明治座にて、「天璋院篤姫」を観劇してまいりました。
……先月の落穂を拾わせていただきます(^ ^)。
普段あまりテレビを視ない猫ですが、ともみんと同じく(^ ^)『歴女』なので、大河だけは結構みておりました(^ ^)。しかし、数年前から録画して視るようになり、、、、、「新撰組!」以降はあんまり視てないな(^ ^;ゞ。
「天璋院篤姫」は、宮尾登美子さんの原作が好きなので始まる前は視る気満々だったのですが、録画したままディスクに溜まっていく日々がつづき、3月頃に諦めてしまった(T T)。なので、結局は数回しかみないで終わってしまったのでした。
なので、ドラマとの違いはあまり語れません(T T)。
今回の舞台は、ドラマとは直接関係なく、原作から脚本を起こしたようですね(脚本:長谷川康夫、演出:西川信廣)。たしかに、原作の香りが色濃く残っていたような気がします。
島津家の一門に連なる今泉家に生まれた少女。利発さを見込まれて本家・島津斉彬公(西岡徳馬)の養女となった彼女こそ、のちの徳川十三代将軍家定の御台所となる篤姫(内山理名)。
今泉の家から本家へ向かう道すがら、母(秋野暢子)に「女の道は前に進むしかない」と諭される彼女は、この時満15歳(多分)。
育ての母ともいうべき乳母・菊本(本山可久子)、若いしの(小林綾子)、島津家から迎えに来た幾島(香寿たつき)。幼い篤姫をとりまく女性4人があれこれとやりあう第1場は、とっつきなのに状況説明がないので、ちょっと判り難いかも。菊本が「身分の低い自分のようなものが仕えていたことが知られたら、姫の出世の妨げになる」と死を選ぶあたりは、舞台しか観ていないとピンとこないんじゃないかな、と思いました。
菊本はただの女中ではなく乳母で、当時の乳母は教育係も兼ねていたわけで、乳母のレベルが姫のレベルに直結していると思われていた。将来姫が将軍家に輿入れしたときに、マスコミ お庭番がこぞってファーストレディの故郷へ取材に来る……なんてことを想定したら、そのときに自分が姫の恥になるくらいなら今のうちに姿を消しておこう、と、そんな風に思うのが当時の忠義だったんでしょうね。
老女が出奔して一人で生きていくなんて不可能な時代だけに、そうなったら死ぬしかない。姫がまだ島津の家に入る前に身を投げて、「姫、ご安心くださいませ」と……そういうことなのでしょうか。そして姫も、「前に進むしかない」という母の教えどおり、幾島に迎えられて島津家に入っていく。
ここまでが第一場。ぜんぶで十場まである一幕の、ほんの一部ではあるのですが、篤姫の性格を語る上で欠かせないエピソードなので、短い時間ながらも皆さん丁寧に演じられていたと思います。
凛とした母君が美しく、二幕、三幕での篤姫を観て、このときの母君を思い出しました。
島津家で幾島の教育を受け、いっぱしの才女となった篤姫。将軍への輿入れが具体的に決まり、準備のために島津の江戸藩邸へあがってきてからが第二場になります。
婚礼支度であわただしい薩摩藩江戸藩邸。中心になっているのは、藩主直々の指名で抜擢され、仕切りを務める西郷吉之助(後の隆盛/吉田智則)。
篤姫に恥をかかせぬため、精一杯調えようとがんばる彼の熱が良かったです。
そして、勉強に勤しむ篤姫のもとを訪れる養父・斉彬。
家定の後継問題を簡単に説明し、閨から慶喜擁立に動くように、との密命を与えて立ち去っていく彼を見送って、決意の表情を浮かべる姫。
……西岡さんがあまりにも色っぽくて、素敵で、格好良くて、絶対この人夜這いに来たに違いない!!と思いました(← 絶対に違うから)(でも、たぶん篤姫は養父に惚れていると思う……だって西岡さん格好良すぎなんだもん!!)
実際の輿入れは1856年。篤姫20歳。将軍の御台になるとあって、あちこちの貴族の養女になるなど手続きも煩雑で時間がかり、すっかり年増になってしまった…はずですが、内山さんの輝くような美しさはさすがでした♪
ちなみに、このとき家定は姫より一回り上の32歳。すでに二人の妻を亡くしており、篤姫は3人目の妻。1858年に亡くなるまで、結局実子は生まれず、後継者問題が激化。利発だが幼い慶福(紀州)と、篤姫より一つ下で、病弱な家定の代わりに将軍になる可能性もあった慶喜(水戸一ツ橋)。それぞれに大名たちの後ろ盾があった二人の争いが、徳川幕府の寿命を縮めたことは間違いなくて。タラレバ言っても仕方がないのですが、このタイミングで将軍となった家定がもう少し健康だったら…というのは、結構面白い“もしも”だと思います。
幾島と重野(薩摩のしの/小林綾子)を連れて輿入れした篤姫。
篤姫の前に立ちはだかる、大奥総取締の滝山(高橋かおり)と、温かく迎え入れる家定の母・本寿院(秋野暢子の二役)、将軍家定(今拓哉)。生母に良く似た(←そりゃそうだ。二役だもの)本寿院に懐いて、輿入れ当初から姑のもとに通っていた篤姫は、そこでお目見え前の将軍に逢ってしまう。
世間で言われている「暗愚」からは程遠い、明晰で優しい将軍と心を通わせていく篤姫。
二人の閨での会話が、ひどくもどかしいのになんだか微笑ましくて、しみじみと聞いてしまいました。なんの動きもない、座って会話を交わすだけの場面なんですが、脚本にリズムがあるんですね。ストレートプレイでの今さんの力量に、今更ながら感心しました。しかも、さかやきの似合うこと(*^ ^*)。今さん、時代劇にもっともっと出るべきだと思います!!絶対人気出るよ!(←でもミュージカルにも出てね)(←わがまま)
この調子で書いていると終わらなくなりそうなので、ちょっと端折ります。
一幕はこのまま、いろんな事件が起こりつつも平和に進むのですが。
最後に、後継者問題について動くために一度実際に顔を見てみたい、と、慶福と慶喜を呼びよせる篤姫。
しかし、斉彬から聞いていた話とは逆に、慶喜は女性蔑視の激しい、後ろ向きのペシミストで、とても幕閣を率いるような器ではなく、逆に幼い慶福の方が器として大きいという印象を受けます。
慶喜については、鳥羽伏見の戦いでの敵前逃亡が有名で、決断力のない弱腰で無能な将軍、kという印象が(特に新撰組ファンの間には)あるんですけど、最近いろいろ見直されてきているんですよね。ただ、篤姫視点にたつと、どうしても慶喜は判りやすい『敵』キャラなので、こういう評価になってしまうんでしょうね。その辺りは「フィクション」として捉えないと、と思います。
二幕は、冒頭で、斉彬からの指示を得るために西郷と打ち合わせをしに大奥から出てきた重野と、通りすがりの勝海舟(国広富之)の会話で始まります。舞台となる1858年の情勢を判りやすく語り、なんとな~く狂言回しっぽい役割も果たしつつ、ちゃんと役として舞台に立っているところはお二人ともさすがでした。綾子ちゃん、相変わらず可愛いなあ。(もう相当なベテランなのに…)
その後、閨での『いつもの会話』で、家定が「後継者は慶福に、と皆に言った」と告白し、しっとりと二人で話をするうちに、急に苦しみだした将軍がなくなるという事件が起こります。
前将軍の御台として髪をおろし、慶福(=家茂)の就任を見守る。
後継者に関する意見が夫と一致したのは嬉しかったでしょうね。自分たちが選んだこの将軍を、ちゃんと護らなくては!と思ったんだろうなあ。あれこれ気にして世話をやいている内山さんが可愛かった♪
しかし。
慶福を支える紀州出身の大老・井伊(由地慶伍)との溝は、次第に深まっていく。万事に倹約を求める井伊は、大奥にも規制をかけようとして大奥の反発をかう。それまで家茂派だった大奥が、南紀派に反発を強め、次第に南紀派の足元が脆くなっていく……。
そんな中で、養女になって以来世話をしてくれた幾島が、「殿(斉彬)の命令を守れなかった(慶喜の将軍就任を実現できなかった)」と篤姫のもとを去っていく。
疎外感に落ち込んだ篤姫の許に、今度は斉彬がやって来る。
……ここの父娘の会話が、すごく良かったです。西岡さんはもちろんだけど、内山さんが、一幕との差(成長)をちゃんと出していて、さすがだな、と思いました。
実際には、この少し前に斉彬は薩摩で没しており、このときの斉彬は亡霊だったことがわかる(西郷が伝令として現れる)のですが、会話を終えて、闇に溶けるように消えていく斉彬の背中が、最高に格好良かったです。猫の視点では、この作品の前半の主役は斉彬様だったかもしれません(汗)。
そして。
お待たせしました!皇女和宮(遠野あすか)の登場です!!
正直、あすかちゃんが宝塚を卒業して最初の出演作だから、という理由でチケットを取った猫は、いくら和宮だって、せめて二幕の最初くらいには出てくるとばかり思っておりました。
でも、実際には慶福・慶喜との対面で一幕が終わり、二幕が始まっても、安政の大獄まではまだまだ道は遠い……。あすかちゃんの出番が10分とかだったらどうしよう!?と思ったのですが。
大丈夫。この作品、実は三幕モノで、あすかちゃんは二幕後半からラストまで相当に出づっぱり。あすかちゃん目当てでも、充分モトが取れました♪
いやあ~~~、あすかちゃんキュートでした!!
ものすごく可愛かったです。見た目の話ではなく、存在そのものがキラキラしていて、きゅんきゅんするくらい可愛かった!!
元々「宝塚娘役」の枠には納まってなかった人なので、女優をやっていても全然違和感ないのは勿論なのですが、現役時代の後半に演じていた「良い女」系のイメージがあったので、あのキラキラ感には思わず圧倒されてしまいました……(^ ^;ゞ。
だって、「シンデレラ」とか「ヘイズ・コード」並みの、圧倒的な可愛らしさだったんですよ!!
わがまま言うのもかわいい。わがまま言うのが可愛い。
そんな女の子。和宮は、『イマドキの』女の子だったんですね。無責任で、気分が不安定で、思いつめやすくて。
高貴な身分をひけらかす割には、帝王学とかを含めた『高貴な』教育を受けている気配がなくて、そういった勉強をしっかりやってきた篤姫から見れば、まるっきり子供だったんでしょうね。
内山さんとあすかちゃん、年齢は同じくらい、というか、多分あすかちゃんの方が少し歳上……ですよね?ちなみに、実在の篤姫と和宮は10歳違い。和宮の方が10歳下です。そうやって考えると、結構無茶なキャスティングだったんだなあ…(汗)。
でもまあ、あすかちゃん、演技でちゃんと篤姫より一回りくらい下に見せていたので、天晴れだと思います。オペラグラスで見るような芝居じゃないから、充分なんじゃないかなあ?
それに、あれはあんまり若い女優さんだと難しい役だと思うし。
最後まで子供のままではなく、ちゃんと途中で成長して、篤姫と並び立てるだけの女性になる役なので。
憂き世離れして高貴でおきゃんでものすごく魅力的な、家茂がコロッと参って大事にするところに説得力がありました。そして、家茂の朴訥な(不器用な)優しさを、ちゃんと受け止めて愛情を返すことができるだけの聡明さはしっかり見せるところが、さすがあすかちゃん!と思いました。本当に、愛することと愛を返すこと、その両方ができる貴重な女優です!
ああああ、「シンデレラ」また再演しないかなあ~~~!!樹里ちゃんはもうすっかり女優さんになっちゃったから無理かもしれませんが、誰か素敵な王子様がいれば、ぜひご検討いただきたいです♪♪ 絶対観にいくから!!(←誰に言ってるの?)
和宮と家茂の交流、家茂の早すぎる死、慶喜の将軍就任と大政奉還。歴史の渦の中で、実家よりも婚家を選び、江戸へ攻めてくる『官軍』を諌める二人の女性を描く三幕の緊迫感は、なかなかのものです。大奥の真ん中に凛と立って徳川を支えんとする篤姫と、その周りをおろおろと歩き回りながら、それでも持ち前の聡明さで、やるべきことの優先順位を間違えず、ひとつづつ片付けていく和宮。
薩摩女と京女のやり方の違いがうまいこと表現されていて、さすがだな、と思いました。この二人が、纏う空気がぜんぜん違うのに、存在感や演技力で拮抗できていたのが舞台の質を底上げしていたと思います。スタッフ陣がいい仕事したんだな、と思いました。
作品的には波瀾万丈の面白さ保証つき、メインキャストは実力派ぞろいで渋い魅力あるイケメン(微妙に平均年齢高め)だらけ。とてもいい公演でした。
ぜひまた再演してほしいです♪ もう一回観たいぞーーっ!!
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……先月の落穂を拾わせていただきます(^ ^)。
普段あまりテレビを視ない猫ですが、ともみんと同じく(^ ^)『歴女』なので、大河だけは結構みておりました(^ ^)。しかし、数年前から録画して視るようになり、、、、、「新撰組!」以降はあんまり視てないな(^ ^;ゞ。
「天璋院篤姫」は、宮尾登美子さんの原作が好きなので始まる前は視る気満々だったのですが、録画したままディスクに溜まっていく日々がつづき、3月頃に諦めてしまった(T T)。なので、結局は数回しかみないで終わってしまったのでした。
なので、ドラマとの違いはあまり語れません(T T)。
今回の舞台は、ドラマとは直接関係なく、原作から脚本を起こしたようですね(脚本:長谷川康夫、演出:西川信廣)。たしかに、原作の香りが色濃く残っていたような気がします。
島津家の一門に連なる今泉家に生まれた少女。利発さを見込まれて本家・島津斉彬公(西岡徳馬)の養女となった彼女こそ、のちの徳川十三代将軍家定の御台所となる篤姫(内山理名)。
今泉の家から本家へ向かう道すがら、母(秋野暢子)に「女の道は前に進むしかない」と諭される彼女は、この時満15歳(多分)。
育ての母ともいうべき乳母・菊本(本山可久子)、若いしの(小林綾子)、島津家から迎えに来た幾島(香寿たつき)。幼い篤姫をとりまく女性4人があれこれとやりあう第1場は、とっつきなのに状況説明がないので、ちょっと判り難いかも。菊本が「身分の低い自分のようなものが仕えていたことが知られたら、姫の出世の妨げになる」と死を選ぶあたりは、舞台しか観ていないとピンとこないんじゃないかな、と思いました。
菊本はただの女中ではなく乳母で、当時の乳母は教育係も兼ねていたわけで、乳母のレベルが姫のレベルに直結していると思われていた。将来姫が将軍家に輿入れしたときに、
老女が出奔して一人で生きていくなんて不可能な時代だけに、そうなったら死ぬしかない。姫がまだ島津の家に入る前に身を投げて、「姫、ご安心くださいませ」と……そういうことなのでしょうか。そして姫も、「前に進むしかない」という母の教えどおり、幾島に迎えられて島津家に入っていく。
ここまでが第一場。ぜんぶで十場まである一幕の、ほんの一部ではあるのですが、篤姫の性格を語る上で欠かせないエピソードなので、短い時間ながらも皆さん丁寧に演じられていたと思います。
凛とした母君が美しく、二幕、三幕での篤姫を観て、このときの母君を思い出しました。
島津家で幾島の教育を受け、いっぱしの才女となった篤姫。将軍への輿入れが具体的に決まり、準備のために島津の江戸藩邸へあがってきてからが第二場になります。
婚礼支度であわただしい薩摩藩江戸藩邸。中心になっているのは、藩主直々の指名で抜擢され、仕切りを務める西郷吉之助(後の隆盛/吉田智則)。
篤姫に恥をかかせぬため、精一杯調えようとがんばる彼の熱が良かったです。
そして、勉強に勤しむ篤姫のもとを訪れる養父・斉彬。
家定の後継問題を簡単に説明し、閨から慶喜擁立に動くように、との密命を与えて立ち去っていく彼を見送って、決意の表情を浮かべる姫。
……西岡さんがあまりにも色っぽくて、素敵で、格好良くて、絶対この人夜這いに来たに違いない!!と思いました(← 絶対に違うから)(でも、たぶん篤姫は養父に惚れていると思う……だって西岡さん格好良すぎなんだもん!!)
実際の輿入れは1856年。篤姫20歳。将軍の御台になるとあって、あちこちの貴族の養女になるなど手続きも煩雑で時間がかり、すっかり年増になってしまった…はずですが、内山さんの輝くような美しさはさすがでした♪
ちなみに、このとき家定は姫より一回り上の32歳。すでに二人の妻を亡くしており、篤姫は3人目の妻。1858年に亡くなるまで、結局実子は生まれず、後継者問題が激化。利発だが幼い慶福(紀州)と、篤姫より一つ下で、病弱な家定の代わりに将軍になる可能性もあった慶喜(水戸一ツ橋)。それぞれに大名たちの後ろ盾があった二人の争いが、徳川幕府の寿命を縮めたことは間違いなくて。タラレバ言っても仕方がないのですが、このタイミングで将軍となった家定がもう少し健康だったら…というのは、結構面白い“もしも”だと思います。
幾島と重野(薩摩のしの/小林綾子)を連れて輿入れした篤姫。
篤姫の前に立ちはだかる、大奥総取締の滝山(高橋かおり)と、温かく迎え入れる家定の母・本寿院(秋野暢子の二役)、将軍家定(今拓哉)。生母に良く似た(←そりゃそうだ。二役だもの)本寿院に懐いて、輿入れ当初から姑のもとに通っていた篤姫は、そこでお目見え前の将軍に逢ってしまう。
世間で言われている「暗愚」からは程遠い、明晰で優しい将軍と心を通わせていく篤姫。
二人の閨での会話が、ひどくもどかしいのになんだか微笑ましくて、しみじみと聞いてしまいました。なんの動きもない、座って会話を交わすだけの場面なんですが、脚本にリズムがあるんですね。ストレートプレイでの今さんの力量に、今更ながら感心しました。しかも、さかやきの似合うこと(*^ ^*)。今さん、時代劇にもっともっと出るべきだと思います!!絶対人気出るよ!(←でもミュージカルにも出てね)(←わがまま)
この調子で書いていると終わらなくなりそうなので、ちょっと端折ります。
一幕はこのまま、いろんな事件が起こりつつも平和に進むのですが。
最後に、後継者問題について動くために一度実際に顔を見てみたい、と、慶福と慶喜を呼びよせる篤姫。
しかし、斉彬から聞いていた話とは逆に、慶喜は女性蔑視の激しい、後ろ向きのペシミストで、とても幕閣を率いるような器ではなく、逆に幼い慶福の方が器として大きいという印象を受けます。
慶喜については、鳥羽伏見の戦いでの敵前逃亡が有名で、決断力のない弱腰で無能な将軍、kという印象が(特に新撰組ファンの間には)あるんですけど、最近いろいろ見直されてきているんですよね。ただ、篤姫視点にたつと、どうしても慶喜は判りやすい『敵』キャラなので、こういう評価になってしまうんでしょうね。その辺りは「フィクション」として捉えないと、と思います。
二幕は、冒頭で、斉彬からの指示を得るために西郷と打ち合わせをしに大奥から出てきた重野と、通りすがりの勝海舟(国広富之)の会話で始まります。舞台となる1858年の情勢を判りやすく語り、なんとな~く狂言回しっぽい役割も果たしつつ、ちゃんと役として舞台に立っているところはお二人ともさすがでした。綾子ちゃん、相変わらず可愛いなあ。(もう相当なベテランなのに…)
その後、閨での『いつもの会話』で、家定が「後継者は慶福に、と皆に言った」と告白し、しっとりと二人で話をするうちに、急に苦しみだした将軍がなくなるという事件が起こります。
前将軍の御台として髪をおろし、慶福(=家茂)の就任を見守る。
後継者に関する意見が夫と一致したのは嬉しかったでしょうね。自分たちが選んだこの将軍を、ちゃんと護らなくては!と思ったんだろうなあ。あれこれ気にして世話をやいている内山さんが可愛かった♪
しかし。
慶福を支える紀州出身の大老・井伊(由地慶伍)との溝は、次第に深まっていく。万事に倹約を求める井伊は、大奥にも規制をかけようとして大奥の反発をかう。それまで家茂派だった大奥が、南紀派に反発を強め、次第に南紀派の足元が脆くなっていく……。
そんな中で、養女になって以来世話をしてくれた幾島が、「殿(斉彬)の命令を守れなかった(慶喜の将軍就任を実現できなかった)」と篤姫のもとを去っていく。
疎外感に落ち込んだ篤姫の許に、今度は斉彬がやって来る。
……ここの父娘の会話が、すごく良かったです。西岡さんはもちろんだけど、内山さんが、一幕との差(成長)をちゃんと出していて、さすがだな、と思いました。
実際には、この少し前に斉彬は薩摩で没しており、このときの斉彬は亡霊だったことがわかる(西郷が伝令として現れる)のですが、会話を終えて、闇に溶けるように消えていく斉彬の背中が、最高に格好良かったです。猫の視点では、この作品の前半の主役は斉彬様だったかもしれません(汗)。
そして。
お待たせしました!皇女和宮(遠野あすか)の登場です!!
正直、あすかちゃんが宝塚を卒業して最初の出演作だから、という理由でチケットを取った猫は、いくら和宮だって、せめて二幕の最初くらいには出てくるとばかり思っておりました。
でも、実際には慶福・慶喜との対面で一幕が終わり、二幕が始まっても、安政の大獄まではまだまだ道は遠い……。あすかちゃんの出番が10分とかだったらどうしよう!?と思ったのですが。
大丈夫。この作品、実は三幕モノで、あすかちゃんは二幕後半からラストまで相当に出づっぱり。あすかちゃん目当てでも、充分モトが取れました♪
いやあ~~~、あすかちゃんキュートでした!!
ものすごく可愛かったです。見た目の話ではなく、存在そのものがキラキラしていて、きゅんきゅんするくらい可愛かった!!
元々「宝塚娘役」の枠には納まってなかった人なので、女優をやっていても全然違和感ないのは勿論なのですが、現役時代の後半に演じていた「良い女」系のイメージがあったので、あのキラキラ感には思わず圧倒されてしまいました……(^ ^;ゞ。
だって、「シンデレラ」とか「ヘイズ・コード」並みの、圧倒的な可愛らしさだったんですよ!!
わがまま言うのもかわいい。わがまま言うのが可愛い。
そんな女の子。和宮は、『イマドキの』女の子だったんですね。無責任で、気分が不安定で、思いつめやすくて。
高貴な身分をひけらかす割には、帝王学とかを含めた『高貴な』教育を受けている気配がなくて、そういった勉強をしっかりやってきた篤姫から見れば、まるっきり子供だったんでしょうね。
内山さんとあすかちゃん、年齢は同じくらい、というか、多分あすかちゃんの方が少し歳上……ですよね?ちなみに、実在の篤姫と和宮は10歳違い。和宮の方が10歳下です。そうやって考えると、結構無茶なキャスティングだったんだなあ…(汗)。
でもまあ、あすかちゃん、演技でちゃんと篤姫より一回りくらい下に見せていたので、天晴れだと思います。オペラグラスで見るような芝居じゃないから、充分なんじゃないかなあ?
それに、あれはあんまり若い女優さんだと難しい役だと思うし。
最後まで子供のままではなく、ちゃんと途中で成長して、篤姫と並び立てるだけの女性になる役なので。
憂き世離れして高貴でおきゃんでものすごく魅力的な、家茂がコロッと参って大事にするところに説得力がありました。そして、家茂の朴訥な(不器用な)優しさを、ちゃんと受け止めて愛情を返すことができるだけの聡明さはしっかり見せるところが、さすがあすかちゃん!と思いました。本当に、愛することと愛を返すこと、その両方ができる貴重な女優です!
ああああ、「シンデレラ」また再演しないかなあ~~~!!樹里ちゃんはもうすっかり女優さんになっちゃったから無理かもしれませんが、誰か素敵な王子様がいれば、ぜひご検討いただきたいです♪♪ 絶対観にいくから!!(←誰に言ってるの?)
和宮と家茂の交流、家茂の早すぎる死、慶喜の将軍就任と大政奉還。歴史の渦の中で、実家よりも婚家を選び、江戸へ攻めてくる『官軍』を諌める二人の女性を描く三幕の緊迫感は、なかなかのものです。大奥の真ん中に凛と立って徳川を支えんとする篤姫と、その周りをおろおろと歩き回りながら、それでも持ち前の聡明さで、やるべきことの優先順位を間違えず、ひとつづつ片付けていく和宮。
薩摩女と京女のやり方の違いがうまいこと表現されていて、さすがだな、と思いました。この二人が、纏う空気がぜんぜん違うのに、存在感や演技力で拮抗できていたのが舞台の質を底上げしていたと思います。スタッフ陣がいい仕事したんだな、と思いました。
作品的には波瀾万丈の面白さ保証つき、メインキャストは実力派ぞろいで渋い魅力あるイケメン(微妙に平均年齢高め)だらけ。とてもいい公演でした。
ぜひまた再演してほしいです♪ もう一回観たいぞーーっ!!
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コメント
あすかちゃんが大好きなシフォンと申します。
感想を読ませて頂いて、うん、そうそうと頷くことばかりで嬉しくなりました。
特に共感したのが、和宮の聡明さです。
わがままで世間知らずで、お馬鹿キャラになりかねないのに、
私もあすかちゃんの和宮からは聡明さを感じました。
あと、愛することと愛を返すこと両方ができるって、素敵なことですよね。
またあすかちゃんの舞台観たら、是非また書いてください。
楽しみにしてます♪
こんにちは★コメントありがとうございますー!!
> わがままで世間知らずで、お馬鹿キャラになりかねないのに、
> 私もあすかちゃんの和宮からは聡明さを感じました。
表面的にはお馬鹿なのに、芯のところですごく聡明、っていう役は、本当に
あすかちゃんの本質につながる個性だと思います。そういうところが、凄く好き。
> あと、愛することと愛を返すこと両方ができるって、素敵なことですよね。
なかなか両方できる人っていないですからね!!
> またあすかちゃんの舞台観たら、是非また書いてください。
はい!まずは、いろんな舞台に立ってみてほしいですよね♪
いろんなあすかちゃんに逢いたいし、いろんなあすかちゃんのことを書きたいです(^ ^)。
今さんは、ジャベールの印象が強いのですが、
さすが和風といわれるだけあって、時代劇も似合うのですね。
今晩の「ソロモン流」に、ちょこっとだけ、宏美さんと一緒に登場するみたいです。既にご存知の情報でしたら失礼しました。
www.tv-tokyo.co.jp/program/detail/17757_201003212224.html
情報ありがとうございました!!
旅行中だったため、番組は視ることができませんでしたが、友人にきいたら録画しているというので、今度見せてもらいますね♪十周年レミゼのファンだった猫には、とても嬉しい情報でした♪ありがとうございましたm(_ _)m。