星組東宝公演「オーシャンズ11」について、場面ごとに。
若干ツッコミが入りますので、気になる方はご注意ください。あと、ネタばれします。すみません。



第一場 刑務所
銀橋に登場するダニー(柚希)。アメリカの刑務所って、本当にあんな漫画みたいな囚人服なんでしょうか……。胸の名札は611。こういう数字のお遊びは好きです。



第二場 FATE CITY
本舞台の幕があがると、そこはネヴァダ州ラスヴェガス。男役がずらっと並んで踊りだす。とりあえず、この場面観ただけで思いっきり気持ちがアガるんですよね。やっぱり、お正月はこういう作品がいいのかも。



第三場 PARADISO
ホテル「パラディソ」で行われる、「エデン」の記者発表。
内容は、ホテル建設(=コンセプト)と、パラディソで行われるプレイベントの発表……なんですよね、たぶん。
最初はお客様だけが盛り上がっていて、そこに秘書のテーラー(大輝)が上手から出てくるのですが、初見のときはそれがベネディクトかと思ってすごい観てました(^ ^)。いや、マイケルも恰好いいからね!(←主張)(小柄だけど)。

ベネディクトが階段上に登場してスピーチ。新ホテルのコンセプトは「eco」。外壁にソーラーパネルを使い、敷地内に森を造って……あと何だっけな。いろいろ歌ってました。
森の造営に協力する「NPO法人エヴァーグリーン」の代表が、みきちぐ(美稀)と毬乃さん。小池作品で「NPO法人」が出てきたあたりで、「だめだこりゃ」となるのは長年宝塚を観ていれば当然の反応かと思うのですが、、、
まあ、とりあえず、「森を移植する」のは残念ながらエコじゃない(違う土地の植物を導入するのは、普通は環境破壊)ので、コンセプトのかなり根本的なところが間違っていると思うのですが、ね(- -;)。

ベネディクトを取材する記者のメインは、かずなさん(千寿)とキトリ(稀鳥)。今公演、かずなさんは通し役でこそないけど、おいしいところを悉く持って行っている印象。きれいな人ですよね♪
キトリはいつも可愛いけど、今回はまた一段とまっすぐで可愛いです。そろそろ、ああいう場面で含み笑いの一つくらいできるようになったほうが良いような気もするのですが、いつまでもそのままで居てほしいような気もします。

あと印象に残るのは、スリージュエルズのお姉さまがた(花愛、音花、白妙)とマイク(礼真琴)のカルテット。ショーの進行役としてほとんどの場面に出て歌っている4人ですが、歌姫として定評のある3人はもちろん素敵なんですが、、礼くんの歌が本当に素晴らしいです(*^ ^*)。黒塗りにコーンロウ。髪型は東宝にきてちょっと変わったけど、印象は変わらないかな。黒人っぽい、パンチのある歌声が気持ちいい。

クイーン・ダイアナ(白華)は、パラディソのショーの看板スター。ラスヴェガスには、ホテルごとにショースターがいるんですね。
新ホテルの看板スターが自分ではないことと、その女(テス)がベネディクトの現在の本命らしいことを知って駆り狂っている姿がとても魅力的です。最近公演ごとに言ってますが、れみちゃん、本当に素晴らしい女優になりましたよね。うー、勿体無い。

この場面は、暇なイレヴンメンバー(鶴美、壱城、美弥、天寿)がアルバイトで出ているのですが、みんなぱりっとしたスーツが似合ってて、とても格好良いです。きらきらしたベストがドレッシーで素敵。どいちゃん&しーらん、みやるり&みっきぃがそれぞれ一緒にいることが多いんですが、どちらの組合わせも仲良さそうに喋ったりなんか肯きあったりしていて楽しいです。そして、いつの間にか相手役が入れ替わっていたりするのが面白い。
最初にみっきぃさんの相手役をしている妃白ゆあちゃんは、ベネディクトさんが階段上に登場したときに、わざわざ舞台を横切ってベネディクトに近づいていって、失神しかける……という芝居をしています。大劇場では完全に倒れていたんですが、ちょっと場を壊すので気になっていたんですよね。東宝に来て修正されて、良かったと思います。
ゆあちゃんは途中で美弥さんに取られて(?)しまい、みっきぃさんは途中から夢妃杏瑠ちゃんと組むんですが、「ランスロット」「おかしな二人」とずっと一緒だったけど組んではいなかった二人とラブラブしているのを観ると、なんだか幸せな気がします。それにしても、二人とも本当に可愛いうえに、大人っぽくてとても魅力的です(*^ ^*)。



第四場 EL CHOCLO
記者会見の場にもぐりこんでいたダニーが、昔馴染みのラスティ(涼)に連絡して、クラブ「エル・チョクロ」を訪ねる。
エル・チョクロの看板娘・ポーラ(音波)がラスティの恋人で、ラスティはその店に入り浸り。店のオーナーはポーラの祖父リカルド(英真)。その娘でポーラの母テレサ(柚美)が仕切っている。
店員はバーテン(?)のジョー(朝都)、そしてガールズがポーラ以外に6人。みんな可愛くて、黒いダルマに紅い髪の鬘。なかなか刺激的なショーです。かぶりつきで観てみたい(*^ ^*)。

この店はリカルドが騙されて作った借金のために立退きにあっている、という話の途中で、不動産屋のチャールズ(碧海)が登場。借金を返せないなら出て行けとリカルドを脅迫。その隣には、力づく担当が3人(汐月・芹香・麻央)。
彼らを排除するようポーラに頼まれて、恰好つけて肯くラスティ(^ ^)。上着を脱いではみるものの、あっさりつかまってボコられそうになったところを、ダニーに助けられる。……っていうか!「2対3ならどうだ?」とか恰好つけて聞いてるけどさ!勝ったのはテレサのおかげだよね!?ラスティはまったくの役立たず。一人を倒したのは、ポーラを人質にとられて逆上し、キキちゃんの頭に酒瓶を叩きつけたテレサですよ!
母は強し。

あんまり関係ないけど、キキちゃんのモミアゲは一見の価値があります(^ ^)。
丸顔童顔だけど、笑顔が黒いので(←誉めてます)ああいう役はそのままでも似合うと思うんですが、あえてモミアゲをつけている心意気は買いたいです。でもどうか、笑いが起きない程度にしてほしい。麻央くんのちょび髭はなんかやらしくて、よく似合ってます。これも誉めてます。念のため。

ここでおさらい。ダニーが捕まったのは「証券詐欺」。具体的に何をしたのかよくわかりませんが、彼がが喧嘩に強いのは、もともと肉体派の悪漢だったわけではなく、「刑務所に入ったら身体を鍛える以外にやることなくて」というのがちゃんと理屈にあっているんですよね。ただ、礼音くんが演じると「証券詐欺」の方が似合わない感があるのはなぜだろう。
ラスティは「奥様ポーカー教室の先生」でしたっけ(?)単なるギャンブラー(インチキもあり)で生徒を鴨にしていただけなのか、愛人クラブも掛け持ち、みたいなものだったのかよくわからないんですが。……まあ、本題には関係ないからどうでもいいんですけどね(^ ^)。



第五場 PARADISO
クイーン・ダイアナのステージリハーサル。
「レトロなマジックショー」がとてもレトロで微笑ましいです。これが売りになるラスヴェガス。素敵(^ ^)。。
演出のハロルド(真月)と振付兼ダンスリーダーのエディ(海)。クイーン・ダイアナとはテンポが合わない感が満載で、よく今まで一緒にやってきたなという気がしますが。まあ、そういう隙間を狙われたと解釈しておきましょう。

テスを連れたベネディクトが登場。
今でも自分がベネディクトの女だと信じる(信じたい)ダイアナは、自分のショーを一日「エデン」のプロモーションに使うと言われて怒り狂う。……そこははっきり言ってやれよベネディクト。曖昧にしても良いことないじゃん。と思うのですが。それだけダイアナの勢力は強いのかな、ホテルの中で。
中でもアダムとイヴの比喩に怒ったダイアナは、「林檎取ってくるわ」と言い捨てて立ち去る。可愛いなあ、現実にいたら堪らないでしょうけれども。

「私、彼女のショーの邪魔なんじゃないかしら」とベネディクトに訴えるテス。いや、邪魔に決まっているでしょうとは言わないベネディクト。このあたり、べネディクトがもっとはっきりした態度を取っていたら、その後の展開は変ったと思うんですよね。少なくとも、ダイアナがらみの部分は。
だから、どうにもこうにも、ダイアナはベネディクトの悪事の証拠を握っていたとしか思えないんですよね。それか、証拠はないけど知っていたのかも。どっちかな……?

まだテスとダニーの離婚が成立していないことを知りながら、あえて指輪を渡して告白するベネディクト。「俺を君のアダムにしてくれ」は、なかなか良い口説き文句だと思います。なのに、なにか笑えてしまうのは何故だろう……。

ベネディクトが仕事で外した後に現れるダニー。どうやってここまで入ったんでしょうか……なんて突っ込むのは意味がないか?でも一応、それなりにスターが出る劇場なんだから人がふらっと入れないようにくらいはなってるものじゃないんでしょうか。……いや、いいですけどね。

さっそく喧嘩を始める二人。「そもそもあなたは!」と、出会った経緯を歌いだすテス。
舞台の端に積み重ねられた箱から、若いころのテス(早乙女)が登場。このマジックは結構よく出きていると思います。いつ入ったのか、よほど注意していないとわからないので初見は驚きました。

「何度も家宅捜索されたけど捕まったことがない天才詐欺師」で「女に不自由したことのない」ダニーが落ちたのは、「よりによって」「ウブな女子大生」。
そこまで言うからには、テスとダニー、かなり年齢差がないとおかしくないか?
出会ったときは「まだハタチの学生だった」テス。
たとえば一回り違うとすると、そのときダニーは32歳。……まあ、一回り違わなくても良いんですけど、アラサーくらいになってないと、二十歳の学生をみて「ウブな女子大生」とは言わないような気がするんですよね。
出会ってから結婚生活がまあ数年あったとして、さらにそこからダニーの収監期間(4年)があるわけで。
物語が始まった時点でのテスの年齢は、最低でも20代半ば。ってことは、ダニーも30代の半ばから後半、、、じゃないとおかしいのでは?

でも、ダニーはテスと同世代にしか見えません!!
……あのダニーの外観と実年齢の違いが、彼の詐欺のポイントになっているのかも(わりと真顔)。

この場面、二人の関係や今の気持ちを見せるのにはすごく良くできた場面だと思うんですが、、、歌詞の内容と二人の芝居が今一つあっていないのが気になりました。
小池さん、ちょっと手抜きじゃない?(T T)。


ダニーが去ったあとにテスが歌う歌がとても好きです。

アダムとイヴは、楽園を出た後にどう生きたのか、
憎みあったのか、いたわり合ったのか、愛は深まったのか。

人は知恵を得て、幸せになったのか、不幸になったのか。

……聖書の元々の教えとしては、「不幸になった」……んでしょうけれども。

アダムとイヴは、後悔したまま残りの人生を過ごしたのか、
それとも、与えられた運命の中で、精一杯愛しあったのか。

人は愛を得て、幸せになったのか、不幸になったのか。

幸せになった、と、信じたいから。
蛇に林檎を与えられるまでは、アダムとイヴは「愛」を知らなかったはずだから。



思いのほか長くなりそうなので、いったん切ります。



【7月1日まで、あと175日】

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