ここ数ヶ月で、観たのに日記に書いていない作品について、落ち穂を拾わせていただきます。
……こんなにたまったのは久しぶり、かな?だいぶ記憶に遠いものもありますが……どうぞご容赦を。


■まさかのCHANGE(7月)
うわー、なんか懐かしい(^ ^)。宙組公演「Trafalgar!/ファンキー・サンシャイン」と同時だったので書き損ねてしまったのですが、楽しい公演でした。
タニちゃん(大和悠河)と七帆ひかるさんが出ていたので、宙組関係者が日比谷に大集合してる!と思ったりしたなー、そういえば。

作・演出・振付は玉野和紀。初演は1995年、再演が2001年。もう15年も前の作品なんですね。私は今回初めて観たのですが、以前のバージョンも観てみたかったなー、と思いました。
ある劇団の看板女優(保坂千寿)、わがままで女王様気質な主宰(大和)、そして、気の弱いダンサー志望の青年(中河内雅貴)。これに、劇団員の七帆くんと徳垣友子さんたち6人、巻き込まれる三人の男性陣、これに玉野さんを加えた、総勢13人の舞台でした。

「入れ替わり」系のコメディだということは知っていたのですが、当然のように入れ替わるのはちーさんとタニちゃんだとばかり思っていたので、中河内くんと入れ替わったときには吃驚しました。
ちーさんはちーさんで、一人二役で入れ替わるんですけどね(^ ^)。

作品的には玉野さんらしい力づくなコメディで、楽しかったです。
ちーさんのスタイルの良さにクラクラしました。身長がたいぶ違うけど、バランスならタニちゃんにも全然ひけをとらない!(@ @)。年齢はずいぶん違うのに、すげーーーーっ!!むしろ、タニちゃんは宝塚を卒業してからすっかり女らしくなったので、ちーさんの男役姿を見てみたくなりました(^ ^)。
途中のショー場面でそれはそれはステキな衣装を着るんですが、あの長い長い美脚を惜しげもなく見せてくれた衣装が凄い。っていうか、あの年齢で頭の巨大なリボンが似合ってるって、どゆことっ!?

タニちゃんは、卒業後初めて観たのですが、すっかり女らしく美しく、色っぽくなってて、男役時代よりずっと良かったです。パンツスーツの色気がいい。「元」男役としてのパンツスーツではなく、ちゃんと「大人の女」のパンツスーツとして似合っていたのが嬉しい♪

中河内くんも良かったです。美形だし、売りのダンスはさすが(はぁと)。歌も芝居も一定レベルをクリアしてる。
去年の「シラノ・ド・ベルジュラック」のクリスチャンを観なかったことを若干後悔しました(^ ^)。

七帆くんは、相変わらず可愛いなあ(あれっ?)。劇団内では男役、という設定でしたが、素の女の子っぽさがあってなかなか良かったと思います。劇団の女の子たちは皆、西園寺(大和)に惚れてる、っていう設定だったんだけど、ちょっと苦笑いしながらそれを眺めている感じが良かった。うん。また舞台にでてほしいなー。


ひょんなことから巻き込まれて、一緒に舞台に立つことになる三人の男性陣。

らっぱ屋のおかやまはじめさんは、生命保険の営業マン。なんというか……おかやまさん、ミュージカルに出るんだ!と思ったら、なんのことはない、初出演でしたか。玉野さんって、本当に顔が広いなあ。ダンスは「出来ない」前提の作品ですが、いちおうそれなりに形がついていたのは、玉野さんが巧いのかな。まあ、もともとこういう人は運動神経がいいから、なんとかなるものなのかな。

ルドビコ★の林修司さんは、バイク便のお兄ちゃん。
かろやかな芝居で、玉野さんとはあっている気がします。声が良くて、素敵でした。

石坂勇さんは、道路工事の人。
いやー、巧いわ色っぽいわ格好良いわー、本当に。ちーさんたちとのやりとりの間も良くて、面白かった!


玉野さんは、西園寺の祖父で劇団の発起人(の幽霊)と、ショー場面でのゲストダンサーの二役。
おじいちゃんの姿で、肖像画の中にちんまりと収まっている姿は可愛くて可愛くて、本当にそのまま持って帰りたい感じでした。
しっかし自由自在だなあ。。。「玉野さん」がいる、というだけで、やっぱり面白さは3倍くらいになるような気がします。
初演では、安田(中河内)の役は玉野さんだったんでしょうか?最初からお祖父ちゃんだったのかしら。




■タンビエットの唄(8月)
2008年の再演時の日記はこちら。
http://80646.diarynote.jp/200802130225350000/

メインキャストも感想も、このときとほとんど変わらないので、、、、これだけで。

それにしても。
二年がすぎて、なお透明感に溢れて美しく、若々しい土居さんは、やっぱり妖精なんだな、と思いました。
……ティエンもタオも、いつまでも演じ続けてくださいね(^ ^)。


元四季の滝沢由佳さんのダンスは相変わらず素晴らしく、
元月組の彩橋みゆちゃんは相変わらず可愛かったです♪




■W~ダブル~(8月)
ロベール・トマ作、G2演出のストレートプレイ。
いちおうトップクレジットは橋本さとしさんでしたが、実際の印象は中越典子さんのフランソワ―ズが主役だったかなー。
そして、堀内敬子嬢のルイーズが裏主役でした。

いやー、面白かった!!
二転・三転するサスペンスで、脚本が本当に良くできていました。
私は最後の方で観たので1回しか見られなかったのですが、あの結末を知った上でもう一度観たい!!と本気で思ったんですよね。
再演してほしいなあ~~。

敬子ちゃん、本当に素敵な女優さんになってくれて、心から嬉しいです。
でも、たまには歌も聴かせてほしい(^ ^)。今の敬子ちゃんなら、「ガイズ・アンド・ドールズ」のアデレイドみたいな役、ぴったりだと思うんだけどなー。




■今は亡きヘンリー・モス(8月)
サム・シェパード作、小川絵梨子翻訳・演出のストレートプレイ。
家族を捨て、ただ独り辺境の地で暮らしていたヘンリー・モス(中嶋しゅう)。
彼が死んだ家で、彼の息子たちが7年ぶりに出会う。先に来て待っていた兄・アル(谷田歩)と、いま来たばかりの弟・レイ(伊礼彼方)。父が家を出たのと同時期に出て行った兄弟は、お互い腹を探り合いながらぎこちなく接している……。

隣人である現地人エスコバル(田中壮太郎)が、ヘンリーのためのスープを持って訪ねてくる。ヘンリーの死を隠したまま、生前の父親についてあれこれ問いかけるレイ。それを留めようとするアル。
言い争いになり、アルは家を出ていく。
父親の最期の数日を知りたいと思うレイは、死の当日、父親が呼んだタクシー運転手(福士恵二)を探し出し、話を聞こうとするが……。



久世星佳さんが出演されるというので観に行った作品でしたが、なかなか興味深い作品でした。
支配するものとされるものが逆転に次ぐ逆転を繰り返す、非常に痛い物語で、正直、観ていて疲れる作品ではありました。
ひたすらに悲惨、というか、、、兄弟たちのエピソードにも、父親のエピソードにも、およそ救いというものがなくて。

でも、私は案外好きかもしれません。
役者が揃っていたので、面白かったです。宛書きかと思ったくらいみんな嵌っていたし。

これと、上で書いた「W」と、少人数のワンシチュエーションもののストレートプレイを続けて観たのですが、どちらも大変興味深く、やはり演劇の原点はワンシチュエーションものなのかもしれないな、と思いました。
役者の力量に任された部分は大きかったんですけどね(^ ^)。

久世さんの色香の無さが、あの怪しげな魔女めいた存在感にはぴったりのような気がしました。
別の女優さんだったらまた全然違う雰囲気になったんだろうなーと思いますが、久世さんだったからこそ視えた部分もあると思います。
個人的には、伊礼くんの芝居力を見直した作品でした♪谷田さんと真っ向勝負、丁々発止とやっているときがめっちゃ格好良かった!!




■シダの群れ(9月)
岩松了作・演出の“任侠シリーズ”第一弾、だそうですが……(^ ^;ゞ
うーん、私にはいまひとつよく判らなかった、かも。
江口洋介さんの「タカヒロ」を主軸に物語は進むのに、作品的な「主演」は阿部サダヲさんの「森本」であるあたりが、作品世界に入りにくかった要因かなあ。まあ、根本的に、ああいう世界に馴れてない、ってのはあると思うんですが。
この後に観た劇団★新感線の「鋼鉄番長」もそうだったんですが、作品の良しあしと、世界に入れるかどうか、ってのは関係ないんだと思うんですよね。「つまんない」んじゃなくて、「よく判らないうちに終わってしまった」って感じでした。

江口さんのシャープな色気と、風間杜夫のダンディな魅力と、伊藤蘭のあでやかさ。そして、小出恵介の新鮮さ。
役者はみなさん素敵でした♪




■牡丹亭~坂東玉三郎~(10月)
昆劇「牡丹亭」を、中国の蘇州昆劇院のメンバーと合同で上演。
仕事のため途中からしか観られなかったのですが、非常に美しく、面白かったです。
玉さまの美しさは、すでに奇跡のようですね。

物語は、ちょっとした幻想譚。
夢で出会った男女が恋に落ち、女(杜麗娘)はその夢の恋に溺れて儚くなる。
男(柳夢梅)は、すでに亡くなった女性であることを知らずに夢の女に恋をして、毎夜の逢瀬を重ねる。
その愛の力をもって(?)大きな梅の木の下で儀式を行い、杜麗娘は復活する。

面白かったのは、恋煩いにやつれた杜麗娘が、自分の美しさが喪われないうちに絵に留めよう、とする場面(2幕)。
鏡を観ながら絵筆を握り、自分の美点を数え上げながら詠じ、絵に描き留めるんですが、音楽と動きがすごくあっていて、歌詞も面白くて(^ ^)素敵な場面でした。
三幕の、柳夢梅の一人語りもなかなかおもしろかったです。
あと、個人的には杜麗娘の侍女である春香(沈国芳)がとても可愛らしく、動きもキュートで魅力的でした♪

ああ、これで昆劇は観たから、次は念願の京劇(覇王別姫)を観てみたいぞー(^ ^)。




■今の私をカバンに詰めて(10月)
グレチェン・クライヤー脚本、ナンシー・フォード作曲、三谷幸喜日本語台本、G2演出。
主演は戸田恵子、相手役は石黒賢。出演はほかに、入絵加奈子、麻生かほ里、植木豪の三人とバンドメンバー。

戸田恵子さん、素敵すぎる!!
この作品は1981年に日本初演。そのときの主演は雪村いづみさんで、戸田さんはアンサンブルの一人(入絵さんポジ)だったそうです。
29年が過ぎて、今、「39歳の誕生日」を迎えたばかりのヘザーを演じる戸田さんの魅力は、本当に計り知れないな、と思いました。

素敵な人。本当に、素直にそう思いました

音楽もパワフルで、出演者はみんなコケティッシュで。魅力的な佳品だな、と。
石黒さんの格好良さと、役としての格好悪さのギャップが、また素敵です♪戸田さんと組むと戸田さんのパワーに持って行かれがちなようにも見えましたが、石黒さんだからこその甘さが、いいブレーキになっていたと思います。
格好悪い男なんだけど、彼なりに必死で虚勢をはっているさまが、可愛らしい。

久々の青山円形でしたが、違う角度でも観てみたいなーと思ったほど、270度の舞台を使いきった演出でした。
いやーーー、それにしてもホントに、ここ数年のG2の活躍ぶりは、すごいなあ(*^ ^*)。


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