月組大劇場新人公演「スカーレットピンパーネル」。




第二幕第4場 パリ
スカーレットピンパーネル団の決意を表すナンバーに続くのは、革命(というか、その後に吹き荒れた粛清の嵐)に疑問を抱き始めた民衆たちのナンバー。
「マダム・ギロチン」のヴァリエーションが、舞台を暗く染め上げる。

人数は(初舞台生がいるので)本公演とそれほど変わらないとはいえ、学年の若い人たちしかいないのに、よくまとまっていて迫力のあるコーラスでした。月組のコーラスは私が知っている限り(=ここ10年ばかりずっと)弱いんですが、これからは段々に変わってくるのかもしれないな、と思いました。
「血に飢えてる」のフーガがすごくカッコいい(*^ ^*)


がんばってワンフレーズごとのソリストをチェックしたので、書かせていただきますね。
メモでごめんなさい。()内は本役です。

女1 真愛涼歌(紗那ゆずは) 幼げな声が悲惨さを強調したような気がします。
男1 響れおな(研ルイス)  一番音が低くて難しいフレーズをよく頑張ったなーと思いました♪
男2 篁祐希(輝月ゆうま)  荒くれた歌い方もできるんだなーと感心。
女2 楓ゆき(白雪さち花)  ドスの効いた声が素敵!誰だかわからなくて、プログラムをチェックするまで可愛いサリーちゃんだとは思いもしませんでした(汗)。
男3 和希そら(千海華蘭)  学年の割に低い声が良く出てるなー。
女3 夢華あみ(妃鳳こころ) 力強い胸声でした♪


で。
ロベスピエール様(宇月颯)の
「お前はロンドンで何をしていた?」
に痺れました(*^ ^*)。いやぁん、本当に何をしても格好良い!!(はぁと)


「アルマンを拷問して白状させろ。恋人の弟だからといって容赦するな!」
という冷酷な命令を、なんの衒いもなく言い切る指導者っぷりが本当に素敵です。


で。
そう言われて、あからさまに顔をこわばらせるショーヴラン(紫門ゆりや)の弱さが、凄く好きです。
そして、そんなショーヴランの様子にちゃんと気が付いていて、ちょっと心配そうにしつつ(←そう見えたんですけど、妄想でしょうか……)、「私は忙しいんだ!」とでも言いたげに冷たく背を向けるロベスピエール様が、死ぬほど格好良い。

……と、思いました。



まさおくんのショーヴランも、鞭打ちはあまりやりたくなさそうだったけど。
……そう命令されたゆりやんの、傷つきようがとても切なくて。


なのに、空気を読まずに

「アルマンの奴、鞭打ちにしますか?」

と逸るメルシエ(瑞羽奏都)を

「お前は手を出すな!」

の一言で抑えるところは、さすがの迫力だな、と思いました。喉を痛めていたまさおくんと違い、ゆりやんは歌の音域が狭いだけで、台詞での抑揚はちゃんとつけられるから、こういうところは迫力あってよかったと思います♪




第5場 タンブル塔の裏口
ジャンヌ(琴音和葉)とシモン(篁祐希)。芸達者なお二人ですが、この場面の細かい間の取り方は、さすが本役は自然だな、と思いました。
「住所はご存知で?」
というときのさりげなく卑屈な目線とか、、、良い勉強になったのではないでしょうか(^ ^)。

そういえば。あまり意識してませんでしたが、前場の篁くんはいつ引っ込んだのでしょうか。ロベスピエール様と入れ替わりではけたのかな?


オジー以下のスカーレットピンパンーネル団は、なんだか楽しそうでした(^ ^)。いいのかな、あれは。皆可愛かったから良いんですけど、デュハーストたちがいないと、こんなに皆幼い感じになるのか(^ ^)。


本物の公安委員お二人(星那由貴・翔我つばき)は、出てくるタイミングから何から、かなり難しい役なのですが良く頑張ってたと思います。星那くんは姿勢が良くなって、以前よりは偉そうな感じに見えるようになったかな。翔我くん、お化粧も髪型も格好良くなってましたーー♪

兵士たち(麗奈ゆう・優ひかる)は、美形コンビで目の保養でした(^ ^)。




第6場 マリーのアトリエ
ルイ・シャルル(晴音アキ)は、かわいらしすぎて悪戯っ子には見えなかったかも。でも可愛い(*^ ^*)。
「パーシーを信じられない」と嘆くマルグリットに食ってかかるところの迫力とか、やっぱり娘役さんのせいか、声が細くてちょっと神経質な感じで、若干迫力が足りないかも、と思いました。
普通の役だったら、娘役さんとしては可愛くて魅力的なんだろうになあ。

マリー(花陽みら)は、しっかりしている筈なのに肝心なところが抜けていて、でも、憎めない明るいかわいこちゃん、という、少女漫画によくいる感じの、無鉄砲な「少女」。
対するマルグリット(彩星りおん)は、この時代には珍しい、仕事を持った「職業婦人」、独立心のある大人の「女」。

革命の闘士であったころのマルグリットは、今のマリーくらい無鉄砲だったのかもしれない。
でも、今はもう、一人の男を愛する心弱き「オンナ」になってしまった……
アルマンという優しい青年を間において繋がっているようで、まったく接点のない二人、という感じがしました。

本公演では、逆にマリー(憧ゆりの)が「職業婦人」で、マルグリット(蒼乃夕妃)が「夢見る無鉄砲な少女」なんですよね(^ ^)。全く逆のキャラ設定なのに、一言一句変えずに芝居が成立するところが面白かったです。
生田さんの新公って、細かいところまでホントに面白いです♪




第7場 ショーヴランの詰め所~マリーのアトリエ前

皇太子が奪われた、というニュースに、
「私の切り札が!!」
とショックを受けるロベスピエール様がとても素敵です(←どんだけファンなんだ)

「とっととアルマンを拷問しろ!」
と、だんだん手段と目的を取り違えていくロベスピエール。こうやって7月27日(テルミドール9日=ロベスピエール逮捕)に向かっていくんだな、彼は……と思うと、なんだか切なくなるんですよね(T T)。彼は、彼なりの理想に燃えて、革命に飛び込んだはずなのに。


でも、人を、それも昔からよく知っている青年を「拷問しろ」と、尊敬する人からそう命ぜられて傷つくショーヴランを思いやる余裕も喪った彼を見ていると、、、
やっぱり、組織が崩壊する時は、その前に人間が崩壊しているんだろうな、と思いましたね。

傷ついた目をしたまま、アルマンに向かって鞭を振り上げるショーヴラン。
彼の、主人を見失った野良犬のような瞳が印象に残りました。
打たれて倒れるアルマンよりも、振りおろした鞭から目を離せない、遣る瀬無いショーヴランの背中が、とても印象的で。

……って、おかしいな。本公演では「萌」場面だったはずなのに、どうしてこんなにシリアスに語っているんでしょうか、私ったら(^ ^;ゞ




パーシー(グラパン)の珠城くんは、本当にすごいなあ……
やっぱりグラパンの時の声や仕草の変更の幅というのは、経験を積まないと難しいものだと思うので、いろいろ課題はあるのですが。
でも、とにかくあの学年であれだけやれるのは素直に凄い!と思いました。

ロベスピエールとの会話のテンポもいいし、舞台が本当にちゃんと見えてるんですよね。
霧矢さんの指導も良かったんだろうなと思うのですが、それを受け止められるだけの器があるのは、それだけでも凄いことなんじゃないか、と。

ますますの活躍を祈りたいところですが、まぁ、まずは東宝劇場の本公演と新人公演を楽しみにしています!




今日のところはこのあたりで。
あともう少し、、、かな?(不安)



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