ランスロットの見た夢【2】
2011年9月6日 宝塚(星) コメント (2)星組バウホール公演「ランスロット」。
■第2場B キャメロット王宮内
マーリンを中心に、並んで王を待つ騎士たち・侍女たち。前場でお触れ役として登場していたパラミデュース(夏樹れい)、アグラヴェイン(翔馬樹音)、ペリノア(ひろ香祐)以外の騎士たちはかなりの早替りだと思うんですが、さすがに落ち着いてます。
そういえば、前場で書き忘れましたが、お触れ役はとても良い声でした。みんな下級生なのに、すごいなあ~。
彼らの前にあらわれるアーサー王と、太刀持ちのケイ。おしのびから戻って、正装しているんですが、微妙に息がはずんでいるように見えたのは気のせいか?
グウィネヴィアとランスロットの名を呼んだのは誰だったかな。ケイ?
一つの疑問。グウィネヴィアのことを皆が「カメラードこくひ」と呼んでるように聞えるのですが、「国姫」という言葉があるの?そして、それって普通に読んだら「こくき」じゃないのかなあ?
呼ばれて、ちょっと緊張して入ってくるグウィネヴィアの輝きは、さすがです。
わかばちゃん、クラシックな衣装や髪型がすごく良く似合ってる。「めぐりあいは再び」のコレットもそうだったけど、本当に現実離れした、お人形みたいな美しさですよね。
ランスロットとアーサー、二人が恋してしまうのもわかるなあ~と思います。
「さあ、顔をあげて」というアーサーの声がすごく優しい。そして、「……私は熊に見えますか?」と問いかける茶目っ気。このあたりの屈託のなさが、何度も観るうちに胸に刺さって辛くなってくるのが、生田作品の面白いところかも。(←何度も観るの前提ですか)
ランスロットの真風くんは、この場面はおっとりした感じ。それこそ、昼寝中の熊みたい。
でも、「王妃の護衛を引き継ぐ」と言うガウェイン(麻央侑希)との殺陣はかなり切れ味があって格好良いです。殺陣は経験がものを言ううえに斬られ役の技量が非常に大切なのですが、、、経験不足な麻央くんをよくフォローして、見栄え良くまとめていたと思います。
真風くん、そういえばしょっちゅう殺陣をやってるよね(^ ^)。経験値は十分なのか?
殺陣の指導は栗原直樹氏。あれ?みつるくん(華形)がCSのBrilliantで殺陣を習いに行ったのって栗原さんだっけ…?あれは「太王四神記」の時ですよね?
ランスロットが登場するまで、円卓の騎士団で『最高の騎士』だったガウェイン。
大柄でたくましい身体を甲冑で覆った麻央くんは、本当にカッコいい。手足の長い恵まれたスタイルで、剣を振り回すと、「ぶんっ」という音がしそうな力強さがすごいと思う。
「男役」としては、もっと絞ればもっと格好よくなるのに……と思うんですが、全身を甲冑で覆うと、無条件で「強そう」に見えるし、めっちゃ格好よくなるのは魔法ですよね(^ ^)。
本来なら、この役は騎士たちの中でもモルドレッド(芹香)と並ぶ大役のはずで、もっとフィーチャーしてもいいのでは、と思うのですが、あえてこれを「若手のオイシイ役」にまとめたのは、生田さんの手柄だと思います。
剣の腕は良いけど人間的にはまだ幼い……御前仕合であっさり自分を負かしたランスロットを素直に尊敬し、憧れるというキャラが、人物相応という感じで良かったです。
若くて素直で伸び盛りの剣士。そんな感じ。
なのに、2幕になって突然ランスロットを訴追するのが展開として不思議なんですけどね。どちらかというとガウェインのジャイアンぶりが目立って、『1幕では素直な良い子だったのに!?』と思ってしまうし。
まあ、素直すぎて魔女の術中にはまってしまった、、、ってことなのかなあ……
って、これはまだ先の話ですが。
御前仕合を留めようとするマーリン。
ランスロットの太刀筋を見たくてわくわくしているアーサー。
ちょっとした会話に意味があるところが生田作品だなあ、と。
そういえば。
騎士団の中には兄弟が結構多いんですが、ガウェインとアグラヴェイン(翔馬)・ガレス(瀬央)・ガヘリス(蓮珠)は、あまり兄弟っぽいやりとりは無かったような気がします。
本によって、モルドレッド(芹香)とも兄弟説があるようですが、この作品ではまったく無視されていますよね。あ、でも、グウィネヴィアの火刑の護衛をガレス・ガヘリスに頼むあたり、やっぱり何らかの関係はあるのかな?
ボールス(汐月しゅう)とライオネル(漣レイラ)は、えっらい仲の良いカップル 仲間だなと思ってたら兄弟だった(^ ^)。スタイル完璧な汐月くんと、がっしり体型なライオネルの並びは、非常に萌です(*^ ^*)。
他の騎士たちもそれぞれに個性的でした(*^ ^*)。それぞれ目立つところで書きますが、すみません、正直、回数を観ていないのと星組さんの下級生はあまり良く知らないので、あまりチェックできていないんです(T T)(先に謝る)。
「異国の踊り子」たちは、夢妃杏瑠・妃海風・綺咲愛里の三人。三人ともめっちゃ可愛いです!
色っぽいのはやっぱりあんるちゃんがダントツかなあ。目元の化粧もすごいけど(^ ^)。
彼女たちが出てきて、途端に目の色が変わる騎士たち(の一部)と、それにヤキモキしている侍女たちが可愛いったらありません。
■第3場・キャメロット宮廷の一角
準備のために別室に下がる王妃グウィネヴィア。
見送って溜息をつくランスロット、優しく声をかける王。
「たとえ命を投げ出しても、グウィネヴィアさまをお護りする。それが私の、生きる意味です」
もう何も喪いたくない……だから。
「命を投げ出しても?」
この優しげな騎士に、そんな風に言ってほしくない。そんな気持ちを隠そうともせず。
「はい。王妃さま、そして今日からは陛下のために」
それでも、一度は彼の願いを受け容れて、返そうとする、王。
「……だが私は、素晴らしい騎士たちが戦いのさなか死んでいくことに、もはや耐えられぬ」
それは。
本当は、王者が口にしてはいけないこと。
『正しき道』を歩いてきたアーサーの、それが、罪。
「強い力、その力で得られる世界の向こうには何があるんだ?」
王者の視界をもたぬ身には、もの思わぬ剣であらんとする騎士には、想像することさえできない世界観。
「争いは新たな争いを招き、憎しみはより大きな憎しみに呑みこまれる」
『王家に捧ぐ歌』で木村さんが唱えたお題目が、こんな風に戻ってくることにいっそ感動を覚えました。
剣として生きるのではなく、人として生きるのだ、ということを、こういう言葉で表現するのか、と。
王であることと人であることを両立させるために。
騎士である前に、人間であるために。
♪愛しい人を自由に愛し、
♪剣を置き、物語を紡いでいく。
姫を護る剣として、装填された銃として使い手を欲していたランスロットに、思いもかけない世界を聴かせるアーサー。
♪それは奇跡にしかすぎないのだろうか。
♪そんな奇跡の夢 みつめていきたい
……みっきぃさんの歌には、抗えないものがある、と思います。
もちろんそれは、役の上でのことなんですけど。でも、じっさいあの圧倒的なパワーのある声で間近で歌われたら、どんなに理解の外にある話でも信じてしまうような気がします。
アーサー王にそれだけのパワーがあったことが、この突拍子もない物語の根幹を支えたんだな、と。
そんなふうに納得しつつ。
「人は法のもとに平等となり、誰もが自分の意志を持つ」
そこには本当の自由がある。力によって護られるものではなく、本当の自由が。
『ランスロット、あなたの希みは?』
『もう誰も、喪いたくない』
「ランスロット。そんな世界のために、きみの力を遣いたくないか?」
『ランスロット、ほしいものはなに?』
『強い力がほしい……!』
「……すべて、陛下の仰せのままに」
ランスロットのいらえに、破顔一笑して首を振るアーサー。
「違う違う」
笑い含みに言い聴かせる声が、回を重ねるごとに優しくなっていったのが印象的でした。
「自分の意志で決めるんだ。私と共に物語を描くんだ」
従うのではなく、
闘うのでもなく、
ただ、
物語を描くのだ、と。
舞台奥から他の11人の騎士たちが登場し、王を中心に踊りだす。
「Noblesse Obligeと共に!」
場面が極まると、マーリンがマントを脱ぎ棄てて訓練ソングを歌いだす。
♪訓練修練鍛練つんで 予習復習反復横とび
♪休まずたゆまずたまには休んであわてずひるまず反復横とび!
れんた、最高!!
白髪に白いひげ、ねじくれた杖を持った魔法使いが、若い騎士たちのだれよりも華麗に鋭く反復横とびを跳ぶ不条理さ。
いやあの、マーリンは別に剣を持って闘うわけじゃないよね?いや、あの、訓練計画を立てる人が自分でオリンピックに出なくていいんだってば!
踊るために脱ぎ捨てたマーリンのマントを、苦笑しながら拾い上げて丁寧に畳むアーサーがすごくツボです。ええ。ツボというのはこういうことか、と、目から鱗なくらいツボでした。
アーサーが、そして、皆が口をそろえて謡う、言葉。
それは奇跡にしかすぎないのだろうか。
これも、この作品のテーマの一つだと思います。
『人ならざる者』に与えられる奇跡ではなく、人が人のまま、意志をもって希うこと。
それが叶うなら、それは奇跡なのか。
人が人のまま意志をもって希ったことならば、それは奇跡ではなく必然ではないのか?
それが奇跡にすぎぬというならば、人ならざるモノが闊歩する世界で、人が人として生きる意味はあるのか?……と。
皆が下がった後、もう一度ランスロットとアーサーが会話をする。
熱に浮かされたように、共感を確かめ合う二人。
「……王妃様のご準備が整いましてございます」
そこに割ってはいる、侍女の声。
あれはノーマ(愛水せれ奈)でしたよね?グウィネヴィアについていた方がセリア(妃白ゆあ)でしたよね……すみません、あまりちゃんと認識できず。
ちょっと硬いけれども、滑舌のよい明朗な声で、この場面に割って入るのにぴったりの声だなあと思いました。
夫が妻の手を握り締める。
「手が震えてる……」
残酷なほど優しい声で囁きながら、そっと引き寄せて。
「何も心配することはない。私は必ず、貴女を幸せにしてみせる」
……壊れ物を抱くように、そっと抱きしめるアーサーの腕も震えていることに、グウィネヴィアは気づかない。
この場面でグウィネヴィアに語るアーサーの台詞が、二幕のラストシーンでちょっと違う台詞になってリフレインされるんですが……
ああいうところ、生田さんはずるいと思う(^ ^)。
いずれにしても。
この後のランスロットのソロの歌がとても好きです。心情のこもった、いい歌だと思う。……真風くん、がんばれ!!
アーサーの力強い声で繰り返され、刷り込まれたフレーズ。
♪愛しい人を自由に愛し、
♪剣を置き、物語を紡いでいく。
それを、今は、ランスロットの優しい、ちょっと自信なさげな声でリフレインする。
♪剣を置き、………、
「……私は、強く在りたいのです……!」
一瞬前まで、アーサーと同じ思いを分け合ったはずなのに。
独りになって、気持ちを言葉に置き換えたときに、また間違えてしまう、騎士。
理想はすれ違い、二人の夢もすれ違う。
ランスロットは、そのズレに気づかない。気づかない(わからない)ことが、彼の罪。
アーサーは、わかっていても気づかないふりをした。
ランスロットを気に入ったから。
グウィネヴィアに恋をしたから。
真実から目を背けた……それが彼の、罪。
.
■第2場B キャメロット王宮内
マーリンを中心に、並んで王を待つ騎士たち・侍女たち。前場でお触れ役として登場していたパラミデュース(夏樹れい)、アグラヴェイン(翔馬樹音)、ペリノア(ひろ香祐)以外の騎士たちはかなりの早替りだと思うんですが、さすがに落ち着いてます。
そういえば、前場で書き忘れましたが、お触れ役はとても良い声でした。みんな下級生なのに、すごいなあ~。
彼らの前にあらわれるアーサー王と、太刀持ちのケイ。おしのびから戻って、正装しているんですが、微妙に息がはずんでいるように見えたのは気のせいか?
グウィネヴィアとランスロットの名を呼んだのは誰だったかな。ケイ?
一つの疑問。グウィネヴィアのことを皆が「カメラードこくひ」と呼んでるように聞えるのですが、「国姫」という言葉があるの?そして、それって普通に読んだら「こくき」じゃないのかなあ?
呼ばれて、ちょっと緊張して入ってくるグウィネヴィアの輝きは、さすがです。
わかばちゃん、クラシックな衣装や髪型がすごく良く似合ってる。「めぐりあいは再び」のコレットもそうだったけど、本当に現実離れした、お人形みたいな美しさですよね。
ランスロットとアーサー、二人が恋してしまうのもわかるなあ~と思います。
「さあ、顔をあげて」というアーサーの声がすごく優しい。そして、「……私は熊に見えますか?」と問いかける茶目っ気。このあたりの屈託のなさが、何度も観るうちに胸に刺さって辛くなってくるのが、生田作品の面白いところかも。(←何度も観るの前提ですか)
ランスロットの真風くんは、この場面はおっとりした感じ。それこそ、昼寝中の熊みたい。
でも、「王妃の護衛を引き継ぐ」と言うガウェイン(麻央侑希)との殺陣はかなり切れ味があって格好良いです。殺陣は経験がものを言ううえに斬られ役の技量が非常に大切なのですが、、、経験不足な麻央くんをよくフォローして、見栄え良くまとめていたと思います。
真風くん、そういえばしょっちゅう殺陣をやってるよね(^ ^)。経験値は十分なのか?
殺陣の指導は栗原直樹氏。あれ?みつるくん(華形)がCSのBrilliantで殺陣を習いに行ったのって栗原さんだっけ…?あれは「太王四神記」の時ですよね?
ランスロットが登場するまで、円卓の騎士団で『最高の騎士』だったガウェイン。
大柄でたくましい身体を甲冑で覆った麻央くんは、本当にカッコいい。手足の長い恵まれたスタイルで、剣を振り回すと、「ぶんっ」という音がしそうな力強さがすごいと思う。
「男役」としては、もっと絞ればもっと格好よくなるのに……と思うんですが、全身を甲冑で覆うと、無条件で「強そう」に見えるし、めっちゃ格好よくなるのは魔法ですよね(^ ^)。
本来なら、この役は騎士たちの中でもモルドレッド(芹香)と並ぶ大役のはずで、もっとフィーチャーしてもいいのでは、と思うのですが、あえてこれを「若手のオイシイ役」にまとめたのは、生田さんの手柄だと思います。
剣の腕は良いけど人間的にはまだ幼い……御前仕合であっさり自分を負かしたランスロットを素直に尊敬し、憧れるというキャラが、人物相応という感じで良かったです。
若くて素直で伸び盛りの剣士。そんな感じ。
なのに、2幕になって突然ランスロットを訴追するのが展開として不思議なんですけどね。どちらかというとガウェインのジャイアンぶりが目立って、『1幕では素直な良い子だったのに!?』と思ってしまうし。
まあ、素直すぎて魔女の術中にはまってしまった、、、ってことなのかなあ……
って、これはまだ先の話ですが。
御前仕合を留めようとするマーリン。
ランスロットの太刀筋を見たくてわくわくしているアーサー。
ちょっとした会話に意味があるところが生田作品だなあ、と。
そういえば。
騎士団の中には兄弟が結構多いんですが、ガウェインとアグラヴェイン(翔馬)・ガレス(瀬央)・ガヘリス(蓮珠)は、あまり兄弟っぽいやりとりは無かったような気がします。
本によって、モルドレッド(芹香)とも兄弟説があるようですが、この作品ではまったく無視されていますよね。あ、でも、グウィネヴィアの火刑の護衛をガレス・ガヘリスに頼むあたり、やっぱり何らかの関係はあるのかな?
ボールス(汐月しゅう)とライオネル(漣レイラ)は、えっらい仲の良い
他の騎士たちもそれぞれに個性的でした(*^ ^*)。それぞれ目立つところで書きますが、すみません、正直、回数を観ていないのと星組さんの下級生はあまり良く知らないので、あまりチェックできていないんです(T T)(先に謝る)。
「異国の踊り子」たちは、夢妃杏瑠・妃海風・綺咲愛里の三人。三人ともめっちゃ可愛いです!
色っぽいのはやっぱりあんるちゃんがダントツかなあ。目元の化粧もすごいけど(^ ^)。
彼女たちが出てきて、途端に目の色が変わる騎士たち(の一部)と、それにヤキモキしている侍女たちが可愛いったらありません。
■第3場・キャメロット宮廷の一角
準備のために別室に下がる王妃グウィネヴィア。
見送って溜息をつくランスロット、優しく声をかける王。
「たとえ命を投げ出しても、グウィネヴィアさまをお護りする。それが私の、生きる意味です」
もう何も喪いたくない……だから。
「命を投げ出しても?」
この優しげな騎士に、そんな風に言ってほしくない。そんな気持ちを隠そうともせず。
「はい。王妃さま、そして今日からは陛下のために」
それでも、一度は彼の願いを受け容れて、返そうとする、王。
「……だが私は、素晴らしい騎士たちが戦いのさなか死んでいくことに、もはや耐えられぬ」
それは。
本当は、王者が口にしてはいけないこと。
『正しき道』を歩いてきたアーサーの、それが、罪。
「強い力、その力で得られる世界の向こうには何があるんだ?」
王者の視界をもたぬ身には、もの思わぬ剣であらんとする騎士には、想像することさえできない世界観。
「争いは新たな争いを招き、憎しみはより大きな憎しみに呑みこまれる」
『王家に捧ぐ歌』で木村さんが唱えたお題目が、こんな風に戻ってくることにいっそ感動を覚えました。
剣として生きるのではなく、人として生きるのだ、ということを、こういう言葉で表現するのか、と。
王であることと人であることを両立させるために。
騎士である前に、人間であるために。
♪愛しい人を自由に愛し、
♪剣を置き、物語を紡いでいく。
姫を護る剣として、装填された銃として使い手を欲していたランスロットに、思いもかけない世界を聴かせるアーサー。
♪それは奇跡にしかすぎないのだろうか。
♪そんな奇跡の夢 みつめていきたい
……みっきぃさんの歌には、抗えないものがある、と思います。
もちろんそれは、役の上でのことなんですけど。でも、じっさいあの圧倒的なパワーのある声で間近で歌われたら、どんなに理解の外にある話でも信じてしまうような気がします。
アーサー王にそれだけのパワーがあったことが、この突拍子もない物語の根幹を支えたんだな、と。
そんなふうに納得しつつ。
「人は法のもとに平等となり、誰もが自分の意志を持つ」
そこには本当の自由がある。力によって護られるものではなく、本当の自由が。
『ランスロット、あなたの希みは?』
『もう誰も、喪いたくない』
「ランスロット。そんな世界のために、きみの力を遣いたくないか?」
『ランスロット、ほしいものはなに?』
『強い力がほしい……!』
「……すべて、陛下の仰せのままに」
ランスロットのいらえに、破顔一笑して首を振るアーサー。
「違う違う」
笑い含みに言い聴かせる声が、回を重ねるごとに優しくなっていったのが印象的でした。
「自分の意志で決めるんだ。私と共に物語を描くんだ」
従うのではなく、
闘うのでもなく、
ただ、
物語を描くのだ、と。
舞台奥から他の11人の騎士たちが登場し、王を中心に踊りだす。
「Noblesse Obligeと共に!」
場面が極まると、マーリンがマントを脱ぎ棄てて訓練ソングを歌いだす。
♪訓練修練鍛練つんで 予習復習反復横とび
♪休まずたゆまずたまには休んであわてずひるまず反復横とび!
れんた、最高!!
白髪に白いひげ、ねじくれた杖を持った魔法使いが、若い騎士たちのだれよりも華麗に鋭く反復横とびを跳ぶ不条理さ。
いやあの、マーリンは別に剣を持って闘うわけじゃないよね?いや、あの、訓練計画を立てる人が自分でオリンピックに出なくていいんだってば!
踊るために脱ぎ捨てたマーリンのマントを、苦笑しながら拾い上げて丁寧に畳むアーサーがすごくツボです。ええ。ツボというのはこういうことか、と、目から鱗なくらいツボでした。
アーサーが、そして、皆が口をそろえて謡う、言葉。
それは奇跡にしかすぎないのだろうか。
これも、この作品のテーマの一つだと思います。
『人ならざる者』に与えられる奇跡ではなく、人が人のまま、意志をもって希うこと。
それが叶うなら、それは奇跡なのか。
人が人のまま意志をもって希ったことならば、それは奇跡ではなく必然ではないのか?
それが奇跡にすぎぬというならば、人ならざるモノが闊歩する世界で、人が人として生きる意味はあるのか?……と。
皆が下がった後、もう一度ランスロットとアーサーが会話をする。
熱に浮かされたように、共感を確かめ合う二人。
「……王妃様のご準備が整いましてございます」
そこに割ってはいる、侍女の声。
あれはノーマ(愛水せれ奈)でしたよね?グウィネヴィアについていた方がセリア(妃白ゆあ)でしたよね……すみません、あまりちゃんと認識できず。
ちょっと硬いけれども、滑舌のよい明朗な声で、この場面に割って入るのにぴったりの声だなあと思いました。
夫が妻の手を握り締める。
「手が震えてる……」
残酷なほど優しい声で囁きながら、そっと引き寄せて。
「何も心配することはない。私は必ず、貴女を幸せにしてみせる」
……壊れ物を抱くように、そっと抱きしめるアーサーの腕も震えていることに、グウィネヴィアは気づかない。
この場面でグウィネヴィアに語るアーサーの台詞が、二幕のラストシーンでちょっと違う台詞になってリフレインされるんですが……
ああいうところ、生田さんはずるいと思う(^ ^)。
いずれにしても。
この後のランスロットのソロの歌がとても好きです。心情のこもった、いい歌だと思う。……真風くん、がんばれ!!
アーサーの力強い声で繰り返され、刷り込まれたフレーズ。
♪愛しい人を自由に愛し、
♪剣を置き、物語を紡いでいく。
それを、今は、ランスロットの優しい、ちょっと自信なさげな声でリフレインする。
♪剣を置き、………、
「……私は、強く在りたいのです……!」
一瞬前まで、アーサーと同じ思いを分け合ったはずなのに。
独りになって、気持ちを言葉に置き換えたときに、また間違えてしまう、騎士。
理想はすれ違い、二人の夢もすれ違う。
ランスロットは、そのズレに気づかない。気づかない(わからない)ことが、彼の罪。
アーサーは、わかっていても気づかないふりをした。
ランスロットを気に入ったから。
グウィネヴィアに恋をしたから。
真実から目を背けた……それが彼の、罪。
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コメント
アーサーは、わかっていても気づかないふりをした。
ランスロットを愛していたから。
グウィネヴィアに恋をしたから。
真実から目を背けた……それが彼の、罪。
ねこさーーん!!
殆ど小説を読んでる気分です。いやもう、章の終わりをこんな言葉で切るなんて
殆ど小説家だよね。読者は明日を待つのが辛い(笑)
辛いといえば、
雪組公演・・・
「ランスロット」が羨ましくて、身もだえしちゃうので
「ランスロット」を観た記憶をなるべく忘れるようににしてます。
でもねこさまの小説読むと思い出しちゃって辛い(泣)
で、なんとか堪えていたのにさらに年末はドラマシティ組になって・・・
谷先生で年末年始のドラマシティ
今年の月組が結構面白かったのに、ほんとうにガラガラだったことを思い出し
もうだめだと、頑張る気持ちが切れそうです。
これだけでもすでに2012年は「試練の1年」になりそうな予感(マーリンさま~)
湖の魔女ヴィヴィアンにお願いするとしたらなにかなぁ・・・(ぶつぶつ)
コメントありがとうございます!良かった、ご覧になったはずなのに何も仰らないから、どうだったんだろう……とドキドキしてました(^ ^)。
落ち着いたら感想聞かせてください♪
雪組公演は、ネットで様子を読んでいると、なんだか猛然と観たくなってきます。
でも、今度の遠征はバウに集中しようかなーとも考え中(^ ^;。東宝があるしなあ。
年末のドラマシティは……あはははは(乾笑)
ヴィヴィアンにお願いするのは、「生田さんがほしい!」でどうでしょう(^ ^)。だいぶ間違ってるような気がしますが。