大江山の花の伝説【5】
2009年9月6日 宝塚(宙)相変わらず終わりの見えない感想文です。
宙組博多座公演「大江山花伝」。
鬼たちの宴からなんですけど、鬼たちの一人一人については以前も書いたので、いちおうリンクしておきます。
http://80646.diarynote.jp/200908120316522855/
これもまだ、何回かしか観ていない頃の感想なので、今はちょっとイメージが違っていたりもしますが…。
■第七場 鬼たち、集う
どんなに疲れ切っているときでも、この場面にくると、もの凄い勢いでテンションがあがっていた私。場面が終わるまでオペラグラスが一瞬も降りることがない、と、隣に座っていた友人に指摘されたりしました(汗)。どうりで観終わったあと肩が凝るわけだ。……ってゆーか、宴が終わるとオペラグラスが降りるっていうのは、祐飛さんのファンとしてどうなんだろう…。
「大江山にお連れください!」「ならぬ!」という、綱と藤の葉の幕前のやり取りのあと、紗幕の向こうに光がはいり、舞台は鬼たちの棲家、大江山へ。
少し間をあけて、ちょっとおどろおどろしいファンファーレ(?)のあとに続く軽やかな前奏。紗幕があがって、鬼たちが舞台前へ出てくる。
センターに羽黒(天羽珠紀)。踊りながら「地獄の一丁目」を歌う、楽しそうな鬼たち。四天王と四面、五蔵、六歩、七曲、八飛、九呂。全員が大きな朱塗りの盃を持って、実にイキイキと、個性的で、とにかく楽しそう(^ ^)。
個人的には“首塚”という歌詞にあわせて盃を首の高さにあげ、その上で頭をふりふりするところが好きでした。あと、「青鬼、赤鬼」と言われて、あの鬼メークでニコっと笑う珠洲さんとちーちゃんが好きだ。いや、普通に全部好きなんですが。
「地獄の一丁目」が終わると、千年杉(萬あきら)がセンターに出てきて、「鬼も十八、番茶も出花♪」と言いながら、鬼娘たちのナンバーに。
薊姐さん(綾音らいら)、鬼灯(妃宮さくら)、蛍火(舞姫あゆみ)、五月雨(琴羽桜子)が可愛らしく「ちょいな♪」と歌い踊るのに無理やり混ざって踊ろうとするけど、さっぱり振りがわかっていない四面(花露すみか)。以前も書きましたが、結局四面の謎は解けないまま千秋楽を迎えてしまいました(T T)。とりあえず、最初はからかうように声をかけただけですぐに引っ込んだ仏(蓮水ゆうや)が、二度目は結構ちからづくで後ろにどかしていたのが興味深かったです。たしかあれは、天竜か誰かに言われたっぽい感じだったんですよね…。下手の岩の前にしゃがみこんで抗議の声をあげる四面に、七曲(松風輝)が盃をあたえて宥めていたのが面白かったんですが、最後の週末はやってなかったような気がする。あの、盃を二つ持って、シンバルみたいに打ち合わせて楽しそうに笑っていた四面が可愛かったんですけど。
この場面は、日替わりでいろんな人がいろんなことをしていたので、かなり混乱しています…。
基本的に春風(蒼羽りく)と秋風(星吹彩翔)は下手奥のセットに腰を掛けて、千年杉がナンバーを終えて帰ってくると、ずっと三人で呑んでいた気がします。秋風は比較的クールに手酌で呑んでて、春風は笑顔で子供たちの相手をしたり、いろいろしていたような。
その隣では、佐渡(天玲美音)が手酌で呑んでいて。空になった徳利(?)を二、三回振って、怒って投げ捨てる、みたいなことをやってたりしました。そのあと、いつもはその辺を探して、“どこにもねぇ~~~!!”みたいになってから前に出て、「酒もってこ~い!!」の芝居になるのですが。何回か、そこらを探しているうちに秋風か誰かが使っていた徳利を見つけて振ってみて、“やっぱりねぇぞ!”みたいな時があったのですが…………実はその後、場面が落ち着いてから、同じ徳利で穏やかに酒を注いでいる秋風がいたりした日もありました(笑)。
女性陣は、ただ「都の女」と表記されたえびちゃん(綾瀬あきな)と百千糸さんがセットの下手側(舞台としては真ん中あたり?)でおとなしく座り、その上手側の花園衛門(愛花ちさき)と紅少将(花里まな)が基本的に酒呑童子(十輝いりす)に酌をして、檀の下に伊勢式部(鈴奈沙也)と橘少納言(大海亜呼)、そして上手端には桂尚待(花音舞)と堀河の姫(千鈴まゆ)ちゃんがいた…と、思います。たぶん。
ちなみに、佐渡に「酒をもってこい!」と責められて、最初に「申し訳ございません~」と前に出るのが千鈴まゆちゃん、後から出るのが花音舞ちゃんであってます…か?(ドキドキ)
男鬼どもは、自分らのナンバーが終わると思い思いの場所に散るのですが…えーっと。六歩(月映樹茉)と九呂(風馬翔)が下手手前のあたり、七曲がその奥、佐渡がセットの真ん中あたりに腰掛ける感じで、羽黒は上手手前に座り込み、酒呑童子の前あたりに他のメンバー(天竜、仏、五蔵、八飛)が溜まっていたような…(曖昧)。で、千年杉のナンバーが終わって佐渡が騒ぎ出す前に、保昌から着替えて出てきた三田(雅桜歌)が下手から飛び込んできて、六歩たちのグループに参加、という感じだったと思います。
鬼娘たちがナンバーを終えてはけると、蛍火は迷わず六歩のところへ。薊姐さんは下手の、胡蝶(花影アリス)がいるあたりへ。鬼灯と五月雨は舞台奥のグループに参加する感じでした。
酒呑童子が「都の女たちの歌を聴かせてもらおう!」と声をかけると、男鬼たちが姫君たちを舞台前に追います。ここで、伊勢式部が「もうお許しください~」と泣き崩れるのを、花園衛門が宥めて、歌いだす、と芝居は流れていくのですが。
この会話の間、鬼灯と八飛が並んで仲良く立っていたのに気がついたのは、千秋楽の直前でした(汗)。あらあら。この後の、胡蝶のナンバーの後ろでは、鬼灯はどう見ても仏狙いだったので、いつのまに八飛とくっついたのかしら?と思っていたのに…(考えすぎ)(^ ^;
都の女たちの真ん中で歌いだす花園衛門。その美しい衣装にじゃれつくようにちょっかいを出しながら、合いの手をいれる三田。たぶん、三田は伊勢式部も、顔じゃなくて衣装が気に入って攫ってきたんだろうな……。
蛍火に言われて、三田を片付けにくる六歩が、なんだか凄く大人びていて格好良いです。名前から見ても、この後の場面の行動からみても、一応三田が年長という設定なんだと思うんですけど、とてもそうは見えません(きっぱり)。
泣き崩れて歌えなくなった姫君たちに、怒りをぶつける五蔵。若いのに怒鳴り声が効いていて、格好良かったです。姫君たちに関しては五蔵が一番の苛めっ子という設定なんですよね。…良く見ると美形なのにね。(←関係ない)
四天王も加わっての怒鳴り声に姫君たちがますます怯えるのを見かねて、胡蝶が凛と声をかける。
「お待ち。」
す、と音もなく立ち上がって、
「あたしが替わるよ、そこをどきな」
いやー、ここの胡蝶さんは本当に格好良いです。勿論、ナウオンでも話題になった「なんだい羽黒、あたしじゃ不足かい?」は最高です(*^ ^*)。いやー、イイオンナだわ♪
胡蝶に呼ばれて「あいあいーっ♪」と可愛く返事をする子鬼たち、りんどう(舞花くるみ)、われもこう(瀬音リサ)、ひなげし(愛咲まりあ)が、ものすごくかわいい。中でも、われもこうの瀬音リサちゃんがめっちゃ可愛くて、すっかりお気に入りになりました。
それにしても。この三人、髪に飾る花は自分の名前とは全然関係ないんですね。りんどうとひなげしがピンク、われもこうが黄色だったもんなあ。りんどうは青紫、われもこうは濃紫……じゃないのか?ひなげしは色んな色があるから、ピンクでも間違ってないけど。三人ともものすごく可愛いし、色が役名とあっていれば、もっと覚えやすかったのになあ…。
「♪山陰の泉に映る 昏き瞳の君や知る…」
胡蝶の歌は、茨木を呼び出す呪文のようです。原作の外伝である「鬼の泉」を想起させる歌詞は、たぶん、確信犯なんでしょう…。
呪文によって召還された茨木は、さりげなく段差につまずいたりしながら(^ ^)胡蝶に手を引かれて舞い始めます。それまで千年杉と呑んでいた春風・秋風がさりげなく後ろについて舞ってくれるのも見処。彼ら二人は散々飲んでいたハズなんですけど、全然酔ったようには見えない……一番足許があやういのは、今まで宴には参加していなかったはずの茨木だよねぇ?
舞うメンバーが多くなったので、彼らが舞台前に一列に並ぶとほとんど舞台全面をつかってしまい、下手で呑んでいた六歩たちのグループが慌てて避けてたり、意外と細かいところが面白い(^ ^)です。
ここはなんというか、鬼たちの宴の一番の盛り上がり、という空気がちゃんとあったのが、すごく良かったと思います。回りで呑んでいる連中も、真ん中を注目してヤンヤヤンヤと盛り上げながら自分たちも愉しむ、という感じがちゃんとでていたし。いかにも仲が良さそうで、すごく楽しい宴でした。……都の姫君たちを別にすれば、ですが(^ ^;ゞ
舞い終えた茨木は、一方的に宴の終了を宣言します。
えーっと、酒呑童子の許可も得ずに、「俺の命令がきけんのか」とか言っちゃって大丈夫なんだろうか…とか思いつつ。いやー、酒呑童子は息子にぞっこん(←なにか意味が違う)だから、息子の言うことはなんでもきいちゃうんだろうけど。
「せっかく盛り上がってきたのに!」と反論する天竜を抑えて、「天竜、行くぞ」と声をかけるのは、四天王の中では一番下かと思っていた佐渡なんですよね。実は、初日の頃は誰が喋っているのかよくわかっていなくて、この台詞は羽黒が言っているんだと思っていたんですよね。…まさか、佐渡だったとは。ちょっと酔いが醒めたかのように、低い声で少し早口に「行くぞ」と言う佐渡は、えらく二枚目な感じで。それまでのワガママな末っ子っぽいイメージから、随分イメージが変わったのでした。
そして。
せっかく、“茨木童子も出てきたし、さあこれから盛り上がるぞっ!!”と思っていたのに、あっさり振られて悄然と立ち竦む天竜が、なんだか可哀相でした(T T)。
茨木が胡蝶に呼ばれて御簾の影から登場したとき、その一番近くにいるのは天竜なんですよね。楽しそうに飲んでいた天竜が、胡蝶の仕草に誘われるようにふと横を見て、思わず歓喜の笑みを(メークでよくわかりませんが)浮かべるところがすごく好きでした。言葉は荒いけど、本当は優しい鬼なんだと思うんですよね。それは羽黒もそうなんですけど。
茨木の(酒呑童子の?)意を受けた千年杉が、皆を送り出す。
…しかーし。「見張りの交代の時間だろう!」って言って追い出してるけど、ここにいるメンバー以外にいったい誰が居るとゆーんだろう……
茨木の身体をいたわりつつ、「長に逆らってはダメ」と諭して去っていく胡蝶。いい感じに包容力をみせて、美しく余韻を残してました。「後でね」という柔らかなクドキがすごく好き。「…あぁ」という茨木の応えも、さりげなくていい感じです。
…すぐに忘れられちゃうんですけどね、そんな約束(T T)。
茨木と二人になった酒呑童子は、まず、「酒呑童子」と呼びかけられたことに苛立ちをみせる。
「何故、父と呼ばぬ?」
公演の半ばから、無理して威厳を出そうとするのをやめて、ごく素直にムッとしたように言い返すようになったまさこちゃんの芝居は、(酒呑童子としてはどうかと思わないでもないのですが)場面としては間違ってないのかも、と思いました。
年齢としては父親である酒呑童子の方が上なんですけど、もともと妖力のある二人はきっと歳のとりかたも違うんだろうし、前向きでパワフルで体育会系の父親の方が、後ろ向きで理屈っぽい息子より子供っぽいことなんて、そんな事例、いくらでもあるだろう、と。
京の都への襲撃の激しさを諌める茨木。あまりにやりすぎて彼らを本気にさせては、個々の戦闘能力では勝っても、数に劣る自分たちに勝ち目はない、と。
それはすごく当たり前の理屈なんですが、残念ながら酒呑童子には伝わらない。
自分たちの来し方を語り、お前ももっと、鬼らしくもっと猛々しくあれ、と言い捨てて去る酒呑童子。この、去り際に着物を翻すところがとても格好よくて、毎回見惚れてました(*^ ^*)。
一人取り残されて、紀の国守の屋敷で育った15年間を思い出す茨木。
月の光に照らされて、屋敷に溢れていた美しい藤の花と、藤の花のように美しい姫を思い出しながら……。
夢見るように空に視線を泳がせて、ゆっくりと舞台を降りる茨木の、その不思議な存在感。
残念ながら、下手の最前列とか、前方通路席とか、そんな素晴らしい席に座ることはなかったので、あまり真近で観ることはなかったのですが。…ああいう客席降りは、あんまり近くないほうが楽しいような気がします、なんて、ちょっとすっぱい葡萄みたいなことを言ってみたりする(^ ^;ゞ
どうでもいいことかもしれませんが。あの場面、大劇場公演だったら銀橋なんだろうなあ……(しみじみ)。それはちょっと観てみたいような気がします(^ ^)。
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宙組博多座公演「大江山花伝」。
鬼たちの宴からなんですけど、鬼たちの一人一人については以前も書いたので、いちおうリンクしておきます。
http://80646.diarynote.jp/200908120316522855/
これもまだ、何回かしか観ていない頃の感想なので、今はちょっとイメージが違っていたりもしますが…。
■第七場 鬼たち、集う
どんなに疲れ切っているときでも、この場面にくると、もの凄い勢いでテンションがあがっていた私。場面が終わるまでオペラグラスが一瞬も降りることがない、と、隣に座っていた友人に指摘されたりしました(汗)。どうりで観終わったあと肩が凝るわけだ。……ってゆーか、宴が終わるとオペラグラスが降りるっていうのは、祐飛さんのファンとしてどうなんだろう…。
「大江山にお連れください!」「ならぬ!」という、綱と藤の葉の幕前のやり取りのあと、紗幕の向こうに光がはいり、舞台は鬼たちの棲家、大江山へ。
少し間をあけて、ちょっとおどろおどろしいファンファーレ(?)のあとに続く軽やかな前奏。紗幕があがって、鬼たちが舞台前へ出てくる。
センターに羽黒(天羽珠紀)。踊りながら「地獄の一丁目」を歌う、楽しそうな鬼たち。四天王と四面、五蔵、六歩、七曲、八飛、九呂。全員が大きな朱塗りの盃を持って、実にイキイキと、個性的で、とにかく楽しそう(^ ^)。
個人的には“首塚”という歌詞にあわせて盃を首の高さにあげ、その上で頭をふりふりするところが好きでした。あと、「青鬼、赤鬼」と言われて、あの鬼メークでニコっと笑う珠洲さんとちーちゃんが好きだ。いや、普通に全部好きなんですが。
「地獄の一丁目」が終わると、千年杉(萬あきら)がセンターに出てきて、「鬼も十八、番茶も出花♪」と言いながら、鬼娘たちのナンバーに。
薊姐さん(綾音らいら)、鬼灯(妃宮さくら)、蛍火(舞姫あゆみ)、五月雨(琴羽桜子)が可愛らしく「ちょいな♪」と歌い踊るのに無理やり混ざって踊ろうとするけど、さっぱり振りがわかっていない四面(花露すみか)。以前も書きましたが、結局四面の謎は解けないまま千秋楽を迎えてしまいました(T T)。とりあえず、最初はからかうように声をかけただけですぐに引っ込んだ仏(蓮水ゆうや)が、二度目は結構ちからづくで後ろにどかしていたのが興味深かったです。たしかあれは、天竜か誰かに言われたっぽい感じだったんですよね…。下手の岩の前にしゃがみこんで抗議の声をあげる四面に、七曲(松風輝)が盃をあたえて宥めていたのが面白かったんですが、最後の週末はやってなかったような気がする。あの、盃を二つ持って、シンバルみたいに打ち合わせて楽しそうに笑っていた四面が可愛かったんですけど。
この場面は、日替わりでいろんな人がいろんなことをしていたので、かなり混乱しています…。
基本的に春風(蒼羽りく)と秋風(星吹彩翔)は下手奥のセットに腰を掛けて、千年杉がナンバーを終えて帰ってくると、ずっと三人で呑んでいた気がします。秋風は比較的クールに手酌で呑んでて、春風は笑顔で子供たちの相手をしたり、いろいろしていたような。
その隣では、佐渡(天玲美音)が手酌で呑んでいて。空になった徳利(?)を二、三回振って、怒って投げ捨てる、みたいなことをやってたりしました。そのあと、いつもはその辺を探して、“どこにもねぇ~~~!!”みたいになってから前に出て、「酒もってこ~い!!」の芝居になるのですが。何回か、そこらを探しているうちに秋風か誰かが使っていた徳利を見つけて振ってみて、“やっぱりねぇぞ!”みたいな時があったのですが…………実はその後、場面が落ち着いてから、同じ徳利で穏やかに酒を注いでいる秋風がいたりした日もありました(笑)。
女性陣は、ただ「都の女」と表記されたえびちゃん(綾瀬あきな)と百千糸さんがセットの下手側(舞台としては真ん中あたり?)でおとなしく座り、その上手側の花園衛門(愛花ちさき)と紅少将(花里まな)が基本的に酒呑童子(十輝いりす)に酌をして、檀の下に伊勢式部(鈴奈沙也)と橘少納言(大海亜呼)、そして上手端には桂尚待(花音舞)と堀河の姫(千鈴まゆ)ちゃんがいた…と、思います。たぶん。
ちなみに、佐渡に「酒をもってこい!」と責められて、最初に「申し訳ございません~」と前に出るのが千鈴まゆちゃん、後から出るのが花音舞ちゃんであってます…か?(ドキドキ)
男鬼どもは、自分らのナンバーが終わると思い思いの場所に散るのですが…えーっと。六歩(月映樹茉)と九呂(風馬翔)が下手手前のあたり、七曲がその奥、佐渡がセットの真ん中あたりに腰掛ける感じで、羽黒は上手手前に座り込み、酒呑童子の前あたりに他のメンバー(天竜、仏、五蔵、八飛)が溜まっていたような…(曖昧)。で、千年杉のナンバーが終わって佐渡が騒ぎ出す前に、保昌から着替えて出てきた三田(雅桜歌)が下手から飛び込んできて、六歩たちのグループに参加、という感じだったと思います。
鬼娘たちがナンバーを終えてはけると、蛍火は迷わず六歩のところへ。薊姐さんは下手の、胡蝶(花影アリス)がいるあたりへ。鬼灯と五月雨は舞台奥のグループに参加する感じでした。
酒呑童子が「都の女たちの歌を聴かせてもらおう!」と声をかけると、男鬼たちが姫君たちを舞台前に追います。ここで、伊勢式部が「もうお許しください~」と泣き崩れるのを、花園衛門が宥めて、歌いだす、と芝居は流れていくのですが。
この会話の間、鬼灯と八飛が並んで仲良く立っていたのに気がついたのは、千秋楽の直前でした(汗)。あらあら。この後の、胡蝶のナンバーの後ろでは、鬼灯はどう見ても仏狙いだったので、いつのまに八飛とくっついたのかしら?と思っていたのに…(考えすぎ)(^ ^;
都の女たちの真ん中で歌いだす花園衛門。その美しい衣装にじゃれつくようにちょっかいを出しながら、合いの手をいれる三田。たぶん、三田は伊勢式部も、顔じゃなくて衣装が気に入って攫ってきたんだろうな……。
蛍火に言われて、三田を片付けにくる六歩が、なんだか凄く大人びていて格好良いです。名前から見ても、この後の場面の行動からみても、一応三田が年長という設定なんだと思うんですけど、とてもそうは見えません(きっぱり)。
泣き崩れて歌えなくなった姫君たちに、怒りをぶつける五蔵。若いのに怒鳴り声が効いていて、格好良かったです。姫君たちに関しては五蔵が一番の苛めっ子という設定なんですよね。…良く見ると美形なのにね。(←関係ない)
四天王も加わっての怒鳴り声に姫君たちがますます怯えるのを見かねて、胡蝶が凛と声をかける。
「お待ち。」
す、と音もなく立ち上がって、
「あたしが替わるよ、そこをどきな」
いやー、ここの胡蝶さんは本当に格好良いです。勿論、ナウオンでも話題になった「なんだい羽黒、あたしじゃ不足かい?」は最高です(*^ ^*)。いやー、イイオンナだわ♪
胡蝶に呼ばれて「あいあいーっ♪」と可愛く返事をする子鬼たち、りんどう(舞花くるみ)、われもこう(瀬音リサ)、ひなげし(愛咲まりあ)が、ものすごくかわいい。中でも、われもこうの瀬音リサちゃんがめっちゃ可愛くて、すっかりお気に入りになりました。
それにしても。この三人、髪に飾る花は自分の名前とは全然関係ないんですね。りんどうとひなげしがピンク、われもこうが黄色だったもんなあ。りんどうは青紫、われもこうは濃紫……じゃないのか?ひなげしは色んな色があるから、ピンクでも間違ってないけど。三人ともものすごく可愛いし、色が役名とあっていれば、もっと覚えやすかったのになあ…。
「♪山陰の泉に映る 昏き瞳の君や知る…」
胡蝶の歌は、茨木を呼び出す呪文のようです。原作の外伝である「鬼の泉」を想起させる歌詞は、たぶん、確信犯なんでしょう…。
呪文によって召還された茨木は、さりげなく段差につまずいたりしながら(^ ^)胡蝶に手を引かれて舞い始めます。それまで千年杉と呑んでいた春風・秋風がさりげなく後ろについて舞ってくれるのも見処。彼ら二人は散々飲んでいたハズなんですけど、全然酔ったようには見えない……一番足許があやういのは、今まで宴には参加していなかったはずの茨木だよねぇ?
舞うメンバーが多くなったので、彼らが舞台前に一列に並ぶとほとんど舞台全面をつかってしまい、下手で呑んでいた六歩たちのグループが慌てて避けてたり、意外と細かいところが面白い(^ ^)です。
ここはなんというか、鬼たちの宴の一番の盛り上がり、という空気がちゃんとあったのが、すごく良かったと思います。回りで呑んでいる連中も、真ん中を注目してヤンヤヤンヤと盛り上げながら自分たちも愉しむ、という感じがちゃんとでていたし。いかにも仲が良さそうで、すごく楽しい宴でした。……都の姫君たちを別にすれば、ですが(^ ^;ゞ
舞い終えた茨木は、一方的に宴の終了を宣言します。
えーっと、酒呑童子の許可も得ずに、「俺の命令がきけんのか」とか言っちゃって大丈夫なんだろうか…とか思いつつ。いやー、酒呑童子は息子にぞっこん(←なにか意味が違う)だから、息子の言うことはなんでもきいちゃうんだろうけど。
「せっかく盛り上がってきたのに!」と反論する天竜を抑えて、「天竜、行くぞ」と声をかけるのは、四天王の中では一番下かと思っていた佐渡なんですよね。実は、初日の頃は誰が喋っているのかよくわかっていなくて、この台詞は羽黒が言っているんだと思っていたんですよね。…まさか、佐渡だったとは。ちょっと酔いが醒めたかのように、低い声で少し早口に「行くぞ」と言う佐渡は、えらく二枚目な感じで。それまでのワガママな末っ子っぽいイメージから、随分イメージが変わったのでした。
そして。
せっかく、“茨木童子も出てきたし、さあこれから盛り上がるぞっ!!”と思っていたのに、あっさり振られて悄然と立ち竦む天竜が、なんだか可哀相でした(T T)。
茨木が胡蝶に呼ばれて御簾の影から登場したとき、その一番近くにいるのは天竜なんですよね。楽しそうに飲んでいた天竜が、胡蝶の仕草に誘われるようにふと横を見て、思わず歓喜の笑みを(メークでよくわかりませんが)浮かべるところがすごく好きでした。言葉は荒いけど、本当は優しい鬼なんだと思うんですよね。それは羽黒もそうなんですけど。
茨木の(酒呑童子の?)意を受けた千年杉が、皆を送り出す。
…しかーし。「見張りの交代の時間だろう!」って言って追い出してるけど、ここにいるメンバー以外にいったい誰が居るとゆーんだろう……
茨木の身体をいたわりつつ、「長に逆らってはダメ」と諭して去っていく胡蝶。いい感じに包容力をみせて、美しく余韻を残してました。「後でね」という柔らかなクドキがすごく好き。「…あぁ」という茨木の応えも、さりげなくていい感じです。
…すぐに忘れられちゃうんですけどね、そんな約束(T T)。
茨木と二人になった酒呑童子は、まず、「酒呑童子」と呼びかけられたことに苛立ちをみせる。
「何故、父と呼ばぬ?」
公演の半ばから、無理して威厳を出そうとするのをやめて、ごく素直にムッとしたように言い返すようになったまさこちゃんの芝居は、(酒呑童子としてはどうかと思わないでもないのですが)場面としては間違ってないのかも、と思いました。
年齢としては父親である酒呑童子の方が上なんですけど、もともと妖力のある二人はきっと歳のとりかたも違うんだろうし、前向きでパワフルで体育会系の父親の方が、後ろ向きで理屈っぽい息子より子供っぽいことなんて、そんな事例、いくらでもあるだろう、と。
京の都への襲撃の激しさを諌める茨木。あまりにやりすぎて彼らを本気にさせては、個々の戦闘能力では勝っても、数に劣る自分たちに勝ち目はない、と。
それはすごく当たり前の理屈なんですが、残念ながら酒呑童子には伝わらない。
自分たちの来し方を語り、お前ももっと、鬼らしくもっと猛々しくあれ、と言い捨てて去る酒呑童子。この、去り際に着物を翻すところがとても格好よくて、毎回見惚れてました(*^ ^*)。
一人取り残されて、紀の国守の屋敷で育った15年間を思い出す茨木。
月の光に照らされて、屋敷に溢れていた美しい藤の花と、藤の花のように美しい姫を思い出しながら……。
夢見るように空に視線を泳がせて、ゆっくりと舞台を降りる茨木の、その不思議な存在感。
残念ながら、下手の最前列とか、前方通路席とか、そんな素晴らしい席に座ることはなかったので、あまり真近で観ることはなかったのですが。…ああいう客席降りは、あんまり近くないほうが楽しいような気がします、なんて、ちょっとすっぱい葡萄みたいなことを言ってみたりする(^ ^;ゞ
どうでもいいことかもしれませんが。あの場面、大劇場公演だったら銀橋なんだろうなあ……(しみじみ)。それはちょっと観てみたいような気がします(^ ^)。
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