仮面のアパショナード
2012年2月5日 宝塚(宙)中日劇場にて、宙組公演「仮面のロマネスク/Apasionado!!2」を観劇いたしました。
いやー、楽しかった!!
っていうか、素晴らしかった(*^ ^*)。
柴田さんの「浪漫」の世界にどっぷり浸れるお芝居と、
藤井さんの「パッション」の世界にどっぷり嵌れるショーの二本立て。
どちらも良い作品で、面白い組み合わせだな、と思いました。本当に。
「仮面のロマネスク」
私は初演を観ていないので、噂に高い柴田さんの名作を楽しみにしていたのですが。
すごい脚本だった!!
なんというか、柴田作品のもつ『時代の空気感』って、すごいなあと思うんですよね。
いわゆる「ベルサイユのばら」に象徴される「フランス革命」の1789年からから40年がすぎた1830年の、巴里。革命後の混乱(「スカーレット・ピンパーネル」)からナポレオンの登場と破滅、王政復古という「一回り」を経て、再び貴族社会に戻ったフランス。ブルジョアの台頭による身分制度のゆらぎ。
そんな、不安定な時代の中で、閉じられた「貴族社会」という金魚鉢の中を泳ぎ抜こうとした、美しい魚たちの物語。
政治的な話はほとんど出てこないのに、そういった「現実」から目をそむけて、金魚鉢の中で生きようとした「貴族」という存在の、儚い美しさがとても印象的でした。
若く美しい社交界の華・フランソワーズ・メルトゥイユ夫人(野々)と、恋多き美青年ジャン・ピエール・ヴァルモン子爵(大空)の、意地の張り合いを軸にした恋模様。それだけを描いているようで、ぞっとするほど絶望的な「貴族」たちの未来に向ける切ないまでの優しい目線が、とても美しかったです。
ヴァルモンが眼をつける、貞淑で淑やかな、美しいマリアンヌ・トゥールベル夫人(藤咲えり)。
メルトゥイユの従妹で、修道院から出たばかりのうら若き乙女・セシル(すみれ乃麗)。
ヴァルモンとメルトゥイユの意地の張り合いに巻き込まれた二人の美女、中でも頑なに「恋」を拒むトゥールベル夫人の、その一途な生き方。
シンプルに「愛」を信じて、仮面をかぶらなかった二人と、仮面を被って「貴族社会」を泳ぎ抜こうとした二人。それぞれに夫や恋人や婚約者のいる二人の女性の対比もおみごとでした。
元々隙の無い脚本を、再演という形でどうイタに載せるか、苦労したんだろうな、と思いました。まだまだ、そのめくるめくような脚本の「多弁な行間」を表現しきれていない方もいらっしゃったような気がしますが、これからどんどん深化していくことが期待できる、美しい舞台でした!
「柴田浪漫」の傑作と言われるのもよくわかる作品。
初演から10年以上が過ぎて、またきっと初演とは全然違う作品になっているのだと思いますが、とても興味深く観ることができました。
あの時代の、ピンと張りつめた空気。その中で生きる「貴族たち」の緊張感が美しい。
祐飛さんとすみ花ちゃんで、この作品を観ることができたことが、とても嬉しいです(^ ^)
そして、藤咲えりちゃんのトゥールベル夫人を観ることができて、幸せです(*^ ^*)。
「Apasionado!! 2」
この「Apasionado!!」という作品は、もともと瀬奈さん率いる月組で、大野さんの「夢の浮橋」と同時上演された作品。
これが、大空&野々の宙組お披露目となった博多座で「大江山花伝」という往年の柴田作品と一緒に上演されて、今回が三度目。祐飛さん率いる宙組にとっては、2度目の上演ということになります。
黒塗りのホットなラテンショーで、「クール」が売りといわれていた祐飛さんには合わないのではないかと(上演前は)思っていた作品。これが思いのほか似合っていたことに驚いた博多座から、2年半。
卒業を見据えて円熟を極めたトップコンビと、熱くて元気な宙組っ子たち。博多座にも出ていた子たちの成長っぷりには驚かされました。「子」って学年じゃないけど(^ ^)、まさこちゃん(十輝)とかも含めて。
そして、2年半の間に上演された作品群の、鮮明なイマジネーション。特に、誰もが感じるところだと思いますが、小池さんの「ヴァレンチノ」を上演したことで、このショーの中の「ヴァレンチノ」の場面の雰囲気がずいぶん変わったな、と思いました。
なんといっても、カイちゃん(七海)のナターシャの空気感がまったく違う。初演の(城咲)あいちゃんも、博多座の(花影)アリスも、「ナターシャ」と役名はついていても、ナターシャの痛みを演じたわけではなく、ただの「喪服の語り手」として「ヴァレンチノ」を語っていた、と思う。
でも、カイちゃんの中には「ナターシャ・ランボア」がいる。そして、カイちゃんのナターシャが語る「ヴァレンチノ」は、あくまでも「ルディ」だった。
誰からも愛されるラテン・ラバー。すべての女を深く愛した、愛情深い天使・ルディ。
ナターシャを愛した優しいルディの思い出。
彼の破滅をただ見凝めるしかできない田舎娘と、「今の自分」を鏡に映してとまどう男。
「愛が欲しい」というソロを歌う和希くんの、なんというか……子供っぽい、素直な声がとても好きです。初演⇒再演とずいぶん声のイメージを変えたなあと思っていたのですが、また全然違う音を持ってきたな、と思いました。
大きな変更点は、他に(いや、ヴァレンチノは変更されたわけじゃなくてキャストが変わっただけですが)、神様が女役三人(梨花・美穂・鈴奈)になって歌が変わったことと、ともちん(悠未ひろ)が客席から登場する「ジャングル」の場面が追加されたこと、あと、最後のデュエットダンスの曲が変わったこと……でしょうか。
あとは、、、中日は博多座と違って中階段もない(せいぜい4、5段かな?)ので、セット都合で演出が変わったりしたところはたくさんありましたけど、基本的には博多座どおりだったと思います。
細かいところはまた改めて書かせていただくつもりですが、とりあえず、お花畑の花々だけ。
最初は、すみれ色のヴィオレッタ(悠未ひろ/十輝いりす/遼河はるひ)。
次は緋色のペンサミエント(凪七瑠海/珠洲春希/龍真咲)。
次はピンクのカーネーション(鳳翔大/同/青樹泉)。
次はハスミン(=ジャスミン)(十輝いりす/蓮水ゆうや/星条海斗)。
次は黒薔薇さま(寿つかさ/越乃リュウ)。
次はオレンジのチューリップ(七海ひろき/鳳樹いち/明日海りお)。
トドメは、青紫のラヴェンダー(北翔海莉/同/桐生園加)。
登場順は、博多座まではオレンジのチューリップが3番目で、その後カーネーション、黒薔薇様、ジャスミンときて、最後がラヴェンダーでした。カイちゃんが直前までナターシャで出ているので最後の方に回ったけど、衣装は小柄な人用のが回ってきたってことかな?と思います。初演・再演の人の名前は、衣装が同じ人を書いていますので、登場順(歌の位置)は違ってます。まあ、そもそも初演では半数は歌がなかったわけなので、お気になさらず(^ ^)。
「美しさ」では経験者でもある大ちゃんがダントツでしたが、ともちんも迫力美人で素敵でした。あと、可愛いはカチャがダントツかな(*^ ^*)。珠洲さんとあまりに違いすぎてびっくりしました。
まさこさんは再演でいちくんが歌っていたところ(「猫みたいに楽しみましょう♪」)を歌うのですが、なんと猫耳をつけての登場(真顔)。驚きました……。
今日まではずっと猫耳を付けていたらしいのですが、今日の夕方公演は緑のリボンを編み込んだ髪を盛り上げて耳(というより角?)みたいにしたツインテールの鬘で、それもとても可愛かったです。
ひとまずはそんなところです。
あ。
Apasionado!!の一番最初の「Ah~」の音程は、相変わらず正解がわかりません………(T T)
【7月1日まで、あと147日】
いやー、楽しかった!!
っていうか、素晴らしかった(*^ ^*)。
柴田さんの「浪漫」の世界にどっぷり浸れるお芝居と、
藤井さんの「パッション」の世界にどっぷり嵌れるショーの二本立て。
どちらも良い作品で、面白い組み合わせだな、と思いました。本当に。
「仮面のロマネスク」
私は初演を観ていないので、噂に高い柴田さんの名作を楽しみにしていたのですが。
すごい脚本だった!!
なんというか、柴田作品のもつ『時代の空気感』って、すごいなあと思うんですよね。
いわゆる「ベルサイユのばら」に象徴される「フランス革命」の1789年からから40年がすぎた1830年の、巴里。革命後の混乱(「スカーレット・ピンパーネル」)からナポレオンの登場と破滅、王政復古という「一回り」を経て、再び貴族社会に戻ったフランス。ブルジョアの台頭による身分制度のゆらぎ。
そんな、不安定な時代の中で、閉じられた「貴族社会」という金魚鉢の中を泳ぎ抜こうとした、美しい魚たちの物語。
政治的な話はほとんど出てこないのに、そういった「現実」から目をそむけて、金魚鉢の中で生きようとした「貴族」という存在の、儚い美しさがとても印象的でした。
若く美しい社交界の華・フランソワーズ・メルトゥイユ夫人(野々)と、恋多き美青年ジャン・ピエール・ヴァルモン子爵(大空)の、意地の張り合いを軸にした恋模様。それだけを描いているようで、ぞっとするほど絶望的な「貴族」たちの未来に向ける切ないまでの優しい目線が、とても美しかったです。
ヴァルモンが眼をつける、貞淑で淑やかな、美しいマリアンヌ・トゥールベル夫人(藤咲えり)。
メルトゥイユの従妹で、修道院から出たばかりのうら若き乙女・セシル(すみれ乃麗)。
ヴァルモンとメルトゥイユの意地の張り合いに巻き込まれた二人の美女、中でも頑なに「恋」を拒むトゥールベル夫人の、その一途な生き方。
シンプルに「愛」を信じて、仮面をかぶらなかった二人と、仮面を被って「貴族社会」を泳ぎ抜こうとした二人。それぞれに夫や恋人や婚約者のいる二人の女性の対比もおみごとでした。
元々隙の無い脚本を、再演という形でどうイタに載せるか、苦労したんだろうな、と思いました。まだまだ、そのめくるめくような脚本の「多弁な行間」を表現しきれていない方もいらっしゃったような気がしますが、これからどんどん深化していくことが期待できる、美しい舞台でした!
「柴田浪漫」の傑作と言われるのもよくわかる作品。
初演から10年以上が過ぎて、またきっと初演とは全然違う作品になっているのだと思いますが、とても興味深く観ることができました。
あの時代の、ピンと張りつめた空気。その中で生きる「貴族たち」の緊張感が美しい。
祐飛さんとすみ花ちゃんで、この作品を観ることができたことが、とても嬉しいです(^ ^)
そして、藤咲えりちゃんのトゥールベル夫人を観ることができて、幸せです(*^ ^*)。
「Apasionado!! 2」
この「Apasionado!!」という作品は、もともと瀬奈さん率いる月組で、大野さんの「夢の浮橋」と同時上演された作品。
これが、大空&野々の宙組お披露目となった博多座で「大江山花伝」という往年の柴田作品と一緒に上演されて、今回が三度目。祐飛さん率いる宙組にとっては、2度目の上演ということになります。
黒塗りのホットなラテンショーで、「クール」が売りといわれていた祐飛さんには合わないのではないかと(上演前は)思っていた作品。これが思いのほか似合っていたことに驚いた博多座から、2年半。
卒業を見据えて円熟を極めたトップコンビと、熱くて元気な宙組っ子たち。博多座にも出ていた子たちの成長っぷりには驚かされました。「子」って学年じゃないけど(^ ^)、まさこちゃん(十輝)とかも含めて。
そして、2年半の間に上演された作品群の、鮮明なイマジネーション。特に、誰もが感じるところだと思いますが、小池さんの「ヴァレンチノ」を上演したことで、このショーの中の「ヴァレンチノ」の場面の雰囲気がずいぶん変わったな、と思いました。
なんといっても、カイちゃん(七海)のナターシャの空気感がまったく違う。初演の(城咲)あいちゃんも、博多座の(花影)アリスも、「ナターシャ」と役名はついていても、ナターシャの痛みを演じたわけではなく、ただの「喪服の語り手」として「ヴァレンチノ」を語っていた、と思う。
でも、カイちゃんの中には「ナターシャ・ランボア」がいる。そして、カイちゃんのナターシャが語る「ヴァレンチノ」は、あくまでも「ルディ」だった。
誰からも愛されるラテン・ラバー。すべての女を深く愛した、愛情深い天使・ルディ。
ナターシャを愛した優しいルディの思い出。
彼の破滅をただ見凝めるしかできない田舎娘と、「今の自分」を鏡に映してとまどう男。
「愛が欲しい」というソロを歌う和希くんの、なんというか……子供っぽい、素直な声がとても好きです。初演⇒再演とずいぶん声のイメージを変えたなあと思っていたのですが、また全然違う音を持ってきたな、と思いました。
大きな変更点は、他に(いや、ヴァレンチノは変更されたわけじゃなくてキャストが変わっただけですが)、神様が女役三人(梨花・美穂・鈴奈)になって歌が変わったことと、ともちん(悠未ひろ)が客席から登場する「ジャングル」の場面が追加されたこと、あと、最後のデュエットダンスの曲が変わったこと……でしょうか。
あとは、、、中日は博多座と違って中階段もない(せいぜい4、5段かな?)ので、セット都合で演出が変わったりしたところはたくさんありましたけど、基本的には博多座どおりだったと思います。
細かいところはまた改めて書かせていただくつもりですが、とりあえず、お花畑の花々だけ。
最初は、すみれ色のヴィオレッタ(悠未ひろ/十輝いりす/遼河はるひ)。
次は緋色のペンサミエント(凪七瑠海/珠洲春希/龍真咲)。
次はピンクのカーネーション(鳳翔大/同/青樹泉)。
次はハスミン(=ジャスミン)(十輝いりす/蓮水ゆうや/星条海斗)。
次は黒薔薇さま(寿つかさ/越乃リュウ)。
次はオレンジのチューリップ(七海ひろき/鳳樹いち/明日海りお)。
トドメは、青紫のラヴェンダー(北翔海莉/同/桐生園加)。
登場順は、博多座まではオレンジのチューリップが3番目で、その後カーネーション、黒薔薇様、ジャスミンときて、最後がラヴェンダーでした。カイちゃんが直前までナターシャで出ているので最後の方に回ったけど、衣装は小柄な人用のが回ってきたってことかな?と思います。初演・再演の人の名前は、衣装が同じ人を書いていますので、登場順(歌の位置)は違ってます。まあ、そもそも初演では半数は歌がなかったわけなので、お気になさらず(^ ^)。
「美しさ」では経験者でもある大ちゃんがダントツでしたが、ともちんも迫力美人で素敵でした。あと、可愛いはカチャがダントツかな(*^ ^*)。珠洲さんとあまりに違いすぎてびっくりしました。
まさこさんは再演でいちくんが歌っていたところ(「猫みたいに楽しみましょう♪」)を歌うのですが、なんと猫耳をつけての登場(真顔)。驚きました……。
今日まではずっと猫耳を付けていたらしいのですが、今日の夕方公演は緑のリボンを編み込んだ髪を盛り上げて耳(というより角?)みたいにしたツインテールの鬘で、それもとても可愛かったです。
ひとまずはそんなところです。
あ。
Apasionado!!の一番最初の「Ah~」の音程は、相変わらず正解がわかりません………(T T)
【7月1日まで、あと147日】
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