星組バウホール公演「ランスロット」、千秋楽おめでとうございます!


真風くん、佳作での初主演、本当におめでとう(^ ^)。

そして生田さん、今の星組新公メンバーにこの作品を宛書きしてくださって、本当にありがとうございました!!

次回はぜひ、東上作品をお願いします。自分がもっと回数観たいっていうのもあるけど、それ以上に、もっとたくさんの人に生田さんの作品を観せてあげたいんです。ファンは勿論だけど、東宝公演中のジェンヌさんたちにも(^ ^)。


などと思いながら。

やっと心おきなくネタばれできる!!
というわけで(^ ^)。
一昨日アップした日記の大半を削除させていただいて、あらためて最初から通して書かせていただきたいと思っております。【一昨日読んでくださった方、すみませんm(_ _)m。】



■第1場A ある荒野

真ん中に少し角度のある白い円形のセット。
走りこんできて、母親を呼ぶ幼い少年(妃海風)。
「ランスロ」と優しく呼びかける母親(妃白ゆあ)。幼いころの、幸せな情景。


寂しげな音と、風のような乾いた歌声。

♪願ったようには動かせぬ世界
♪望んだようにはならない運命(さだめ)

白髪に髭、白い長衣をまとった聖杯の守護者ヨセフ(美稀千種)。

♪誰のため生きるのか 誰のことを愛するのか
♪誰しもが見失い 本を閉じた……

荒涼たる曠野に降り立った彼が、かつてこの地を血に染めた戦いを回想する。

音楽が力強いものに代わり、甲冑を身にまとった騎士たちが戦いを始める。
ヨセフの心に灼きついた光景が繰り返される。

「これは、誰が書いた物語なのか?」

持つ者に永久の平穏をもたらすといわれる聖杯の守護者の心に、平穏は訪れない。

「そして、誰も生き残りなどしなかった……」

戦いの果てに倒れ、相討ちで砂に沈む戦士たち。

「愚かなる迷い子たち。お前たちはこの世界に何を望んだ?」

その問いをうけるかのように、下手から魔法使いマーリン(如月蓮)、上手からアーサー王(天寿光希)が現れる。

「人で在る前に王であれ」
「愛する心を持たぬ王にはなりたくない」

8月28日の日記にも書いたとおり、この会話が作品全体における「アーサー」のポジションをあらわしているのですが。
この続きもかなり痛々しいんですよね……。

♪たとえ我が身を滅ぼす運命でも
♪真(まこと)の王なら打ち勝てるだろう

れんたの癖の強い硬い声と、みっきぃさんの豊かで力強い声が絡み合って、絶妙のハーモニーだなと思います。このへんは太田さんの作曲なのかな?とても好きなフレーズです。


エクスカリバーが選んだものが『真の王』だというのなら。
それであれば、選ばれた自分が選ぶ道が正義になるはずではないか、と。

そうではなかった。そこにあるのは「運命」であって、「正義」などではなかった。

でも、それが判った時には、彼はヒトであることを辞めなくてはならない。
理想を高く掲げ、それに向かって進もうとする意志を持つもの。それこそが「王」だから。
「運命」に従い、流される者に、王冠を与えることはできないのだから……。

だから彼は、「運命」に逆らわざるをえない。
愛する者を護るために。そのために彼は、「人」にとどまったのだから。



中央の白いセットがわかれ、上手と下手に二組の親子が登場する。
上手に、カメラードのレオデグランス王(碧海りま)とその娘グウィネヴィア(早乙女わかば)。
下手には森の魔女モルゴース(花愛瑞穂)とその娘モルガン(夢妃杏瑠)。

「娘よ」

王と魔女が同時に娘に話しかける。
その後はそれぞれの話をしているのでステレオ放送は聴きとれないのですが、これは後で別々に会話として出てくるのであまり気にせず。
娘たちの「はい、おかあさま」と「はい、おとうさま」が重なったところで、再び時間が止まる。

王家に嫁ぐことが運命づけられた姫が呟く。
♪幼き日の戒めを忘れたことなどなかった

王家への恨みを植え付けられた娘が嘆く。
♪幼き日の呪縛が私を締めつけてきた

逃げようと思ったこともある。でも運命からは逃れられない。
だから諦めた。戦いを。闘うことを。
……そして私は、何を願ったのかしら……?

アーサーたちも揃って叫ぶ。心から。

♪願ったようには動かせぬ世界
♪望んだようにはならない人生
♪誰のため生きるのか 誰のことを愛するのか
♪私は見失い 本を閉じた

聖杯の守護者が寂しげに目を伏せる……。


わかばちゃんの寂しげな硬い声と、癖は強いけれども柔らかいあんるちゃんの声。
「声」の持つ色を生かしたコーラス(歌い継ぎ)だな、と思いました。
シンプルなセットと青みの強い照明。独特な異空間が、聖杯の守護者ヨセフの心象風景を示していたのかなと思います。


この大コーラスが一段落すると、ちょっと曲想がかわり、物語がリアルに動き出します。

幼いランスロットを見守る湖の魔女ヴィヴィアン(美穂圭子)のソロ。

魔女狩りにあって囚われる少年の母親。彼女を捕える冥騎士の二人(ひろ香、瀬央)が結構思い切って腕を掴んでいて、ちょっと痛そうだったのがリアルでした。

十字架に架けられ、処刑される母。
ただそれを眺め、泣き叫ぶことしかできない、無力な少年。

泣き疲れ、力尽きて倒れた人の子に望みを尋ね、剣を渡す湖の魔女。
人の世のゆくえを見守る彼女の、口元にうっすらと刷かれた微笑み。寂しげな瞳。

「僕は強くなりたい。……強い力が欲しい!」

たとえその望みが間違いであっても。
それがわかっていても、彼が望むなら与えてしまう。それが人ならざる眷族の、愛の形。
人の子は、いつか気がつくかもしれないから。
自分たちに比べたらひと夏の思い出のような短い生の中で、いつか。



■第1場B Stargazer

幼ランスロットがヴィヴィアンに与えられた剣を引き抜くと、その後ろで同じポーズを取った青年ランスロット(真風涼帆)にスポット。

第1場Aで、この作品全体のモチーフのすべてとテーマを簡単に語って、Bでやっと、待ちに待った主役の登場!Sound HorizonのRevoさん提供のテーマソング開陳!!
と、いうわけで。プログラムのラストページに歌詞が載っている名曲を真風くんが歌ってくれます。良い曲だなー♪

というか、予想外に違和感なく「宝塚」に嵌っていたのは、生田さんの演出なのか、音楽の太田さんの手腕なのか?

♪いつか夢見た僕らの物語
♪「取り戻そう」とキミは駈け出した

という歌詞と共に少年ランスロットが走りだす演出がすごく好きです。
未来へ向かって。(←まあ、具体的には下手に向かうわけですが)

ここで取り戻そうとする「物語」とは、『振り向かないオルフェの物語』ってことでいいのかな…?


死に絶えた騎士たちも、星屑となって蘇った……のかな?(←プログラムの役名が「星屑」になってる)
皆、甲冑をつけて結構しっかり踊っているんですが、ここのポイントは、両腕のモルドレッド(芹香斗亜)がいることです。紅いロングのマントはモルドレッドとライオネル(漣レイラ)だけなので、えらく目立ちます(^ ^)。まして髪も赤金まじりのソバージュだしねー。化粧はまだ普通だったと思うんですけど、どうだったかなあ(1幕は、彼の顔が見える場面がここしかない)



ワンコーラス歌ったところで騎士たちがはけ、舞台奥にレオデグランス王と幼グウィネヴィア(綺咲愛里)が登場。
ヴィヴィアンに連れられた少年ランスロットが、王に挨拶をする。

「私はグウィネヴィア。あなたは今日から、私の騎士よ」

綺咲さん、テルくん(凰稀かなめ)のPersonal Bookで人形を作る少女に扮した彼女ですよね?メイキング番組で観た時も可愛い子だなーと思っていましたが、いよいよ出てきましたね。
声も可愛らしいし、生意気で高慢な笑顔がキュートで、役にぴったりあっていたと思います。顔立ちが幼いので美女役をやるにはもう少し……ですが、小顔で首が長くてスタイルが良くて、ドレス映えは素晴らしいです。うん。これからが楽しみ。

でももう、何よりも妃海風ちゃんが可愛くて可愛くて、もう私はメロメロでした(^ ^)。
この場面でも、グウィネヴィアの手にキスしようとして振り払われ、転ぶ……みたいな動きが(しかもスローモーションで)あるんですが、すごい身体能力だと思いました。
声もやわらかくて良い声だし、かーわーいーいー!!



■第2場A キャメロット城外

ヨセフが簡単に状況を語る。
「ガリアの白薔薇」グウィネヴィア姫がブリテンのアーサー王に嫁ぐ祭りが始まる。人々の喜びのナンバーで、本格的に物語が動き出す。

♪おお、キャメロット 幸せの地
♪白き薔薇咲きほこる
♪この佳き日 春の空澄みわたる

村人の汐月しゅうくんはじめ、みなさんこの場面は別人設定なのかな?プログラムには「村の男」「村の女」しか書いてないし。いや、それを言ったら、先日書いたとおり、アーサーもケイ(千寿はる)も「村の男」1、2なんですけどね。

いちおう、みなさん布を巻いたりいろいろして髪を隠しているので、たぶん別人……なんだろうなあ。
「男たちは狩へ」「女たちは花を摘み」という歌詞があるので、みんな獲物を抱えたり花束を持ったり、いろいろです。……その鴨はもしや?なんて思ったりしつつ。

ちなみに。
村の男女の中に、キキちゃんはいないけど(クマだから)、あんるちゃんはいます。……目元がギラギラで怖いです(←ごめんよモルガン)

クマは、最初の群舞からいたっけ?途中で荷車に乗って出てきたような気がするんだけどどうだったかな?
いやあの、すみません(素直に謝罪)だって、舞台奥をアーサー王とケイがめっちゃ笑顔でうろうろしているんだもん!!クマさんをチェックしているほど気持ちに余裕がなかったんですぅ……(^ ^;ゞ


歌い踊る村人たちの間に、旅の途中のランスロットとグウィネヴィアが紛れ込む。
わがままを言ってランスロットを振り回すグウィネヴィアが可愛いです。でも、わかばちゃんはもっともっと元気にやってもいいと思う。おっとりした、穏やかで優しい真風くんとの対比は強い方がいいですよ!勿体無い。
姫に反抗されて、「こんのぉ~!」と言うランスロットもとても可愛いです(*^ ^*)。

二人が舞台センターで芝居をしている間、上手のセットの陰でいちゃついている(←違う)アーサーとケイが、とても可愛いです。アーサーが屈託なく笑う場面はすごく少ないので、貴重な場面でした。ありがとう生田さん。


ランスロットと追いかけっこをした末に、おしのび中のアーサーにぶつかるグウィネヴィア。
咄嗟に「お怪我は!?」と同時に叫ぶランスロットとケイ。
ランスロットは「ん?」と思ったくらいだけど、ケイとアーサーはすぐに気がついて「おめ、でぇじょぶかあ?」と田舎言葉で言いなおす。……千寿さん、千葉県出身だそうだけど巧いなー(^ ^)。

たまたまぶつかった村人(に変装したアーサー)に、キング・アーサーがどんな人かを尋ねるグウィネヴィア。
つい「姫」と呼びかけてしまうランスロット。……正体ばればれだよ君たち。
くすっ、と笑って、「熊みたいな男だ」と教えるアーサー。

アーサー王の紋章は熊(大熊座)だから熊なんだろうなあと思いつつ、その茶目っ気たっぷりの笑顔に見惚れてしまった私は、たぶんホントにファンなんだと思います(←いまさら)



いろいろなやり取りをしつつ、最後、わがままを言う姫を軽々とお姫さま抱っこして上手にはけていく真風くんがめっちゃかっこいい!やっぱり、騎士はそうでなくっちゃ!!(←なんのことですか)


それを見送って、「なんと愛らしい姫だ……!!」と嬉しそうな貌をするアーサー。初見のときはなんとも思いませんでしたが、2回目は、すでにこの場面で涙が出て止まりませんでした(^ ^;
王者の恋が禁じられた世界で、自分の妻に恋をした男。……彼があんなに生真面目でなければ、もう少しだけ無責任だったなら、あんなことにはならなかったかもしれないのに。

キラキラとした笑顔で「さあ、我らも戻らねば!」と言って走りだす若き国王と、そんな彼をやれやれと追いかける側近。幼馴染みの気安い二人の距離感がすごく良かったです。
ってか、もう、とにかくアーサーが可愛いっ!!(^ ^)



プログラム的にはここから「第2場A キャメロット・城内」という場面になるのですが、音楽的にはそのまま続いているので、あんまり切れてる感じがしません。
たぶん、村人たちが役(騎士たちと侍女たち)に戻って出てくるので、表記の関係でわけたのかな?


しっかし、こうやってあらためて書いてみると、濃いなあ全てが。
小芝居に追われているわけでもないのに、どうしてこんなに書くことがあるんだろう(滝汗)。



コメント

nophoto
駿馬
2011年9月6日18:06

駿馬=「しゅんめ」が常用と思われますが、「しゅんば」とも読むのですよ。サウンド・ホライズンの楽曲中台詞での読み方が「しゅんば」なので恐らくそれに合わせたのかと。

みつきねこ
2011年9月7日0:43

駿馬さま、教えてくださってありがとうございます!
なるほど、そうなんですね。生田さん、拘りだなあ。
本当にありがとうございました。本文は修正させていただきました。