「スリル・ミー」と「三銃士」
2011年10月14日 ミュージカル・舞台2011年夏に観た作品で、まだここに書いていないものについて、簡単にコメントさせていただきます。
■アトリエフォンテーヌ「スリル・ミー」
1924年のアメリカで実際に起きた、犯罪史上に残る誘拐殺人事件を題材にしたミュージカル。
「エリート」として生きてきた二人の青年が、なぜ凶悪な犯罪に手を染めたのか……それを、牢獄での「私」の告白、という形式で描きだす緻密な心理劇で、非常に興味深い作品でした。
予定がなかなか決まらなかったので当日券に並んだのですが、わずか数枚のチケットに毎回何十人と並んでいて、びっくり(@ @)。平日の夜公演は開演時間が遅かった(20時開演)ので会社帰りに行きやすく、何度かトライできたのは幸運でした(^ ^)。
原作・音楽・脚本はSTEPHEN・DOLGINOFF。2005年にオフ・ブロードウェイで初演、今回の上演の翻訳・訳詞は松田直行、演出はベテラン・栗山民也。
「私」の視点で物語がすすむ、完全な二人芝居。キャストは2パターンあって、私が観たのは田代万里生(私)&新納慎也(彼)バージョンでした。ちなみに、もう一組は松下洸平(私)&柿澤勇人(彼)。
脚本は、言葉を削ぎ落して余計な説明をしていないのでとてもシンプル。その分わかりにくいというか、芝居で表現する部分が大きいので、集中していないと「私」と「彼」の台詞の中に潜む悪意や嘘をスルーしてしまいそうな危うさがあって。で、そういうのをちゃんと拾うのが面白い、みたいなつくりの作品でした。
最後に特別などんでん返しがあるわけでもないのに何度も観たくなるのは、あの吊り橋を歩いているかのような、足許の定まらない二人の青年(とくに「私」)の心理にどっぷりつ浸かって、その異常な心理を疑似体験するのが面白いからなんだろうな、と思います。
逆にいえば、あのくらい小さな、舞台と客席が近い緊密な空間でないと上演が難しい作品だな、……と。
田代くんを観たのは「マルグリット」初演以来。彼の初舞台でまるっきり「芝居」のなんたるかが判っていないな、という感じで、あまり良い印象は無かったのですが……今回は良かったです!非常に複雑な、繊細なキャラクターを丁寧に演じていて、あのラストにもとても説得力がありました。
「ピアフ」に「ボニー&クライド」とこれから猫が観るつもりでいる作品に出演されている彼。正直、期待半分、不安半分…という感じだったのですが、今回の「私」役で振り子は大きく「期待」側に傾いてくれました(^ ^)。とっても楽しみ♪
NIROくんは久々の「怖い」役。いやーステキでした!尊大でいじわるでドSなのに、実は気が小さい卑怯者!!いやん、小者っぷりが素敵すぎる(*^ ^*)。
まるでNIROくんのために書かれた役のように見える……というか、何を演じても「宛書き」に見える、というのは彼の能力(魅力)の一つだと思うのですが、、、いや本当に凄かったです。
音楽も良かった!
田代くんとNIROくん、声楽家としてのキャリアが全然違うお二人ですが、思いのほか声質も合っていて、デュエットのハーモニーがとてもきれいでした。ソロはもちろん素晴らしかった!
まざまな効果音をまじえつつ、音楽というか芝居をピアノがコントロールしている、という印象でした。小道具もあまりなく、虚仮威しのセットもない、シンプルな舞台。そんな中で、『一台のピアノ』というモノの表現力に感心しました。
ちょっと体調を崩していたため、あの重たい物語を完全に受け止められたかどうかあまり自信がないのですが、、、3月に同じキャストで再演されるそうなので、今度はちゃとチケットを取って行きたいと思っています(^ ^)。
■帝国劇場「三銃士」
2003年にロッテルダムで初演されたオランダミュージカル。オランダのミュージカルといえば「シラノ・ザ・ミュージカル」もあったなあ。
作詞作曲はロブ&フェルディ・ボーランド。脚本はアンドレ・ブリードランド、日本版の演出は山田和也。
あらすじは「三銃士」の王道どおり。
17世紀のフランス。銃士隊に入ることを夢見る若者ダルタニアンが、パリの街角で美しい少女コンスタンスとすれ違い、さらに、アトス・アラミス・ポルトスという3人の銃士に出会い、意気投合する。
その頃、王宮ではリシュリュー枢機卿が王と王妃を操り、権力を独り占めしようとしていた。
王妃とイギリス貴族バッキンガム公爵の秘密の恋を嗅ぎつけた彼は、イギリスとフランスの戦争の危機を王妃に吹き込み、バッキンガム公にイギリス王(チャールズ一世)との仲介を依頼するよう焚きつける。交渉の証に、夫の国王から送られた首飾りを渡す王妃。
しかしリシュリューは、王妃を追い詰めようと、次の舞踏会で首飾りをつけた王妃にお会いしたいと王を唆す。
絶対絶命の王妃を救うため、ダルタニアンに泣きつく侍女コンスタンス。恋人(?)のたえ、三銃士と共にバッキンガム公を追ってロンドンへ旅立つダルタニアン。リシュリューの命で彼らを追うロシュフォール。
舞踏会が始まるまでに、首飾りは無事王妃の手元に戻るのか……?
ちなみに、当時のフランス国王はルイ13世。「ナントの勅令」で有名な大アンリ(アンリ4世)とその王妃マリア・ディ・メディチの間に生まれた嫡男で、父王の暗殺により8歳で即位。
スペイン王フェリペ3世の娘アンナ(アンヌ・ドートリッシュ)を王妃に迎え、リシュリュー枢機卿の協力を得て大フランスの舵をとろうと努力する、生真面目であまり融通のきかない青年……だったようですね。事件の頃は20代前半。ちなみにルイ13世と王妃アンヌは1601年9月生まれの同い年。日本でいえば徳川家光と同世代の人です。
そんな時代の空気を感じさせつつ、「人間」をしっかり描いた冒険活劇でした。ラストはちょっと唐突だったけど、、、まあ「三銃士」ってああいうものかな、という気もする。
音楽は、耳に残るメロディはあまりなかったのですが、聴いていて心地いい曲がたくさんあって楽しかったです♪
それでは、キャストごとに簡単に。
■ダルタニアン 井上芳雄
「元気いっぱいの夢見る若者」。「エリザベート」のルドルフでデビューし、絶賛をはくしたとは思えないほど、こういうキャラがはまる人です。ホント可愛くて、一生懸命で、信じる・守ると決めた人に忠実で、諦めがわるくて……本当に魅力的でした!
ああ、ダルタニアンってこういう人なんだろうな、と思いました(^ ^)。
たっちんとの並びも思ったより良かったし、また共演してほしいなあ。
■コンスタンス 和音美桜
あまりしどころのない、いかにも「ヒロイン」という感じの役で、若くて可愛くて声が綺麗な子なら誰でもいいんじゃない?的な気持ちになりましたが、そういう役もきっちり勤まるところはさすがでした。ダテに8年も娘役やってません!ってか(^ ^)。
歌は……ちゃんとしたソロは無かったかな?でも、結構歌ってくれて嬉しかったです。井上くんは微妙にピッチが高いのでデュエットが難しい人なんですが、キレイに合わせていたのはさすがでした。
それにしても、ホントに可愛かったなあぁ~~~(*^ ^*)。
■アトス 橋本さとし
いやもう。カッコいいったらもう!!
渋くて色っぽくてしなやかで男っぽくて、ねぇ(*^ ^*)。役柄としてもミレディとのワケアリっぷりとか、ホントに「大人」って感じで素敵でした。
ああもう、素敵以外に言葉が出ない……。
■アラミス 石井一孝
いやもう、気障で暑苦しくて素敵で、誰よりも気障で!!カッコいいなあもう!!
この人がマリウスやってた頃は「王子様」とまで言われた、なんて、今しか知らない人は信じないかもしれないなあ……と思ってしまったほど、素敵なオジサマっぷりでした。
あと、個人的に吃驚したのは、殺陣がすごく格好良くキマっていたこと!橋本やんや岸さんは殺陣ができても不思議はないんだけど、石井さんってそんなに経験なさそうなのに……。いや、ああいうのは斬られ役側の力量でどうにでもなる部分は大きいのかもですが、それにしても頑張ったんだろうなあと思いました。
■ポルトス 岸祐二
三銃士の中ではだいたいお笑いキャラになりがちな人ですが、岸さんのポルトスは、いかにもな『気は優しくて力持ち』っぽいキャラクターで、素敵でした。
おっとりとした優しい笑顔が魅力的で、適度なおじさんぽさが、妙に現役なギラギラ感のあるアトス・アラミスのいいクッションになっていたと思います。
組み合わせの妙、というのを非常に感じた三人+ダルタニアンでした。まあ、この4人のキャスティングでほぼ成功間違いなし!という気がしますものね(^ ^;ゞ
■ルイ13世 今拓哉
■アンヌ王妃 シルビア・グラブ
今回、このお二人の芝居は本当に素晴らしかったです!!個人的にはこの作品の主役コンビは国王夫妻でしたね(^ ^)。
お互いに対する不器用な愛情表現と、下手糞な思いやり、そして、遠慮。勇気がなくて美しい妻とまっすぐに向き合えないルイと、孤独と不安から疑心暗鬼になっている王妃。ちょっとした二人のやりとりが切なくて、初恋みたいにドキドキしながら観ておりました。
今さん、ああいう役……気弱な為政者的な役も最高に似合いますよね!いつ観てもそのたびに新たな感動があります。優しくて、視野が広くて、、、でも気が弱くて強く出られない、みたいなキャラ。悪役や濃い役をしょっちゅう観てるだけに、なんか不思議な気がするんですけどねぇ。
シルビアもそういうところありますね。マダム・ヴォルフ的な役が一番の当たり役かと思えば、こういう気弱で流されやすい役も嵌るあたりが彼女の強みだなと思います。
本来なら、となみちゃん(白羽ゆり)あたりも合いそうな役なんですが、今さんのルイだったらやっぱりシルビアがいいだろうなあ、と思いますね。こちらも組み合わせの妙、かな。
■バッキンガム公爵 伊藤明賢
アンヌ王妃の元恋人。イギリスの外交担当として諸国を回るのが仕事の彼は、スペイン駐在時に王女アンヌと親しくなった……という設定の彼ですが、姿も良いし信頼のもてる男らしさがあるし、年若い少女がぽーっとなるのが納得できる佳い男ぶりでした。
ダルタニアンたちにはちょっと高飛車だったりする、いかにも「大貴族」らしい嫌らしさもあったのが逆に魅力的だったと思います♪
■役者/ジェームズ 坂元健児
語り手としていろいろな役で登場していた坂元くん。面白い役だし、彼の身体能力と歌唱力、両方を堪能できて楽しかったです。いろんな意味で、「さすが」という言葉にふさわしい役者だな、とあらためて思いました♪
■リシュリュー枢機卿 山口祐一郎
■ロシュフォール 吉野圭吾
■ミレディ 瀬奈じゅん
この三人が基本的に「敵役」あるいは「悪役」ということになるわけですが……
山口さんの一番の特徴は、ここ数年はずっと「山口祐一郎である」ことだし、麻子さんは元々、「瀬奈じゅんである」ことが個性なわけですが、、、最近、吉野さんも若干その域に達しつつあるのでは?という気がしました……
いや、えっと、すみません。なんか伝わらないですよねこれじゃ。お三方とも、自分の個性で勝負してらして、とても良かったと思います。とにかく三人とも楽しそうだった!ってことが言いたかったんです。役の個性というよりは、ご本人のキャラに近づけて演じる方々が揃っていたので、余計にそう思いました。
「東宝オールスター」的な、とにかくスター勢揃い!が売り、という公演でしたが、作品自体が面白いので、多士済々なスターたちが、ばらけることなくよくまとまっていたと思います。
音楽的にもう少し耳に残る曲があれば、もうちょっと席も埋まったんじゃないかなあ、と思いつつ。
あ。そういえば、今気がついたけど、私、麻子さんの女優姿を観たのはじめてだったんだ……(^ ^;ゞ。まあ、もともとMY BEST 麻子さんはシシィですから、女優姿にも演技にも違和感はなかったですが(^ ^)。
ああ、でも、衣装は違和感ありまくりでしたけどね!コンサートの時も思いましたが、どうして麻子さんに脚を出させたがる人がいるんだろう……?それだけは理解できーん!
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■アトリエフォンテーヌ「スリル・ミー」
1924年のアメリカで実際に起きた、犯罪史上に残る誘拐殺人事件を題材にしたミュージカル。
「エリート」として生きてきた二人の青年が、なぜ凶悪な犯罪に手を染めたのか……それを、牢獄での「私」の告白、という形式で描きだす緻密な心理劇で、非常に興味深い作品でした。
予定がなかなか決まらなかったので当日券に並んだのですが、わずか数枚のチケットに毎回何十人と並んでいて、びっくり(@ @)。平日の夜公演は開演時間が遅かった(20時開演)ので会社帰りに行きやすく、何度かトライできたのは幸運でした(^ ^)。
原作・音楽・脚本はSTEPHEN・DOLGINOFF。2005年にオフ・ブロードウェイで初演、今回の上演の翻訳・訳詞は松田直行、演出はベテラン・栗山民也。
「私」の視点で物語がすすむ、完全な二人芝居。キャストは2パターンあって、私が観たのは田代万里生(私)&新納慎也(彼)バージョンでした。ちなみに、もう一組は松下洸平(私)&柿澤勇人(彼)。
脚本は、言葉を削ぎ落して余計な説明をしていないのでとてもシンプル。その分わかりにくいというか、芝居で表現する部分が大きいので、集中していないと「私」と「彼」の台詞の中に潜む悪意や嘘をスルーしてしまいそうな危うさがあって。で、そういうのをちゃんと拾うのが面白い、みたいなつくりの作品でした。
最後に特別などんでん返しがあるわけでもないのに何度も観たくなるのは、あの吊り橋を歩いているかのような、足許の定まらない二人の青年(とくに「私」)の心理にどっぷりつ浸かって、その異常な心理を疑似体験するのが面白いからなんだろうな、と思います。
逆にいえば、あのくらい小さな、舞台と客席が近い緊密な空間でないと上演が難しい作品だな、……と。
田代くんを観たのは「マルグリット」初演以来。彼の初舞台でまるっきり「芝居」のなんたるかが判っていないな、という感じで、あまり良い印象は無かったのですが……今回は良かったです!非常に複雑な、繊細なキャラクターを丁寧に演じていて、あのラストにもとても説得力がありました。
「ピアフ」に「ボニー&クライド」とこれから猫が観るつもりでいる作品に出演されている彼。正直、期待半分、不安半分…という感じだったのですが、今回の「私」役で振り子は大きく「期待」側に傾いてくれました(^ ^)。とっても楽しみ♪
NIROくんは久々の「怖い」役。いやーステキでした!尊大でいじわるでドSなのに、実は気が小さい卑怯者!!いやん、小者っぷりが素敵すぎる(*^ ^*)。
まるでNIROくんのために書かれた役のように見える……というか、何を演じても「宛書き」に見える、というのは彼の能力(魅力)の一つだと思うのですが、、、いや本当に凄かったです。
音楽も良かった!
田代くんとNIROくん、声楽家としてのキャリアが全然違うお二人ですが、思いのほか声質も合っていて、デュエットのハーモニーがとてもきれいでした。ソロはもちろん素晴らしかった!
まざまな効果音をまじえつつ、音楽というか芝居をピアノがコントロールしている、という印象でした。小道具もあまりなく、虚仮威しのセットもない、シンプルな舞台。そんな中で、『一台のピアノ』というモノの表現力に感心しました。
ちょっと体調を崩していたため、あの重たい物語を完全に受け止められたかどうかあまり自信がないのですが、、、3月に同じキャストで再演されるそうなので、今度はちゃとチケットを取って行きたいと思っています(^ ^)。
■帝国劇場「三銃士」
2003年にロッテルダムで初演されたオランダミュージカル。オランダのミュージカルといえば「シラノ・ザ・ミュージカル」もあったなあ。
作詞作曲はロブ&フェルディ・ボーランド。脚本はアンドレ・ブリードランド、日本版の演出は山田和也。
あらすじは「三銃士」の王道どおり。
17世紀のフランス。銃士隊に入ることを夢見る若者ダルタニアンが、パリの街角で美しい少女コンスタンスとすれ違い、さらに、アトス・アラミス・ポルトスという3人の銃士に出会い、意気投合する。
その頃、王宮ではリシュリュー枢機卿が王と王妃を操り、権力を独り占めしようとしていた。
王妃とイギリス貴族バッキンガム公爵の秘密の恋を嗅ぎつけた彼は、イギリスとフランスの戦争の危機を王妃に吹き込み、バッキンガム公にイギリス王(チャールズ一世)との仲介を依頼するよう焚きつける。交渉の証に、夫の国王から送られた首飾りを渡す王妃。
しかしリシュリューは、王妃を追い詰めようと、次の舞踏会で首飾りをつけた王妃にお会いしたいと王を唆す。
絶対絶命の王妃を救うため、ダルタニアンに泣きつく侍女コンスタンス。恋人(?)のたえ、三銃士と共にバッキンガム公を追ってロンドンへ旅立つダルタニアン。リシュリューの命で彼らを追うロシュフォール。
舞踏会が始まるまでに、首飾りは無事王妃の手元に戻るのか……?
ちなみに、当時のフランス国王はルイ13世。「ナントの勅令」で有名な大アンリ(アンリ4世)とその王妃マリア・ディ・メディチの間に生まれた嫡男で、父王の暗殺により8歳で即位。
スペイン王フェリペ3世の娘アンナ(アンヌ・ドートリッシュ)を王妃に迎え、リシュリュー枢機卿の協力を得て大フランスの舵をとろうと努力する、生真面目であまり融通のきかない青年……だったようですね。事件の頃は20代前半。ちなみにルイ13世と王妃アンヌは1601年9月生まれの同い年。日本でいえば徳川家光と同世代の人です。
そんな時代の空気を感じさせつつ、「人間」をしっかり描いた冒険活劇でした。ラストはちょっと唐突だったけど、、、まあ「三銃士」ってああいうものかな、という気もする。
音楽は、耳に残るメロディはあまりなかったのですが、聴いていて心地いい曲がたくさんあって楽しかったです♪
それでは、キャストごとに簡単に。
■ダルタニアン 井上芳雄
「元気いっぱいの夢見る若者」。「エリザベート」のルドルフでデビューし、絶賛をはくしたとは思えないほど、こういうキャラがはまる人です。ホント可愛くて、一生懸命で、信じる・守ると決めた人に忠実で、諦めがわるくて……本当に魅力的でした!
ああ、ダルタニアンってこういう人なんだろうな、と思いました(^ ^)。
たっちんとの並びも思ったより良かったし、また共演してほしいなあ。
■コンスタンス 和音美桜
あまりしどころのない、いかにも「ヒロイン」という感じの役で、若くて可愛くて声が綺麗な子なら誰でもいいんじゃない?的な気持ちになりましたが、そういう役もきっちり勤まるところはさすがでした。ダテに8年も娘役やってません!ってか(^ ^)。
歌は……ちゃんとしたソロは無かったかな?でも、結構歌ってくれて嬉しかったです。井上くんは微妙にピッチが高いのでデュエットが難しい人なんですが、キレイに合わせていたのはさすがでした。
それにしても、ホントに可愛かったなあぁ~~~(*^ ^*)。
■アトス 橋本さとし
いやもう。カッコいいったらもう!!
渋くて色っぽくてしなやかで男っぽくて、ねぇ(*^ ^*)。役柄としてもミレディとのワケアリっぷりとか、ホントに「大人」って感じで素敵でした。
ああもう、素敵以外に言葉が出ない……。
■アラミス 石井一孝
いやもう、気障で暑苦しくて素敵で、誰よりも気障で!!カッコいいなあもう!!
この人がマリウスやってた頃は「王子様」とまで言われた、なんて、今しか知らない人は信じないかもしれないなあ……と思ってしまったほど、素敵なオジサマっぷりでした。
あと、個人的に吃驚したのは、殺陣がすごく格好良くキマっていたこと!橋本やんや岸さんは殺陣ができても不思議はないんだけど、石井さんってそんなに経験なさそうなのに……。いや、ああいうのは斬られ役側の力量でどうにでもなる部分は大きいのかもですが、それにしても頑張ったんだろうなあと思いました。
■ポルトス 岸祐二
三銃士の中ではだいたいお笑いキャラになりがちな人ですが、岸さんのポルトスは、いかにもな『気は優しくて力持ち』っぽいキャラクターで、素敵でした。
おっとりとした優しい笑顔が魅力的で、適度なおじさんぽさが、妙に現役なギラギラ感のあるアトス・アラミスのいいクッションになっていたと思います。
組み合わせの妙、というのを非常に感じた三人+ダルタニアンでした。まあ、この4人のキャスティングでほぼ成功間違いなし!という気がしますものね(^ ^;ゞ
■ルイ13世 今拓哉
■アンヌ王妃 シルビア・グラブ
今回、このお二人の芝居は本当に素晴らしかったです!!個人的にはこの作品の主役コンビは国王夫妻でしたね(^ ^)。
お互いに対する不器用な愛情表現と、下手糞な思いやり、そして、遠慮。勇気がなくて美しい妻とまっすぐに向き合えないルイと、孤独と不安から疑心暗鬼になっている王妃。ちょっとした二人のやりとりが切なくて、初恋みたいにドキドキしながら観ておりました。
今さん、ああいう役……気弱な為政者的な役も最高に似合いますよね!いつ観てもそのたびに新たな感動があります。優しくて、視野が広くて、、、でも気が弱くて強く出られない、みたいなキャラ。悪役や濃い役をしょっちゅう観てるだけに、なんか不思議な気がするんですけどねぇ。
シルビアもそういうところありますね。マダム・ヴォルフ的な役が一番の当たり役かと思えば、こういう気弱で流されやすい役も嵌るあたりが彼女の強みだなと思います。
本来なら、となみちゃん(白羽ゆり)あたりも合いそうな役なんですが、今さんのルイだったらやっぱりシルビアがいいだろうなあ、と思いますね。こちらも組み合わせの妙、かな。
■バッキンガム公爵 伊藤明賢
アンヌ王妃の元恋人。イギリスの外交担当として諸国を回るのが仕事の彼は、スペイン駐在時に王女アンヌと親しくなった……という設定の彼ですが、姿も良いし信頼のもてる男らしさがあるし、年若い少女がぽーっとなるのが納得できる佳い男ぶりでした。
ダルタニアンたちにはちょっと高飛車だったりする、いかにも「大貴族」らしい嫌らしさもあったのが逆に魅力的だったと思います♪
■役者/ジェームズ 坂元健児
語り手としていろいろな役で登場していた坂元くん。面白い役だし、彼の身体能力と歌唱力、両方を堪能できて楽しかったです。いろんな意味で、「さすが」という言葉にふさわしい役者だな、とあらためて思いました♪
■リシュリュー枢機卿 山口祐一郎
■ロシュフォール 吉野圭吾
■ミレディ 瀬奈じゅん
この三人が基本的に「敵役」あるいは「悪役」ということになるわけですが……
山口さんの一番の特徴は、ここ数年はずっと「山口祐一郎である」ことだし、麻子さんは元々、「瀬奈じゅんである」ことが個性なわけですが、、、最近、吉野さんも若干その域に達しつつあるのでは?という気がしました……
いや、えっと、すみません。なんか伝わらないですよねこれじゃ。お三方とも、自分の個性で勝負してらして、とても良かったと思います。とにかく三人とも楽しそうだった!ってことが言いたかったんです。役の個性というよりは、ご本人のキャラに近づけて演じる方々が揃っていたので、余計にそう思いました。
「東宝オールスター」的な、とにかくスター勢揃い!が売り、という公演でしたが、作品自体が面白いので、多士済々なスターたちが、ばらけることなくよくまとまっていたと思います。
音楽的にもう少し耳に残る曲があれば、もうちょっと席も埋まったんじゃないかなあ、と思いつつ。
あ。そういえば、今気がついたけど、私、麻子さんの女優姿を観たのはじめてだったんだ……(^ ^;ゞ。まあ、もともとMY BEST 麻子さんはシシィですから、女優姿にも演技にも違和感はなかったですが(^ ^)。
ああ、でも、衣装は違和感ありまくりでしたけどね!コンサートの時も思いましたが、どうして麻子さんに脚を出させたがる人がいるんだろう……?それだけは理解できーん!
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