宝塚歌劇団宙組公演「カサブランカ」。



先日書いたときは、第6場の途中で終わったので、その続きを…と思ったのですが。
まずは、その前の部分について、若干の追記をさせてくださいませ。



■裁判所前広場

初めて観劇したとき、「ヴィザを!ヴィザを!」という大ナンバーを聴いて、ミュージカル「サンセット・ブールバード」(A・L・ウェッバー)の主題歌を思い出しました。
変拍子なのと、全体的なコード進行が似ているんだと思うんですが。……昔から、ああいうコード進行の曲が非常に好きなので、いきなり掴まれてしまいました(^ ^)。

その後の、カチャ(凪七瑠海)が花露すみかちゃんを慰めて歌いだすナンバーも凄く好きです。
カチャの、ちょっと鼻にかかった個性的な声はあまり好きではないのですが、公演も回数を重ねるにつれて、
「あなたもきっと、あの飛行機に乗れますよ…」
という台詞の誠実さとか、青臭さ(若さ)とか、そういうモノが凄く出てきているなあと思います。
若くて、一生懸命で、でもちょっと空回りしがちな青年。愛する妻の前で、ちょっと正義漢ぶってエエ格好をしたい気持ち。そんな夫をうまいこと立ててあげられる、歳上の妻。
アリスちゃんとカチャ、次のバウでも組むことが決定している二人ですが、予想以上に良いコンビになりそうだな、と思いました♪



(蒼羽)りくちゃんと(藤咲)えりちゃんは、この場面では終始カップルで行動してるんですね。お似合いの二人で、紺のスーツに寂しげな美貌のえりちゃんが、若い恋人の無謀な行動(看板を殴ったりとか)を心配している様子がとても可愛いです。
あと目についたのは、美月遥くんと七瀬りりこちゃん。フィナーレのエトワールで話題をさらったりりこちゃんですが、ブロンドの巻き毛が良く似合う、豊満な美人さんですね♪
愛月ひかるくんと瀬音リサちゃんも何回か抱き合っていたけど、カップルなのかなあ?このあたりは、なんとなく日替わりっぽい感じなので、あまり確信がありません。


リックのカフェで度肝を抜くほど美人だった妃宮さくらちゃん、裁判所前広場の亡命者は、地味なスーツに髪もアップにしていて、まるっきり別人です。最初全然気がつかなくて、さくらちゃんは出てないと思ってました(汗)。役者だなあ……(感心)。


初めて大劇場で観たとき、そういえばえつこ(大海亜呼)があまり出てないなあ~?と思ったのですが。プログラムを見たら、ほとんどの場面に出てるんですね(汗)。主に、ムーア人ので。
口ひげにあごひげで完全に顔を隠して、バザールで物を売ったり、リックのカフェでルーレットをしていたり。こういうアンサンブルのムーア人たちは、実は大半が娘役だったりします。下っ端の警官も半分は娘役だし。
娘役の男装があちこちで観られるのは、「太王四神記」と同じ。それだけ、人海戦術を重視した作品だ、ってことなんでしょうね。


また、リックのカフェではボーイ役をしているえびちゃん(綾瀬あきな)、(千鈴)まゆちゃんの二人は、他の場面でもほとんど男の子の役。しかも、どの場面もめっちゃ可愛い!(汗)。パリ南駅の群衆でも男の子だった二人に、乾杯。







■第6~11場 リックの店 ~1941年12月1日夜~(つづき)

ルノー大尉(北翔海莉)の前を敬礼して通り過ぎるカッセル中尉(澄輝さやと)を、慌てて追いかけるトネリ大尉(月映樹茉)。「Un moment, per favore!」って、要するに「Just a moment, please!」みたいな言葉なんでしょうか。トネリの盛大な巻き舌、面白すぎるんですけど(^ ^)。



店に入っていく二人を無言で見送るリックとルノー。
二人の間に流れる空気が、なんとなく緊張感があるんですよね。リックは比較的自然体で立っているのに、ルノーはすごくリックを気にしてる。リックは気にされていることに気づいていて、でも放置している。人と深く関わるのは二度とごめんだ、と思っているから。



そんな二人の間を切り裂くように、飛行機のプロペラ音が聞こえてくる。

「リスボンへの夜間便だ。…乗りたくないか?」
穏やかに問いかけるルノー。そっけなく応えるリック。

謎めいたリックという男を見抜こうと、あれこれ話しかけるルノーと、さりげなくかわそうとするリック。敵なのか味方なのかはっきりさせないままに続く2人の会話は、大劇場の後半から、少しづつ緊張感が出てきたと思います。
しかし、みっちゃん。……貴女は本当に、素直で可愛い女の子なんだなあ……(; ;)。



店の玄関を開けて、クルービエ(ルーレットの“親”)のエミール(蓮水ゆうや)が出てくる。
「すみません。強いお客様がいらして、2万フラン足りないんです」

なぜ彼が、わざわざカフェを突っ切って表のドアから出てくるのかが素朴に疑問なんですが。
舞台上では下手に回ればすぐカジノだし、リックも「裏から行くぞ」って言ってるのに。

ま、そんなことはどうでもいいんですが。
失敗して落ち込んでいる『プロの技術者』という難しい仕事を、きちんと見せるちーちゃん。巧いなあと思いました(*^ ^*)。ただ失敗してがっくりしているんじゃなくて、プライドが傷ついた感じが伝わってきます。そして、それを軽い調子で慰めるリックがとても優しい。
さっきまでの、あれこれ追求してくるルノーをさりげなくかわしていたつかみどころの無い男とは別人のように、実在感のある温み。『クール』と評されることの多い祐飛さんのお芝居ですが、意外と温かいんだよね、と思うのはこんなときです(*^ ^*)。


『裏から』回って金庫室へ向かう三人。
下手花道のセリから、せりあがってくる金庫。前方下手席に座る方、ぜひご注目ください♪
金庫から金を出して、軽い雰囲気でエミールに渡すリック。
そのままエミールは一礼してカジノに戻り、リックとルノーは銀橋に出る。

エミールが戻るのを、三々五々喋りながら待っているカジノの客たちが、なんというか、ナチュラルでいいです。面白いなあ、宙組っ子たち。
ベンチに座ってのんびりお喋りしている人たち。ルーレット台の回りで待機して、ちょっとむくれているカーティス妻(美風舞良)たち。そして、苛々した様子で椅子に座りこみ、気もそぞろで目の前のチェス盤をいじりはじめるウガーテ。

それにしても。エミールを困らせた『強いお客様』って、誰のことだったんだろう……?



銀橋に出たリックとルノーは、お互いの腹を探りあいながらのんびりと歩く。

「実は今夜、第三帝国のシュトラッサー少佐がこの店に来る。そこで軽く、捕り物をやりたいんだ」
「またか。……少佐は何故カサブランカに?」
「昨日カサブランカに着いた男がいる。ナチスの敵、ヴィクター・ラズロだ」
「ヴィクター・ラズロ!?」

普段からあまり反応を見せないリックが、その名前に強く反応する。
珍しいリックの様子に、面白がるルノー。ラズロの脱出に1万フラン賭けながら、ラズロが女連れであることを勿体つけて教える。

「置いて行くかもしれない」
「ここまで連れて来たんだ。置き去りにはするまい」
「君ほどもロマンチストなら、な」
「ロマンチストなのはお前さんだ。調べさせてもらったよ……1935年、エチオピア戦争に武器を密輸。その翌年には、スペイン内戦で革命政府側に加担して参戦」
「どちらも十分儲けたさ」
「勝った側についていれば、もっと儲かっただろうに」
「……とにかく、今の君はゲシュタポの仲間だというわけだ」

……この銀橋の会話は、考えてみるとすごく大事で中身が濃い会話なんですよね。
リックとルノー、主要人物でありながら本音を見せない二人が本音と過去を語る、殆ど唯一の場面。
これを聞き流していると、後半の展開が理解できないかもしれないな、と思いました。
そのへんは役者も自覚しているようで、元々滑舌のいいみっちゃんはもちろん、せりふが篭りがちな祐飛さんも、客席にきちんと伝わるように意識して喋っているのが嬉しいです♪


銀橋から本舞台のカジノに戻った彼らのところに、カッセルが来る。
「少佐がお見えになりました」
「よし。作戦開始!

……ルノーとの連絡役をするのはカッセルだけど、実際に部下を率いてウガーテの逮捕に向かうのはさっつん(風羽玲亜)なんですね。この人の声がとても好きなので、さりげなく台詞が多くてとても嬉しい♪



カフェでは、シュトラッサーを出迎えたルノーがニヤニヤしながら席へ案内します。
カジノとの境のドアを開けて、飛び出してくるウガーテ。カフェ側で待機していた警官が取り押さえる。発砲音に驚く客たち。

「リック、リック!助けてくれ!!」
悲痛な声でリックを呼ぶウガーテ。
「……俺を巻き込むな」
冷静に~、冷酷に~♪(BY ゾフィー皇太后)
「以上が、少佐歓迎のアトラクションです(はぁと)」

……いや、ルノーの台詞にハートマークはついてません。ニヤニヤはしてますが(^ ^)。


客たちを宥めてカジノへ戻らせようとするリック。ナウオンでちーちゃんが言ってましたが、たしかにこの場面の客たちはちーちゃんにも詰め寄ってますね(汗)。彼に訊いてもわからんだろうに。

「冷たいな。俺の時は助けろよ?」
こっそりとリックに囁くジャン(珠洲春希)。……そりゃー無理だろうよ。日ごろの自分の行いを振り返ってから言いなよ……(諦)。



ルノーに呼ばれて、シュトラッサーのテーブルにつくリック。
すごく嫌そうなのが、子供みたいで可愛いです(^ ^)。

シュトラッサーの質問をいちいち違う方向に打ち返しながら泰然としている彼に、ルノーの方が心配してフォローしまくっているつもりで、かなり墓穴を掘っているあたりが、なんとなく実生活を彷彿とさせてくれて、面白いです。

「あなたがたの仕事は、ヴィクター・ラズロをカサブランカから出さないこと。私の仕事はこのカフェの経営!」
きっぱりとそう言い切って立ち上がるリックは、そのままカフェをぐるっと回って二階へ。
……あれ?「カフェの経営」って二階でするもんなのかよ……?
というわけではないのでしょうが、微妙に含みのある視線でその背を追うシュトラッサー。



BGMが「聞かせてよ愛の言葉を」に替わる。
と同時に、入り口付近にスポット。ドアが開いて、入ってくる二人の男女。

「テーブルを予約してある。ヴィクター・ラズロだ」
……亡命途中の政治犯が、本名でテーブルを予約すんなよ!!と、咄嗟に思ったのは私だけですか?そのまま受ける店も店だが。……それだけ、いろんなヤバイ活動の拠点となっている店だってコトなんだろうか…。


あと、ラズロが入ってくるのと同時にジャンとファティマ(花売り/すみれ乃麗)が反応するのが面白い。ファティマは咄嗟に話しかけようとしたけど、イルザにやんわりと拒否されてバーガーを呼びに行き、ジャンはルノーに報せにいく。目立たないのに、真剣さが伝わるれーれの仕草。さりげなくテーブルの間を縫って、何の目的も無さげにルノーに近づいて、さりげなく耳打ちするジャン。どちらもさすが、です。



ファティマに呼ばれたバーガー(鳳翔大)が、上手袖から出てくる。ちょっと身だしなみを調えて(ホントに気障だなあ)、用意していたペンダントをラズロに見せる。
「モロッコのアクセサリーですよ」
「……フランス解放同盟?」
ロケットにでもなっているんでしょうね、あのペンダント。

バーガーをチェックしていたルノーが、さりげなく近づいてくる。それをイルザに教えられたラズロは、慌ててバーガーを去らせる。ちょっと後ろ髪惹かれる様子で上手のバーに向かうバーガー。
バーには先客(トネリ)が居るんですが、彼は店に入ってからずっとバーに居るんですよね。……結局、カッセルと二人で現れたのは近くで偶然会ってしまったから、とか、そんな感じなんでしょうか。喧嘩するほど仲が良い、ふうにも見えるんですけど、そんな筈はないよねえ…(汗)。



挨拶がてら、軽くラズロに探りをいれるルノー。
「独立フランス」という誇りをくすぐりながら、さりげなくかわすラズロ。

ハインツ(風莉じん)の咳払いで、シュトラッサーが来たことに気づくルノー。慌てて立ち上がって、二人に紹介する。

「マドモアゼル・ランド、ムッシュ・ラズロ、シュトラッサー少佐をご紹介しましょう」

チェコスロバキア人の自分は、ドイツ帝国の臣民ではない、と、召還を断固拒否するラズロ。
フランスの警視総監として、オフィスへの訪問を要請するルノー。
イルザと共に行くことを肯って、満足げに立ち去る軍人たちを見送るラズロ。



全然進んだ気がしませんが、とりあえず今夜はこのあたりで。



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