紀伊国屋ホールにて、STUDIO LIFE公演「トーマの心臓」を観劇いたしました。
……先月の落穂を拾わせていただきます。
私は、STUDIO LIFEの「トーマの心臓」を、10年ほど前に観たことがあります。
細かいことは思い出せないのですが、1997年のベニサン・ピットか、または1999年のシアターサンモール公演を観た……筈! で、「トーマ」を観た翌年に「訪問者」を観た……はず。
初見でいきなりオスカー役の笠原さんに落ちて、何回かファンレターらしきものを書いたりしてましたね(*^ ^*)。一時は割と真剣に応援していたので、外部出演も結構観ていると思います。
ただ、STUDIO LIFE自体はなかなか予定が合わなくて観られないことが多く、本当に「トーマ」と「訪問者」くらいしか観ないまま10年ちかくも間があいてしまい……いつの間にか案内も来なくなって、数年前に笠原さんもシュロッターベッツを卒業してしまいました(T T)。
で、今回、笠原さんでないオスカーを初めて観たという訳ですが(*^ ^*)。
まずは、記録をかねてキャスト一覧を。
10年前のキャストも、覚えている方のみ【】で括って書いておきます。
ユーリ 青木隆敏【山本芳樹】
オスカー 岩崎大【笠原浩夫】
エーリク 松本慎也【深山洋貴】
アンテ 植田圭輔【及川健】
レドヴィ 関戸博一
バッカス 牧島進一
サイフリート 高根研一
3年生 山本芳樹・飛来正行・荒木健太郎・原田洋一郎
同級生 緒方和也・吉田隆太・石井昭裕・神野明人・冨士亮太
ミュラー校長 船戸慎士
ブッシュ先生 藤原啓児
ユーリの母 曽世海児
ユーリの祖母 藤原啓児
トーマの父 河内喜一朗
トーマの母 石飛幸治
シド・シュヴァルツ 山崎康一
10年前はダブルキャストでユーリを演じていた山崎康一さんがシドだったりするあたり、時の流れを感じますね(苦笑)。
ま、10年前から代わらないキャストもいますけどね(^ ^;ゞ
作品的には有名な物語なので、ストーリーの説明などは省略させていただきます。
今回、10年ぶりに観て一番印象的だったのは、エーリクの松本慎也くんと、シドの山崎康一さんのお二人でした。
特に、松本くんのやんちゃっぷりというか、エーリクの嵌りようは凄い!、と。
ただ、エーリクがあまりにも嵌り役すぎて、トーマの透明感が無かったのはご愛嬌……かな(^ ^;ゞ
松本くんは、時折莫迦っぽく見えるときがあるのが気になりますが、役者としての本質はたぶん『天然』なんだと思いました。いや、それ以上に根本的な部分が『天使』なんだな、と。
「カリフォルニアス物語」のイーヴ。
「トーマの心臓」のエーリク。
吉田秋生、萩尾望都という少女漫画界のスーパースターが創り出した、二人の天使。
ただ純粋に人を愛して、運命のままに流されていく天使たちを、そのまま演じられるキャラクタ性。
「僕の翼、君にあげる。……僕はいらない」
そう言ってしまう弱さと、そう言いきれる強さのバランスが凄いな、と思いました。
自分を完璧に明け渡してしまう強さと、相手の弱さを受け入れられない弱さ。
『天使』は本質的に“弱き者”=守られるべき子供。なのにエーリクは、ユーリを守ってあげたいと思った。
初めてそう思ったときに、彼の翼は落ちてしまうんですよね。守るべき者を得たときに、ひとは天に舞い上がるすべを喪うのだから。
それでも。
翼の代わりに得た腕で、愛するものを抱きしめたい、と思うのが、大人になるということだ、と。
そんなことを、思いました。
松本くんが、あまりにも天使だったので。
そして、そんなエーリクと語り合うシドを観ていると、、、、
ああ、この人も昔は天使だったんだなあ、と思うんですよね。
昔はユーリだった、んじゃなくて、もしかして、昔はエーリクだったんじゃないか?と(←いいえ違います)
いや、違う。たぶん、ユーリも天使だった、ということなんでしょう。
長い旅路の果てに、シュロッターベッツの門をくぐったオスカーを慰めたときのユーリ、は。
で、ユーリの青木さん。
彼の特徴的な喋り方には、だいぶ慣れてきました(苦笑)。
で。その喋り方と声さえ気にならなければ、彼の芝居の方向性はかなり私の好みなんだな、と思いました。
道理で、今までも物語の前半では「………黙れ」と思ったりしたことがあっても、後半になると嵌ってくる印象があったのは、そういうことか(納得)。
オスカーの岩崎さん。
優しいオスカーだなあ、と思いました。愛があって、二枚目で、優しくて。
個人的には、やっぱり猫は笠原さんのファンなので、あれ以上のオスカーはいないと思っているんですけどね。意外と細かいことを覚えていたりするんですよ。階段脇の壁にもたれていたシルエットとか、ふとしたときの目の動きとか。
でも、普通に作品を考えた場合は、充分に素敵なオスカーでした(はぁと)。
なんたって、松本くんとの並びがほのぼのと可愛くてよかったです♪
ただ。
岩崎さんにはおっとりと優しい雰囲気があるせいか、アンテ役の植田くんとの場面に色気も切迫感も全然無かったのが寂しかった……。(ユーリに人工呼吸する場面でさえ色っぽかった笠原さんは、いったいどうしたら)
それに、ミュラー校長との駆け引きの場面にも、なんというか『ずる賢い』感じがないんですよね。そのせいか、ラスト前にユーリに告白するときの、どんでん返し感(「えっ、お前ってそんなイイ奴だったの!?」みたいな)を弱めていたような気がします。ちょっと勿体無い感じ。
そういえば。
ラスト前のミュラー校長とオスカーの場面って、10年前とは演出変わっているんでしょうか?……あの場面、透明な光に包まれて、ゆっくりと一歩づつ近づいていくオスカーと、それを、ただ黙って見守っているミュラー校長、という図が、それだけですごい号泣ポイントだったんですけど、あんなに短い場面だったんでしたっけ……?
少なくとも、左右は逆になっていたような??
メインキャスト以外では、レドヴィの関戸さんが、ごく良かったです。なんだろうな。何ともいえない、澄んだ空気感が好きでした。
個人的に、彼のユーリを観てみたい、と思いました。似合うと思うんだけどなあ。……どうでしょうか>倉田さん
この3月は、忙しすぎて「訪問者」は観に行かれませんでしたが、あらためてプログラムを観ると、高根さんのグスタフ+吉田くんのヘラ+荒木健太朗さんのオスカー、という豪華キャストなんですね。
……うみゅ~、やっぱり観ればよかったなあ……。
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……先月の落穂を拾わせていただきます。
私は、STUDIO LIFEの「トーマの心臓」を、10年ほど前に観たことがあります。
細かいことは思い出せないのですが、1997年のベニサン・ピットか、または1999年のシアターサンモール公演を観た……筈! で、「トーマ」を観た翌年に「訪問者」を観た……はず。
初見でいきなりオスカー役の笠原さんに落ちて、何回かファンレターらしきものを書いたりしてましたね(*^ ^*)。一時は割と真剣に応援していたので、外部出演も結構観ていると思います。
ただ、STUDIO LIFE自体はなかなか予定が合わなくて観られないことが多く、本当に「トーマ」と「訪問者」くらいしか観ないまま10年ちかくも間があいてしまい……いつの間にか案内も来なくなって、数年前に笠原さんもシュロッターベッツを卒業してしまいました(T T)。
で、今回、笠原さんでないオスカーを初めて観たという訳ですが(*^ ^*)。
まずは、記録をかねてキャスト一覧を。
10年前のキャストも、覚えている方のみ【】で括って書いておきます。
ユーリ 青木隆敏【山本芳樹】
オスカー 岩崎大【笠原浩夫】
エーリク 松本慎也【深山洋貴】
アンテ 植田圭輔【及川健】
レドヴィ 関戸博一
バッカス 牧島進一
サイフリート 高根研一
3年生 山本芳樹・飛来正行・荒木健太郎・原田洋一郎
同級生 緒方和也・吉田隆太・石井昭裕・神野明人・冨士亮太
ミュラー校長 船戸慎士
ブッシュ先生 藤原啓児
ユーリの母 曽世海児
ユーリの祖母 藤原啓児
トーマの父 河内喜一朗
トーマの母 石飛幸治
シド・シュヴァルツ 山崎康一
10年前はダブルキャストでユーリを演じていた山崎康一さんがシドだったりするあたり、時の流れを感じますね(苦笑)。
ま、10年前から代わらないキャストもいますけどね(^ ^;ゞ
作品的には有名な物語なので、ストーリーの説明などは省略させていただきます。
今回、10年ぶりに観て一番印象的だったのは、エーリクの松本慎也くんと、シドの山崎康一さんのお二人でした。
特に、松本くんのやんちゃっぷりというか、エーリクの嵌りようは凄い!、と。
ただ、エーリクがあまりにも嵌り役すぎて、トーマの透明感が無かったのはご愛嬌……かな(^ ^;ゞ
松本くんは、時折莫迦っぽく見えるときがあるのが気になりますが、役者としての本質はたぶん『天然』なんだと思いました。いや、それ以上に根本的な部分が『天使』なんだな、と。
「カリフォルニアス物語」のイーヴ。
「トーマの心臓」のエーリク。
吉田秋生、萩尾望都という少女漫画界のスーパースターが創り出した、二人の天使。
ただ純粋に人を愛して、運命のままに流されていく天使たちを、そのまま演じられるキャラクタ性。
「僕の翼、君にあげる。……僕はいらない」
そう言ってしまう弱さと、そう言いきれる強さのバランスが凄いな、と思いました。
自分を完璧に明け渡してしまう強さと、相手の弱さを受け入れられない弱さ。
『天使』は本質的に“弱き者”=守られるべき子供。なのにエーリクは、ユーリを守ってあげたいと思った。
初めてそう思ったときに、彼の翼は落ちてしまうんですよね。守るべき者を得たときに、ひとは天に舞い上がるすべを喪うのだから。
それでも。
翼の代わりに得た腕で、愛するものを抱きしめたい、と思うのが、大人になるということだ、と。
そんなことを、思いました。
松本くんが、あまりにも天使だったので。
そして、そんなエーリクと語り合うシドを観ていると、、、、
ああ、この人も昔は天使だったんだなあ、と思うんですよね。
昔はユーリだった、んじゃなくて、もしかして、昔はエーリクだったんじゃないか?と(←いいえ違います)
いや、違う。たぶん、ユーリも天使だった、ということなんでしょう。
長い旅路の果てに、シュロッターベッツの門をくぐったオスカーを慰めたときのユーリ、は。
で、ユーリの青木さん。
彼の特徴的な喋り方には、だいぶ慣れてきました(苦笑)。
で。その喋り方と声さえ気にならなければ、彼の芝居の方向性はかなり私の好みなんだな、と思いました。
道理で、今までも物語の前半では「………黙れ」と思ったりしたことがあっても、後半になると嵌ってくる印象があったのは、そういうことか(納得)。
オスカーの岩崎さん。
優しいオスカーだなあ、と思いました。愛があって、二枚目で、優しくて。
個人的には、やっぱり猫は笠原さんのファンなので、あれ以上のオスカーはいないと思っているんですけどね。意外と細かいことを覚えていたりするんですよ。階段脇の壁にもたれていたシルエットとか、ふとしたときの目の動きとか。
でも、普通に作品を考えた場合は、充分に素敵なオスカーでした(はぁと)。
なんたって、松本くんとの並びがほのぼのと可愛くてよかったです♪
ただ。
岩崎さんにはおっとりと優しい雰囲気があるせいか、アンテ役の植田くんとの場面に色気も切迫感も全然無かったのが寂しかった……。(ユーリに人工呼吸する場面でさえ色っぽかった笠原さんは、いったいどうしたら)
それに、ミュラー校長との駆け引きの場面にも、なんというか『ずる賢い』感じがないんですよね。そのせいか、ラスト前にユーリに告白するときの、どんでん返し感(「えっ、お前ってそんなイイ奴だったの!?」みたいな)を弱めていたような気がします。ちょっと勿体無い感じ。
そういえば。
ラスト前のミュラー校長とオスカーの場面って、10年前とは演出変わっているんでしょうか?……あの場面、透明な光に包まれて、ゆっくりと一歩づつ近づいていくオスカーと、それを、ただ黙って見守っているミュラー校長、という図が、それだけですごい号泣ポイントだったんですけど、あんなに短い場面だったんでしたっけ……?
少なくとも、左右は逆になっていたような??
メインキャスト以外では、レドヴィの関戸さんが、ごく良かったです。なんだろうな。何ともいえない、澄んだ空気感が好きでした。
個人的に、彼のユーリを観てみたい、と思いました。似合うと思うんだけどなあ。……どうでしょうか>倉田さん
この3月は、忙しすぎて「訪問者」は観に行かれませんでしたが、あらためてプログラムを観ると、高根さんのグスタフ+吉田くんのヘラ+荒木健太朗さんのオスカー、という豪華キャストなんですね。
……うみゅ~、やっぱり観ればよかったなあ……。
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