東京宝塚劇場にて、「誰がために鐘は鳴る」を観劇いたしました。



東京に来て、何回目かな……5回目?(^ ^)。
細かい変更点はありますが、それ以上に、演者の気合が違ってきたような気がします。
6日の日記にも書きましたが、あそこで一化けしたあと、回を重ねるごとにどんどん化けていっている、そんな感じ。


うーん、何が違うんだろうなあ…。
どうもよくわからないんですよね、正直なところ。
シンプルに、東宝の二階席は音がいいから良くなった気がしてしまっているんじゃないかと思ったりして。


……でも、たぶん何かが決定的に違うんだろうなと思うのです。それが「何」なのかはわからないんだけど、ロベルトの位置づけが「仲間」から「ゲスト」に変ったのも、その一環なんだろうな、と。




ただ、とりあえず原作のロベルトに色濃くある「ジャーナリスト魂」みたいなものは、元々の柴田さんの脚本には無いんですよね。
ロベルトはあくまでも「技術者」としてゲリラの前に現れます。「技術者」、、、あるいは「指導者」として。

これって、初演の時からそうだったのかなあ?と、時々思います。
今の宙組は、良い意味でも悪い意味でも祐飛さんが突出しているイメージがあって、祐飛さんが演じると何の役でも指導者にみえてしまう……というか、むしろ、みんなが祐飛さんを慕いすぎているというべきなのかもしれませんが(^ ^;。
(だってみんな、あまりにも素直で可愛いんだもんー!)


でも、東京に来て、、その「突出感」が少し抜けて、その代わりに「ゲスト」感が出てきたのが、作品としての安定感になったのかな、と思いました。
……なんか巧く表現できなくてすみません。




そういえば。
木村さんが、プログラムか何かで「『ナイン』のような、夢(回想)が現実に滲出してくるかのような」と今回の回想シーンの演出について語っていましたが。

うーん、やっぱり木村さんの演出はちょっと即物的なんだよねー、と、残念な気がします。やりたいこと(イメージ)はわかるんだけど、現実に舞台に載っている情景は、ちょっと違う……と思う。
演出じゃないけど、マドリードでの新曲に「♪フランコはかなり強い」って歌詞をしれっと書いちゃったりとか、そういうところに現われているんですが……
うん。「即物的」って言葉が一番ぴんとくる、かな。


木村さんが参考にしたという「ナイン」の心象風景の表現や、一年前の「カサブランカ」で、リックがパリの回想に入っていく場面の表現とか、、、「夢」と「現実」を往き来する演出っていいのはいろいろあると思うんですが。
……うーん、難しいのかなー。



バレンシア幻想の前の演出。ピラールの言葉にかぶさってかかる音楽、ゲリラたち一人一人の本音が漏れだす……それが、エル・ソルドの台詞と共にぴたっと止まり、スポット暗転……バレンシア幻想へ、というあたりの演出はグッとくるんですが、それに続く場面が「回想シーン」ではなく、完全なショーシーンになってしまうのも、ちょっと違和感がありました。

ピラールと入れ替わって歌いだす七瀬りりこ嬢の歌はとても素晴らしいんですが、彼女ではショーのセンターは取れないし……。そうなると、ああいう構成にせざるをえなくなるんですが。
たとえばここでピラールの若いころという設定でスタークラスの娘役と入れ替わって、出番の少ない若いスターがフィニート(ピラールの元恋人)に扮して踊る、とか、そういう演出は無理だったのかなあ?と思ったりしました。

あのピラールによるバレンシア時代の回想は、原作の中でも案外と大きな部分を占めるので、もうちょっと使いようがあったのでは……と、最近やっと原作を読み返しているので、しみじみと思ったりします。




そういう演出上の「?」なところは、大劇場も東京も全然変わっていないのに、どうしてこんなに、観たときの印象がちがうのかなあ……

単純に、一人一人の芝居がかみ合ってきたから、っていうことになるのでしょうか。
ゲリラたち、みんな楽しそうに演じてますもんね。




とりあえず、すみ花ちゃんがまた一皮むけた感じに可愛くなって、すごく嬉しい(*^ ^*)。
原作をあらためて読んで、やっぱりすみ花ちゃんのマリアは原作のマリアとはちょっと違うんだな、と思いました。もっとずっと、主体的にロベルトを愛していますよね(^ ^)。傷ついても、どんな過去があっても、意思を持って生きている少女。
「うさぎさん」と呼ばれているけれども、彼女はただの「弱き者」ではないんですよね。草食動物なりに、精一杯の意思を持って生きている。

「あたしは何も学ばなかったけど、幸せになれたわ…」
この台詞が、大劇場では神さまに捧げる言葉みたいに聴こえて、あまり好きではなかったのですが。
今のマリアは、この言葉にちゃんと本心が入っているなと思います。



祐飛さんとすみ花ちゃん。
どっちが先に変るのか、常に舞台の上で勝負しているトップコンビ。
やっぱり大好きだ(*^ ^*)。

と、いうあたりで、まとまらないまま終わります(汗)。


コメント

nophoto
r
2011年1月18日12:55

こんにちは
ロバートはどうして義勇軍に入ったんでしょうね?
世界の警察を自負するアメリカ人の悪い癖だよねっとちょっと思ったりもしましたが、もっと純粋に「愛するスペインを牛耳じろうとしているファシストが許せないアメリカ人」っというところでしょうか(笑)。
私は東京初日からしか見ていないのですが、ねこさんの書かれている様に、歓迎すべきゲストに本当に見えて、ピラールが信じる人なので信じるみたいに感じてそれでいいのか?っと思ったのです。
14日に見た時、最初握手する時にこの人を信じていいのかみたいな不信感をあらわにしているのが見れてちょっと安心しました。特にプリミティボとアンドレスに強く感じましたね。
ロバートとマリアって木村先生の話でもっと宗教色が強いのかと思ったのですが、純真なでも強さを持った少女にうっかり惚れてしまった青年戦士という感じでしたね。祐飛さんの優しさオーラははんぱじゃないです。
次回はどんな感じに変わっているのか楽しみです。

みつきねこ
2011年1月19日0:46

rさま
コメントありがとうございました♪

> ロバートはどうして義勇軍に入ったんでしょうね?

あの時代は世界的に国際義勇軍に入るのが流行りみたいなところがあったようなので、そういうノリだったんじゃないでしょうか。台詞では「ヘミングウェイにならって」、みたいなことを仰ってますしね。
原作だと、この愛するスペインが平和になったら、みたいなことが書いてあるので、

>「愛するスペインを牛耳ろうとしているファシストが許せないアメリカ人」

が正しいのかも(^ ^)。割とシンプルな愛国心のような気がします。祐飛さんのロベルトを観ての印象ですけど。

> ピラールが信じる人なので信じるみたいに感じてそれでいいのか?っと思ったのです。

そんな感じでしたよね。
ちなみに、大劇場ではもっと歓迎ムードだったんですよ(^ ^)。
最近は結構、人によって違う微妙な感情が出てきていて、一人ずつの反応を観ているのがたのしいです。

> ロバートとマリアって木村先生の話でもっと宗教色が強いのかと思ったのですが

祐飛さんとすみ花ちゃんには、あんまり宗教色がありませんね、そういえば。
リアルに恋をしている二人、って感じ。
私も、あの優しさが大好きです!