若人たちのLAST PLAY
2009年12月10日 宝塚(月) コメント (2)東京宝塚劇場にて、月組新人公演「ラストプレイ」を観劇してまいりました。
先週本公演を観て、いろいろ書こうと思っていたのにまだ果たせていませんが、とりあえず、新人公演の印象を。
あ。すみません、ネタバレしますのでご容赦くださいませ。
前回の「エリザベート」と同様、研7で成績一番のみりおくんしか挨拶しない「明日海りおの新公」。
本公演とはかなり印象の違う舞台でした。
演出は、本公演と同じ正塚晴彦。ずいぶん丁寧に演出されていて、本公演もこのくらい細心の注意を払って演出されていたら、もう少しどうにかなったかもしれないのに……と思ったりしました。
明日海りお(アリステア/瀬奈じゅん)
一人の役者としての能力には十分な定評があったみりおくん。男役らしい優しさにみちた芝居で「アリステア」という人物像を塗り替えてみせたばかりでなく、研2の珠城りょうくんをしっかり支え、実力を発揮させた人間的魅力と役者としての包容力で、最後の新公に課せられた課題を完璧にクリアしてのけたのではないかと思います。
みりおくんのアリステアは、麻子さんのアリステアとはだいぶ違う人物でした。コンクールで失敗したのは、周囲の期待に応えられない恐怖に負けてしまったから。彼は優しくて、やさしすぎて、次々に載せられる“期待”という名の肩の重荷に気づかない振りを続けていた。
最悪の刻が訪れるまで。
でも。
何もかも喪った時、彼ははじめて、解き放たれて自由になる。
はじめて街へ出た彼が歌う『自由の讃歌』の曇りない明朗さが、みりおくんのアリステアの全てだったのだ、と、最後まで観て、あらためて思いました。
正塚さんの作品には、
①主人公が抱く何らかのトラウマを、新しい人間関係の構築(多くは女性との出会い)を通じて乗り越える
②トラウマを乗り越えたことによって、彼は新しい道を歩き出す。
というパターンが多いのですが。
「ラストプレイ」は、
①主人公が抱くトラウマを、新しい人間関係の構築(友人との出会い)を通じて乗り越える
ところまでは同じですが、②が無いんですね。トラウマを乗り越えたところで終わっている。
でも、みりおくんのアリステアは、このままムーアの傍で骨董の勉強をしつつ、「ピアノの生演奏が聴ける骨董店」を運営してい………そうな気がしないでもない(汗)。みりおくんの芝居はいつだって非常にリアルで、現実味があるんですよね。あの状況で、彼がコンサートピアニストに戻るというのはちょっと考え難い。でも、もう二度とピアノから離れることはないだろう……そんな、リアルな現実がみりおくんのアリステアにはあったような気がします。
珠城りょう(ムーア/霧矢大夢)
巧い人だとは思っていたのですが、あんなに押し出しがよくてカッコいいとは思いませんでした。
みりおくんとの並びがすごく良い。ムーアとアリステアの関係として、身長差も含めて実に見事なコンビでした。身体があるのと顔立ちが大人っぽいので、5年も上のみりおくんを相手に、懐の深いムーア役を演じ切って、見事な出来でした。
研2でこれだけできる人がいるのか!!という、純粋で新鮮な驚き。
一番ラスト、アリステアがピアノを弾き始めたときに、目尻から一滴(じゃないかな?)零れた涙が、とても綺麗でした(; ;)。
愛風ゆめ(ヘレナ/羽桜しずく)
これまた研2での大抜擢。台詞もあぶなげなく喋ってはいましたが、緊張が声に出ていて、聞き取りにくかったことは否めません。あと、衣装が(汗)。ヘレナの衣装って本当に難しいですよね!!ゆめちゃんは、本公演のシガレットガールがとても可愛かったので期待していたのですが、お化粧や髪型にもう一工夫あるともっと良いのになあ、と思いました。
美翔かずき(エルネスト/越乃リュウ)
やっぱりみっしょんの髭は最高に素敵だ♪♪
低い声を出すのに苦労していたようですが、非常に良い芝居をしてくれました。あの『がっかり』感と、それを隠そうとする小者っぷりがすごく良い味を出しています。みっしょんがどういう方向に進むのか長らく心配していましたが、なんとなく、もう大丈夫なような気がしました(*^ ^*)。
紫門ゆりや(ジークムント/遼河はるひ)、貴千碧(ヴィクトール/桐生園加)
お二人とも、GJでした!!あああ、新公だけだなんて勿体無い…。
いつまでも可愛いゆりやんと思っていたら、いつの間にかすっかり大人になって、格好よくなっていたことに吃驚しました(*^ ^*)。
まんちゃんとゆりやんのコンビは、同期だけあって息もぴったり、並びもいい感じです。お互い遠慮なく小突きあえているのも良かったし♪ ホッとしましたよーーー!!
ヴィクトールが失言したときのジークムントの突っ込みのタイミングとか、ずいぶん練習したんだろうなあ……と。完璧に自然(←不自然な日本語)でした!!
宇月颯(グラハム/未沙のえる)
はじめての老け役、でしょうか?元々芝居巧者なんですけど、今回はちょっと、いろんな意味で中途半端だったかな?と。もっと思い切って、髭をつけて老け役に徹しても勉強になって良かっただろうに、と思うし、逆に、ああいう役作りでいくなら、もっと細かいところまで「若者」にしてしまったほうがよかったと思います。
他の部分はずいぶん手をいれて辻褄を合わせていたはずの正塚さんが、宇月くんの役づくりにはついてはどういうアドバイスをしたのか、ちょっと知りたいなあと思ったりしました。
蘭乃はな(エスメラルダ/城咲あい)
すごく可愛くてよかったけど、あの役は結構崩れた色気みたいなものが絶対に必要なんですよね……。蘭ちゃんがすごく可愛いのとは別のところで、この役はあいちゃんの、あいちゃんのための役なんだなあ、と思いました。
煌月爽矢(クリストファー/龍真咲)
珠城くんとの並びは、結構良かったと思います。もう少し絞れると良いオトコになるだろうに…相変わらず惜しい人だわ。
まさおほど「ムーア大好き!」オーラを出してはいない役作りでしたが、最後にムーアを追いかけて交渉の場に来るときの必死さは可愛かったです。ただ、人に銃を向けたときの落ち着きというか腰の入り方はまだまだで、案外とまさおは上級生なんだなあ、と感心しました。
しかし、ずいぶん体格が違いそうに見えるのに、良く衣装がそのまま着れたなあ……。いや、まさおは見た目のイメージより背があるのは知っていますが、肩とかあんなにペラペラなのに(汗)。
とりあえず、今夜はこのあたりで。
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先週本公演を観て、いろいろ書こうと思っていたのにまだ果たせていませんが、とりあえず、新人公演の印象を。
あ。すみません、ネタバレしますのでご容赦くださいませ。
前回の「エリザベート」と同様、研7で成績一番のみりおくんしか挨拶しない「明日海りおの新公」。
本公演とはかなり印象の違う舞台でした。
演出は、本公演と同じ正塚晴彦。ずいぶん丁寧に演出されていて、本公演もこのくらい細心の注意を払って演出されていたら、もう少しどうにかなったかもしれないのに……と思ったりしました。
明日海りお(アリステア/瀬奈じゅん)
一人の役者としての能力には十分な定評があったみりおくん。男役らしい優しさにみちた芝居で「アリステア」という人物像を塗り替えてみせたばかりでなく、研2の珠城りょうくんをしっかり支え、実力を発揮させた人間的魅力と役者としての包容力で、最後の新公に課せられた課題を完璧にクリアしてのけたのではないかと思います。
みりおくんのアリステアは、麻子さんのアリステアとはだいぶ違う人物でした。コンクールで失敗したのは、周囲の期待に応えられない恐怖に負けてしまったから。彼は優しくて、やさしすぎて、次々に載せられる“期待”という名の肩の重荷に気づかない振りを続けていた。
最悪の刻が訪れるまで。
でも。
何もかも喪った時、彼ははじめて、解き放たれて自由になる。
はじめて街へ出た彼が歌う『自由の讃歌』の曇りない明朗さが、みりおくんのアリステアの全てだったのだ、と、最後まで観て、あらためて思いました。
正塚さんの作品には、
①主人公が抱く何らかのトラウマを、新しい人間関係の構築(多くは女性との出会い)を通じて乗り越える
②トラウマを乗り越えたことによって、彼は新しい道を歩き出す。
というパターンが多いのですが。
「ラストプレイ」は、
①主人公が抱くトラウマを、新しい人間関係の構築(友人との出会い)を通じて乗り越える
ところまでは同じですが、②が無いんですね。トラウマを乗り越えたところで終わっている。
でも、みりおくんのアリステアは、このままムーアの傍で骨董の勉強をしつつ、「ピアノの生演奏が聴ける骨董店」を運営してい………そうな気がしないでもない(汗)。みりおくんの芝居はいつだって非常にリアルで、現実味があるんですよね。あの状況で、彼がコンサートピアニストに戻るというのはちょっと考え難い。でも、もう二度とピアノから離れることはないだろう……そんな、リアルな現実がみりおくんのアリステアにはあったような気がします。
珠城りょう(ムーア/霧矢大夢)
巧い人だとは思っていたのですが、あんなに押し出しがよくてカッコいいとは思いませんでした。
みりおくんとの並びがすごく良い。ムーアとアリステアの関係として、身長差も含めて実に見事なコンビでした。身体があるのと顔立ちが大人っぽいので、5年も上のみりおくんを相手に、懐の深いムーア役を演じ切って、見事な出来でした。
研2でこれだけできる人がいるのか!!という、純粋で新鮮な驚き。
一番ラスト、アリステアがピアノを弾き始めたときに、目尻から一滴(じゃないかな?)零れた涙が、とても綺麗でした(; ;)。
愛風ゆめ(ヘレナ/羽桜しずく)
これまた研2での大抜擢。台詞もあぶなげなく喋ってはいましたが、緊張が声に出ていて、聞き取りにくかったことは否めません。あと、衣装が(汗)。ヘレナの衣装って本当に難しいですよね!!ゆめちゃんは、本公演のシガレットガールがとても可愛かったので期待していたのですが、お化粧や髪型にもう一工夫あるともっと良いのになあ、と思いました。
美翔かずき(エルネスト/越乃リュウ)
やっぱりみっしょんの髭は最高に素敵だ♪♪
低い声を出すのに苦労していたようですが、非常に良い芝居をしてくれました。あの『がっかり』感と、それを隠そうとする小者っぷりがすごく良い味を出しています。みっしょんがどういう方向に進むのか長らく心配していましたが、なんとなく、もう大丈夫なような気がしました(*^ ^*)。
紫門ゆりや(ジークムント/遼河はるひ)、貴千碧(ヴィクトール/桐生園加)
お二人とも、GJでした!!あああ、新公だけだなんて勿体無い…。
いつまでも可愛いゆりやんと思っていたら、いつの間にかすっかり大人になって、格好よくなっていたことに吃驚しました(*^ ^*)。
まんちゃんとゆりやんのコンビは、同期だけあって息もぴったり、並びもいい感じです。お互い遠慮なく小突きあえているのも良かったし♪ ホッとしましたよーーー!!
ヴィクトールが失言したときのジークムントの突っ込みのタイミングとか、ずいぶん練習したんだろうなあ……と。完璧に自然(←不自然な日本語)でした!!
宇月颯(グラハム/未沙のえる)
はじめての老け役、でしょうか?元々芝居巧者なんですけど、今回はちょっと、いろんな意味で中途半端だったかな?と。もっと思い切って、髭をつけて老け役に徹しても勉強になって良かっただろうに、と思うし、逆に、ああいう役作りでいくなら、もっと細かいところまで「若者」にしてしまったほうがよかったと思います。
他の部分はずいぶん手をいれて辻褄を合わせていたはずの正塚さんが、宇月くんの役づくりにはついてはどういうアドバイスをしたのか、ちょっと知りたいなあと思ったりしました。
蘭乃はな(エスメラルダ/城咲あい)
すごく可愛くてよかったけど、あの役は結構崩れた色気みたいなものが絶対に必要なんですよね……。蘭ちゃんがすごく可愛いのとは別のところで、この役はあいちゃんの、あいちゃんのための役なんだなあ、と思いました。
煌月爽矢(クリストファー/龍真咲)
珠城くんとの並びは、結構良かったと思います。もう少し絞れると良いオトコになるだろうに…相変わらず惜しい人だわ。
まさおほど「ムーア大好き!」オーラを出してはいない役作りでしたが、最後にムーアを追いかけて交渉の場に来るときの必死さは可愛かったです。ただ、人に銃を向けたときの落ち着きというか腰の入り方はまだまだで、案外とまさおは上級生なんだなあ、と感心しました。
しかし、ずいぶん体格が違いそうに見えるのに、良く衣装がそのまま着れたなあ……。いや、まさおは見た目のイメージより背があるのは知っていますが、肩とかあんなにペラペラなのに(汗)。
とりあえず、今夜はこのあたりで。
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コメント
正塚先生は東京の新公は自分で演出なさったので、台詞とかも変えていたそうですよ。
でもどこの台詞とかすぐに判るほど本公演を観てないので、よく判りませんでしたけど。
ねこさまが書かれているように、今回のみりおちゃんはなんか大きくなったというか
男役として、人間としての包容力がアップしてステキなアリステアだなぁ~と思いました。
本公演を観た後、麻子アリステアはこれからコンクールに挑戦して
あっという間にスターダムに載っていきそうな予感がしたのですが
みりおアリステアは珠城りょうちゃんちに戻って生活しそうな気がするの(笑)
それで、骨董の勉強のために大学に行きそうな気がします。
それはそれで素敵だ☆
で、話は聞いていたのに、それでも実際新公をみて驚いたのが珠城りょうさん
>>一番ラスト、アリステアがピアノを弾き始めたときに、目尻から一滴
(じゃないかな?)零れた涙が、とても綺麗でした(; ;)。
うんうん、それもしっかり見ました。
そしてその感情の動きの柔かさは新公なんだし、なんか魅力を感じました。
あれで、私もうっかり泣きそうになりました。
愛風ゆめちゃんは本公演のシガレットガールのほうが全然魅力的ですね。
本公演で初めて見たときに、あれ?!可愛い子がいるけど誰かなぁと思いました。
なのに、ヘレナは彼女の魅力が全然でてなかった。
衣装も似合わないし(涙)ヘレナって難しい役だったんですね。
ちょっと意地悪そうに見えちゃうのが惜しかったなぁ・・・
なんかしずくちゃんはアリステアが好きな気持ちが良く判るのですが
ゆめちゃんは本当にただの幼馴染ってだけで、二人の間には何も無かったように思う。
紫門ゆりや(遼河はるひ)、貴千碧(桐生園加)
予想外に良かった。この役は難しいと思ってます。
本公演でも最初見たときに滑っていて「ああ・・・」と胸が苦しかったので。
退団するのに、何も最後であひちゃんにこんな難しい役を振らなくてもなんて思ったりして。
それをしっかり二人で練習してきたんだなぁという間の良さで息をあわせて乗り切ったので感心しました。
段々調子が出てラストの二人だけの場面とか客席さらってましたよね~
紫門さん、せりふがすごくしっかりしてきました。声も今までの中では男役の声が一番出てきて魅力倍増!
貴千さん、個性的な人というしか印象がなかったのですが、お化粧もうまくなってこれまた男役らしくなって素敵でした。
とにかくこのコンビ、本当に難しいのによく頑張ってたと思う。
正塚先生もこれならOKだったんじゃないかなと思うな。
美翔かずき
これまたオジサマが素敵でした。ヒゲが似合うし。
そんなに老けメイクとかじゃないのですが、ちゃんとオジサマでした。
腕をあげたななんて思いました。
宇月颯
ミッションに比べ、老けっぷりが中途半端でものすごく気になったのがこちら。
いつも宇月さんの芝居は結構誠実で好みなのですが、いっそのこともっと若い人っていうか
このチームでは一番年上だけど35歳くらいとかに設定しても良かったんじゃないのかなぁ
他の台詞を変えたんだったら、宇月さんの台詞を変えてほしかったですよ、正塚先生!
煌月爽矢
確かにムーアとの並びもいいし、このクリストファーは今回の芝居のなかで
自分の役目を理解していて、良かったです。
目が効くよね。骨董品店のグループのなかでのクリストファーの役割が上手くハマっていたんじゃないかと。
もっと痩せてほしいですが、彼のがしっとした体格も魅力ではあるなぁ(笑)
エスメラルダの蘭乃はなちゃん
エスメラルダも、あいあいだけの役だったんだと思う。
新公時代のかなみちゃんとかで見たいなぁ~
あ、私もここまでで次に移ります。
そうなんですねぇ。でも、私も残念ながらそんな微妙な違いがわかるほどは本公演を観ていなくて……。あーあ、贔屓組なのにこのていたらく(涙)。
麻子さんのアリステアは、コンサートピアニストに戻るんだろうな、と思いましたよね。だから私、本公演の感想を書いていたときは、ラストが中途半端だと書いていたんです。
あそこで終わらせずに、最後にもう一度コンサートの場面をやればいいのに、って。
でも、新公観て納得しました。ああ、アリステアはあそこで自分を取り戻して、もう過去を振り返ることはしないんだな、と。正塚さんの意図は、どちらにあったんでしょうね。
みりおくんは勿論ですけど、珠城りょうさん、よかったですよね!(*^ ^*)。ゆりやん&まんちゃんコンビも良かったし、みっしょんの方向性も見えてきたし、楽しい新公でした。宇月くんが珍しく苦戦していましたが、これで挫けないで、また次もがんばってほしいなあと思います♪♪
中日&バウの配役、早く出ないかなあ……。