宙組公演「美しき生涯」について。
もうすぐ千秋楽なのでちょっと焦りつつ(^ ^;



■第八場B 愛と義の狭間

前場で茶々と三成が抱き合ったところから始まる、「悪夢」の時間。
暗転後のスポットを浴びて、山伏(天羽/代役は風莉)の朗々たるソロ。
「愛と忠義 どちらを選べばいいのか」
繰り返されるフレーズが悲しく耳に残ります。

たまちゃんの声も好きだったけど、ちや姉の声もドラマティックで良いなあ(感心)。

カルマダンサーは素晴らしきダンサーぞろい。去年のプラズマメンバーがほとんどはいってるよ!!今回の公演で、芝居ショーを通じて一番のダンスシーンといえば、この場面だと思ってたりします(^ ^)。
珠洲さん、あこ姐(大海)、(鳳樹)いちくん、(美風)凜ちゃん、(琴羽)桜子、あっきー(澄輝)、えびちゃん(綾瀬)、(舞花)くるみちゃん、アリエッティ(百千)、愛白もあちゃん、ゆいちゃん(結乃)、かける(風馬)。12人全員素晴らしいけど、個人的には新公でも同じ場面に入ってたゆいちゃんがすごく好きでそこばっかり観てしまいます。ゆいちゃん、本公演では下手奥で踊ってるけど、新公は上手側だったんだよね。あこ姐の位置なのかな?この人の身体は鞭のようにしなやかで、長い手足をしならせて空気を切り裂く感じなのがとても好みだったりします。
あとは化粧がなんとかなればなー。カルマダンサーは良いんですが、ショーの化粧はまだまだ改良の余地があると思うんですよね。惜しい!

あとは。。。やっぱり珠洲さんのダンスは別格で格好良いです!(はぁと)
あっきーのダンスもきっちりしてて好きなんですが、あまりにも美人すぎて、すっかり娘役だと思って観てる自分に時々気付いたりしてます。
娘役もみんな巧いけど、やっぱり桜子のキビキビしたダンスが大好き!えびちゃんのバネ、くるみちゃんのしなやかさ、そして、凛ちゃんの優雅。宙組下級生のダンスのレベルは高いなあ。


……などと、あちこちキョロキョロしているもので、あんまり祐飛さんとすみ花ちゃんを観てないかも(^ ^;ゞ
カルマ(業)に翻弄される三成と、手を伸ばしても何もつかめない茶々。切ない恋人たちの芝居も大好きなんですが……ごめんなさいm(_ _)m。



■第九場 大阪城・北の丸

ここで、やっと冒頭の場面の続きに戻ります。

「若様でございます!」と呼ばわりながら城の中を走り抜けるたつの(すみれ乃)。
花見の宴の会場から、ぐだぐだとお喋りしながら中庭に向かう脇坂(春風)・平野(鳳翔)、糟屋(蓮水)、片桐(凪七)。
「おかしいとは思わぬか」
「100人からいる側室で、お子を産みまいらせたのは茶々さまお一人」
「……お子は、本当に上様のお子か……?」
「しぃっ!滅多な事を言うな!!」

誰の耳があるかもわからぬ銀橋で、そんな危険な話をするなよ!うつけ者ども。と思いつつ。

ここは、ちーちゃんが「こうだぞ!」と言いながら切腹の真似をするところが何故か好きです。あと、意外とカチャの芝居が好きだったりする。ひょうひょうと浮いた雰囲気があるのが、片桐という人間のイメージに合っているような気がします。……なんとなく。

本舞台で、喜々として棄丸(鶴松)を抱いている秀吉、
それを見守る茶々、そして、茶々づきの侍女となったさぎりとたつの。
真ん中あたりでぽけらっっと呑気に笑っている、えなちゃん(月映)の笑顔がすごく可愛い。

現れた三成に、棄丸を抱くよう勧める秀吉。
「淀からも言え」
と言われて、逡巡しながら、三成の貌も見ずに
「抱いてやって……おくれ」
と呟く茶々が切ないです。

登場したときから、どこかおどおどとした三成の態度。
いろいろバレバレすぎて、これは絶対秀吉も知ってて言ってるよね、と確信してしまうんですよね。三成の態度も、茶々の態度も、なんかおかしいもん。

三成に抱かれて、機嫌を直して笑いだす棄丸。
そんな光景の眩さに、茶々は思わず目を伏せ、秀吉は手を打って喜び、寧々は眼を逸らし、
……さぎりとたつのは、ニヤリと口の端で笑いながら目を交わす。

「へくちっ」
とくしゃみをして、茶々に部屋へ戻るよう諭される秀吉。
表を伏せてついていく寧々。
息をついて、すっ、と三成の傍に寄り添おうとする茶々。

ふいに棄丸の様子が変わる。
一気に緊迫感を増す空気。
御匙を呼びながら足早に下手袖へ戻る一同。舞台表に残るさぎり(純矢)。
客席へ笑みを残して、上手へ向かう。……寧々のところへ報告に行こうとしたのかな?

そんな彼女の前に、立ちふさがる疾風。
「鶴松君に毒を盛ったのはお前だな!命じたのはおねか!?」

……この台詞のイントネーション、ちょっと違和感があるのは私だけでしょうか。
「どくをもったのは」ってあのイントネーションであってるのかなあ…?

まあ、そんなことはおいといて。
せーこちゃんの「知らぬ」「知らぬ!」といういらえも、毎回若干の違和感をおぼえておりまして。
ここの会話は、新公の方がすんなり入れたんですよね。特に(藤咲)えりちゃんの最初の「知らぬ」のさりげなさは秀逸だった。それでこそ、二度目の「知らぬ!」の迫力が活きたんですよね。公演も終盤になった先週あたりから、せーこちゃんの二度目の「知らぬ!」も迫力を増して格好良くなってきたんですが、最初の返事はもう少し自然な感じでもわかると思うんだけどなー。

さぎりの懐剣と疾風の長剣での立ちまわり。ここは、大劇場の方がちゃんと剣を合わせてる感じがしたような気がします。東宝ではセットの位置が微妙に違うのか、立ち位置が変わったような……闘っているようには見えなくなっちゃったんですよね……残念だ。

崖(?)に追い詰められたさぎりが、振り向いて構える。
「いつまでもあんたに舐められてはいないんだよ!」
さすが元男役。迫力のある良い声です。
「あたしだって、しのびだからね」
……でも、その後の台詞はもうちょっと色気というか、甘さがほしい……と思うんだけどなあ……。


覚悟を決めたさぎりの迫力に呑まれて、一瞬剣が止まる疾風。
「鶴松ーーーーっ!」
茶々の悲痛な叫び。

一瞬気をとられた隙に、剣先をつかんで自らの胸に納めるさぎり。
驚きのあまり咄嗟に動けない疾風。

「良かった……あんたに、逢えて」

精一杯の、愛の告白。
愛してはいけなかった男に別れを告げて、ちゃんと「愛している」と教えるために。
「生まれてきた、かいが、あった……」
これがあたしの心臓の音。あんたには判っているはず。
そんなフレーズをソラミミしながら、身を投げる女を見守って。

「姉上!」

本舞台下手で、さぎりの妹・たつのが叫ぶ。
茶々たちといったん引っ込んだたつのが、首尾よく仕事を終えたことを姉に報告しに来たんですよね、たぶん。あるいは、寧々のところに直接報告に行くところだったのかな?
とにかく彼女は中庭へ戻ってきて、そして、姉の最期を見届けることになる。
……交わされた会話は聞えなかったけれども、命を喪う瞬間は視た。。
疾風の腕に握られた長剣が、姉の胸に突き刺さり、そのまま落ちた……その光景だけは。

たつのはこの後、ラストシーンまで出てきませんが、この場面の後は何をしていたんでしょうね。そのまま(出てこないけど)寧々のスパイとして茶々についたままだったのか、寧々との契約を破棄(?)して別のところへ行ったのか。
ラストの登場があまりにも唐突なので、なんだかいろいろ考えてしまうんですよね(^ ^。



たつのが一瞬で姿を消すのと同時くらいのタイミングで、セット上の疾風の前に立ちふさがる三成。
鶴松君を喪って泣き崩れる茶々を慰めてやらんでいいのか?と思いつつ、

……彼は、もしかしたら息子を喪ってホッとしていたのかもしれない、なんてことを考えています。
罪の子を喪って心のどこかで安堵しつつ、嘆き悲しむ茶々を視ていられなくて、いそぎ秀吉に報告するために傍を離れた……そんな感じなんじゃないでしょうか。あのタイミングで登場する、ってことは。
続く疾風とのやり取りの中で、鶴松を奪われたことに対するコメントはまったくないしね。



茶々を護るために、自分が傍仕えできるように取り計らってくれ、と頭を下げる疾風。
それが無理なら、危険因子を取り除く。つまり、寧々を殺すぞ、と。

秀吉の側近、七本槍をはじめとする武断派の連中や、前田氏など織田家中の頃から付き合いのある格上の連中を抑えるのに絶大な力をもっていた北政所を、みすみす斬らせるわけにはいかない、と、剣を抜いて疾風を留める三成。


ここでの会話は、この後の展開(の解釈)にとってかなり重要なのですが……
疾風は、茶々の心を救うためにもう一度抱いてあげるべきだ、それで子供ができれば、彼女の立場も護られる(秀吉との間に子供はできないから)、と主張する。
三成は愛と忠義に揺れて逡巡し、はっきりとした返事はしない。

ただ、疾風の本心に気付いてしまったから、彼の望み(茶々の傍について護る)については肯って、剣をおさめる。

主君と愛する女と、どちらも選びきれない自分には、姫を護りきれないことはわかっていたから。



「俺とお前は光と影……」

祐飛さんとテルくん、お二人の並びがお似合いすぎて、ドキドキします。
……歌のピッチも、最近はだいぶ合ってきたかな……?




ちなみに。
この作品の中で、棄丸は生まれて数日で死んだように描かれていますが、史実では病弱ながらもそれなりに生きたようですね。
逝年は数えで3歳。天正19年(1589年)、だそうです。

いっそ、数日で亡くなっていたほうが、秀吉も諦めがついたのかもしれないな、と思いつつ。



コメント

nophoto
はにはに
2011年8月5日20:03

あ、あの…
のんびり楽しんでいたら中日が発表されちゃいました!

しかもあの「仮面のロマネスク」(@_@)

景子先生のコダワリがもう見えます〜
きっとお稽古は深夜までになると予想。

ああ、中日行きたい!

みつきねこ
2011年8月6日0:14

はにはにさま
吃驚しましたねーーーーーっ!!

> きっとお稽古は深夜までになると予想。

うっわー、きっつ……

> ああ、中日行きたい!

行きましょう!!(^ ^)。