東京宝塚劇場にて、雪組公演「ロシアンブルー/RIO de Bravo!」を観劇してまいりました。




みなこちゃん(愛原実花)、トップ娘役お披露目、おめでとうございます!

いやあ、もう、とにかく可愛かったです(*^ ^*)。大野さん、ありがとう♪♪渾身の宛書でした。
お堅くて、意地っ張りで、素直じゃなくて、気弱で、自信がなくて、寂しがりやで眼つきが悪くて。

うーん、ある意味ロシアンブルー=みなこちゃんなんだなあ、と、タイトルの意味に納得してみたりして(^ ^;ゞ





新しい相手役を迎えた水さんがまた、男前で包容力があってカッコよかったです。
“優しくて愛がある”という水さんの芝居のイイトコロはそのままに、甘やかさと包容力が加わって。相手役がテンパってカラカラと空回りしているのを、良い意味で面白がりながら、温かく見守っている雰囲気なのが凄く良いです。
芝居の呼吸は、初めて組んだとは思えないほど良く合っているから、安心して面白がれるんだろうなあ、と。となみちゃんとのお披露目だった「星影の人」の時は、同じように“初めて組んだとは思えないなあ…”と感心しましたが、水さんの側にあまり余裕がなかったので、そういう微笑ましさというか、甘やかさ(?)は感じなかったんですよね。うん、新しい魅力が出ていた、というのが、一番近いかな(*^ ^*)。
そういえば、檀ちゃんと組んでからのマミさん(真琴つばさ)も、ちょっとそんな感じのところがありましたね。





ヘンリー(彩吹真央)とロビン(大月さゆ)の執事&メイドの兄妹は、これがまた、めっちゃ良かったです♪
生真面目な、というより慇懃無礼な調子でご主人さま(アルバート/水)に話しかけるユミコさんに萌え、振り回されてアワアワしている水さんに萌え、、、いやー、いいコンビですね、このお二人は。
息もぴったりだし、なによりも深い信頼感があって。
そして、引っかき回し役で、なおかつ語り手でもあるロビンちゃんが、めっさ可愛いです♪ちょっと、前回公演(「ZORRO」)のメイド役と被るキャラクターではあるのですが、まぁこういう“隣の女の子”なのにぶっ飛んでる、みたいなキャラは彼女の強みだなあ、と思います。きゃあきゃあ騒いでいるようで、それほど耳に障らない声質も貴重ですね。とにかく、さゆちゃんが「おにいさま〜!」と呼びかけるたびにきゅんっとします(^ ^)。




キムちゃん(音月桂)は、実在のソヴィエトの演出家(のちに映画監督)、グレゴリー・アレクサンドロフ。
この人は、大御所のエイゼンシュテイン(奏乃はると)と共に、麻樹ゆめみさんたちが率いるメイエルホリド劇団に協力している、という設定なのですが。このメイエルホリド劇団という存在やエピソードを私が全然知らなかった(←無知?)ので、ちょっと解り難いなーと思いました。
知らない劇団名がなんの説明もなく(プログラムのキャスト説明を読めば書いてあるのですが)出てきて、こ、この劇団がこれからどう物語に絡むんだろう……?とか思っていたら、結局のところ、本筋とは全然関係なかった。
そういう意味で「あれっ!?」と思ってしまったんですよね。

まあ、創り手側にしてみれば『本筋と関係ないからいちいち説明してない』だけのことなのかもしれないんですけどね。でも逆に、説明ナシに突然出てくるから、『そのうち説明されるに違いない!』とか、『大野さんが無駄なエピソードを積むはずがないから、この劇団の謎が展開に関わってくるに違いないわ!』とか、勝手なことを考えてしまうんですよね(汗)。(←考えすぎ)



大野さんの大劇場デビューだった「夢の浮橋」に比べると、ストーリー自体は入り組んでいるけれども、本筋がはっきりしていて、心理の動きもごくシンプルでわかりやすい話だったと思うのですが。この「メイエルホリド劇団」という実在のソヴィエトの劇団の存在が、話を意味もなく複雑に見せていた、ような気がしました。

いや、だから何、って感じなんですが(汗)。

たとえば、留学生(佐野碩)の存在意義が曖昧だ(というか、無い)と思うんですよね。確かにこの時期、日本からソ連への留学生は多かったはずなんですが、それって常識……なんでしょうか?(←急に自信がなくなる)
観客としてぼーっと観ていても、『なんで日本人がいるんだろ?』としか思わないような気がするんですよ。いや、ちゃんと台詞では、留学生だとは言ってるんですよ?そういう基本的なところはちゃんと押さえてあるんです。ただ……なんというか、何故彼らが留学してくるのか、当時のソヴィエトの演劇界の先進性を語る場面が無いから、直感的に伝わり難いんじゃないか、と思うのです。

やっぱり、そのへんの芸術論とか文化政策論みたいな部分は、時間の関係でばっさりカットされちゃっのかな…?(というか、当初の企画では芸術論だけで一時間半かかってた、みたいな)なーんて思ったり。





ま、それはともかく、
……キムちゃんグレゴリーの話。


メイエルホリド劇団を救え!というエピソードが本筋に全く絡んでこないので、キムちゃんの役の意義が薄れたのかな、という印象は若干ありました。
もしかしたら、大野さんの最初の構想ではもっとメイエルホリド劇団のエピソードが主軸に来ていたんじゃないかなあ、と思ったんですよね。ネコタナ一族が、その特殊能力を生かして劇団を運営していた、とか、そういう設定で。
実際メイエルホリド劇団もネコタナ一族同様、政治的な圧力を受けていたわけですから、それを膨らませるつもりだったのかな、と。

でも、やはり実在の劇団(それも結構悲惨な運命を辿っている)をモデルに話を組み立てるとコメディにならないので、全然違う話に組み立てなおして……そして、キムちゃんがそっち側のエピソードを一人で支える羽目になった、みたいな。そんな気がしました。



でも!キムちゃんの芝居は熱量があって人を巻き込む力があるので、今回みたいなポジションの(ソヴィエトとアメリカの架け橋になる)役は、嵌っていたと思います。口にする台詞の一言一言に、説得力があるんですよね。それでいて可愛くて、つい話を聞いてしまう、という裏技つきで(^ ^)。
グレゴリー的な見せ場は、タップ対決ということになるのでしょうか?でも私は、劇団の稽古場であれこれ喋っているときの芝居が好きでした。人の輪の中を泳ぎながら、好奇心にみちたキラキラした笑顔で新しい人々と接し、いろんなアイディアを温めていそうな雰囲気が。

……これを、新公では真那春人くんがやるのか……ドキドキ(*^ ^*)。




専科のお姉さまがた(汝鳥伶、五峰亜季、美穂圭子)と、悪役専科になりつつあるハマコさん(未来優希)、最後の舞台となるいづるん(天勢いづる)…皆、遣り甲斐のある『いい役』だなあ、と感心します。それぞれに性格があって、過去があって、未来があるから、今の台詞がある。脚本的にきちっと裏づけがあるから、安心して芝居ができるんでしょうね。
みなさんノリノリで楽しそうで、観ていて幸せでした。


そして、ユーリ先輩(緒月遠麻)。
噂には散々聞いていましたが。本当に格好良いです〜〜!!
役自体もいい役だし、これは新公のあずりん(梓晴輝)、楽しみだなあ♪
一緒に芝居をする真波そらちゃん・彩夏涼さんとかもいい感じで、ラストをさらっとまとめてくれたなあ、と思います。
いやー、テルくんと離れた途端のこの役で、キタロウのファンがまた増えそうですね〜(*^ ^*)。大野さんの好きそうな役者ですもんねぇ♪




うーん、なんだかいろいろ、語りたいことがたくさんあるなあ(*^ ^*)。
ネコタナ一族全員の愛おしさとか。
エイゼンシュテイン(にわにわ)とジナイーダ(麻樹ゆめみ)さんが妙にラブラブだったこととか(^ ^;
キング(蓮城まこと)のロバート役が大当たりだったこととか。
バレエ・リュス(ペトルーシュカ)チーム(沙月愛奈、愛輝ゆま、香音有希)の可愛らしさと、もっと踊って欲しかったこととか。
ボルシェヴィキだの官憲だのの下級生が駆け込んでくるとき、真那春人くんが必ず一番前で、舞台をぐるっと回って上手奥へ行ってしまい、下手に座っていた私には全然見えなかったこととか。
メイエルホリドの衣装係(悠月れな)ちゃんが達者で面白かったこととか。


……あ!デボラさん(天勢いづる)のかばん持ちをやっていた涼瀬みうとくんの、さりげない存在感も良かったです。キレイな人なのに、あまりにも面白くて、しばらく誰だかわかりませんでした(汗)。




それにしても。この作品、私は最初から最後まですごーーーくすごーーーーく愉しかったんですが。一点だけ、大野さんに考えてほしいのは……グループ芝居の演出方法、ですね。
今回、アメリカのレビュー団メンバーと、メイエルホリド劇団のメンバーが混ざって芝居をしている場面がすごく多いのですが、そういうときに、誰がどっちのチームか、ぱっと見てもよくわからないことが多くて(T T)。
衣装を変えるとか、立ち位置を工夫するとか、もうちょっとなんらか工夫の余地があったんじゃないかなあ、と。

ソヴィエトとアメリカとはいえ、同じ人間なので(^ ^)ネコタナチームほど特化していなくてもいいんですが、もう少しチーム所属がわかりやすいように演出してくれると、初めて宝塚を観る人でもわかりやすいんじゃないかなあ、と思いました。




うん。
でも、大好きです。この作品。
全編に大野さんの愛が溢れていて。

ラストの、アルバートさんの「リオにでも行くか!」という台詞に、思わず声を出して笑ってしまった(^ ^)。


予想以上にいいコンビになりそうな、水さんとみなこちゃん。コンビを語る上で、「芝居の相性がいい」は最高の誉め言葉ですよね!これからも、ご活躍を心から期待しています★



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