雪組トップスターの水夏希さんが、次々回大劇場公演(9/12千秋楽)で卒業されることが発表されました。


漠然とした予感が、全く無かったとは言いません。
トップスターになれば、いやならなくたって、タカラジェンヌはすべて、いつかは去っていくのだから。

でも、少なくとも今発表されるとは全く考えていなかったよ……(呆然)。

1月に発表で、9月に卒業。8ヶ月か~。最近は5~6ヶ月前に発表、というのが多かったので、すごく早く感じます。
昔、マミさん(真琴つばさ)が9月に発表して7月卒業だったので、それよりは少し短いんですけどね。

でもね。少なくとも、私がファンになってからは「演目未定」での退団発表は初めてだと思うんです。いったい、何が起こっているんだ劇団では。


水さん。
花組時代・宙組時代は、それほど興味のあるスターさんではなかったんですが。(嫌いではなかった)(ちなみに月組時代は猫が宝塚ファンになりたての頃で、トップ以外は個別認識できてませんでした)

最初に「おっ?」と思ったのは、たぶん、雪組に来てからの全国ツアー「銀の狼」のレイだった、と思います。優しくて愛のある芝居が素敵だなあ、と。
そして。中日でのプレお披露目「星影の人」以来、今夏まで、長いこと水さんは、私にとって「五組中で一番好きなトップさん」でした(*^ ^*)。


「マリポーサの花」のネロ。「カラマーゾフの兄弟」の長男。
ハードボイルドな男の中の男でありながら、ぬくもりを感じさせる優しい芝居。人を愛し、世界を愛し、生きることを愛し、そして、相手役を愛することができるひと。
ナウオンステージで、その場にいない下級生や上級生を語る口調のやわらかさ。卒業していく組子たちに向けた、不器用だけれども真摯な「送る言葉」。
役者としては勿論、組の真ん中に立つ存在としても、すごく尊敬できる人なんだろうな、と、ずっと思っていました。

期限は切られてしまったけれども、しかも、そのうちの半分は植田(紳)作品ですけれども(泣)
その次の(最後の)作品がいいものでありますように(切祈)。
大好きなトップさんなんだから、しっかりお見送りしたいんだよ誰だって!!頼むよ劇団……。



次回宙組大劇場公演と雪組大劇場公演、そして星組の梅田と博多。この辺りの作品が、とっとと発表されますことを(そして、どれも良い作品であることを)、心から祈っています。













と、いうわけで、「カサブランカ」の続きです♪


■第2幕 第2場B 警視総監のオフィス(中) ~1941年12月2日朝~(つづき)

朝10時半。
ラズロとイルザが現れるのを、ルノー(北翔海莉)のオフィスでジリジリと待つシュトラッサー(悠未ひろ)。

「ラズロは本当に来ると思うか?」
「先ほどホテルを出たと監視から報告が」

ルノーの返事に、尊大な感じで「よろしい!」というともちんが、子供みたいで凄く好きです。
しかも、唐突に
「私は、ウガーテは通行証をリチャード・ブレインに預けたと推理する」
とか言い出すあたりも、なんとなく好き。なんでだか、ともちんのシュトラッサーが凄く好きです。不思議なくらいに。
……何故なのでしょうねぇ。



ラズロとイルザが登場。

「おお、定刻どおりに!」
というルノーの台詞は、嫌味なのかな?と思っていたのですが。さくら貝さまから違う解釈をご提示いただきましたので、よろしければ昨日の記事のコメントをご覧くださいませ♪



単刀直入に、ラズロを脅すシュトラッサー。
「私の任務は、君をカサブランカに拘留することだ」

尊大なドイツ将校に、軽く笑んでラズロがかわす。
「……カサブランカの暮らしに、慣れなくてはいけませんね」

この台詞が、ものすごく好きだったりします。なんの気負いもなさげな、軽い口調の嫌味っぷりが嗜虐心をそそる(^ ^;

「だが、明日リスボンに発つことも可能だ」

そんな夢物語に、つい身を乗り出すラズロ。ウガーテを喪って、よほど追い詰められているんでしょうか。シュトラッサーが、受け容れられる条件をだす筈がないのに。

「君は地下組織の指導者たちと親しいはずだ。…彼らの居所を教えれば、ヴィザを出そう」
「収容所に一年以上も居て、どんな拷問にも耐え抜いた私が、口を割ると思いますか?」

恬淡とした口調の凄みが、さすがです(*^ ^*)。





さて。
ここでまた一つ、突っ込みを。

一幕で、初めて“憧れの”ラズロに出会ったバーガー(鳳翔大)が口走ります。
「あなたが逮捕されたというニュースを、5回も読んだ」と。
ちなみに、映画では「あなたの死亡記事」になっているそうですが。(言われてみると、うっすら記憶がある)

まあ、それはどちらでもいいのですが。
なので私は漠然と、ラズロは5回も逮捕されたんだと思って、納得していました。

しかーし。
プログラムによると、どうやらそれは誤解だったらしい……。

ラズロはどうやら一回しか逮捕されていないようなので。

・「『一度は』ナチスによって収容所に収監されたものの」(プログラム第2幕第1場)
・「収容所から脱出したときの傷に比べれば……」(byラズロ)(収容所からの脱出劇を複数回やっているようには聞こえない)
・「世界をあっ!と言わせた男だ」(byリック)(「あっ!」を言わせるには、一度で十分)

……ってことは、4回は虚報だったのか?
それとも。バーガーは、一つの記事を5回読み返したって言いたかっただけなんでしょうか……???

……だれか、宙88期の首に鈴をつけてあげ(黙)


この部分の突っ込みは、ジュンタ様の記事に心の底から同意して書いておりますので、勝手ながらリンクをさせていただきます。
http://juntan.diarynote.jp/201001070208356426/
(こちらの記事を拝見するまで、その可能性には全く気がつきませんでした……。新鮮な解釈、ありがとうございます! トラックバックの仕方がわからないので、リンクだけさせていただきます)




これだけではなんなので、ラズロの収容所収監期間について。

ラズロ自身は、「収容所に一年以上居て」と語り、
シュトラッサーは、ラズロについて「プラハからパリに逃れ、地下新聞を出し続けた」と評しており、
1940年の春には、セザールが「プラハの地下組織は、リーダーのラズロが捕まって焦っているんだ」という発言をしています。


イルザの「プラハで捕まり…」という台詞もあるので、年表の形でまとめるとこんな感じでしょうか。

・1938年のナチスによるプラハ占領~1939年5月以前のいつか
 ラズロがプラハで逮捕され、プラハの収容所に収監される
・1940年春
 ラズロ脱走。国境を突破してパリを目指す。
・1940年6月
 やっとパリ近郊まで辿りついて、イルザにメッセージを送る。
 その後、イルザと合流して身体を治しつつ、亡命の準備が整うまでパリ(近郊?)に滞在
 地下新聞を出し続ける。
・1941年
 アメリカ亡命のため、マルセイユ経由でカサブランカへ。



イルザだけは、占領前にパリへ逃がした、という感じなのでしょうか。それとも、ラズロの逮捕後に自力で逃げたのかしら?意外にメッセージはきちんと届いているので、プラハの抵抗組織自体は機能しているんですよね(パリの組織とも、多少は連携できているようだし)。




この作品(映画も、舞台も)が最終的なところで理解し難くなっているのは、イルザは『活動』の中で何をしているのか?が解らないから なのではないか、と思ったりもします。
ラズロの公的生活におけるイルザの価値がわからないから、ラストシーンのリックの「ヴィクター・ラズロを支えているのは君だ」という台詞が納得し難くなってしまうのが残念だと思うのです。
表面的には、彼女は何も知らないし、何もしないんですよね。
ラズロが死を偽って脱走したことも知らないし、そもそも、捕えられたラズロの救出のために動いていた気配さえ、ない。

イングリッド・バーグマンくらい美人だったら、「ああいう美人が傍にいるだけで、さぞラズロは力づけられただろうね」という方向で納得できるかもしれませんが、すみ花ちゃんは可愛いけどそこまでの存在じゃないので。
せっかく回想シーンを創作するなら、ただうっとりと恋に溺れる女の子じゃなくて、反ファシズムの闘士としてのイルザを描いて欲しかった。


すみ花ちゃんなら、可愛いばかりじゃない、アグレッシヴな活動家にだってなれたと思うんですけどね。
……あんまり遣りすぎて、ラズロより偉大な存在になってしまったりしたら「カサブランカ」じゃなくなってしまうので、そこはバランスが大事、ではあるのですが……。





突っ込みが無駄に長くなりました。すみません。
シュトラッサーの提案をあっさり蹴ったラズロは、最後まで隙を見せることなく、ルノーのオフィスを後にする。


後には、ウガーテの死亡調書を作成するルノーと、苦虫を噛んだままのシュトラッサー。

ウガーテの死を教えられて、
「拷問による死亡?」
と指摘したラズロに、ニヤニヤと嗤いながら
「その前に死んでしまいましたよ」
と嫌味っぽく教えるルノーが、イヤラシクて素敵です(はぁと)。単刀直入で紳士的なシュトラッサー、ちょっと回りくどくて嫌味なルノー。ドイツ人とフランス人の違い、ってことになるのでしょうか?なんだか、京の都に乗り込んでいった東国武士団の勇者たち(義仲とか義経とか)を思い出すなあ…。




ラズロたちが去り、シュトラッサーも去ったオフィス。
やれやれと溜息をついて、肩の関節を回すおっさんなルノー。
カッセル(澄輝さやと)が入ってきて報告。
「例のブルガリア人が」
「……女の方だけ、通せ」

ニヤリと片頬で嗤って、どっしりと席に座るルノー。キョロキョロしながら入ってきて、所在投げに客用椅子に座り込むアニーナ(花影アリス)。
……恰幅のいい肉布団のルノーと、元から細すぎるアリスちゃんの対比。ヤン(凪七瑠海)と一緒の時は姉さん女房なアリスちゃんが、ここでは怯えた子ネズミみたいで可愛いです。



■第3場 バザール(ブルー・パレット) ~1941年12月2日~

ルノーのオフィスを出たラズロを待っていた、花売りのファティマ(すみれ乃麗)。
「闇取引なら、フェラーリに頼むしかないよ」
と、バザールの奥のフェラーリの店への案内を申しでる。


おりしも日は中天。バザールは活気に溢れている。

下手から登場するターバンの男(天羽珠紀)と女二人(花音舞、百千糸)の歌が、怪しげでとてもいいです。ウガーテとしての台詞の声は軽めにつくっているたまちゃんですが、ここはずいぶん重たい声での歌唱で、すごく嬉しい★花音さん、ももちの歌も、女のいやらしさがあって良い声だなあ(^ ^)。



そこらへんで、いろんなものを売っているひとたち。
とりあえず、えっちゃん(大海亜呼)とえびちゃん(綾瀬あきな)がセットで動いているのがかわいい~♪大きなえっちゃんと小さなえびちゃん、どっちも「ムーア人の男」くくりですけど、ちょっと真ん中で目立つダンス(?)があったりして、案外おいしいです。

いつか、ムーア人の女性たちが見分けられるようになれるかしら……ちょっと無理そう(涙)。


いろんなところでいろんなものを、見たり買ったりしているひとたち。
皆さん、前夜のカフェの場面から、誰一人着替えてないんですけど。
ファン的には、一人一人見分けやすくて助かるんですけどね(汗)。でも、それってどうなの(^ ^;ゞ

皆もう、あらゆる意味で、楽しそうにもほどがあります(^ ^;ゞ



とりあえず。西欧人のカップルで、わかったのは以下のとおり。

・美月遥&藤咲えり   あれっ?えりちゃん、(蒼羽)りくちゃんはどうしたの…?
・蒼羽りく&愛花ちさき りくったら、こんな処でお金持ちの奥様とご一緒でしたか。
・天玲美音と妃宮さくら 密航業者と我侭でお金持ちのお姉さま。
・星吹彩翔&琴羽桜子  前夜のカフェと同じカップルなのは、この二人だけだったような気がします。

そもそも。細かいツッコミをするなら、美月くんは天玲くんに「明日午前1時に、現金1万5千フラン持って港に来い」と言われていたんですが。……こんなところで人妻相手に油売ってていいのか……?


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コメント

nophoto
ikki
2010年1月15日8:19

こんにちは。
バザールの場面、某下級生が話していたことによると、「カフェと衣装は同じだけど別人設定」だそうです。通し役にしたかったけど、どうしても辻褄が合わないので、別人にしてしまって、色々買い物を楽しんでいるそうです。

みつきねこ
2010年1月16日2:30

ikkiさま
コメント&情報ありがとうございます!!そうなんですね~~!!
いや、まあ、どう見ても別人なんですけど、衣装が同じなので難しいですよねえ……

でも、みんな難しい課題なのにがんばっているんですね!!本当にありがとうございましたm(_ _)m。