰るように、これもまた彼女の成長の糧となったのでしょうね。今まで一作毎に何かしら成長の跡を見せてくれるかなめちゃんの今後に期待しています。
と、まあ、熱く語っている風な私です。昨日の千秋楽は観られなかったのですが、もやもやしつつも、好評も聞こえていたので、終わってホッとしています。
>恋愛がテーマでも戦争がテーマでも親子愛がテーマでも無かった。
これは、逆にテーマが多すぎて絞り込めていないと感じたのでした。ちょっと誤解の生まれる書き方でしたので、訂正いたします。
いち君も好きなので期待したのですが、兵士さんの余りにもありきたりな台詞と持って行き方で正直がっかりしました。美味しいような美味しくないような役でしたね。りく君やちーちゃんは勿体無かったです。そして、娘役に役がなさ過ぎ!うららちゃんにはまだ荷が重すぎましたね。
色々と書いてしまいました。スミマセン
> 伏線が無さすぎて、セリフの瞬間に、そうだろうなぁ?とは思うけど・・・って立ち止まってしまいます。
そうなんですよね。演じる側だけで埋めるには、あまりに行間が巨大すぎて目眩がしました。
> 私は、かなめちゃんには甘さを消した男らしさを期待していたようです。
なるほどー。ファンならではの視点ですね。でもたしかに、題材的に「キャパ」ならそういう役にすることも可能だったはずだし、冒険するなら最後のチャンスだと思うので、残念かも。
> もやもやしつつも、好評も聞こえていたので、終わってホッとしています。
テルくんはよくやっていたと思います(^ ^)。私はやっぱりテルくんの芝居が好きなんだなあ、とあらためて思った2時間でした。
ゆうりちゃんは荷が重すぎて、しかも同じイタの上にタラちゃんがいて、、、なんだかなあ、と思ったことは否定しません。でも、ゆうりちゃんはまだ若いので、今回の経験がこれからに生きれば……と思いました。
いちくんのヒーローぶりがありきたりのワンパターン、というのは同感です。それでも、いちくんの持つ「熱」は、ワンパターンを凌駕するものがあった、とも思いましたが。
> これは、逆にテーマが多すぎて絞り込めていないと感じたのでした。
そうですね。テーマが多すぎるというか、全体を通した一つのテーマがなかった、と私は思いました。そして、物語全体の屋台骨となるテーマがないと、いい台詞も綺麗事にきこえるし、最後まで観ても何も残らないんだな、と。切ないですよね……。
主役以外の人達は書き込みが浅くても其々によく演じてらっしゃいました。そして、かなめちゃんの丁寧な心情表現や男役としての佇まいは、私もやっぱり好きですね。こちらで書かせて頂いてスッキリしました。(^^ゞ
ありがとうございました。
> かなめちゃんの丁寧な心情表現や男役としての佇まいは、私もやっぱり好きですね。
ですよね!次の大劇場で、原田さんがテルくんにどんな役を与えるのか、
とても楽しみです。