東京宝塚劇場にて、花組新人公演「虞美人」を観劇してまいりました♪


……が、その前に一言だけ。
hanihaniさまからコメントで教えていただきましたが、シアタークリエで「サイド・ショウ」のコンサートがあるそうです。
http://www.sideshow.jp/UserPage/Detail/24

6月10日の一日のみ。しかも、岡さんが出演されるのは昼公演のみ(T T)。上演は凄く嬉しいけど、このスケジュールはひどくないか~~~(涙)。

12日には「ニューブレイン」のコンサートもあるし、なんだか凄いなあ、クリエ。「放浪記」の穴を、なりふり構わずに埋めてるって気もしますが。ううむ、もっと暇な時ならいろいろ観たいところだけど、どーして「スカーレットピンパーネル」と同じ時期なんでしょう……すごく無理っぽい(泣)。





さて。
月組新公はほっぽらって(←本当にすみません)、花組新公の速報を。


まず、なんといっても。
(天咲)千華ちゃんが実に素晴らしかった!!


虞美人がタイトルロールであることの意味が、非常に納得できた新人公演でした。
そうか、項羽と虞美人の深く激しい愛が、物語の底に流れていてこそ、「虞美人」なんだな、と。



王陵に斬りつけられて気が立っている項羽に、かすかに怯えながら、それでも挫けずに頬笑みかける虞が、ひどく幼く見えるのが印象的でした。
そんな虞の、儚くも幼い笑顔を凝っとみつめつつ、ゆっくりと綻ぶように息をつく項羽の(鳳)真由ちゃんには、真っ直ぐな愛情があってとても良かった。お似合いのお二人でした(はぁと)。



千華ちゃんは、とにかく姿も声も最高に可愛くて、そして、ラストにつながる「決意」を、最初から驚くほど明解に打ち出してきたんですよね。すごく「幼いなりの決意」という感じがあって、ひどく切なかった。
真由ちゃんの項羽は、そんな虞の決意をちゃんと知っていて、それでも手放すことができなくて、何もかも覚悟したうえで傍に置いている気がしました。
いろんな意味で、『覚悟』のある人だな、と。

新公を観るまで、脚本の根本的な欠点だと思っていた「私は誰も裏切ったことはない」という項羽の宣言。大劇場で観た時、「そもそも初っ端の会稽からして騙し討ちなのに?」と突っ込んでいた猫ですが。
真由ちゃんの項羽は、あの行為を「正義」だと思っているんですね(@ @)。
平和を得るためには、中原を平定せねばならず、そのためには兵が必要だ。だから、殷通には死んでもらうしかない。項羽にも、項梁(冴月瑠那)にも、それがはっきりとわかっている。

どんなに独りよがりでも、あれが「正義」だと思い込める強さがないと、項羽という人物が成立しないんだな、と思いました。自分が思い込むだけじゃなくて、観客にまでその「覚悟」を伝え切れる想いの強さ。そういうモノが、あの役には必要なんだな、と。

同様に、ラストの虞美人の剣舞の場面も。
あれも、項羽が「二人で生きていこう!」と高らかに歌い上げたちょうどその瞬間に虞美人が倒れ伏すのがすごく不思議で、「虞よ、あなた項羽の歌聴いてなかったの!?」くらいの勢いで突っ込んでいたのですが。
……そういう場面じゃなかったんですね……。

「最初の夜」から見えていたラスト。
虞美人は決して自分を見送ることはしない、と。

そうならないために手を尽くし、必死で虚勢を張って生きてきた項羽。それでも、理想家肌の彼の前に現実は厳しく、理想との齟齬に歯がみするばかりで。
……そんな彼が、「四面楚歌」の中で「虞よ、虞よ、私はお前をどうしたら」と振り絞るように歌った彼が、現実を見据えて歌い上げる「二人で生きていこう」。
その歌が、どれほど切なく響くことか。

いくら涙腺の弱い私でも、まさかこの場面で泣くとは思いもしませんでした……
なんか悔しい(- -;




そして。
范増先生の真瀬くんが、予想以上に素晴らしかった!!
いや、もう、大劇場で本公演を観たときからずっと、真瀬くんの范増先生について色んな想像やら期待やら……妄想が膨らんじゃってすごいことになっていて、実際に観たら「なんだ、こんなもんか」と思うに違いない、と思っていたのに。
そんな私の想像を軽々と飛び越えて行ってくれた真瀬くん。……いや、本当に傑物ですねこの人は。

アーサー(煌雅あさひ/張良)も予想以上に良かったけど、范増先生が凄すぎて小物に見えてしまった(汗)。あああ、逆も面白かっただろうなあ。アーサーの范増先生、真瀬くんの張良。み、観たい(^ ^)。





あとは、印象に残った方々を簡単に。

■劉邦(瀬戸かずや/壮一帆)
カッコいい!!
色気のある男前な美貌と華やかなオーラ。壮ちゃんとはまた少し違いますが、存在感の質は良く似ているような気がしました。そのハッタリ感と求心力は凄い!
カットされてしまったラストの花道~銀橋を、観て観たかったなー、と思いました。


■殷桃娘(実咲凛音/望海風斗)
舞台度胸満点、台詞も歌も満点の美少女でした。まだ若いのに、舞台全体がちゃんと見えているし、とにかく度胸がある。これからが楽しみです。舞台の怖さを知って、そして、乗り越えてほしいと思いました。
そして、やっぱりこの役は娘役がやるべきだと思いました……(T T)。いや、だいもんも可愛いんですけどね。でもやっぱり、「男役」と「娘役」は違うんだな、と。
虞美人は男役がやってもいいと思うのですが、桃娘は違うと思いました。
素直にれみちゃん/蘭ちゃんで良いと思うんだけどな~。


■王媼(芽吹幸奈/梨花ますみ)
この役って、こういうアプローチもありなのか!と思いました。
美しくて華やかで、まだまだ現役の女将。
衛布の愛人にしか見えないその存在感と色気は素晴らしかったです。ちょっとお茶目な面もあるのが余計に素敵♪ なんというか、くみちゃんが演じると「良い役」に見える、と思います。うん♪


■虞美人の母(遼かぐら/絵莉千晶)
個人的にかぐらちゃん好きなのですが、こういう弱々しい役もちゃんとできるんだなーと感心しました。項羽が楚に帰国する場面がカットされている(韓信と桃娘の会話で説明されて終了)ので出番は一瞬だったのが残念。


■宋義(天真みちる/悠真倫)
あまりに達者すぎて、何もコメントはないです。まりんさんとはまた違う、個性的な宋義でした。本当に、何をやらせても巧いわぁ。

■紅林(鞠花ゆめ/桜一花)
この役も二幕の出番がカットされているので、宋義の回りをひらひら踊りながら「愛、愛、愛」と歌う場面だけになってしまいましたが、とにかく可愛かったです。丸顔な二人が並ぶのがちょっと面白かった(^ ^)。「銀ちゃんの恋」で焼き肉屋の女将を演じていた鞠花ゆめちゃん、あの女将から子役まで、芸域広いなあ……(感心)


■韓信(彩城レア/愛音羽麗)
良い役をおいしくやってくれて嬉しかったです。今まで観たネコちゃんの中で美形度ナンバーワンかも、というくらいビジュアルが良かった(*^ ^*)。歌もさすがで、安心して聴けましたし、芝居も男前でした♪


■項梁/王翳(冴月瑠那/紫峰七海)
幕あきすぐに登場する項梁は、濃い髭があまり似合ってなくて残念。
ラスト直前に下手花道から登場する王翳(漢軍の将)は、一瞬、なぜスポットを浴びているのかわからなくて焦りましたが、良い声で芝居ができていたと思います。元々滑舌の良い人ですが、小芝居の印象が強くて、ああいう位どりのいる役ができるとは思ってなかったので、嬉しい驚きでした♪
他の場面ではもっぱら兵士でしたが、いやもう、甲冑姿の似合うこと♪素敵すぎる。
そして、酒場の場面(馬鹿のくんだり)の小芝居が楽しそうで楽しそうで、観ているだけで幸せでした。


■呂(梅咲衣舞/花野じゅりあ)
すみません。この役も素晴らしかった!
劉邦への愛と、愛されている自信が見えて、魅力的な夫人でした。
項羽の陣営に囚われた牢での虞美人との対決が実にすばらしかった!!
虞の覚悟と、呂の確信の対比の鮮やかさ。どちらも愛した男ゆえ、に。


■衛布(輝良まさと/華形ひかる)
衛布が桃娘に殺される場面がカットされているので、印象はだいぶ弱まってしまいましたが、輝良くんも黒い役をよくがんばってて良かったです♪ 桃娘がか弱い(?)下級生の娘役なので、少しはやりやすかった……かな?


■季布(大河凜/真野すがた)
細面に甲冑がよく似合って、キレイでした。ラストの見せ場をきっちり見せてくれて嬉しかったです。


■樊噲(羽立光来/夕霧らい)
お芝居巧いですねぇ!!らいちゃんは本当に可愛いというか、雰囲気で持っていく人なんですが、羽立くんはなんというか、かなり作りこんで演じていたと思います。大柄で優しげな雰囲気を生かして、やんちゃな兄(劉邦)にオロオロする不器用な弟、という感じなのがとても良かったです♪


■項荘(日高大地/祐澄しゅん)
剣舞のセンターで踊る日高くんの格好良いこと(*^ ^*)。本当にスタイル良いわ~~♪
課題だった台詞回し(っていうか、声そのもの)も随分改善されて、そろそろ大きな役がついてもいいのに、と思いました。次のショーにちょっとだけ期待。


■劉邦の父(花峰千春/月央和沙)
花峰さんの芝居は温かみがあってすごく好きなんですが、この役も良かったです。さりげなく息子を心配している雰囲気が良い♪


■王陵(和海しょう/彩城レア)
夢見がちな若者の雰囲気があって、その後の行動にも説得力がありました。歌巧いんですねー!!感心。


■戚(月野姫花/蘭乃はな)
可愛い!
あきらくんとの並びがとても良かったです。っていうか、本当に可愛いなあ姫花ちゃんは。



真由ちゃんの挨拶は、ニュースで流れていた大劇場よりはだいぶマシでしたが、それでも相当なぶっ飛んでましたね(^ ^)。
ネコちゃんの挨拶が真由ちゃんの分までしっかりしていてとても良かったので、余計に面白かったです。でも、ホントに一生懸命で不器用で、そして、可愛い人なんだろうなあ。同期も上級生も、下級生に至るまで、皆が皆、あんなに心配そうに主演者を見守っている新公挨拶も珍しいような気がします。(^ ^)
……真由ちゃんがどれだけ愛されキャラか、って話ですかね、あれは。



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