東京宝塚劇場宙組公演「カサブランカ」について。



本題の前に一つ。
本日観劇してまいりまして、やっと、トークスペシャルでカイちゃん(七海ひろき)が話していたパリ南駅での(藤咲)えりちゃんとカイちゃん夫婦を発見しました!
いったん改札を通ったメンバーが袖から再度出てくるターンで、まずはえりちゃんが上手の袖から駆け込んできて、群衆の一番後ろにつきます。舞台奥の壁沿いに立っているんですが、次々に皆が駆け込んでくるので、1階席だと見つけ難いかも。

で、えりちゃんは全然カイちゃんを探してなかった(@ @)。明らかに汽車に乗る気満々で、列の後ろに並んで前に行こうと一生懸命アピールしてる(^ ^)。

カイちゃんは、最初のターンで汽車に乗るのが遅い(銀橋では真ん中近くにいるので、本舞台に戻るのが遅れるため)せいか、なかなか出てこず……今日は、サムとリックが駅員を乗り越えて行った後になって、やっと上手袖から出てきたような気がします。
カイちゃんは、舞台に出た瞬間からキョロキョロと人を探している様子で、「どうしようもない 逃げるしかない…♪」とコーラスが響く中、ちゃんと妻(えりちゃん)を見つけて、二人で固く抱き合いながら歌う……というドラマティックな芝居で場面を締めてました(^ ^)。可愛いなあ、二人とも。
でも、えりちゃんはカイちゃんが思っているほど夫を愛してはいない……ような気がしました(^ ^)。

ちなみに、カイちゃんと同時かちょっと前後する感じでみーちゃん(春風弥里)たちも出てきます。みーちゃん、たしかに「サラリーマン」だと言われれば「そうかもね」という感じに見えました(^ ^)。






小ネタは以上、です。

【12】まで書いて、ちょっと放置していた本公演。
とりあえず、あとちょっとなので続きを書かせていただきたいと思います。
ちなみに、【12】はこちら⇒ http://80646.diarynote.jp/201001210514577824/



■第13場 地下水道での集会② ~1941年12月2日 夜~

暗転の中、銀橋の上手側にラズロが登場。本舞台の上手半分と花道にもメンバーが勢ぞろいして、ラズロの演説に聞き入っている。

「今日、リックのカフェが閉鎖された。ナチスの締め付けはますます厳しくなるだろう」

深く哀しんでいるリックの店の従業員たち。さりげなく彼らを慰める ヘルム 雅桜歌ちゃんが結構ツボです。雅さん、ついさっきまでドイツ兵だったくせにー(^ ^;。

他のメンバーは、国歌対決での盛り上がった気持ちをそのまま持ってきた感じで、すごく熱いです。手を握り合ったり、拳を高々と掲げたり。……国歌対決ではドイツ兵だったお二人(雅&春瀬)もちゃんと付いてってるのは、素直に凄いかも。
邪魔が入るまでのごく短いシーンですが、二幕頭の集会とか、国歌対決での熱気がちゃんとつながっている感じで、よく出来ていたと思います。

……でも、もうちょっと長くてもいいと思うんだけど(T T)。


「いたぞ!」「地下道を包囲しろ!」
下手からバタバタと駆け込んでくる警官たち。
「逃げろ!!」
蜘蛛の子を散らすように逃げ出すレジスタンスたち。

銀橋を走り出す蘭トムさんの足の速さに、一度前方席で観たときにちょっと感動しました(*^ ^*)。銀橋を本気で走る人ってあまりいないので。……あ。「太王四神記」でホゲさんが駆け抜けてたな。あれも早かったっけ(^ ^)。

上手花道を走ってくる警官たち。鋭い発砲音。
「検挙者は?」
「十数名ほど」
「ラズロは?」
「取り逃しました」
「馬鹿者!!」
この会話のテンポが結構好きです。ポンポンと進むのが。
……あっきー(澄輝さやと)、せっかく二枚目なんだから、台詞もがんばって……。


ラスト、財布から札を出すルノー(北翔海莉)と、それを受け取るジャン(珠洲春希)の台詞のないやり取りが結構好きです。狐と狸の化かし合い、って感じ♪




■第14場 リックの店(深夜) ~1941年12月2日 深夜(3日早朝?)~

紗幕があがって、リックの店に戻る。
第12場の後、どれだけの時間が流れたのかは不明。ただ、ある程度の時間が流れて、二人の間にも『何か』があったことはわかります。だって、リックとイルザの表情が、10分前とは全く違う。

♪たとえ世界が夜の闇に沈んでも 俺は見つけ出すだろう
♪君の輝きだけは

リックがひどく優しい声で歌う。
それに応えて歌うイルザを、ピアノにもたれて、ひどく遠い眼をして見凝めるリック。
手を触れようともせず、ピアノの周りをぐるぐる回りながら歌う、二人。

♪世界の果てまでもこの愛を持っていこう
♪砂漠の彼方 海も越えて
♪昼も夜もかかわらず

#……日本語としては、「関わらず」じゃなくて「関係なく」だと思うんだが……。
 歌詞としてのバランスでいうなら、「どんなときも」とかそんな感じ?

♪どこにいようと どこへ行こうと
♪必ず廻り逢う 愛は燃え続ける
♪世界の果てまでも……

再び廻り逢い、口づけを交わす二人。
うっとりと、全てを投げ出してリックに預けてしまったイルザが、とても切ないです。先刻まで、彼女は自分の足で独り立って、ラズロのために銃を掲げていたのに、今カフェでリックに抱かれている彼女は、ただの少女に戻ってしまっている。



えりちゃんだったかすみ花ちゃんだったか、どちらかが何かのトークで「ラズロへの愛は理性的な愛で、リックへの愛は本能的な愛」だ、というようなお話をされていましたが。

「理性」というか、「理由」あるいは「理屈」のある感情なんですよね、イルザからラズロに向かう想い、というのは。

たとえば、ラズロがマルセイユで
「もうこんなことは辞めよう、イルザ。このままアルプスの山奥に隠れて、畑でも耕しながら戦争が終わるのをまとう。こんなこと、長く続くわけがないんだから」
……とかなんとか言い出したとしたら、イルザはついていかなかったんじゃないかと思うんですよね。
なんていうのかな。イルザがラズロについてきたのは、ラズロがそんなことを言うわけがない男だから、なのではないか、と。実際ラズロはそんなことを言わない男だし、考えもしない男として描かれているのですが、それ以前に、イルザがラズロに惹かれたのは、そういう男だったからだ、と。

でも、リックに向かう想いは、違う。イルザは最初、リックのことを何も知らなかったことは間違いない。もちろん、彼が安易に権力に迎合するような男じゃないことは付き合っていれば判るでしょうし、彼女なりに組織の一員として何らかの情報に触れる機会があったとしても、それが彼を愛した理由ではない(←そもそも愛に理由など無い) はず。

「過去は聞かないという言葉に溺れてしまったのね、私…」


もしかしたら、彼女自身が『ラズロ』というスーパーヒーローの傍にいることが辛くなり始めていたのかもしれません。
チェコが併合されて、組織に対する眼は厳しくなっていたはず。年単位で彼の身を案じて、案じて、案じて……逮捕されてからもひたすらに心配して、あげくに死亡通知を受け取って。まだ若い彼女は、そういう生活に疲れていたのかもしれない。

そんな彼女にとって、『過去の無い女』でいられる時間というのは、とても幸せなものだったはず。優しくて、ハンサムで、気紛れで、金持ちで、人生経験豊富で、そして権力には迎合しない男であったリックは、本能的に恋に落ちても不思議はない。

愛と、恋。
ラズロに向かう思慕はむしろ恋に近い、不安に満ちたものであり、リックに向かう気持ちは、安心して傍にいられる、居てくれる、幸せなものだった。故郷のオスロを出て以来、彼女が無条件に幸せだったのは、もしかしたらこの短い数ヶ月だけだったのかもしれない。

それでも彼女は、ラズロの生存を知ったとき、嘆きながらも、迷うことなく不安を選んだ。
ラズロは世界のものだったけれども、リックは自分のものだったから。
リックはイルザのものだったから、だから彼女は、いくらでもわがままになれた。「世界で最後のキス」を求めておいて、そのまま棄てる、そんな残酷なことさえも。
そして、そのまますっかり忘れて、懐かしい思い出の一頁にしてしまうことさえも。

リックがどれほど苦しんだか、彼女は知らなかった。彼女自身が、「自分は使命を選んだのだ」と思っていたのだから…。



それでも、変わり果てたリックを視て、自分が今でも彼を愛していることに気がついたとき。
イルザの心は、あの幸せな数ヶ月を求めてしまう。
リックに対する罪悪感が、使命感を削ぐ。そうして余計な感情を消し込めば、後に残るのは、本能的な愛だけ。

「あたしはもう、あなたから逃げられない……」

蘇ってしまったパリの思い出が、イルザを縛る。
もはや、使命感だけでは感情をコントロールできない。それがどれほど、自身の人生を否定することであっても、あふれ出してしまった記憶の奔流は止まらない。

「でも彼は、君を喪う」

それが、彼にとってどれほど致命的なことであるか。
その言葉を口にしたリックよりも、言われたイルザの方が、その痛みは大きい。

椅子に座り込んで肩を震わせるイルザに背をむけて、ブランデーをグラスに注ぐリック。
イルザにグラスを差し出して、

「……俺はずっと、君を見凝めているんだよ……?」

君がパリで俺から去ったときも。この店に突然舞い降りたときも。……そして、今も。

そっと受け取って、うるんだ瞳で縋るようにリックを視るイルザ。

「……君の瞳に、乾杯」


チン、という柔らかい音がとても綺麗で、名台詞の効果を高めてくれる気がします。あれって効果音ではないですよね?マイクにもちゃんと入っているのが凄いなーといつも思っているんですけど、入ってますよね…?なんか、私の幻聴だったらどうしよう(汗)。




そんなところに、バタバタと走りこんでくる無粋な足音。……から先は、また後日。


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コメント

nophoto
さくら貝
2010年2月2日0:04

なんと、えりちゃんとかいちゃんがそんなところに!
ご報告ありがとうございます!!
おかしいなあ、パリ2順目はみーちゃんをガン見して、というか、
ちーみー兄弟がホームに降りた時点で、視線を上手袖に移動させて
2人の再登場を待ち構えているのに、なんで同じ側から出てくる
えりちゃんとかいちゃんに気づけないんだろう…
(あ、ガン見してるから気づかないのか(笑))
次回はもうちょっと広範囲を見たいと思います。

そして【8】へのコメントもありがとうございます!
実はその2人なんです(笑)舞台を見て、あ、確かに後ろといえば
こっちが後ろだわ、と納得してました。
エチオピア兵くんたちは全く判別できなくて、最近はもう諦めてました。
気にかけてくださってありがとうございました♪

みつきねこ
2010年2月2日0:57

さくら貝さま

えりちゃんの帽子が可愛いので、それを目印にすると見つけやすいかも♪
カイちゃんは本当に終わりかけた頃に登場するので、焦らずにえりちゃん眺めてお待ちください(^ ^)
次回はがんばってくださいね~♪

> 実はその2人なんです(笑)
やっぱり(苦笑)すみません、勘違いしてて…。
今頃になって“もしかして、さくら貝さまはみーちーはお判りなのでは…?”と気づきまして(汗)。まああ、まったく私ったら!

前というか後ろというか、奥の二人は確かに見にくいですよねー。あっきーはわかるけど、右側は誰だろう?と思っているうちに、すっしーさんに全部もって行かれてしまうのがいつものパタンです(汗)。

nophoto
さくら貝
2010年2月3日1:18

しょっちゅうお邪魔してしまってすみません(汗)

みつきねこ様のアドバイス通り、えりちゃんの帽子をチェックして、
かいちゃん&えりちゃん夫妻が見つかりました!
コーラスもえりちゃんを抱きしめたままで歌うかいちゃんが素敵。
二人の姿を眺めながら、列車には乗れなかったけど、あんなにしっかり
守ってくれる旦那様がいるんだから、あの奥さんは厳しい社会情勢の中でも
なんとか無事に暮らせたんじゃないかなぁ、と思っていました。
ちーみー兄弟の「母さんは?」「いないんだ!」も聞き取れたし、
今日は大変充実した観劇でした♪

バザールの場面で、セレブマダムの買い物に付き合って
ものすごい量の荷物を持たされているりくちゃんに釘付けでした。

…たまには本筋の話も。
すみ花ちゃんのイルザが、見るたびにどんどん良くなっていて
伸び盛りの若さって素晴らしいと思いました。
すみ花ちゃんが伸び伸びお芝居できるのも、どーんと構えて
受け止めてくれる祐飛さんがいるからこそ、なのでしょうね。
いいトップコンビだなあ、と改めて感じました。

みつきねこ
2010年2月3日1:26

>かいちゃん&えりちゃん夫妻が見つかりました!

おめでとうございます!!良かった良かった(^ ^)。

>列車には乗れなかったけど、あんなにしっかり
>守ってくれる旦那様がいるんだから、あの奥さんは厳しい社会情勢の中でも
>なんとか無事に暮らせたんじゃないかなぁ、と思っていました。

ですよね!えりちゃんとかいちゃんの夫婦は、きっと離れることなく
戦争を生き抜いてくれると思います!

>すみ花ちゃんのイルザが、見るたびにどんどん良くなっていて

なんだか、ちょっと前のイルザとは別人みたいですよね(汗)。

>どーんと構えて受け止めてくれる祐飛さんがいるからこそ、なのでしょうね。

……たしかに、すみ花ちゃんを受け止めるのはなかなか大変そうだ(笑)

>いいトップコンビだなあ、と改めて感じました。

そういうふうに言っていただけるのが一番嬉しいです♪ありがとうございます♪