東宝劇場公演「美しき生涯」について。


■第三場B 厩(天正11年春)

北ノ庄を逃れた三成と茶々は、疾風の手引きでいったん厩に身を隠す。
気を失った茶々を守る三成に、水や薪を調達する疾風。

「忝い」

礼を言う三成に、さりげなく応じる疾風。
ここで、いきなりタメ口になってるのが、なんとなく疾風らしい。


茶々に口移しで水を飲ませる三成。
呑みこんでいきなり咳き込むあたりがリアルでした(^ ^)。そうだよね、気を失っているときに無理やり水を飲まされたら、普通に気管に入るよね(汗)。

姫の怪我を手当する三成。
そんな二人を、銀橋から見守る疾風。


個人的には、この話、疾風が愛した女を茶々ではなく市にすれば、かなりすっきりするのになあ……と思っていたりします。愛した女の忘れ形見を護る、というのはよくある設定だし、その方がその後の展開に無理がないのですが。
でも、大石さんはあえて疾風⇒茶々の恋を設定したんですよね……結構意図を感じたりもしますが。

銀橋のソロは、東京に来てちょっと雰囲気が変わったような気がします。なんかね、切なくなった(きゅん)……ような(?)。
「心を閉ざして生きる」というあたりの声の伸ばし方がかなり好きです(←細かい)

疾風については「心を持たない忍び」みたいな説明を自分で言ってますが、ぜーんぜんそんなことないじゃん!というのが率直な印象です。くっきりきっぱり、感情剥き出し。「体温低そう」と言われたテルくとは思えない(^ ^)。
祐飛さんと芝居する人って、みーんなそうなりがちなのが面白いなあ。


テルくんが「お茶々さま!」と呼びかけて袖に入ると、本舞台に照明が戻って、手当の終わった茶々が厩の外に出る。
「そなたの為すべきことは何じゃ?」
問いかける姫に、三成が静かに応じる。

一つ目は、天下統一の礎となること。
二つ目は、民が豊かに暮らせることを念じること。
そして、三つ目は?

「答えよ!答えねば、生きのびた意味もない」
茶々の強い声に、三成が答える。

「三つ目は……お茶々さまを生かすこと」


……この時点で、この二人は完全に恋に落ちている(しかもそれを自覚している)というのが、大石さんのイメージなんでしょうか。
銀橋を渡る二人が可愛くて、幸せそうで、ちょっと切なくなる場面です。




ちょっと短いのですが、お二人の愛にアテられたので(^ ^)、今宵はここまでにいたしとうございます。


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