若人たちの仕立て職人【2】
2011年12月12日 宝塚(宙)宙組新人公演「クラシコ・イタリアーノ」続き。
今日のニュースで新公映像が流れましたね。
愛ちゃんレニーの冒頭のアドリブ(「写真が一枚しかなくてごめんなさい。うちのフランクってプロデューサーがケチなもんで」)は流れたのに、それを受けたえなちゃんのフランクがカットで残念。
あと、そういえばラストシーンについて書くのを忘れてました。
あっきー(澄輝)のサルヴァトーレは、ミーナのすぐ隣に座ったんですよね!!(*^ ^*)。祐飛さんはわざと隙間をあけて座って、すみ花ちゃんが背中からすり寄ってくるのをニヤニヤしながら待っている(^ ^)んですが、あっきーは最初から優しい笑顔をうかべてゆうりちゃん(伶美)の隣に座ってくれる。でも、目線は合わせない。だから、ゆうりちゃんもちょっと背中を預けた感じになって、お互い相手を見ようとはせずに、遠くに目線をやりつつ、お互いの気配を探ってる……で、幕。
本公演は本公演で、心の距離が近くないとあれはできないし、トップコンビの特権的な演出だと思うんですが(*^ ^*)、新人公演の演出の方が王道だと思うし、すごく優しい空気が流れるのが好きです。あっきーの仁徳かな、と思いました。(←べつに、祐飛さんに仁がないと言いたいわけではありません)
それでは、キャストごとの続き。
クラウディア(五峰亜季)のえりちゃん(藤咲えり)。
もともとえりちゃんが好きすぎるのであまり冷静に観られてないかもですが、、、とにかく良かったです!素晴らしかった(^ ^)。
大人っぽくて、落ち着きがあって、理知的で淑やかで凛として、、、時代に取り残されたデザイナーというより、今でも現役の、切れ者の敏腕プロデューサーみたいな印象がありました。「オートクチュールのデザイナー」と紹介されてますけど、ちゃんと自分のブランドを確立し、貴婦人の道楽ではなく商売として成立させている有能な経営者で、サルヴァトーレと同じ視点で話ができる戦友なんだろうな、と。
ニュースでも、レセプションパーティーでのサルヴァトーレとの会話がちょっとだけ流れましたが、「負けることは許されない」の言い方が凄く好きです。まゆみさんとは全然違うけど、えりちゃんも台詞回しに独特の癖があるんですよね。ちょっと高慢な感じに聴こえる台詞回しを、うまく「貴族的な」喋り方として聴かせていたのがさすがだな、と思います。
大輪の薔薇の花ではないけれども、侯爵夫人としての格にふさわしい気品のある立ち姿は香り高い百合みたいだな、と、贔屓目にもほどがあるよと思いつつ見惚れてました(*^ ^*)。
えりちゃんとあっきーは同期なので、もっと「昔の恋」にフォーカスした芝居になるのかな、と思っていたのですが、逆に、恋愛感情は本公演よりも希薄だったような気がします。
サルヴァトーレが若々しく、クラウディアが理性の勝った「大人の女」という造形だったこともあって、サルヴァトーレに経営のノウハウを教えたのはクラウディアだったのかも?なんて考えました。かつては男と女の関係があったのかもしれないけど、今となってはそれよりも師弟関係の方が濃く残っているような感じ。
だからこそ、二人の絆は強く太いんでしょうね。恋愛という脆い糸ではなく、「生きる意味」を共有している二人だから。ひどく心配げにサルヴァトールを見凝めるクラウディアが、とてもきれいでした。
そして、えりちゃんといえばご挨拶(^ ^)。
長の挨拶も「美しき生涯」大劇場から4回目でしたが、毎回本当に感心します。新公の挨拶なんて、内容的にそんなにヴァリエーションがあるはずもないのに、毎回ちゃんと違うことを言って、なおかつ毎回「すごい!」と思わせる話の組み立て、語彙の豊富さ。本当に頭のいい、デキる人なんでしょうね。感心。
ロレンツォ侯爵(鳳翔大)のまっぷー(松風輝)。
えーっと。まず、衣装は本公演とは違いました……か?(←この役は結構衣装が重要だと思うのに、ちゃんと観とけよ自分)(だっていっつもえりちゃんと一緒……)
本役の大ちゃんは、あまり感情を表に出さずに貴族らしい役づくりなので、感情全開フルスロットルなまっぷーの侯爵に、最初のうちはびっくりしました。でも、すぐに慣れてきて、「サルヴァトーレの目指したものは、こんなものではなかったはずだ」あたりはぐっときましたね。
「おお」と思ったのは、レセプションパーティーの最後、侯爵が別室でのインタビューから戻ってきた場面。
本公演では、ほぼクラウディアとサルヴァトーレの会話が終わりかけたところに戻ってきて、特に動揺を見せずにまっすぐ妻のところに向かい、名前を呼ぶのですが、まっぷーは少し早めのタイミングで出てきて、いったん舞台前面に出て会話が終わるのを待って声をかけていた……と思います。
席が上手側だったのでその時のまっぷーの表情は視えなかったんですが、あの声かけのタイミングにはゾクっとする迫力があって、彼の中に渦巻く感情がすごく見えた気がします。
クラウディアに対する彼の愛はあけっぴろげで、サルヴァトーレに対する応援の気持ちにも嘘がないからこそ、二人の間を結ぶ恋愛感情とは違う絆に嫉妬する自分を表に出したくなくて腹に溜めてしまう。。。そういう、ひどく人間臭い役づくりが、「侯爵」という地位にふさわしいのかどうかに若干の疑問は残しつつ、役づくりとしてはすごく面白かったと思います。
生まれながらの貴族ではないにしても、サルヴァトーレとは違い、ふつうの家で育ったのであろうえりちゃんのクラウディアが、まっぷーのロッシ侯爵と結婚した理由は、本公演ほど打算的なものではなく、「あたしがいないと駄目な人」的な愛情があったのかな、なんてことも思いました。
本公演のクラウディアは、サルヴァトーレと同じような過去があっても驚かないし、大ちゃんと結婚したのも、あくまでも打算的なものに観えるんですよね。台詞も衣装も同じなのに、面白いなあと思います。
……ま、どっちにしても、選ぶのはクラウディアなのは同じですね(^ ^)。
まっぷーといえば、仮面劇の最初の口上役(本役・月映樹茉)もやってましたね。
侯爵がどーしてアルバイトしてんの!?と思いましたが、さすがに達者でした。ほわんと可愛らしくて、そして幸せそうなえなちゃんの口上に比べると、一癖も二癖もあるまっぷーの口上は、あれはあれで客寄せとしては有効かも、と思いました。
そのえなちゃんは、プロデューサーのフランク(春風弥里)。
何を演じても達者な人だなあ(感心)。みーちゃんのフランクのウザさとはまた違う、、、なんというのか、絶妙な「場違い」感がある役づくりで、新人公演と本公演の「アメリカチーム」の空気の違いは、やっぱりプロデューサーで決まるんだな、と思いました。
「Young Power」の話をきいて、(わかっていたけど)あらためて、本当に本当に本当~~~~!!に、お芝居が好きでたまらない人なんだな、と納得。軽やかで頭の回転が早くて、ちゃんと舞台の空気を読んで思った方向に動かしていける人なんですよね。早いものでもう92期も研6。1回くらい二枚目役を観てみたいのですが……(祈)
ちなみに、My Bestえなちゃんは以下のとおり。
[1]「クラシコ・イタリアーノ」ニーノ
[2]「カサブランカ」新公サム
[3]「トラファルガー」新公ジャービス提督。
……ジャービス提督は「二枚目枠」に入るのかな?
ペッピーノ(蓮水ゆうや)のモンチ(星吹彩翔)。
いつ観ても「巧いなー」と感心させられる人ですが、今公演の撮影アシスタントもすごく良いし、ペッピーノも、愛情に溢れていてとても良かったです。可愛い可愛いと思ってましたが、男っぽくなってきましたよね。「ヴァレンチノ」も良かったし、最近ノってるなーと思います。もっともっと格好良くなりそう♪♪ 組替えもあるけど、いろいろ楽しみです。
とにかく「巧い」が先に立ちがちな人ですが、今回は本当に温かみのある役づくりで、マリオともサルヴァトーレとも違う、自分なりの信念を持って生きている様が格好良かったです。
マリオとサルヴァトーレが去ったあとのグランチェッロを支えるのは彼なんだろうな、というか、彼がいるからこそサルヴァトーレもジュリアーノに後事を託して去ることができたんだろうな、と思いました。
あと、りっくん(蒼羽)と兄弟、という設定も個人的にすごくしっくりきました。私にとってこの二人は博多座「大江山」の秋風・春風なので、並んでいるとそれだけで嬉しいんです。
っていうか、そうやって考えるとあの職人メンバーは博多座メンバーですね(←関係ない)
しっかし、小柄なモンチペッピーノに対して、ジーナ(琴羽桜子)が元男役の舞花くるみちゃんというのは………いじめか?
いや、くるみちゃんも可愛かったし、実直で温かくて、ベタ靴で、とても良かったんだけど(^ ^)。
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今日のニュースで新公映像が流れましたね。
愛ちゃんレニーの冒頭のアドリブ(「写真が一枚しかなくてごめんなさい。うちのフランクってプロデューサーがケチなもんで」)は流れたのに、それを受けたえなちゃんのフランクがカットで残念。
あと、そういえばラストシーンについて書くのを忘れてました。
あっきー(澄輝)のサルヴァトーレは、ミーナのすぐ隣に座ったんですよね!!(*^ ^*)。祐飛さんはわざと隙間をあけて座って、すみ花ちゃんが背中からすり寄ってくるのをニヤニヤしながら待っている(^ ^)んですが、あっきーは最初から優しい笑顔をうかべてゆうりちゃん(伶美)の隣に座ってくれる。でも、目線は合わせない。だから、ゆうりちゃんもちょっと背中を預けた感じになって、お互い相手を見ようとはせずに、遠くに目線をやりつつ、お互いの気配を探ってる……で、幕。
本公演は本公演で、心の距離が近くないとあれはできないし、トップコンビの特権的な演出だと思うんですが(*^ ^*)、新人公演の演出の方が王道だと思うし、すごく優しい空気が流れるのが好きです。あっきーの仁徳かな、と思いました。(←べつに、祐飛さんに仁がないと言いたいわけではありません)
それでは、キャストごとの続き。
クラウディア(五峰亜季)のえりちゃん(藤咲えり)。
もともとえりちゃんが好きすぎるのであまり冷静に観られてないかもですが、、、とにかく良かったです!素晴らしかった(^ ^)。
大人っぽくて、落ち着きがあって、理知的で淑やかで凛として、、、時代に取り残されたデザイナーというより、今でも現役の、切れ者の敏腕プロデューサーみたいな印象がありました。「オートクチュールのデザイナー」と紹介されてますけど、ちゃんと自分のブランドを確立し、貴婦人の道楽ではなく商売として成立させている有能な経営者で、サルヴァトーレと同じ視点で話ができる戦友なんだろうな、と。
ニュースでも、レセプションパーティーでのサルヴァトーレとの会話がちょっとだけ流れましたが、「負けることは許されない」の言い方が凄く好きです。まゆみさんとは全然違うけど、えりちゃんも台詞回しに独特の癖があるんですよね。ちょっと高慢な感じに聴こえる台詞回しを、うまく「貴族的な」喋り方として聴かせていたのがさすがだな、と思います。
大輪の薔薇の花ではないけれども、侯爵夫人としての格にふさわしい気品のある立ち姿は香り高い百合みたいだな、と、贔屓目にもほどがあるよと思いつつ見惚れてました(*^ ^*)。
えりちゃんとあっきーは同期なので、もっと「昔の恋」にフォーカスした芝居になるのかな、と思っていたのですが、逆に、恋愛感情は本公演よりも希薄だったような気がします。
サルヴァトーレが若々しく、クラウディアが理性の勝った「大人の女」という造形だったこともあって、サルヴァトーレに経営のノウハウを教えたのはクラウディアだったのかも?なんて考えました。かつては男と女の関係があったのかもしれないけど、今となってはそれよりも師弟関係の方が濃く残っているような感じ。
だからこそ、二人の絆は強く太いんでしょうね。恋愛という脆い糸ではなく、「生きる意味」を共有している二人だから。ひどく心配げにサルヴァトールを見凝めるクラウディアが、とてもきれいでした。
そして、えりちゃんといえばご挨拶(^ ^)。
長の挨拶も「美しき生涯」大劇場から4回目でしたが、毎回本当に感心します。新公の挨拶なんて、内容的にそんなにヴァリエーションがあるはずもないのに、毎回ちゃんと違うことを言って、なおかつ毎回「すごい!」と思わせる話の組み立て、語彙の豊富さ。本当に頭のいい、デキる人なんでしょうね。感心。
ロレンツォ侯爵(鳳翔大)のまっぷー(松風輝)。
えーっと。まず、衣装は本公演とは違いました……か?(←この役は結構衣装が重要だと思うのに、ちゃんと観とけよ自分)(だっていっつもえりちゃんと一緒……)
本役の大ちゃんは、あまり感情を表に出さずに貴族らしい役づくりなので、感情全開フルスロットルなまっぷーの侯爵に、最初のうちはびっくりしました。でも、すぐに慣れてきて、「サルヴァトーレの目指したものは、こんなものではなかったはずだ」あたりはぐっときましたね。
「おお」と思ったのは、レセプションパーティーの最後、侯爵が別室でのインタビューから戻ってきた場面。
本公演では、ほぼクラウディアとサルヴァトーレの会話が終わりかけたところに戻ってきて、特に動揺を見せずにまっすぐ妻のところに向かい、名前を呼ぶのですが、まっぷーは少し早めのタイミングで出てきて、いったん舞台前面に出て会話が終わるのを待って声をかけていた……と思います。
席が上手側だったのでその時のまっぷーの表情は視えなかったんですが、あの声かけのタイミングにはゾクっとする迫力があって、彼の中に渦巻く感情がすごく見えた気がします。
クラウディアに対する彼の愛はあけっぴろげで、サルヴァトーレに対する応援の気持ちにも嘘がないからこそ、二人の間を結ぶ恋愛感情とは違う絆に嫉妬する自分を表に出したくなくて腹に溜めてしまう。。。そういう、ひどく人間臭い役づくりが、「侯爵」という地位にふさわしいのかどうかに若干の疑問は残しつつ、役づくりとしてはすごく面白かったと思います。
生まれながらの貴族ではないにしても、サルヴァトーレとは違い、ふつうの家で育ったのであろうえりちゃんのクラウディアが、まっぷーのロッシ侯爵と結婚した理由は、本公演ほど打算的なものではなく、「あたしがいないと駄目な人」的な愛情があったのかな、なんてことも思いました。
本公演のクラウディアは、サルヴァトーレと同じような過去があっても驚かないし、大ちゃんと結婚したのも、あくまでも打算的なものに観えるんですよね。台詞も衣装も同じなのに、面白いなあと思います。
……ま、どっちにしても、選ぶのはクラウディアなのは同じですね(^ ^)。
まっぷーといえば、仮面劇の最初の口上役(本役・月映樹茉)もやってましたね。
侯爵がどーしてアルバイトしてんの!?と思いましたが、さすがに達者でした。ほわんと可愛らしくて、そして幸せそうなえなちゃんの口上に比べると、一癖も二癖もあるまっぷーの口上は、あれはあれで客寄せとしては有効かも、と思いました。
そのえなちゃんは、プロデューサーのフランク(春風弥里)。
何を演じても達者な人だなあ(感心)。みーちゃんのフランクのウザさとはまた違う、、、なんというのか、絶妙な「場違い」感がある役づくりで、新人公演と本公演の「アメリカチーム」の空気の違いは、やっぱりプロデューサーで決まるんだな、と思いました。
「Young Power」の話をきいて、(わかっていたけど)あらためて、本当に本当に本当~~~~!!に、お芝居が好きでたまらない人なんだな、と納得。軽やかで頭の回転が早くて、ちゃんと舞台の空気を読んで思った方向に動かしていける人なんですよね。早いものでもう92期も研6。1回くらい二枚目役を観てみたいのですが……(祈)
ちなみに、My Bestえなちゃんは以下のとおり。
[1]「クラシコ・イタリアーノ」ニーノ
[2]「カサブランカ」新公サム
[3]「トラファルガー」新公ジャービス提督。
……ジャービス提督は「二枚目枠」に入るのかな?
ペッピーノ(蓮水ゆうや)のモンチ(星吹彩翔)。
いつ観ても「巧いなー」と感心させられる人ですが、今公演の撮影アシスタントもすごく良いし、ペッピーノも、愛情に溢れていてとても良かったです。可愛い可愛いと思ってましたが、男っぽくなってきましたよね。「ヴァレンチノ」も良かったし、最近ノってるなーと思います。もっともっと格好良くなりそう♪♪ 組替えもあるけど、いろいろ楽しみです。
とにかく「巧い」が先に立ちがちな人ですが、今回は本当に温かみのある役づくりで、マリオともサルヴァトーレとも違う、自分なりの信念を持って生きている様が格好良かったです。
マリオとサルヴァトーレが去ったあとのグランチェッロを支えるのは彼なんだろうな、というか、彼がいるからこそサルヴァトーレもジュリアーノに後事を託して去ることができたんだろうな、と思いました。
あと、りっくん(蒼羽)と兄弟、という設定も個人的にすごくしっくりきました。私にとってこの二人は博多座「大江山」の秋風・春風なので、並んでいるとそれだけで嬉しいんです。
っていうか、そうやって考えるとあの職人メンバーは博多座メンバーですね(←関係ない)
しっかし、小柄なモンチペッピーノに対して、ジーナ(琴羽桜子)が元男役の舞花くるみちゃんというのは………いじめか?
いや、くるみちゃんも可愛かったし、実直で温かくて、ベタ靴で、とても良かったんだけど(^ ^)。
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