劇団四季 自由劇場にて、ブロードウェイミュージカル「コーラスライン」を観劇してまいりました。
あまりに有名なスタンダードミュージカルですが、私が観たのは映画を1回と、舞台は3回目かな。たぶん。とりあえず、印象深いのは味方隆司さんのポールと前田美波里さんのシーラ、飯野おさみさんのザック、青山弥生さんのコニー、坂本里咲さんのディアナ……くらいかな。どんな組み合わせだったのかはあまりよく覚えていませんが。
原案・振付・演出は、マイケル・ベネット。
ベネット自身を投影したであろうザック役の発する「踊れなくなったらどうする?」という問いかけが、「加藤敬二」の口から出ると衝撃的に重たく聴こえました。
コーラスラインに並ぶために、男性4人女性4人のコーラスを探すオーディションに参加する24人。
一次で7人が落ち、19人が残る。
その中で、誰が残るのか。
「♪この仕事がどうか取れますように」
「♪かみさま、お願い…」
繰り返される祈りのような歌に満たされた舞台で、オーディションのラインに並ぶ、19人。
「君たちは何者だ?」
そう問いかける、演出家(ザック)の声。
舞台の上と下。選ぶものと選ばれるもの。
そして、コーラスラインの前と後ろ。
人と人との間には境界線があって、決して混ざり合うことはない。
それでも、ときおりその「ライン」を超える人がいる。超えるために全てを捧げて、そのうえで更に「運」という名の魔法を得た、ごく一握りの人たちだけが。
すみからすみまで面白い作品なのですが、今回非常に印象に残ったのは、今まで「退屈なエピソード」だと思っていたザック(加藤敬二)とキャシー(坂田加奈子)のやり取りでした。
私が一番四季に嵌っていた時代(世紀末)に、彗星のように現れてすべてのダンスシーンを塗り替えた加奈子ちゃん。シャープでカッコいいダンスが大好きで、彼女のパガニーニを観るために通ったものです。
そんな彼女を抜擢し、まさに「スター」に仕立て上げた加藤さんが、ザックとして「コーラスライン」からはみ出そうとする彼女を叱る。
「キャシー、腰を振るな」「キャシー、腕をまっすぐ」「キャシー、勝手に踊るな!!」
なのに、いざ彼女が回りにあわせてきちんと踊り始めると、ラインから引っ張り出して、辞めるように懇願する。
「どうして?私、ちゃんとやっているじゃないの。みんなに合わせて、みんなを感じて踊っているわ」
それこそが耐えられないんだ、僕には。
彼女の才能を見出し、抜擢し、その才能を愛した男が嘆く。
彼女をラインに戻らせたザックの苦しげな後ろ姿。
選ぶことも、決めることもできなくなって、自分の立っている場所さえ覚束なくなった彼は、ひたすらダンサーたちを踊らせる。
時間を稼ぐために。
自分の人生を見直す時間を、つくるために。
疲れてくれば、事故は起きる。
オーディション中のポールの怪我。古傷を痛めたポールを病院へ送りだしたザックが、若いダンサーたちに問いかける。
「踊れなくなったら、どうする?」
「ダンサーだもの。いつか必ず限界は来るわ」
落ち着いた声でシーラが呟く。
「だから私、準備してる。スタジオを経営するの。それがいいことなのか、悪いことなのか、、、私にはわからない」
「自分のやりたいことを誰かに教えて過ごすなんてまっぴらよ!!」
そう叫んだキャシーにも、自分の衰えは本当は判っていたはず。
名曲「愛した日々に悔いはない」と歌いあげるディアナの、澄みきった若さと輝き。
映画ではキャシーが歌った名曲ですが、やはりここは過去をもたないまっさらなダンサーが歌うことに意味があるんだな、と納得しました。
キャシーには、あそこで「悔やまない」とは言えないと思う。だって彼女は、そんな言葉を吐くには大人になりすぎてしまったから。
実際に踊れなくなった時に、真実をこめて「悔やまないわ」と言えるのは彼女だと思うけれども。
以前観た時は、キャシーは最初から覚悟していたように見えたんですよね。
ザックにいろいろ言われても、言葉のキャッチボールがされているようには見えなくて。
でも、加藤さんと加奈子ちゃんは、本当に会話をしているように見えました。ザックに何かを言われて、何かを答えるたびに、キャシーの覚悟は定まり、肝が据わっていく。最初は優位に立って話を進めていたザックを、覚悟を決めたキャシーが次第に凌駕していく。超えられなかった壁(ザック)を、乗り越える。
実際の役づくりはどうだかわかりませんが、私には、オーディションの最初に「ザック、二人で話したいんだけど」と言う加奈子キャシーは「お願いだから合格させて頂戴」っておねだりお願いするつもりなんじゃないかな、と思ったんですよね。でも、若い人たちの話を聞いて、いろいろ思いだして……「Music&Mirror」前の会話では、そんな気持ちはなくなっていた。そして、ザックといろいろ話すうちに、心の中が整理されていく。覚悟はできてる。そうよ、私はこのコーラスラインで踊りたい。ラインの前で演技をしたいんじゃないの。踊りたいの。
加奈子ちゃんの歌なんて初めて聴いた気がしますが、素晴らしかったです。吃驚しました。いや勿論、歌手として巧いわけではないのですが(^ ^;ゞ、前回観たキャシーが林下さんで、ダンスは素晴らしいけど歌はボロクソという感じだったので、余計に(感涙)「Music&Mirror」ってホントに良い曲ですよねえ(*^ ^*)。
歌の後のダンスシークエンス、凄かったけど前とは振付同じなのでしょうか。最後の盛り上がりの音楽にあわせて舞台をジュテで一周していたような記憶があるのですが、加奈子ちゃんはしなかったので。いやでも、ベネットの振付をそのままやってるはずだよね……?あれは「コーラスライン」じゃなくて、「ソング&ダンス」か何かであの曲を使った時の記憶なのかなあ?
あとは、キャスト別に簡単に。
◆ザック 加藤敬二
上で書きましたが、今の四季で一番ザックにふさわしいのは、文句なく加藤さんでしょうね。ダンサーで振付家で演出もしてて。決して芝居の人ではありませんが、ザックは嵌り役だと思いました。
ダンスはさすが!!です。やっぱり加藤さんが踊ると「粋」なんですよね。素敵でした(*^ ^*)。
◆キャシー 坂田加奈子
こちらも上で書きましたが、嵌り役でした。「踊るチャンス頂戴!」と歌いあげるキャシーに思いっきり持っていかれました。素晴らしかった、ブラボー!!
◆シーラ 団こと葉
実は、この作品で一番好きなキャラはシーラなんですよ、私。「男の子4人、女の子4人」って言われて、「あら、じゃあオンナは要らないの?」と腰を振りながら言うところとか。ボビーとのさりげない交流とか、最後に「踊れなくなったらどうする?」と問われた時の答えとか。
団さんのシーラは初めてみましたが、なかなか婀娜っぽさがあって良かったと思います。ちゃんと「人生」を生きてきた人だなあと思えるところとか。
美人じゃないのが惜しいけど、なんかぐっとくる人でした。
◆ボビー 丹下博喜
コメディタッチな長広舌に混ざる毒が痛々しくて、とても良かったと思います。傷ついた者同士、シーラと惹かれあうのがとても自然で、優しくて、大人で。
元々いい役なんですけど、丹下さんの芝居もとても良かったと思います。
◆グレッグ 道口瑞之
この人目当てで観にいったのですが、グレッグがどの役だか全然判ってなくて(名前で判るのはザック、キャシー、ラリー、ポール、シーラ、ディアナ、ヴァル、コニーだけなんです)道口くんの顔を観て驚愕しました。髭!!(@ @)。初めて……ではないかもしれないけど、新鮮だったわー。
いやあ、グレッグってあの役なんですねえ。実はボビーかアルの役どころだと勘違いしていたので、微妙に残念だったりはしたんですが、でも良かったです(*^ ^*)。「ゲイだってことは……」と逡巡して、言葉を探す表情にぐっときました。いろいろ抽斗の広い人だなあ(←惚れた欲目)
「コーラスライン」が終わったら、次は何に出るんだろう。次はたくさん歌ってくれる役だといいなあ……。
◆ポール 竹内一樹
その昔観た(←何年前だよ)味方さんのポールがすごく好きだったのですが、割と似た雰囲気があってよかったと思います。周囲から一歩離れた感じとか。彼らが語る「エピソード」の中では、彼のが一番切ないんですよね。もちろん「アット・ザ・バレエ」の3人の少女時代も悲しいんだけど、ポールのは「切なくて痛い」の。
その痛みを受け取って、そっと畳みなおすザックが、優しいと同時に、ひどく痛々しい、傷ついた子供に見える。愛する少女(キャシー)に裏切られた、一人の少年に。
◆ディアナ 鳥原如未
「美女と野獣」のベルで評判をとった宝塚OG(七星きら)。残念ながらベルはキャストが変わってしまって観ることができませんでしたが、ディアナはとても良かったです。「愛した日々に悔いはない」はちょっと声が細いかなと思ったけど、コーラスが入れば問題ないレベルだし。
プエルトリコ系のお化粧のせいか、いわゆる「美人」とい感じではありませんでしたが、表情豊かで生き生きしていて、とても素敵でした。人生を懸けて舞台に立つ彼女が「♪悔やまない」と歌うことで、どれだけの人が勇気付けられるか、鳥原さんにはわかっていたんだな、と思う。
次の役も、楽しみにしています!
◆ヴァル 鳥海郁衣
「ダンス10、ルックス3」は歌もダンスも弾け方も、とても良かったです。ただ、残念ながらそんなにメリハリのあるスタイルではないので、そこはもっと入れるモノ入れて、形から説得力を……と思ってしまったのはビジュアル優先の宝塚ファンだからでしょうか。
まあ実際、シーラの方が形も綺麗で大きいとか、ちょっと役づくりとしてどうかと思うわー。(その話題で終わりかよ)
◆マギー 松元恵美
◆ビビ 出口恵理
シーラ、マギー、ビビ。家庭に恵まれず、バレエに救いを求めた寂しい少女時代。「アット・ザ・バレエ」の三人娘ですが、三人とも良かったと思います。
マギーはすごく可愛い!声もきれいなソプラノで、それこそ「Evita」のミストレスとか似合いそうな感じ。作品の後半で転んじゃったり、声がひっくり返ったところがあって驚いたけど、大丈夫だったのかな。
ビビも良かったです。母親に「美人じゃない」と言われたことがトラウマになったビビ。いや、確かにちょっとファニーフェースだけど、可愛いよ?と思いました……あはは。
◆アル 川口雄二
◆クリスティン 染谷早紀
以前観た時はすっごいラブラブで当てられっぱなし、って印象があったんですが、気のせいだったのかな?と思うほど、メインのナンバー(クリスティンの)以外は普通でしたね。
クリスティンは音痴っぷりも上手だったし、可愛かったです。もうちょっとスタイルがよければなー。
アルは、クリスティンの歌への合の手がちょっと弱いのが気になりました。そこはもっと、アルが引っ張るくらいの方がいいのに!!
◆ラリー 影山徹
ザックの助手。台詞は相当に無理がありましたが、ダンスは良かったです。ザックに「彼のダンスは私の理想に近い。極めて30年代的なスタイル」と言われるほどのものがあったのかはよくわかりませんが……。
◆コニー 桜野あら
青山さんは偉大だったなあ……と思いましたけど、桜野さんも決して悪くはなかったです。青山さんほどの完璧な子供体型で、かつ歌えるひとはなかなかいないので、しかたないかな、と。
本来のナンバーよりも、ヴァルに「あたしもそれ(胸)、欲しいわ!」と言うところとか、そういうちょっとした台詞が若干気になりましたが、まあでも、許容範囲だったと思います。
◆ジュディ 坂本すみれ
可愛くて華やかでスタイル抜群で、とっても素晴らしかったんですが……「コーラスライン」は芝居がメインなので、あの台詞回しではメインキャストに入れるのは無理なのでは、と思いました。
ダンスは良いんだけどな。「クレイジー・フォー・ユー」のアンサンブルならぴったりなのに(; ;)。
あと、オーディション中の立ち姿がずっとO脚でダンサーに見えないのは、ああいう役なんでしたっけ……?最後の「愛した日々に悔いはないを歌うあたりでは綺麗に立っていたので、役づくりであえてやっていたのか、歌う時だけ気合が入るからまっすぐ立てるのか……どちらかだと思うんですが。いやでも、ジュディってダンサーの役だし、役づくりであの立ち方って考えにくいんだけどなあ。
他のメンバーも皆良かったけど、残念ながら誰がだれやらわからないので、すみません。
でも、若干あり得ない体型の方が混ざってたりしましたが……大丈夫なのか、四季。
それにしても、この作品で加藤さんが出てて、土日なのに自由が埋まらないなんて(@ @)。
昔は、前売りはあいてても「加藤さんが出る」となれば当日券で全部はけてたのになあ……。
あ。ちなみに、自由劇場の2階A席は、普通に観やすくて良かったです。
秋劇場の2階席が、客をなめているとしか思えない見切れの嵐&音響最悪なのに比べれば、天国のようなA席でした(^ ^)。ザックの大ファン以外の方なら、十分満足できると思います♪
開幕当初のキャストはあまり良くなかったようですが、今のキャストは価格相応のレベルには達していたと思います。またすぐ変ってしまいかねないから、観劇するなら今がチャンス!かも(^ ^)(責任は取れませんが!)。
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あまりに有名なスタンダードミュージカルですが、私が観たのは映画を1回と、舞台は3回目かな。たぶん。とりあえず、印象深いのは味方隆司さんのポールと前田美波里さんのシーラ、飯野おさみさんのザック、青山弥生さんのコニー、坂本里咲さんのディアナ……くらいかな。どんな組み合わせだったのかはあまりよく覚えていませんが。
原案・振付・演出は、マイケル・ベネット。
ベネット自身を投影したであろうザック役の発する「踊れなくなったらどうする?」という問いかけが、「加藤敬二」の口から出ると衝撃的に重たく聴こえました。
コーラスラインに並ぶために、男性4人女性4人のコーラスを探すオーディションに参加する24人。
一次で7人が落ち、19人が残る。
その中で、誰が残るのか。
「♪この仕事がどうか取れますように」
「♪かみさま、お願い…」
繰り返される祈りのような歌に満たされた舞台で、オーディションのラインに並ぶ、19人。
「君たちは何者だ?」
そう問いかける、演出家(ザック)の声。
舞台の上と下。選ぶものと選ばれるもの。
そして、コーラスラインの前と後ろ。
人と人との間には境界線があって、決して混ざり合うことはない。
それでも、ときおりその「ライン」を超える人がいる。超えるために全てを捧げて、そのうえで更に「運」という名の魔法を得た、ごく一握りの人たちだけが。
すみからすみまで面白い作品なのですが、今回非常に印象に残ったのは、今まで「退屈なエピソード」だと思っていたザック(加藤敬二)とキャシー(坂田加奈子)のやり取りでした。
私が一番四季に嵌っていた時代(世紀末)に、彗星のように現れてすべてのダンスシーンを塗り替えた加奈子ちゃん。シャープでカッコいいダンスが大好きで、彼女のパガニーニを観るために通ったものです。
そんな彼女を抜擢し、まさに「スター」に仕立て上げた加藤さんが、ザックとして「コーラスライン」からはみ出そうとする彼女を叱る。
「キャシー、腰を振るな」「キャシー、腕をまっすぐ」「キャシー、勝手に踊るな!!」
なのに、いざ彼女が回りにあわせてきちんと踊り始めると、ラインから引っ張り出して、辞めるように懇願する。
「どうして?私、ちゃんとやっているじゃないの。みんなに合わせて、みんなを感じて踊っているわ」
それこそが耐えられないんだ、僕には。
彼女の才能を見出し、抜擢し、その才能を愛した男が嘆く。
彼女をラインに戻らせたザックの苦しげな後ろ姿。
選ぶことも、決めることもできなくなって、自分の立っている場所さえ覚束なくなった彼は、ひたすらダンサーたちを踊らせる。
時間を稼ぐために。
自分の人生を見直す時間を、つくるために。
疲れてくれば、事故は起きる。
オーディション中のポールの怪我。古傷を痛めたポールを病院へ送りだしたザックが、若いダンサーたちに問いかける。
「踊れなくなったら、どうする?」
「ダンサーだもの。いつか必ず限界は来るわ」
落ち着いた声でシーラが呟く。
「だから私、準備してる。スタジオを経営するの。それがいいことなのか、悪いことなのか、、、私にはわからない」
「自分のやりたいことを誰かに教えて過ごすなんてまっぴらよ!!」
そう叫んだキャシーにも、自分の衰えは本当は判っていたはず。
名曲「愛した日々に悔いはない」と歌いあげるディアナの、澄みきった若さと輝き。
映画ではキャシーが歌った名曲ですが、やはりここは過去をもたないまっさらなダンサーが歌うことに意味があるんだな、と納得しました。
キャシーには、あそこで「悔やまない」とは言えないと思う。だって彼女は、そんな言葉を吐くには大人になりすぎてしまったから。
実際に踊れなくなった時に、真実をこめて「悔やまないわ」と言えるのは彼女だと思うけれども。
以前観た時は、キャシーは最初から覚悟していたように見えたんですよね。
ザックにいろいろ言われても、言葉のキャッチボールがされているようには見えなくて。
でも、加藤さんと加奈子ちゃんは、本当に会話をしているように見えました。ザックに何かを言われて、何かを答えるたびに、キャシーの覚悟は定まり、肝が据わっていく。最初は優位に立って話を進めていたザックを、覚悟を決めたキャシーが次第に凌駕していく。超えられなかった壁(ザック)を、乗り越える。
実際の役づくりはどうだかわかりませんが、私には、オーディションの最初に「ザック、二人で話したいんだけど」と言う加奈子キャシーは「お願いだから合格させて頂戴」っておねだりお願いするつもりなんじゃないかな、と思ったんですよね。でも、若い人たちの話を聞いて、いろいろ思いだして……「Music&Mirror」前の会話では、そんな気持ちはなくなっていた。そして、ザックといろいろ話すうちに、心の中が整理されていく。覚悟はできてる。そうよ、私はこのコーラスラインで踊りたい。ラインの前で演技をしたいんじゃないの。踊りたいの。
加奈子ちゃんの歌なんて初めて聴いた気がしますが、素晴らしかったです。吃驚しました。いや勿論、歌手として巧いわけではないのですが(^ ^;ゞ、前回観たキャシーが林下さんで、ダンスは素晴らしいけど歌はボロクソという感じだったので、余計に(感涙)「Music&Mirror」ってホントに良い曲ですよねえ(*^ ^*)。
歌の後のダンスシークエンス、凄かったけど前とは振付同じなのでしょうか。最後の盛り上がりの音楽にあわせて舞台をジュテで一周していたような記憶があるのですが、加奈子ちゃんはしなかったので。いやでも、ベネットの振付をそのままやってるはずだよね……?あれは「コーラスライン」じゃなくて、「ソング&ダンス」か何かであの曲を使った時の記憶なのかなあ?
あとは、キャスト別に簡単に。
◆ザック 加藤敬二
上で書きましたが、今の四季で一番ザックにふさわしいのは、文句なく加藤さんでしょうね。ダンサーで振付家で演出もしてて。決して芝居の人ではありませんが、ザックは嵌り役だと思いました。
ダンスはさすが!!です。やっぱり加藤さんが踊ると「粋」なんですよね。素敵でした(*^ ^*)。
◆キャシー 坂田加奈子
こちらも上で書きましたが、嵌り役でした。「踊るチャンス頂戴!」と歌いあげるキャシーに思いっきり持っていかれました。素晴らしかった、ブラボー!!
◆シーラ 団こと葉
実は、この作品で一番好きなキャラはシーラなんですよ、私。「男の子4人、女の子4人」って言われて、「あら、じゃあオンナは要らないの?」と腰を振りながら言うところとか。ボビーとのさりげない交流とか、最後に「踊れなくなったらどうする?」と問われた時の答えとか。
団さんのシーラは初めてみましたが、なかなか婀娜っぽさがあって良かったと思います。ちゃんと「人生」を生きてきた人だなあと思えるところとか。
美人じゃないのが惜しいけど、なんかぐっとくる人でした。
◆ボビー 丹下博喜
コメディタッチな長広舌に混ざる毒が痛々しくて、とても良かったと思います。傷ついた者同士、シーラと惹かれあうのがとても自然で、優しくて、大人で。
元々いい役なんですけど、丹下さんの芝居もとても良かったと思います。
◆グレッグ 道口瑞之
この人目当てで観にいったのですが、グレッグがどの役だか全然判ってなくて(名前で判るのはザック、キャシー、ラリー、ポール、シーラ、ディアナ、ヴァル、コニーだけなんです)道口くんの顔を観て驚愕しました。髭!!(@ @)。初めて……ではないかもしれないけど、新鮮だったわー。
いやあ、グレッグってあの役なんですねえ。実はボビーかアルの役どころだと勘違いしていたので、微妙に残念だったりはしたんですが、でも良かったです(*^ ^*)。「ゲイだってことは……」と逡巡して、言葉を探す表情にぐっときました。いろいろ抽斗の広い人だなあ(←惚れた欲目)
「コーラスライン」が終わったら、次は何に出るんだろう。次はたくさん歌ってくれる役だといいなあ……。
◆ポール 竹内一樹
その昔観た(←何年前だよ)味方さんのポールがすごく好きだったのですが、割と似た雰囲気があってよかったと思います。周囲から一歩離れた感じとか。彼らが語る「エピソード」の中では、彼のが一番切ないんですよね。もちろん「アット・ザ・バレエ」の3人の少女時代も悲しいんだけど、ポールのは「切なくて痛い」の。
その痛みを受け取って、そっと畳みなおすザックが、優しいと同時に、ひどく痛々しい、傷ついた子供に見える。愛する少女(キャシー)に裏切られた、一人の少年に。
◆ディアナ 鳥原如未
「美女と野獣」のベルで評判をとった宝塚OG(七星きら)。残念ながらベルはキャストが変わってしまって観ることができませんでしたが、ディアナはとても良かったです。「愛した日々に悔いはない」はちょっと声が細いかなと思ったけど、コーラスが入れば問題ないレベルだし。
プエルトリコ系のお化粧のせいか、いわゆる「美人」とい感じではありませんでしたが、表情豊かで生き生きしていて、とても素敵でした。人生を懸けて舞台に立つ彼女が「♪悔やまない」と歌うことで、どれだけの人が勇気付けられるか、鳥原さんにはわかっていたんだな、と思う。
次の役も、楽しみにしています!
◆ヴァル 鳥海郁衣
「ダンス10、ルックス3」は歌もダンスも弾け方も、とても良かったです。ただ、残念ながらそんなにメリハリのあるスタイルではないので、そこはもっと入れるモノ入れて、形から説得力を……と思ってしまったのはビジュアル優先の宝塚ファンだからでしょうか。
まあ実際、シーラの方が形も綺麗で大きいとか、ちょっと役づくりとしてどうかと思うわー。(その話題で終わりかよ)
◆マギー 松元恵美
◆ビビ 出口恵理
シーラ、マギー、ビビ。家庭に恵まれず、バレエに救いを求めた寂しい少女時代。「アット・ザ・バレエ」の三人娘ですが、三人とも良かったと思います。
マギーはすごく可愛い!声もきれいなソプラノで、それこそ「Evita」のミストレスとか似合いそうな感じ。作品の後半で転んじゃったり、声がひっくり返ったところがあって驚いたけど、大丈夫だったのかな。
ビビも良かったです。母親に「美人じゃない」と言われたことがトラウマになったビビ。いや、確かにちょっとファニーフェースだけど、可愛いよ?と思いました……あはは。
◆アル 川口雄二
◆クリスティン 染谷早紀
以前観た時はすっごいラブラブで当てられっぱなし、って印象があったんですが、気のせいだったのかな?と思うほど、メインのナンバー(クリスティンの)以外は普通でしたね。
クリスティンは音痴っぷりも上手だったし、可愛かったです。もうちょっとスタイルがよければなー。
アルは、クリスティンの歌への合の手がちょっと弱いのが気になりました。そこはもっと、アルが引っ張るくらいの方がいいのに!!
◆ラリー 影山徹
ザックの助手。台詞は相当に無理がありましたが、ダンスは良かったです。ザックに「彼のダンスは私の理想に近い。極めて30年代的なスタイル」と言われるほどのものがあったのかはよくわかりませんが……。
◆コニー 桜野あら
青山さんは偉大だったなあ……と思いましたけど、桜野さんも決して悪くはなかったです。青山さんほどの完璧な子供体型で、かつ歌えるひとはなかなかいないので、しかたないかな、と。
本来のナンバーよりも、ヴァルに「あたしもそれ(胸)、欲しいわ!」と言うところとか、そういうちょっとした台詞が若干気になりましたが、まあでも、許容範囲だったと思います。
◆ジュディ 坂本すみれ
可愛くて華やかでスタイル抜群で、とっても素晴らしかったんですが……「コーラスライン」は芝居がメインなので、あの台詞回しではメインキャストに入れるのは無理なのでは、と思いました。
ダンスは良いんだけどな。「クレイジー・フォー・ユー」のアンサンブルならぴったりなのに(; ;)。
あと、オーディション中の立ち姿がずっとO脚でダンサーに見えないのは、ああいう役なんでしたっけ……?最後の「愛した日々に悔いはないを歌うあたりでは綺麗に立っていたので、役づくりであえてやっていたのか、歌う時だけ気合が入るからまっすぐ立てるのか……どちらかだと思うんですが。いやでも、ジュディってダンサーの役だし、役づくりであの立ち方って考えにくいんだけどなあ。
他のメンバーも皆良かったけど、残念ながら誰がだれやらわからないので、すみません。
でも、若干あり得ない体型の方が混ざってたりしましたが……大丈夫なのか、四季。
それにしても、この作品で加藤さんが出てて、土日なのに自由が埋まらないなんて(@ @)。
昔は、前売りはあいてても「加藤さんが出る」となれば当日券で全部はけてたのになあ……。
あ。ちなみに、自由劇場の2階A席は、普通に観やすくて良かったです。
秋劇場の2階席が、客をなめているとしか思えない見切れの嵐&音響最悪なのに比べれば、天国のようなA席でした(^ ^)。ザックの大ファン以外の方なら、十分満足できると思います♪
開幕当初のキャストはあまり良くなかったようですが、今のキャストは価格相応のレベルには達していたと思います。またすぐ変ってしまいかねないから、観劇するなら今がチャンス!かも(^ ^)(責任は取れませんが!)。
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