「カサブランカ」【15】
2010年2月3日 宝塚(宙) コメント (6)東京宝塚劇場宙組公演「カサブランカ」。
■第16場 リックの店(最後の夜) ~1941年12月3日 夜~
歌いながら銀橋を渡って、リックが本舞台に戻るのと同時に音楽が変わります。
「ボンソワ~ル♪」
ルノーさん(北翔海莉)の、妙にのーてんきな響きが可愛いです♪
「通行証を見せてくれ」
「疑り深い奴だ」
というやりとりの後、階段の陰に隠れるルノー。
店のドアを開けて、イルザが駆け込んでくる。
「リチャード!」
その、甘い響き。
イルザが彼を「リチャード」と呼ぶのは、ここと、前の晩に「お願いよ、パリの貴方に戻って!」というところと、空港の三回だけ。どれも、なんというか「上から目線」というか、「クレーム」っぽい台詞なのが面白いなあ、と思ったりします。
「彼は、私が一緒に行くと思っているわ。私が残ると彼に伝えていないの?」
この場面。
イルザは、リックが自分の願いを容れて、ラズロを脱出させるつもりだと思っているんですよね。
そして、自分はリックの傍に残るべきだと思っている。
でも、リックは、二人を脱出させるつもりでいる。
そしてラズロは、、、、私は最初、彼はリックがイルザを連れて出て行ってくれると思っているんだよね?と思っていたのですが、、、やっぱり、イルザと自分と二人で脱出するつもりでいるのでしょうか…?金を渡そうとするところとか、リスボンに連絡が取れたって話のあたりとか。
リックが差し出す通行証を、逡巡なく受け取るラズロ。
その瞬間をみはからって、階段の陰からルノーが登場する。
「ヴィクター・ラズロ!逮捕する。ドイツ特使殺害容疑だ」
手をあげてルノーを凝視するラズロとイルザ。
「私の親友・リッキーはな、人助けより愛を選んだのだ。……な?」
そんな自慢げな男の台詞の間に、ゆっくりと懐から銃を取り出す、元レジスタンス。
「いつから親友になったんだ?」
いやあん、カッコいい~(はぁと)★
舞台上手の椅子にルノーを座らせ、電話を渡すリック。
「空港に電話して、指示をするんだ」
忌々しげに受話器を取って、電話をかける。……それに合わせて、上手の花道セリでせりあがってくる長身の人物は、シュトラッサー少佐(悠未ひろ)。
ルノーの一方的な指示を聞いて、周りにハテナを飛ばしながら、別の番号を回す。
「大至急、私の車を。それと、警官一分隊をただちに飛行場へ!可及的速やかにだ!」
……この台詞、「かきゅうてきすみやかに」が無事言い切れた日は、つい拍手したくなるんですが……(^ ^;ゞ
■第17場 空港 ~1941年12月3日 夜~
シュトラッサーが花道で電話している間に本舞台は暗転し、下手から建物のセットが出てくる。
受話器を持って、管制塔へ視界や霧の様子を報告しているえなちゃん(月映樹茉)が、超可愛いんです♪♪
「管制塔へ。10分後にリスボン行きが離陸いたします」
そんなところに、ルノーたちの一行が登場。
ルノーは制服、リックとイルザはトレンチコートを着込んで、なのに、ラズロだけはなぜか背広のまま。そんな格好で、寒くないの?ヴィクター……
先頭を歩くルノーの後ろで、帽子の下に隠した銃を話さないリック。
ラズロに荷物の積み込みを任せて、イルザに向かい合う。
「出国者の名前は……ヴィクター・ラズロ夫妻だ」
この瞬間まで、ラズロ一人を行かせるつもりだったイルザ。
この瞬間まで本音を隠して、時間切れを狙ったリック。
「何故なのリチャード!?」
昨夜、全てを話し合ったはずのあたし達なのに!
「君がヴィクターとあの飛行機に乗る、それがベストだ」
そして、君と別れたあとに俺は彼とも話したんだよ。
「私も一晩中考えて、あなたと生きる決心をしたのに」
……考えて決心するようなものじゃない。頭で考えて選ぶものではないんだから、愛は。
ただ、流されるだけで。
頭で考えて選んだ結論なんざ、クソクラエ。
俺は君を幸せにする。ラズロには出来ないやり方で。後悔は、させない。
「ヴィクター・ラズロを支えているのは、君だ。君自身、そのことを誇りに思い、生きる証になっている」
「どちらを選んでいいかわからないときは、自分がやるべきほうを選んでおくんだ。そういうときは、どっちを選んでも必ずあとで後悔する。同じ後悔するなら、すこしでも軽いほうが良いだろう?
やるべきことを選んでおけば、やるべきことを放棄しなかったぶんだけ、後悔はかるくてすむだろうから」(by「月の影 影の海」)
……だから。
たとえ、その“誇り”が君にとってどんなに重荷になっていたとしても、君は、一度背負ってしまったその荷物を投げ捨てるべきではないんだよ。
「あなたは…?」
俺?俺はもう、大丈夫さ。だって俺には、
「……巴里の思い出が、あるさ」
名台詞と同時に流れ出す、「As Time Goes By」のしらべ。
あの輝かしい日々。笑顔に溢れた、花の都・巴里。
音楽を聴くだけで血を流していたリックの傷が、むず痒さを残して癒えた瞬間。
「ずっと封印していた想いを、昨夜、二人で蘇らせたのだから………」
リックが傷ついていたのは、イルザに振られたことそのものではなく、イルザが本当に自分を愛していたのかどうかに確信が持てなかったからなのだ、と思います。
それが、前夜の様子で、イルザもちゃんと本気だったと確信できた。
ラズロに向ける思慕とは違うものだけれども、自分のことを愛していたことは、紛れもない真実。
そこに真実があるのなら、それでいい。
たぶん、リックはそう思ったのでしょう。
ならば、いい。今はとにかく、ラズロと一緒に行けばいい。
それが一番良いんだ。だって、
ラズロには君が近くに居ることが必要だけれども、俺は、遠く離れていても大丈夫。
「君は決して離れない。俺の心の中から」
俺は必ず、超えてみせる。あのスーパーヒーローを。
君がいなくても、俺は闘える。狂った世界に立ち向かい、人々に笑顔を取り戻して……そして、もう一度君に会いに行くよ。
「さあ、顔をあげて。俺は君を、見つめているんだよ」
世界の果てで、また、会う日まで、
「……君の瞳に、乾杯」
手の中にグラスは無くても、前夜の乾杯の音が蘇る。
高まる音楽と共に。
音楽が落ち着いたあたりで、戻ってくるラズロ。
グラフ(2月号)の対談によると、ここのラズロさんは『空気を読んで』戻ってきているらしいんですが。……そうだったのか(@ @)大劇場で観たとき、あまりにも堂々と戻ってくるラズロさんが格好よくてちょっと惚れ惚れしてたんですが、、、(^ ^)空気を読んでたとは知らなかったな(汗)。
「君に一つ、聞いてほしいことがある」
お互いに、真実と嘘が交ざりあっていることを知りながら、それでも、言わなくてはならない言い訳が、ある。
「昨夜、彼女が店に来ていたんだ。通行証を渡してくれと頼みに」
これは、真実。
「彼女はまだ俺を愛している振りをし、俺も調子を合わせた」
これは、嘘?
「でも、俺達の仲は巴里で終わっている……」
これは、真実?
話しているリックにも、聴いているラズロにも、どこまでが嘘でどれが真実なのか、本当のところはよく判らなくなっている。
ただ、真実は。
リックとラズロはイルザを愛し、イルザはリックとラズロを愛している、ということ………。
通行証を受け取って、右手を差し出すラズロ。
「あなたも我々の仲間です」
あなたが自分の信念から逃げることを辞めるのならば、私達はいつでも歓迎しますよ、と。
右手に握った銃を左手に持ち替えて、握手に応えるリック。
あんたみたいに正面からやったって、力づくでつぶされるだけだ。
俺には俺の、やり方がある。
………女連れでやるには、あまりに危険なやり方が、な。
イルザの腰を抱いて、飛行機へ向かうラズロ。
見送るリック、そして、ルノー。
飛行機が二人を飲み込んで、ゆっくりと回頭を始めたとき、一台の車が滑り込んでくる。
ナチスの軍服を着込んだシュトラッサー。車を降りてルノーに詰め寄る彼は、たぶん、本当に“雲突くような大男”なんでしょうね、ルノーにとっては。
リックと言い争いになって、ついに撃ち殺されるシュトラッサー。
現役の将校が、現場を離れて二年半も経ってる元ゲリラに負けてどーするんだ、と思ったりもしますが(^ ^;ゞ、斃れてもやっぱりともちんは格好良いです(はぁと)
そこへ、次々に到着する警官隊。さっきシュトラッサーが呼んだ連中が、やっと来たか、という感じですが。
ルノーの「シュトラッサー少佐が撃たれた。犯人を探し出せ」という指示で、思わず眼を剥くリックが可愛い、です。
でちょっと眼を逸らして警官隊を見送ってから、ふとリックの方を振り返ってニコっと笑うみっちゃんが、すっごい可愛い日があるんです(^ ^)。
そこでルノーさんが可愛いくなってしまうと困ることもあるんですが、まぁ、どうなっても祐飛さんは受けられるだろうし、心配ないかな、と思っています。
しかし。
いずれシュトラッサーの後任が来ます……よねえ?あるいは、ハインツはちゃんと居るわけで。
彼にはどういうふうに言い訳するんでしょうね。ラズロは逃亡、リックも逃亡、そして、通行証のサインはホンモノ……、そんな状況を(謎)。
「君は、またファシストとの戦いに戻ったんだな」
ちょっと感慨深げに、リックに声をかけるルノー。
「そうだ、君に通行証をやろう。カサブランカを出て、北アフリカのレジスタンスの基地にいけるよう、手配してやるよ」
おや?君にも、そんな伝手があったんかい?
お芝居の一番ラストの台詞は、ルノーの
「これからの、(俺達の)友情の、な」
なんですが。
この台詞って、たしか映画ではリックがルノーに言うんですよね…?
たしかに、みっちゃんのルノーのキャラは、そういうことを言いそうな軽さがあるし、
祐飛さんのリックは、そういうことを言いそうに無い感じはしますけど。
でも、なぜあえて逆にしたのか、小池さんの意図をちょっと聞いてみたい気がします。
♪頬にしみる冷たい風は
♪夜霧に溶けて道を濡らす
♪俺の心も霧に溶けて 傷みを忘れる
プロローグで、カサブランカに入る直前に歌った歌が、ここでリフレインするのが凄く好きです。
あのときは、「温くて乾いた風」だった。
今は逆に、「冷たく」て「濡れた」風。
恋は消え去っても、それが真実であったなら、熱い想いは消えはしない。
イルザにとっては、彼女自身の脚で立って歩きだすために、乗った飛行機。
愛した記憶。
愛された記憶。
自分が守りたい、護らなくてはならない男を選んだ女は、たぶん、誰よりも強いのだから。
護られなくてはいけないほど、弱くはない生き物なのだから。
明日からの人生も、誰かの付属物としてではなく、ただ独り、前を向いて歩いていく。
愛の面影を、抱きしめて。
.
■第16場 リックの店(最後の夜) ~1941年12月3日 夜~
歌いながら銀橋を渡って、リックが本舞台に戻るのと同時に音楽が変わります。
「ボンソワ~ル♪」
ルノーさん(北翔海莉)の、妙にのーてんきな響きが可愛いです♪
「通行証を見せてくれ」
「疑り深い奴だ」
というやりとりの後、階段の陰に隠れるルノー。
店のドアを開けて、イルザが駆け込んでくる。
「リチャード!」
その、甘い響き。
イルザが彼を「リチャード」と呼ぶのは、ここと、前の晩に「お願いよ、パリの貴方に戻って!」というところと、空港の三回だけ。どれも、なんというか「上から目線」というか、「クレーム」っぽい台詞なのが面白いなあ、と思ったりします。
「彼は、私が一緒に行くと思っているわ。私が残ると彼に伝えていないの?」
この場面。
イルザは、リックが自分の願いを容れて、ラズロを脱出させるつもりだと思っているんですよね。
そして、自分はリックの傍に残るべきだと思っている。
でも、リックは、二人を脱出させるつもりでいる。
そしてラズロは、、、、私は最初、彼はリックがイルザを連れて出て行ってくれると思っているんだよね?と思っていたのですが、、、やっぱり、イルザと自分と二人で脱出するつもりでいるのでしょうか…?金を渡そうとするところとか、リスボンに連絡が取れたって話のあたりとか。
リックが差し出す通行証を、逡巡なく受け取るラズロ。
その瞬間をみはからって、階段の陰からルノーが登場する。
「ヴィクター・ラズロ!逮捕する。ドイツ特使殺害容疑だ」
手をあげてルノーを凝視するラズロとイルザ。
「私の親友・リッキーはな、人助けより愛を選んだのだ。……な?」
そんな自慢げな男の台詞の間に、ゆっくりと懐から銃を取り出す、元レジスタンス。
「いつから親友になったんだ?」
いやあん、カッコいい~(はぁと)★
舞台上手の椅子にルノーを座らせ、電話を渡すリック。
「空港に電話して、指示をするんだ」
忌々しげに受話器を取って、電話をかける。……それに合わせて、上手の花道セリでせりあがってくる長身の人物は、シュトラッサー少佐(悠未ひろ)。
ルノーの一方的な指示を聞いて、周りにハテナを飛ばしながら、別の番号を回す。
「大至急、私の車を。それと、警官一分隊をただちに飛行場へ!可及的速やかにだ!」
……この台詞、「かきゅうてきすみやかに」が無事言い切れた日は、つい拍手したくなるんですが……(^ ^;ゞ
■第17場 空港 ~1941年12月3日 夜~
シュトラッサーが花道で電話している間に本舞台は暗転し、下手から建物のセットが出てくる。
受話器を持って、管制塔へ視界や霧の様子を報告しているえなちゃん(月映樹茉)が、超可愛いんです♪♪
「管制塔へ。10分後にリスボン行きが離陸いたします」
そんなところに、ルノーたちの一行が登場。
ルノーは制服、リックとイルザはトレンチコートを着込んで、なのに、ラズロだけはなぜか背広のまま。そんな格好で、寒くないの?ヴィクター……
先頭を歩くルノーの後ろで、帽子の下に隠した銃を話さないリック。
ラズロに荷物の積み込みを任せて、イルザに向かい合う。
「出国者の名前は……ヴィクター・ラズロ夫妻だ」
この瞬間まで、ラズロ一人を行かせるつもりだったイルザ。
この瞬間まで本音を隠して、時間切れを狙ったリック。
「何故なのリチャード!?」
昨夜、全てを話し合ったはずのあたし達なのに!
「君がヴィクターとあの飛行機に乗る、それがベストだ」
そして、君と別れたあとに俺は彼とも話したんだよ。
「私も一晩中考えて、あなたと生きる決心をしたのに」
……考えて決心するようなものじゃない。頭で考えて選ぶものではないんだから、愛は。
ただ、流されるだけで。
頭で考えて選んだ結論なんざ、クソクラエ。
俺は君を幸せにする。ラズロには出来ないやり方で。後悔は、させない。
「ヴィクター・ラズロを支えているのは、君だ。君自身、そのことを誇りに思い、生きる証になっている」
「どちらを選んでいいかわからないときは、自分がやるべきほうを選んでおくんだ。そういうときは、どっちを選んでも必ずあとで後悔する。同じ後悔するなら、すこしでも軽いほうが良いだろう?
やるべきことを選んでおけば、やるべきことを放棄しなかったぶんだけ、後悔はかるくてすむだろうから」(by「月の影 影の海」)
……だから。
たとえ、その“誇り”が君にとってどんなに重荷になっていたとしても、君は、一度背負ってしまったその荷物を投げ捨てるべきではないんだよ。
「あなたは…?」
俺?俺はもう、大丈夫さ。だって俺には、
「……巴里の思い出が、あるさ」
名台詞と同時に流れ出す、「As Time Goes By」のしらべ。
あの輝かしい日々。笑顔に溢れた、花の都・巴里。
音楽を聴くだけで血を流していたリックの傷が、むず痒さを残して癒えた瞬間。
「ずっと封印していた想いを、昨夜、二人で蘇らせたのだから………」
リックが傷ついていたのは、イルザに振られたことそのものではなく、イルザが本当に自分を愛していたのかどうかに確信が持てなかったからなのだ、と思います。
それが、前夜の様子で、イルザもちゃんと本気だったと確信できた。
ラズロに向ける思慕とは違うものだけれども、自分のことを愛していたことは、紛れもない真実。
そこに真実があるのなら、それでいい。
たぶん、リックはそう思ったのでしょう。
ならば、いい。今はとにかく、ラズロと一緒に行けばいい。
それが一番良いんだ。だって、
ラズロには君が近くに居ることが必要だけれども、俺は、遠く離れていても大丈夫。
「君は決して離れない。俺の心の中から」
俺は必ず、超えてみせる。あのスーパーヒーローを。
君がいなくても、俺は闘える。狂った世界に立ち向かい、人々に笑顔を取り戻して……そして、もう一度君に会いに行くよ。
「さあ、顔をあげて。俺は君を、見つめているんだよ」
世界の果てで、また、会う日まで、
「……君の瞳に、乾杯」
手の中にグラスは無くても、前夜の乾杯の音が蘇る。
高まる音楽と共に。
音楽が落ち着いたあたりで、戻ってくるラズロ。
グラフ(2月号)の対談によると、ここのラズロさんは『空気を読んで』戻ってきているらしいんですが。……そうだったのか(@ @)大劇場で観たとき、あまりにも堂々と戻ってくるラズロさんが格好よくてちょっと惚れ惚れしてたんですが、、、(^ ^)空気を読んでたとは知らなかったな(汗)。
「君に一つ、聞いてほしいことがある」
お互いに、真実と嘘が交ざりあっていることを知りながら、それでも、言わなくてはならない言い訳が、ある。
「昨夜、彼女が店に来ていたんだ。通行証を渡してくれと頼みに」
これは、真実。
「彼女はまだ俺を愛している振りをし、俺も調子を合わせた」
これは、嘘?
「でも、俺達の仲は巴里で終わっている……」
これは、真実?
話しているリックにも、聴いているラズロにも、どこまでが嘘でどれが真実なのか、本当のところはよく判らなくなっている。
ただ、真実は。
リックとラズロはイルザを愛し、イルザはリックとラズロを愛している、ということ………。
通行証を受け取って、右手を差し出すラズロ。
「あなたも我々の仲間です」
あなたが自分の信念から逃げることを辞めるのならば、私達はいつでも歓迎しますよ、と。
右手に握った銃を左手に持ち替えて、握手に応えるリック。
あんたみたいに正面からやったって、力づくでつぶされるだけだ。
俺には俺の、やり方がある。
………女連れでやるには、あまりに危険なやり方が、な。
イルザの腰を抱いて、飛行機へ向かうラズロ。
見送るリック、そして、ルノー。
飛行機が二人を飲み込んで、ゆっくりと回頭を始めたとき、一台の車が滑り込んでくる。
ナチスの軍服を着込んだシュトラッサー。車を降りてルノーに詰め寄る彼は、たぶん、本当に“雲突くような大男”なんでしょうね、ルノーにとっては。
リックと言い争いになって、ついに撃ち殺されるシュトラッサー。
現役の将校が、現場を離れて二年半も経ってる元ゲリラに負けてどーするんだ、と思ったりもしますが(^ ^;ゞ、斃れてもやっぱりともちんは格好良いです(はぁと)
そこへ、次々に到着する警官隊。さっきシュトラッサーが呼んだ連中が、やっと来たか、という感じですが。
ルノーの「シュトラッサー少佐が撃たれた。犯人を探し出せ」という指示で、思わず眼を剥くリックが可愛い、です。
でちょっと眼を逸らして警官隊を見送ってから、ふとリックの方を振り返ってニコっと笑うみっちゃんが、すっごい可愛い日があるんです(^ ^)。
そこでルノーさんが可愛いくなってしまうと困ることもあるんですが、まぁ、どうなっても祐飛さんは受けられるだろうし、心配ないかな、と思っています。
しかし。
いずれシュトラッサーの後任が来ます……よねえ?あるいは、ハインツはちゃんと居るわけで。
彼にはどういうふうに言い訳するんでしょうね。ラズロは逃亡、リックも逃亡、そして、通行証のサインはホンモノ……、そんな状況を(謎)。
「君は、またファシストとの戦いに戻ったんだな」
ちょっと感慨深げに、リックに声をかけるルノー。
「そうだ、君に通行証をやろう。カサブランカを出て、北アフリカのレジスタンスの基地にいけるよう、手配してやるよ」
おや?君にも、そんな伝手があったんかい?
お芝居の一番ラストの台詞は、ルノーの
「これからの、(俺達の)友情の、な」
なんですが。
この台詞って、たしか映画ではリックがルノーに言うんですよね…?
たしかに、みっちゃんのルノーのキャラは、そういうことを言いそうな軽さがあるし、
祐飛さんのリックは、そういうことを言いそうに無い感じはしますけど。
でも、なぜあえて逆にしたのか、小池さんの意図をちょっと聞いてみたい気がします。
♪頬にしみる冷たい風は
♪夜霧に溶けて道を濡らす
♪俺の心も霧に溶けて 傷みを忘れる
プロローグで、カサブランカに入る直前に歌った歌が、ここでリフレインするのが凄く好きです。
あのときは、「温くて乾いた風」だった。
今は逆に、「冷たく」て「濡れた」風。
恋は消え去っても、それが真実であったなら、熱い想いは消えはしない。
イルザにとっては、彼女自身の脚で立って歩きだすために、乗った飛行機。
愛した記憶。
愛された記憶。
自分が守りたい、護らなくてはならない男を選んだ女は、たぶん、誰よりも強いのだから。
護られなくてはいけないほど、弱くはない生き物なのだから。
明日からの人生も、誰かの付属物としてではなく、ただ独り、前を向いて歩いていく。
愛の面影を、抱きしめて。
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コメント
それはそれで、寂しい。
ところで、「可及的速やかにだ!」 この台詞好きです(笑)
いいにくそうだけど、なんか軍人っぽいよね。
それにしてもこの作品は本当に優れものなので続演してほしいくらいですが、シュトラッサーは一番背が高い人が希望。
今、雪組で続演してくれたらよかったのになぁ(涙)
シュトラッサーはオヅキで。結構配役としてはうまくはまりそうなんですが・・・
などといううちに雪も明日は初日です。
植田作品いったいどうなんだろうか、不安でいっぱい。
だいたい、台詞あるのか、確認忘れたし(をい!)
今回のカサブランカについても、ふむふむ、とかそうそう、とか思って読んでいました。
コメントしようかなといつも思ってはいたのですが、なかなか勇気がなくて・・・
で、今回なぜコメントしたかといいますと、ルノーの最後のセリフについて思うところがあったからなのです。
といってもたいしたことはないのですが・・・
このルノーのセリフと、ラズロの「あなたも我々の仲間です」(もうひとつ言うならフェラーリの「カサブランカは君を待っていたのかも・・・」も)が、このおよそお披露目らしくない公演の中で、ゆうひさんが仲間だ、ということをそれぞれの口から言わせてるような気がしまして。
というのも、なぜあのセリフをルノーが言うのか?
ラズロのセリフがなぜあの訳になるのか?というのが初見から不思議でしかたなかったからなのですが。
私が見た映画版のラズロの字幕は「あなたが味方なら我々は勝てますよ」でしたが、これが私は結構好きだったので、なんであんな平易な言い方になったのかな?とほんとに不思議で。
「俺たちの友情の~」のセリフは、映画版でのリックの気持ち的には「おまえとの腐れ縁がまた続くのか」というようなニュアンスがあるという説も読みました。
宝塚のカサブランカ的には、ここでそういうニュアンスがない方がいいのかな、とも思ったり。
と、いろいろ考えに考えてこの結論に至った次第です。
この私的結論が、よっぽど安直ですが(万一小池先生の意図だったら嬉しいですがそんなことはあるまい)そこはファンということでお許しくださいませ。
長文失礼いたしました。これからも更新楽しみにしております。
昨夜に引き続き、コメントありがとうございます★
> ああ、ラストまで来ちゃいましたね・・・
> それはそれで、寂しい。
私はホッとしました(笑)
> ところで、「可及的速やかにだ!」 この台詞好きです(笑)
わたしも好きです!でも、大劇場のともちんは結構あぶなかったのよ(笑)
> それにしてもこの作品は本当に優れものなので続演してほしいくらいですが、
> シュトラッサーは一番背が高い人が希望。
> 今、雪組で続演してくれたらよかったのになぁ(涙)
> シュトラッサーはオヅキで。結構配役としてはうまくはまりそうなんですが・・・
水くんのリックは観たかったです!!
みなこちゃんのイルザとゆみこさんのラズロもワクワクするし、面白そう★っていうか、キムちゃんのルノーは似合いそうだなあ♪
キタロウのシュトラッサーも素敵でしょうね(はぁと)で、そうなるとセザールはひろみちゃんになるのかな…?(汗)役の多い作品なので、あれこれ妄想配役してしまいますね♪
個人的には、りくがやっている亡命者役をまなはるでお願いしたいです。(←無理)
> などといううちに雪も明日は初日です。
中日のきりやさんお披露目が始まり、バウ「ハムレット」が始まり、そして……ついに雪組公演も始まるんですね…。
> だいたい、台詞あるのか、確認忘れたし(をい!)
お~~~~~いっ!!!!
はじめまして!コメントありがとうございます♪
すご~く嬉しいです♪
> このルノーのセリフと、ラズロの「あなたも我々の仲間です」(もうひとつ言うならフェラーリの「カサブランカは君を待っていたのかも・・・」も)が、このおよそお披露目らしくない公演の中で、ゆうひさんが仲間だ、ということをそれぞれの口から言わせてるような気がしまして。
小池さんにそういう意識があったのかどうかはわかりませんが、その台詞を口にしている役者のみなさんは、そういう気持ちもふくめて役作りしてくださっているような気がしています♪(←妄想かも)
> 私が見た映画版のラズロの字幕は「あなたが味方なら我々は勝てますよ」でしたが、
そうなんだそうですね(結局、映画を見返すことなく公演は終わりそうです/汗)。
ただ、今の会話の流れでこの台詞が出てくるのは不自然な気がするのですが、映画ではどのような流れなのでしょうか?舞台では、リックの「ファシストとの闘いに戻る」という意思表明はイルザとの会話の中でやってしまって、ラズロには昨夜のことを話して通行証を渡すだけなのに。
いきなりそんなことを言われたら、「ラズロ、さっきの話をどこで聞いてやがったんだ?」ってことになるんじゃないかと(汗)
あと、この台詞は確かにシンプルなんですけど、「ME AND MY GIRL」の「あなたは真実のヘアフォードの一員ですよ」を思い出したんですよね、私。それによって、物語全体が一人の人間(リック)の成長物語であることを示しているような気がするので、私は結構好きです。
決して『通行証をくれたから、仲間にいれてあげよう』みたいなことではない、というのは蘭トムさんの言い方からもちゃんと伝わりますし、ね♪
> 「俺たちの友情の~」のセリフは、映画版でのリックの気持ち的には「おまえとの腐れ縁がまた続くのか」というようなニュアンスがあるという説も読みました。
確かに、祐飛さんのリックが「俺達の友情の~」という台詞を言うとしたら、すっごい嫌味に言いそう。映画は、最後にリックが歌ったりスモークが炊かれたりしないので(笑)、ちょっと皮肉まじりにお洒落に終わっても違和感ないでしょうけど、宝塚は感動的に盛り上げて終わるのがお約束ですものね。
っていうか、小池版のリックは最初からルノーのことを「ルイ」と呼んでいるので、ことさらにその台詞を言う必要がない、というのもあるかと。
> この私的結論が、よっぽど安直ですが(万一小池先生の意図だったら嬉しいですがそんなことはあるまい)そこはファンということでお許しくださいませ。
でも、なんだか、小池さんって案外祐飛ファンらしき言動が(最近特に)見られるので、もしかしたら彼の意図なのかもしれませんよ!?(嬉)ね♪
そのラズロのセリフですが、映画も舞台も状況としてはなんら変わりはないと思います。
(千秋楽を観る前に、映画で上書きをしたくなかったので確認はしてないです)
私はあのセリフは、リックがこれから戦うのか戦わないのかそういったことではなく、「あなたのような人が味方でよかった」とでもいうような、リックに対する最大の賛辞だと思っています。
大きい男がもうひとりの大きい男を認めた瞬間。
リックにとって、イルザが運命の女性は周知ですが、こと宝塚版では、ラズロが運命の男になってるなあ、と思います。
実際にリックの店で出会うまでに、セザール、ルノーとの会話で「ヴィクター・ラズロ」が繰り返され、悪夢では象徴としてリックの妄想!にまで出てくる・・・
ヒーローになりたかったアメリカ人にとって、とてつもなく大きくひょっとしたら妬ましかった人物。(出会った日にゃイルザまで連れてるし・・・)
が、その人物の大きさを知り、自分にできる最良のやり方を以って彼らを逃がすことを選択するリックの大きさといったら!
ということに対してのラズロのセリフだと思っているのです。なので最大の賛辞を期待したのですが。でも「あなたも我々の仲間です」も好きです。
要は、このカサブランカが大好きです。
濃密な心のやりとりを宝塚の舞台で、これほどまでにみつめることができるとは!
神様ありがとう~ゆうひさんにこんなステキな作品をくれて!(字余り)
もう千秋楽を迎えるのがさびしくてたまりません。
さて、今日も長々と持論を展開して申し訳ありませんでした。
これからも、更新楽しみにしております。
お返事ありがとうございます~♪♪
> 映画も舞台も状況としてはなんら変わりはないと思います。
そうなんですね(@ @)。
> 私はあのセリフは、リックがこれから戦うのか戦わないのかそういったことではなく、「あなたのような人が味方でよかった」とでもいうような、リックに対する最大の賛辞だと思っています。
なるほど……そういう受け止め方もあるんですね!
> リックにとって、イルザが運命の女性は周知ですが、こと宝塚版では、ラズロが運命の男になってるなあ、と思います。
かすかな記憶ですが、映画を観たときの印象も、ラズロは運命の男だと思いました。
なんというか、イルザの相手がラズロでなかったら、リックは動かなかっただろうな、と思ったんですよね。
ただ、逆に、ラズロにとってリックは運命の男じゃなかった……と思ったような気がするんです。映画では。
映画、小池版、新人公演。どのバージョンにおいても、
ラズロはリックとイルザにとって運命の男であり、
イルザはリックとラズロにとって運命の女であり、
そして、リックはイルザにとって運命の男であった……ことには変わりがないのですが、
リックがラズロにとって運命の所だったのは、新人公演だけだったような気がします。
それだけ、新人公演におけるラズロの役割は、回想場面が皆無なだけに大きかったのかもしれません。
> ヒーローになりたかったアメリカ人にとって、とてつもなく大きくひょっとしたら妬ましかった人物。
そうなんですよね。私はうじうじした後ろ向きの人物像がとても好きみたいで、ついついリックが「ヒーローになりたかったアメリカ人」であることを忘れてしまいがちなのですが……、リックの鬱屈の根本はそこにあるんですよね。
だから、私はストレートに彼を迎え入れるラズロの台詞が好きだったりします。もちろん、映画の台詞だったとしても好きになったと思いますけど★
> 要は、このカサブランカが大好きです。
そう仰っていただけると嬉しいです(*^ ^*)
> 神様ありがとう~ゆうひさんにこんなステキな作品をくれて!(字余り)
ですよね~~!!(感涙)あああ、あと二日だ……寂しい(T T)。