オレンジ色のヴァレンチノ【3】
2011年3月29日 宝塚(宙)シアター・ドラマシティ公演「ヴァレンチノ」。
■第8場 椿姫のセット
保護者(ジューン&ジョージ)つきで、「椿姫」のセットに入るルディー。
スタッフは「黙示録…」とほぼ同じ。監督はまりなちゃん(七生)、助監督は美月くん、カメラマンはモンチ(星吹彩翔)。みんなテキパキと働いていて、とても気持ち良かったです。
舞台奥で衣装を着ているアラ・ナジモヴァ(純矢ちとせ)。衣装がうまくキマらなくて、デザイナーのナターシャ(七海ひろき)を探している。低めの作り声と大袈裟な台詞回しがいかにも「サイレントの伝説的な大女優」っぽくて素敵でした。アラ・ナジモヴァって、もしかして「サンセット大通り」ノーマ・デズモンドのモデルだったりするのかなあ?(←多分違います)
ナジモヴァに呼ばれてセットの裏から登場するナターシャ。元々スタイルのいい人ですが、タイトなスカートが良く似合って、長身だけどちゃんと「美女」に見えましたよ♪
ナウオンなどで見ても随分髪が伸びていたからてっきり地毛でやるんだと思っていたんですが、鬘だったのが意外でした。長さもそんなに変わんないのにー。
「あたしのセットにそんなライトを当てないで頂戴!」というキツい物言いが、突っ張ってて可愛いなーと思ってしまった私は、たぶんかいちゃんを好きすぎるんだと思います。うん。
そして、ナジモヴァとの触れ合いに、全く妖しげなものを感じさせなかったのは凄いなあ(^ ^;。ナジモヴァとナターシャの「パートナーシップ」には色んな説があるようですが、せーこちゃんとかいちゃんは、同期のせいか(?)とっても仲の良い女友達以外のモノには見えなかったよ(^ ^;
ナジモヴァの衣装を簡単に直して(「おお!」と思いました。素敵な衣装だった!)、衣装係(特に妃宮さくら)を叱りつけるナターシャ。
ふと顔をあげて、ナジモヴァの相手役、ルドルフを見凝める。
本能で生きている男の心の底まで、見通そうとするかのように。
子供のように緊張してナジモヴァの前に立つルディーが死ぬほど可愛いです。
いやあん、もう、なんであんなに可愛いんだあの人!挨拶の声もひっくり返ってるし!!
「いらっしゃい、ヴァレンタ~イン?」
と呼びかけれて、
「ヴァレンチノ!」
と訂正するルディーもなかなかイケてます(はぁと)。が、まあ、ここの目玉は
「ナジン婆さん」
と呼びかけてしまうルディーなんですが(- -;ゞ
そう呼ばれて凍りつくナジモヴァ、そして回りのスタッフたち。
それを吹き飛ばすように、腹の底から笑いだすナターシャ、そして、そんなナターシャを見て「ハラショー!」とルディーを賛美するナジモヴァ。
シンプルなやり取りですが、結果的にスタッフたちをリラックスさせ、自分自身を含めたキャストの集中力を高めたルディーの本能は、やはり天性の役者だったってことかな、と思いました。
「椿姫」の撮影が無事終わり、「これまた大成功間違いなし!」と盛り上がる関係者ご一同。
そこへ、一通の電報が届く。
「ここに、ロドルフォ・グリエルミさんって人はいますかー?」
電報配達は美月遥くん……というか、あれは電報配達じゃなくて助監督が雑用の一環として電報も配ってくれただけなのか?相変わらず声は良いし、滑舌はいいし、なかなか役がつかないのが不思議な人だ…。
「あ、はい、ボクです」
と手を挙げて電報を受け取るルディー。カサカサと電報をあけて、、、そして、ぐったりと落ち込む。
「……どうしたの?」
「母が」
ナターシャの前でも臆することなく、あっさりと泣きごとを吐くルディー。
イタリア男らしいマザコンぶりをさりげなく芝居で魅せる祐飛さん。
……なんとゆーか、いいコンビ(?)だなあ。
「私の家に来るといいわ。……占い師のメロソープが来るの」
突然に、男を家に誘う女。
意識しているかどうかはともかく、この時点すでにナターシャに下心があるのは間違いない。
そして。
ルディーには、この時点ではまだ下心は無かったことも、たぶん間違いない……。
■第9場 ナターシャの家
下手から登場するメロソープ(天羽珠紀)の作りこみが素晴らしい!!
プログラムの写真もおおっと思いましたが、実物の怪しさはまた格別です(*^ ^*)。
クッションにローテーブル。アジアンテイストな置物だけでなく、ナターシャの家は生活様式そのものもアジア風なのかな?と思いました。そういえば、衣装も若干アジアンテイストがあるかも。
アラバマ生まれのアメリカ娘ヴィニフレッド・オショーネシーが、「芸術家」の仮面をつけようとして名乗った「ナターシャ・ランボア」。ロシア風の名前ですが、ロシアもウクライナあたりだと遊牧民が多くなるので、ああいう生活様式もありなのかなあ?
あまり深く考えてなくて、単純に「エキゾチックな生活」あるいは「エキゾチックな趣味」というだけのことなのかもしれませんが。
ナジモヴァに「もう祖国へ帰ることはない」と教え、
パラマウント映画の社長ラスキー(寿つかさ)に「今夜出会う若者」についての知識を与えるメロソープ、
言葉一つ一つを真剣に受けとめるナターシャ、
会話を聞き流しながら次の質問を考えてるナジモヴァ。
ルディーが登場するまでの、彼らの無言の会話が面白かったです。
やがてあらわれたルディーに、彼の母親の様子を語る。
「苦しまなかった。幸せに逝った」
「長いこと便りのない息子を心配している……」
ルディーの聞きたい言葉を、そして聞きたくない言葉を教えるメロソープ。
手で顔を覆って泣きだすルディー。
素朴でマザコンで家庭的なイタリアの農夫と、アラバマの田舎娘の恋。
「一緒にみたいものがあるの。……夜明けの海よ」
「……太平洋か!」
「そう。だから、……夜明けまで、一緒に居て」
縋るような女。女を喜ばせたい、悲しませたくない……ラテン男の本能が留まることを選ぶ。
芸術家のインスピレーションじゃない。男と女の、本能の恋。
……でも、ナターシャは認めない。それが本能であることを。
アーティスティック・インスピレーションである、と信じたい。
それがなければ、ナターシャ自身の存在の意味が無くなってしまうから。
ヴィニフレッドではなくナターシャである彼女。
棄てた名前、棄てた故郷。
家庭なんていらない。あたしはナターシャ・ランボア、芸術に魂を捧げた孤高のデザイナー。
家庭なんていらないけど、この男は欲しい。
切り離せると思っていたのか、男に意志があるとは思ってなかったのか。
彼の望む家庭を与えるつもりはまったくないまま、ナターシャは彼を手に入れる。
優しい男。女の夢を叶えるために生きている、ラテン・ラバー。
彼を手に入れた、と思った。
彼の心を手に入れた、と。
彼のことなど、何一つ知ろうとせぬままに。
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■第8場 椿姫のセット
保護者(ジューン&ジョージ)つきで、「椿姫」のセットに入るルディー。
スタッフは「黙示録…」とほぼ同じ。監督はまりなちゃん(七生)、助監督は美月くん、カメラマンはモンチ(星吹彩翔)。みんなテキパキと働いていて、とても気持ち良かったです。
舞台奥で衣装を着ているアラ・ナジモヴァ(純矢ちとせ)。衣装がうまくキマらなくて、デザイナーのナターシャ(七海ひろき)を探している。低めの作り声と大袈裟な台詞回しがいかにも「サイレントの伝説的な大女優」っぽくて素敵でした。アラ・ナジモヴァって、もしかして「サンセット大通り」ノーマ・デズモンドのモデルだったりするのかなあ?(←多分違います)
ナジモヴァに呼ばれてセットの裏から登場するナターシャ。元々スタイルのいい人ですが、タイトなスカートが良く似合って、長身だけどちゃんと「美女」に見えましたよ♪
ナウオンなどで見ても随分髪が伸びていたからてっきり地毛でやるんだと思っていたんですが、鬘だったのが意外でした。長さもそんなに変わんないのにー。
「あたしのセットにそんなライトを当てないで頂戴!」というキツい物言いが、突っ張ってて可愛いなーと思ってしまった私は、たぶんかいちゃんを好きすぎるんだと思います。うん。
そして、ナジモヴァとの触れ合いに、全く妖しげなものを感じさせなかったのは凄いなあ(^ ^;。ナジモヴァとナターシャの「パートナーシップ」には色んな説があるようですが、せーこちゃんとかいちゃんは、同期のせいか(?)とっても仲の良い女友達以外のモノには見えなかったよ(^ ^;
ナジモヴァの衣装を簡単に直して(「おお!」と思いました。素敵な衣装だった!)、衣装係(特に妃宮さくら)を叱りつけるナターシャ。
ふと顔をあげて、ナジモヴァの相手役、ルドルフを見凝める。
本能で生きている男の心の底まで、見通そうとするかのように。
子供のように緊張してナジモヴァの前に立つルディーが死ぬほど可愛いです。
いやあん、もう、なんであんなに可愛いんだあの人!挨拶の声もひっくり返ってるし!!
「いらっしゃい、ヴァレンタ~イン?」
と呼びかけれて、
「ヴァレンチノ!」
と訂正するルディーもなかなかイケてます(はぁと)。が、まあ、ここの目玉は
「ナジン婆さん」
と呼びかけてしまうルディーなんですが(- -;ゞ
そう呼ばれて凍りつくナジモヴァ、そして回りのスタッフたち。
それを吹き飛ばすように、腹の底から笑いだすナターシャ、そして、そんなナターシャを見て「ハラショー!」とルディーを賛美するナジモヴァ。
シンプルなやり取りですが、結果的にスタッフたちをリラックスさせ、自分自身を含めたキャストの集中力を高めたルディーの本能は、やはり天性の役者だったってことかな、と思いました。
「椿姫」の撮影が無事終わり、「これまた大成功間違いなし!」と盛り上がる関係者ご一同。
そこへ、一通の電報が届く。
「ここに、ロドルフォ・グリエルミさんって人はいますかー?」
電報配達は美月遥くん……というか、あれは電報配達じゃなくて助監督が雑用の一環として電報も配ってくれただけなのか?相変わらず声は良いし、滑舌はいいし、なかなか役がつかないのが不思議な人だ…。
「あ、はい、ボクです」
と手を挙げて電報を受け取るルディー。カサカサと電報をあけて、、、そして、ぐったりと落ち込む。
「……どうしたの?」
「母が」
ナターシャの前でも臆することなく、あっさりと泣きごとを吐くルディー。
イタリア男らしいマザコンぶりをさりげなく芝居で魅せる祐飛さん。
……なんとゆーか、いいコンビ(?)だなあ。
「私の家に来るといいわ。……占い師のメロソープが来るの」
突然に、男を家に誘う女。
意識しているかどうかはともかく、この時点すでにナターシャに下心があるのは間違いない。
そして。
ルディーには、この時点ではまだ下心は無かったことも、たぶん間違いない……。
■第9場 ナターシャの家
下手から登場するメロソープ(天羽珠紀)の作りこみが素晴らしい!!
プログラムの写真もおおっと思いましたが、実物の怪しさはまた格別です(*^ ^*)。
クッションにローテーブル。アジアンテイストな置物だけでなく、ナターシャの家は生活様式そのものもアジア風なのかな?と思いました。そういえば、衣装も若干アジアンテイストがあるかも。
アラバマ生まれのアメリカ娘ヴィニフレッド・オショーネシーが、「芸術家」の仮面をつけようとして名乗った「ナターシャ・ランボア」。ロシア風の名前ですが、ロシアもウクライナあたりだと遊牧民が多くなるので、ああいう生活様式もありなのかなあ?
あまり深く考えてなくて、単純に「エキゾチックな生活」あるいは「エキゾチックな趣味」というだけのことなのかもしれませんが。
ナジモヴァに「もう祖国へ帰ることはない」と教え、
パラマウント映画の社長ラスキー(寿つかさ)に「今夜出会う若者」についての知識を与えるメロソープ、
言葉一つ一つを真剣に受けとめるナターシャ、
会話を聞き流しながら次の質問を考えてるナジモヴァ。
ルディーが登場するまでの、彼らの無言の会話が面白かったです。
やがてあらわれたルディーに、彼の母親の様子を語る。
「苦しまなかった。幸せに逝った」
「長いこと便りのない息子を心配している……」
ルディーの聞きたい言葉を、そして聞きたくない言葉を教えるメロソープ。
手で顔を覆って泣きだすルディー。
素朴でマザコンで家庭的なイタリアの農夫と、アラバマの田舎娘の恋。
「一緒にみたいものがあるの。……夜明けの海よ」
「……太平洋か!」
「そう。だから、……夜明けまで、一緒に居て」
縋るような女。女を喜ばせたい、悲しませたくない……ラテン男の本能が留まることを選ぶ。
芸術家のインスピレーションじゃない。男と女の、本能の恋。
……でも、ナターシャは認めない。それが本能であることを。
アーティスティック・インスピレーションである、と信じたい。
それがなければ、ナターシャ自身の存在の意味が無くなってしまうから。
ヴィニフレッドではなくナターシャである彼女。
棄てた名前、棄てた故郷。
家庭なんていらない。あたしはナターシャ・ランボア、芸術に魂を捧げた孤高のデザイナー。
家庭なんていらないけど、この男は欲しい。
切り離せると思っていたのか、男に意志があるとは思ってなかったのか。
彼の望む家庭を与えるつもりはまったくないまま、ナターシャは彼を手に入れる。
優しい男。女の夢を叶えるために生きている、ラテン・ラバー。
彼を手に入れた、と思った。
彼の心を手に入れた、と。
彼のことなど、何一つ知ろうとせぬままに。
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