東京宝塚劇場にて、雪組新人公演「ロミオとジュリエット」を観劇してまいりました。



奇しくも今日は、「WEST SIDE STORY」月組版の大劇場新人公演からちょうど11年目の記念日。
おなじ3月3日の雛祭に、おなじ戯曲からインスパイアされた二つの世界的なミュージカルの新人公演が上演される、というのも面白い偶然ですよね。

ちなみに。
「あの日あの時みつきねこ」的には、1998年3月3日は、大劇場新人公演のチケットを握り締めて会社で泣いていた記念日とゆーことになります(^ ^;。
祐飛さんといい、としちゃんといい、、、唯一の新人公演主演を大劇場では観られなかった、っていうのは運命かもしれませんね。っていうか、11年が過ぎてもまだ同じことをやっている私がいかんのか?(T T)。




話を戻しまして。
雪組新人公演。すごく良かったです!!
メインキャストの中に実力的に破綻のある人がいなかったので、すごく気持ちよく観ることができました。
ただ、あらためてこの音楽は本当に難しいんだな、とも思いましたが(^ ^)。実力派ぞろいのメンバーなのに、思ったよりみんな苦戦していたなー、という意味で。
元々の実力が違っても、「毎日歌い込む」ことで技術的に磨かれて、実力以上の表現力を発揮できる。それが舞台の面白さであり、「持ち歌」の価値なんだな、と思いました。



新人公演演出は、野口幸作さん。
寡聞にしてお名前を聞いたのが初めてのような気がしますが、今まではどんなお仕事をされた方なのかしら。実際に単独で名前のでる仕事をするのは初めてなのかなあ?

演出的には、「新公ならでは」の演出は特になく、キャラクターの造形も、基本は本公演の役に沿った形で作っていたような気がします。はっきりと性格を変えて創ってきたのはベンヴォーリオ(香稜しずる/未涼亜希)くらいで、あとはそんなに、意思をもった違いは感じませんでした。(役者が違うので必然的に違うところはもちろんありましたが)


あ。
「新公ならではの演出は特になく」と書きましたが、もちろん一本ものの新人公演ですからカットはあります。
野口さんがどこをカットしたかというと、一幕前半、「ヴェローナ」~「僕は怖い」までをばっっっっさりと!!
いやー、「いきなり仮面舞踏会から始まる」というのは大劇場のときに噂で聞いてはいたのですが、やっぱり実際に自分の眼で見ると仰天しちゃいますよね(^ ^;ゞ。「まさか!?」という感じでした。

ただ、冷静に「じゃあどこをカットすればよかったのか?」と考えると……
あまりにも音楽と物語が緊密に結びついている作品ゆえに、場面としてカットできるところがほとんどない。すべてが本筋、という構成なんですもの。脇筋がないから、場面ごとカットすることは難しいし、ちまちまとつまもうとすると、場面として切りたいところと音楽で切れるところがずれていてカットできない。

「エリザベート」も条件はよく似ているんですが、「ロミオとジュリエット」には語り手がいない、というのが致命的な違いですね。「エリザベート」にはルキーニがいるから、カットした場面を説明して話をつなぐ役割を彼に押しつけることができたけど、「ロミオとジュリエット」では、その手が使えない。
となると、割り切ってどこかをバサッと切るしかないんですよね……。

まあ、個人的には「ガイズ&ドールズ」新人公演の、ほぼ本公演どおりで一幕を流して、二幕を全部飛ばしていきなりラストの結婚式に吹っ飛んだ……という伝説級の無茶カットに比べれば、今回のカットなんて可愛いものです。
最初の驚愕は大きかったけど、そのあとは本公演どおりで流れていくのですぐに慣れたし。

A BOY MEETS A GIRL.すべてのラヴストーリーの発端はそれなんだから、そこから話を始めよう、というのは、間違ってないな、と思いました。
ただまあ、個人的に「世界の覇者」がとても好きなので、それがなかったことは残念ですが。
……まあ、一本モノ作品の新人公演を観る場合は、その前に少なくとも一回は観劇しておきましょうね、ってことかな(^ ^)。



ロミオの彩風咲奈。
誠実で優しくて幼い、笑顔が可愛い少年ロミオ。キムちゃん以上にピュアな役作りで、歌もすごく良かったです。
声が明るくて軽いので、前半の恋に舞い上がったロミオは本当に嵌り役でした。二幕に入ってドラマティックなナンバーが続くとちょっと苦しそうでしたけど、想像していたよりずーっと良かったです。
面白いな、と思ったのは「僕は怖い」リプライズ。
彩風さんは、このリプライズをすごく甘く(?)歌っていたような気がします。キムちゃんは、かなりこのリプライズに力をいれて、一幕からのロミオの変化(成長?)を表現していましたが、新公は一幕前半がカットされたのでリプライズだけだったんですよね。ごくごくシンプルに歌っていて、ああ、これもありだな、と思いました。

ビジュアルもがんばっていたと思います。まず、痩せたね!!丸顔なので、顔だけ観ているとあまり痩せた気がしないけど、あの衣装を着てすっと立っていると、スタイルの良さにびっくりしました。
化粧というか、表情の見せ方がまだまだ幼いなーと思いましたが、まあ、ロミオ役については違和感は無かったです。
うん、すごく良かったと思います♪



ジュリエットの愛加あゆ。
経験豊富な上級生のジュリエットは、とても安定感がありました。表情豊かで可愛かったです。
歌は、私の期待値が高すぎたみたいでところどころ残念なところがありましたが、そこそこ歌えていたと思います。ただ、ミミちゃん(舞羽美海)よりずーーーーっと巧いと思っていたのに、レベルとしてはあまり違いを感じなかったのが意外でした。毎日歌い込むって大事なことなんだなあ(しみじみ)。



ベンヴォーリオの香稜しずる。
いやー、良かったです。まず感心したのは、ちゃんと粗忽者だったこと。いや、別に何か失敗とかしているわけではないので全然粗忽じゃないんですけど、表情の豊かさと明るさ、そしてやんちゃっぷりが納得感を出しているんだと思います。
二幕に入り、「♪街に噂が」でロミオの訴えに耳を傾ける真摯な背中がとても好き。
そして、やっぱり「どうやって伝えよう」の慟哭は素晴らしかったです(はぁと)。



とりあえず、今夜のところはこのあたりで…と思ったのですが、やっぱりあと一人だけ。

ロレンス神父の帆風成海。
素晴らしかったよーーーー!!
今回の新公、私的にVIPです(^ ^)。歌も芝居も良かったー!
ロミオとロレンス神父の二人が、ちゃんと年齢差を感じさせつつ、お互いに遠慮のない芝居をしていたのがとても良かったと思います。
「同期の絆」もあるのかもしれませんが、とにかく二人の間の絆がすごく深くて、強いんですよね。何かといえば神父に甘えにいく少年と、そんな少年を目に入れても痛くないと思っている神父。そんな日常が容易に想像できて、「何故」の慟哭が胸に沁みました。
あとやっぱり歌が良くて、まだ若いのに本当に良い声してるなーと感心しました(←いまさら?)いやはや、良い役者になってくれそうで嬉しいです♪♪



とにかく、楽しい新人公演でした♪
続きはまた後日☆



コメント