金山(名古屋)の中京大学文化市民会館オーロラホールにて、宙組全国ツアー「銀ちゃんの恋」を観劇してまいりました。


…9月も半ばだというのに、まだ7日分しか日記を書いていないなんて!!
ネタは死ぬほどあるのに、なんてこった(^ ^;ゞ
仕事が突然たてこんだのと、遠征疲れでなかなか指も頭も動かなくて……(←言い訳)

すみません、またがんばりますので、よろしくお願いいたします♪





と、いうわけで、名古屋公演。
ヤスがTVタワーから飛び降りたり、名古屋城の金のシャチホコからお堀に飛び込んだり、監督と助監督が京都の撮影所できしめんやひつまぶしを食ったり、「でらうみゃあ!」と言いながら手羽先を食ったり、、、全ツならではの地方ネタアドリブ満載の、楽しい公演でした。


そういえば。
梅田遠征中の速報では書きませんでしたが、二年前の花組版との演出上の大きな変更は、専務(悠未ひろ)まわりの変更以外にもう一つありました。
カメラで実際に画像を撮って、それを舞台上で(リアルタイムに)流す、という演出が無くなったこと。

舞台稽古もままならない全ツでは、この演出は無くなるかもね、と予想はしていたのですが、あのリアルタイムの映像を使う演出はすごく面白かったので、とても残念(T T)。
それだけではなく、舞台上に降りてくるスクリーン自体が無くなって、人吉での暗転後や、階段落ちの場面での映像もカットになったのは意外でした。
二幕の結婚式~悪夢のラストに、階段を上がったヤスの眼の前に降りてくる首吊りの縄も無くなっていたので、会場によっては全く吊りものが降ろせない会場とかがあったりするのでしょうか……?



という訳で、中京公演。
11日・12日の(私的)ヒーローは、愛知県東海市出身の、銀ちゃんのライバル・橘(春風弥里)でした。
祐飛さんに「名古屋出身の」と紹介されていましたが(←違うよね?)、さすが全ツ(^ ^)、ご当地出身者は強いなあ(感心)。
なんだかイキイキと輝いて、とても素敵でした(*^ ^*)。



正直、梅田で観た時点で、橘については「みーちゃんも悪くはないけど、私は(花組版の)めおちゃんの橘が好きなんだなあ」と思っていたんですよね。

でも。中京公演を観て、かなり印象が変りました。
基本的な印象は変わらないんです。めおちゃとは全然違う、「叩き上げの実力派スター」的な印象は、そのままでした。
でも。そのキャラクターなりの説得力がでてきた、というのかな。
みんなの芝居が噛み合って、役としてしっくりきたような気がします。



めおちゃんはホント、銀ちゃんと同じ道を歩いてきた人、銀ちゃんの一番の好敵手であり、一番の理解者でもある、そんな存在に見えたんですよね。
底なしに優しくて、すごく我儘だけど素直に愛情(感情)を示してくれる人。

橘と銀ちゃんの見せ場でもある、階段落ち直前の場面。
自分より大きい橘の胸倉をつかみあげて、真正面から顔を見合わせる『男』二人。
銀四郎の剣幕に驚いた橘が、ふとその瞳を覗き込んで、真顔になる。
「銀の字、おめえ、泣いてんのか?」
「泣いてねぇよ」
「…でも、涙だ」
限りなく優しい、甘やかな声。
お前、絶対銀ちゃんを愛しているだろう!?と真顔で思った二年前。
「これは涙なんかじゃないね。鼻水だ。今日はなぜか、洟が目から出やがんのよ」
「……わかった、わかったから」
銀ちゃんの精一杯の意地を軽く受け流して、謝罪する橘。

めおちゃんの橘の印象は、一言で言うなら「優しくて素直」でした。
下積みなどしたことのない、苦労知らずのぼんぼん。我侭だし、時々突拍子のないことを言い出したりするけど、基本的には誰にでも甘くて、優しい。



対するみーちゃんの橘は、もっと下積みの長い、苦労人っぽいイメージがありました。いろいろと無茶を云うこともあるけど、基本的にはしっかりと地に足のついたタイプ。
一番違ったのは、素直じゃないところかな。
銀ちゃんの前では、決して真顔にならない橘。

「銀の字、おめえ、泣いてんのか?」
だけではなく、
「でも、涙だ」
という台詞をも、嘲りを浮かべたまま揶揄するように云うみーちゃんが、すごくいじわるで、意地っ張りで。
脚本的には殆ど変更のなかったはずの場面なのに、全然空気が違っていて、完全に銀四郎と橘の意地の張り合いになっていたのが凄く不思議な気がしました。


たぶん、銀ちゃんが去ったあとの、専務との会話でみせる穏やかな貌の方が、本来の橘なんだろうな、と思うんですよね。
でも、銀ちゃんの前では嘲りの仮面を外さない。銀ちゃんとは全く違う途を辿って今の地位についた橘が、銀ちゃんと同じような無茶な意地を張る、その、不思議。

銀ちゃんと同じように、いえ、もしかしたらそれ以上に、必死で突っ張って、虚勢を張ったみーちゃんの橘。叩き上げの実力派スター。
その浮きかげんが絶妙で。



梅田で観た時は、まだ私も見慣れていなかったし、演じているご本人たちも完全には噛み合っていなかった感じで、若干の違和感が残ったのですが、一週間舞台の上でぶつかりあってきた彼らの、あの集中力とお互いの役への理解力は、すごいな、と思いました(^ ^)。
専務と語り合い、遠くを視て「主役は銀の字に譲ることにしますよ……」という橘が、驚くほど格好良くて。ああ、全然違う橘だけど、この橘もすごく好きだ!!と叫びたい気持ちでした。




中京公演が終わって、今はまた違うところで戦っているであろう彼らに、
……乾杯。




コメント

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さくら貝
2010年9月17日21:29

うっわあ、ねこ様が橘さんを名指しで語ってくださってる(嬉)!

私は武蔵野・名古屋と観劇したものの、まだ今ひとつ橘さんと
向き合えていないのですが、名古屋の橘さんが好評のようで嬉しいです。
お茶会で伺ったお話ですが、銀ちゃんに胸倉をつかまれる場面は、
ホントにきつく締め上げられたり、そうでなかったりと、
お芝居の流れでその日によって違うのだとか。

相模大野ではどんな舞台になっているのでしょうね~

みつきねこ
2010年9月18日1:34

さくら貝さま

>私は武蔵野・名古屋と観劇したものの、まだ今ひとつ橘さんと
>向き合えていないのですが

名古屋では、橘も銀ちゃんも一回一回全然違っていたので、まだまだ探りながら芝居しているんだなー、という印象もありましたね。
東北から北海道へ回って、また進化しているんでしょうね(^ ^)。

「銀ちゃんの恋」という作品が予想していたよりも全国向きだった(←「蒲田行進曲」というネタに知名度があり、ローカルのアドリブがいれやすい)ことが嬉しいのとは別のところで、こういう深い芝居は、やっぱりバウなりドラマシティなり、固定された中小劇場である程度の期間をかけて上演してほしいなあ…と思いました。
とはいえ、毎回観るたびに盛り上がっているし、楽しいんですけどね(^ ^)。

> お茶会で伺ったお話ですが、銀ちゃんに胸倉をつかまれる場面は、
> ホントにきつく締め上げられたり、そうでなかったりと、
> お芝居の流れでその日によって違うのだとか。

祐飛さんの芝居は日替わりですからね(^ ^)。組んで芝居をするのは大変でしょうけれども、よろしくお願いします!!

nophoto
さくら貝
2010年9月26日13:33

こんにちは。相模大野公演、良かったですよね~!
橘さんのことも「もう一化けしていた」と言って下さってて嬉しいです(^^)

…というコメントを、なぜここにつけているかというと。
「銀の字、おめえ、泣いてんのか?」という台詞について、ふと思ったことがあったので。
ねこ様の15日の記事を読むまで、私は橘さんのその台詞を“揶揄するように”と
感じたことがなかったんです。
でも、25日の舞台を観たら、確かにそんなニュアンスで言っていました。
「銀の字」と声を掛ける時の声は真剣で、「おめえ、泣いてんのか?」で元に戻ったように感じました。
私が勝手に考えていることなのですが、ここの橘さんのからかい口調は、
銀ちゃんへの思いやりなのではないかと思うのです。
銀ちゃんのヤスへの気持ちに気づいた上で、気づいたことを知られたくない銀ちゃんの
気持ちを思いやって、わざとぶっきらぼうに言葉を繋げている。そんなふうに感じました。

「銀ちゃんの恋」も、あとは千秋楽公演を残すのみ。素晴らしい舞台になりますように。

みつきねこ
2010年9月27日1:43

さくら貝さま
コメントありがとうございます~~っ♪

>「銀の字」と声を掛ける時の声は真剣で、「おめえ、泣いてんのか?」で元に戻ったように感じました。

そんな感じでしたね。「元に戻った」というか、「カサにかかった」って気もしましたけど(^ ^)。
銀ちゃんへの思いやり、というよりは、銀ちゃんに負けるまいと意地をはった、あるいは
素直になれなくて弱みを突こうとした、っていう感じかな。
悪ガキ同士の意地の張り合い、みたいな。

でも、その根底に銀ちゃんへの共感があるからこそ、そういう態度に出られるんだと思うんですよね。
そういう意味では、「銀ちゃんへの思いやり」と同義なのかもしれません。

みーちゃんって、意外と頭でいろいろ考えすぎちゃうタイプなのかな―?と思ったりもした千秋楽でした。
すごく素直でピュアだっためおちゃんの橘とは全く違う解釈なんですけど、でも、
みーちゃんの橘も、映画馬鹿の一人なんだなあ、と、その想いはすごく伝わりました(^ ^)。

>銀ちゃんのヤスへの気持ちに気づいた上で、気づいたことを知られたくない銀ちゃんの
>気持ちを思いやって、わざとぶっきらぼうに言葉を繋げている。そんなふうに感じました。

そうそう、なんていうか、、、銀ちゃんに対して「上から目線」ですよね(^ ^)
そういう突っ張ったところが、みーちゃんの橘の可愛いところかもね、と思いました♪