明治座にて、早乙女太一主演「嗚呼、田原坂/早乙女太一 舞踊ショー」を観劇してまいりました。


まずは二幕物の「嗚呼、田原坂」(作:西田大輔、演出:岡村俊一、構成:渡辺和徳)があって、その後さらに休憩をはさんで、劇団朱雀の「早乙女舞踊ショー」という構成。
こういう構成は初めてで、いわゆる三幕構成ともちょっと違う感じでした。
雰囲気的には、明治座主導のお芝居(二幕)のあとに、劇団朱雀のショーがちょこっとついている、という印象。私は劇団朱雀の公演を初めて観たのですが、いつもこういう形式で公演されていらっしゃるのでしょうか……?



「嗚呼、田原坂」

西南戦争の激戦地であった田原坂を舞台に、そこを守り抜こうとした青年剣士・結城新之助(早乙女)の物語。
飫肥(おび)藩の藩士で、天才剣士と呼ばれた新之助。この物語は、あくまでも『新之助の物語』であって、『西南戦争』がテーマではなかったのが面白かったです。


新之助と、新之助の父親(結城惣左衛門/伊吹謙太朗)の後添えに入った伊予(持田真樹。新之助の幼馴染)との、ほのかな恋とすれ違い。伊予いる飫肥を、薩摩を守ろうとする新之助の想いは、ときおり彼の決意からはみだして、彷徨い出てしまう。
伊予が愛しい。その気持ちは父への憎しみに容易にすり替わってしまう。だから、気持ちを押し殺して剣を握る。ただ、喪ってはならないものを喪わないために。


宮崎県の南端、志布志湾の上にあたるところ。当時の「飫肥藩」は、そのあたりにあったようです。土地柄などは想像するしかありませんが、今も昔も、非常に栄えた地域だとは言い難い場所でしょうね。

それでも、島津の旗のもとに轡を並べる南九州勢のひとつ。西南戦争では、当然薩摩側に立つことになります。
久留米から南下してきた政府軍と、熊本までを勢力範囲とする薩摩軍が、田原坂でぶつかり合う。地形的に要所である田原坂を奪われれば、熊本は、ひいては薩摩全土が政府軍の手に落ちる、と背水の陣の薩摩軍。何がなんでも田原坂を奪って内乱をおさめなければ、諸外国に付け込まれる、と必死の突撃を繰り返す政府軍。

ストーリーも人物配置も、意外と骨太なつくり。

……だけど。

なんといっても、見どころは、早乙女くんの素晴らしい殺陣!!でした(はぁと)。

いやー、もう、本当に(^ ^)。3年程前の「Club SEVEN」で観て以来、早乙女くんの殺陣に惚れこんでいる猫としては、今回も殺陣を観に行ったようなものだったんですが……(^ ^;ゞ、すっごい、すっごい、大満足でした★



キャスト的な目玉は、、、
まず、村田新八(薩摩軍大隊長)役の山崎銀之丞さま(*^ ^*)。
もぉ男の色気だだ漏れで♪♪♪、こちらもとっても素敵でした。銀さまと早乙女くんの本気の殺陣がなかった(味方同士だから)のが非常に残念。

そして、野津道貫(薩摩出身の新政府軍参謀長)役の山本亨さん。
こちらは新之助の剣の師でありながら、出身地である薩摩ではなく新政府のために尽くす人物ですが、なかなかに奥深い役作りで、新之助とのやりとりも刺激的でした。
こちらは早乙女くんと何度も殺陣があって嬉しかったです♪

新之助がリーダーとなる抜刀隊の中でも、メインの一人である久坂従吾役の内野謙太さん。
結構複雑な役どころでしたが、がんばっていたと思います。元気よく動いていて、なめらかにスムーズに動く早乙女くんとの対比が良かったです。

あとは、個人的に結構好きな知念里奈さん。
滅んで久しい琉球王国の巫女、という役どころでしたが、独特の存在感が、幻想的な役によく似合っていたと思います。なかなか設定的にも強烈な役で、面白い存在でした。
新之助と少しは色っぽい展開があるものと思いながら観ていたのですが、全く無くてちょっと拍子抜け(^ ^)。いや、知念さんも早乙女くん(男役)もあまり色気がないので、ちょっと無理かなーという気もしたんですが(^ ^;

アンサンブルでは、瑠菜まりちゃんくらいかな、確実に知っていたのは。知念さんに従う三人官女みたいな役に入っていて、ちょっと怖い感じだけどきれいでした。あと、姫咲ひなのさんもいらっしゃいました。可愛かったけど、あまり印象にはのこらなかったかな…。




お芝居についてはそんなところでしょうか。


第三部のショーについては、私は早乙女くんの本気の女形を観るのが初めてなのですが、たしかにこれは評判になるのもわかるわ、と思いました。
美しい、というのか、なんというのか……
現実味がないんですよね、あの姿には。
どんなにライトをあてても、影ができなそうなイメージがある。
あるいは、どんなにライトを浴びても、周囲に闇が凝っているようにみえる……とでも言えばいいのか。

表現しようのない、なにか禍々しいような神々しさがありました。
神秘と畏怖は同じものから生まれる感情なのかもしれない、と、そんなふうに。



基本的に、主演の早乙女太一くんは、色っぽい遊女や花魁の役で一人舞。
その間々を、ご両親(葵陽之介・鈴花奈々)や弟さん(早乙女友貴)がつなぐ感じでしたね。
場面としては、劇団朱雀の若手が勢ぞろいする場面(友貴さんがセンター)の場面が迫力があって面白かったです。また、踊りとしては葵さん・鈴花さんはさすがベテランの味があって、それぞれに見ごたえがありました。
短いショーでしたが、思ったよりバリエーションがあって、飽きずに最後まで楽しめました♪


かなり忙しい時期だったのですが、無理して行った甲斐がありました(^ ^)。
早乙女くんの動きは、本当にきれいですね。バレエ系のダンサーの動きとは全く違う、柔らかな、風に揺れる柳のような美しさ。
一度是非、ダンス系のパフォーマンスに参加してみてほしいな、と思います。


……発声については、これからも舞台で生きていかれるおつもりなら、死ぬ気で勉強していただきたいところではありますが……(^ ^;


コメント

nophoto
ぴょん
2010年5月7日0:57

こそっとコメントさせていただきます(^^)
大衆演劇もちょいと興味がある私なので・・・
やっぱり「男役」「女形」とゆーものについ惹かれてしまうのです(*^^*)
太一くんとゆーと「女形」とゆーイメージが付きまといますが本人は嫌々やってる風なので(^^;他にもっと色っぽい女形さんはいくらでもいるんですよねー。
猫さま同様私も太一くんは殺陣が素晴らしい(はぁと)と思ってます。
確かにあの発声だとミュージカルは出来ないよ~と思うのですが
私は好きなんですよね~あの少年声が(^^)
失礼いたしました~(汗

みつきねこ
2010年5月7日23:53

ぴょんさま、コメントありがとうございますー。

>本人は嫌々やってる風なので(^^;
そ、そうなんでしょうかねぇ(^ ^;
私は男役の方が好きですけど♪

>猫さま同様私も太一くんは殺陣が素晴らしい(はぁと)と思ってます。

素晴らしいですよねっ!!

>私は好きなんですよね~あの少年声が(^^)

声っていうか、発音(台詞術?)ですね、問題なのは。声自体は随分良くなってきたので、大丈夫かな、と。……新之助は思ったより良かったので、慣れの問題なのかもしれませんが……。