大江山の花の伝説【3】
2009年9月3日 宝塚(宙)千秋楽を打ち上げてから、早いもので一週間以上が過ぎてしまった、宙組博多座公演「大江山花伝」。
このまま放置するときっと書かないままに終わってしまうので、本当に今更で恐縮ですが、突っ込みつつの感想文の続きをアップさせていただきますm(_ _)m。
一回めはコチラ⇒ http://80646.diarynote.jp/?day=20090822
■第四場 一条戻り橋で、斬る
北から一条、二条…と数える、京の都の大通り。一条大路は、都がひらかれた当初は都の最北だったはずですが、、、今はもう、かなり北の方まで市街が広がっているのであまりそういう気はしません。一条大路より、少し外側の今出川通りの方が広くて交通量も多いし、そこまで行っても、まだまだ市街地は先まで広がっている感じがするし。
でも、大江山伝説の時代(平安中期)は、これが都の最北の橋だったのでしょうね。橋のたもと(北西側)にあった安倍晴明の屋敷址が、ご本人を祀る晴明神社になったのと、時代はあまり違わらないはずですから。
ちなみに。
豆知識ですが、平安京の朱雀大路(中央通)は、現在の京都で中心となっている烏丸大通りではなく、かなり西に寄った千本通り付近であったはず(朱雀大路の南の始点だった羅城門址の位置からみても)。
現・京都御所は、後世、戦乱や火災などで内裏が機能しなくなったときに仮の御所として使った里内裏がそのまま御所になったもので、平安時代の大内裏はもっとずっと西側にありました。
従って、堀川は御所の西を流れる川ではなく、東側を流れていたはず。堀川にかかる一条の橋は、すなわち御所の東北、いわゆる鬼門、艮の方角にあたるということになります。
……だからこそ、一条戻橋には、鬼も気軽く出てくるし、陰陽師・安倍晴明も邸を構えたのでしょうね。
一条戻橋、という名前自体、“死者が戻ってくる橋”という伝説があってついた名前のようですし、『異界へつながる橋』である、というイメージが色濃く残る橋だったのでしょう。
現在に残るのは、暗渠すれすれの細い川にかかるコンクリ造りの情緒もへったくれもない普通の橋だし、東北の方向もひらけていないし、そもそも内裏の跡地も見えないし……、ありし日の姿を想像するにはちょっと難しい感じでした。
(かなり昔に晴明神社を観光したときの記憶で書いていますので、今はもしかしたら違うのかもしれません)
ただ。残念なことに、大江山は丹後半島説(大江山)を取っても亀岡市説(大枝山)をとっても平安京より西側になってしまって、鬼門じゃないんですよね(T T)。うーん、亀岡説だと微妙に未申(裏鬼門)かな?という感じだけど、一条戻橋とは関係ないし、……うみゅー、なんか残念だ(^ ^; せっかくここまで道具立てが揃ったのになー(↓)
なーんて薀蓄はどうでもいいですよね。つい長くなってすみません。
頼光さま(寿つかさ)のお邸から、渡辺綱(北翔海莉)だけにスポットが当たって独白→みっちゃんが回れ右(?)して、頼光の部下という立場らしく“ちょっと急ぎ気味”の足取りで数歩舞台奥へ向かう→ライトが点くと、そこにはもう戻橋のセットが…という展開が、実にキレイで判りやすかったです。
しかし、頼光の邸は左京の一条にあったはず。そこから戻橋を通って、綱はどこへ帰ったんでしょうか。御所の警備にあたっていたのかな?
みっちゃんは、舞台の中ごろまで進んでそこで上手に折り返し、端で待っている部下二人(美月遥、風馬翔)と合流。軽く一息入れて、『お館さま』らしい悠然とした足取りで、京の街を歩き出します。
空気を切り裂くような、ピィーッという鮮やかな笛の音。
橋の上には、被布をかぶった上臈姿(えらくデカいですけどなにか?)のシルエット。その、距離感が不思議です。
橋のたもとに控える侍女(春風/蒼羽りく)から声がかかる。
「もうし。渡辺綱どのとお見受けいたします。」
場面転換の間、ちゃんと吹いている振りをしていた横笛を、胸元にしまいこもうと密かに四苦八苦しているりくちゃんは、なんだか凄く可愛かったです。公演の後半にはすっかり慣れて落ち着いてしまったのが、ある意味残念(^ ^;ゞ
ふわりと橋を降りた被衣のシルエットは、土手の柳の下で履物を脱いで、侍女たちの傍に立つ。
もう一人の侍女(秋風/星吹彩翔)が、やわらかく問いかける。
「頼光四天王のおひとり、綱さまに、主よりお尋ねがございます」
この93期コンビの、研3とは思えぬ台詞のなめらかさは凄いなあと思うんですよね。声も良いし、表現力もある。
この場面は侍女だから女声だけど、後半の鬼として喋るところも本当に巧い(*^ ^*)…この期は本当に各組人材が豊富で凄いなあと感心します。成績最上位の男役だけでも、月組なら輝城みつるくん、花組なら大河凛ちゃん、雪なら彩風咲奈さん、と、すぐ活躍ぶりが思い出せる人が揃っているし。組にもよるんでしょうけれども、もうすぐこの辺りが新人公演の中心クラスになっていくんでしょうねぇ…。い、いつまでついていけるだろうか私(涙)。
「女人がたばかりの夜歩きは無用心」と諭す綱に、異世界から吹き来る風のような声が応える。
「……大江山の、鬼が出ると謂やるかえ?」
初日は、この不思議な響きにちょっと吃驚しました(^ ^;ゞ
祐飛さんの素の女性の声じゃなくて、男役を作ったうえで、女の声の作り声をした響き。二重・三重のフェイク。
なかなか慣れなかったけど、あれはあれで、なかなか真似のできない技術のような気がする…。
「お気をつけください。水に映った被衣の中は、まさしく魔性!」
そう注進にくる綱の部下も、初日はただ段取りどおりに教えに来るだけだったと思うのですが、お盆頃には、ちゃんと“ん?”という表情をしながら、ふと川面を覗き込んで→吃驚して→慌てて注進に走る、という流れがちゃんとできるようになっていたし、最後の頃には、“あやしい上臈”の被衣の中を覗き込もうとしてみたり、同輩に川面に映る影を指差して教えたり、二人で一緒に首を傾げていたり、なんだか色んなことをするようになっていました(汗)。
こちらは研2、94期のお二人。……お芝居、楽しそうですね(^ ^)。
「おのれ!」
気合一発、剣を抜く綱。
被っていた被衣で太刀を受け流し、そのまま小刀で応戦する茨木。距離が離れたら、妖力で相手を“独楽のようにくるくると回し”て翻弄する。
しかし綱も剛の者。振り返りざまの一刀で鬼の腕を斬りおとすところは、タイミングといい、なんといい、さすがです♪
で、ラストのキメの「その腕、ひととき預け置くぞ!」という声は、本来の茨木の声なんですよね。
ちょっと戦闘モードだけど、なんとなく好きな声です。
個人的なツボは、この戦いが始まると同時にそそくさと下手にハケて、着替えてすぐに出る春風・秋風。
もちろん、ここで初登場する鬼さんたち(四面/花露すみか、五蔵/風羽玲亜、六歩/月映樹茉、七曲/松風輝)も大好きです★ポーズが、なんというか、仁王像みたいですよね♪
一番最後、盆下がりでセリ下がった茨木を見送って、しばらく妖術にかかってくるくる回っている綱一党。超高速で安定して回っているみっちゃんが素敵です(^ ^;ゞ
で。この場面について、突っ込みポイントは二つ。
○腕を斬られてセリ下がるときの衣装なんですけど、あれは両肩落ちているのが正解なのでしょうか?片袖残っているほうが正解なのでしょうか?落ちないのが正解かと思っていたのですが、それだとあまりにも、私が正解を観た確率が低すぎ…(T T)。
○「近頃、お邸に召抱えられた人の中に、主の存知よりが…」と春風ちゃんが言ってましたが、、、いったい、藤の葉(野々)を綱が雇い入れたのはいつのことなんでしょうか?
■第五場 茨木、取り返す
みっちゃん+部下二人の見得切りで舞台が暗転すると、入れ替わるように下手花道にスポット。
ヒロイン・藤の葉(野々すみ花)の登場です。
プロローグで歌われた主題歌「うす紫の恋」を口ずさみながら、綱の邸の庭掃除をする藤の葉。桂の左側の前髪と横を長めに作り、軽くフェースラインにかける。髪の隙間からのぞく横顔も可憐で美しく、「オグリ!」で鍛えた白塗り化粧は、多少時代は違いますが、さすがに綺麗♪ 紅の入れ方も自然で、すみ花ちゃんらしい『美しい姫』だったと思います。
顔に特別な瑕をつけることはせず、観客の想像(創造?)に任せていたのですが、その点は初演もそうだったのでしょうか?私は、宝塚では、そうそう(心情的・予算的・時間的に)特殊メークは使えないでしょうから、中途半端に瑕痕をつくるくらいなら何もしないでいてくれた方が好きなように想像できて良いと思っているので。この演出は、大賛成です。
下手花道から、舞台中央からやや上手よりあたりまで掃除をすすめてきたところで、次の場面が始まります。
上手袖から、大きな台を運んでくる綱の邸の使用人たち。
無邪気に話し始める少年役は、93期の結ちゃん(結乃かなり)。頬骨の目立つ大人っぽい美人ですが、ここは少年役なのでちょっと仕草も男っぽい感じ。宙組の子役、特に男の子の役をやっている娘役は巧くて感心しました。皆、とても自然で、無理のない男の子に見えますね♪ 声もしっかりしていて、良い芝居をする人たちでした。
結ちゃんについては、今回は残念ながら娘役としては台詞が無かったのですが、今後の活躍が楽しみです。
鬼の腕が入った櫃から恐ろしげに目を逸らす侍女は、94期の咲花莉帆ちゃん。おとめを見ると、かなりの美人さんだと(丸顔だけど)思うのですが、まだ日本物の化粧が苦手なのかなあ?台詞は短い一言だけなんですが、可愛いらしくてちょっとお気に入りです(*^ ^*)。
「あの、腕に残る、あの花びらのようなものは何でござろう?」と、わいわい語り合う主従。
その台詞がふと耳に入って、驚きのあまり箒を取り落とす藤の葉。目を見開いて空を睨むすみ花ちゃんの、あの空気はすごいなーといつも思います(汗)。
箒が倒れて大きな音がしても、しばらくは誰も気づかず……間があいてから、やっと綱が振り向いて藤の葉の様子に気づく。
「藤の葉?どうした?」
「い、いいえ、なんでもございませぬ」
当たり障りのない会話で空気が動き出したところに、綱の部下の兼吉(美月遥)が軽口をたたく。
「最近雇い入れた者の中に知人がいると鬼が言っていたが…まさか、お前ではないだろうな?」
傍にいた広次(風馬翔)が、軽くいなすように
「いくらなんでも、鬼の知り合いは可哀想だ」
と諭すときの言い方が、凄く好きです♪
「もう間もなく悪霊退散の行者が来るから…」と部下たちを下がらせたところに、頼光一行の登場。
綱の武勇を讃えつつ、四天王の4人もきちんと順番に並んだところで、『鬼の腕』を見ようと唐櫃に手をかける頼光。
「その唐櫃、開けてはなりませぬ」
その声、さっきの「その腕ひととき預け置くぞ!」「また会おうぞ」と同じ声ですけど?
どーして判らないんだ、綱よ………。
……すごくどうでも良いことなんですけど、自ら頼光の座所をつくりに甲斐甲斐しく動いている保昌どの(雅桜歌)が、可愛くて可愛くてなりません。
なーんてことを告白しつつ、続きはまた、いずれ近いうちに。
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このまま放置するときっと書かないままに終わってしまうので、本当に今更で恐縮ですが、突っ込みつつの感想文の続きをアップさせていただきますm(_ _)m。
一回めはコチラ⇒ http://80646.diarynote.jp/?day=20090822
■第四場 一条戻り橋で、斬る
北から一条、二条…と数える、京の都の大通り。一条大路は、都がひらかれた当初は都の最北だったはずですが、、、今はもう、かなり北の方まで市街が広がっているのであまりそういう気はしません。一条大路より、少し外側の今出川通りの方が広くて交通量も多いし、そこまで行っても、まだまだ市街地は先まで広がっている感じがするし。
でも、大江山伝説の時代(平安中期)は、これが都の最北の橋だったのでしょうね。橋のたもと(北西側)にあった安倍晴明の屋敷址が、ご本人を祀る晴明神社になったのと、時代はあまり違わらないはずですから。
ちなみに。
豆知識ですが、平安京の朱雀大路(中央通)は、現在の京都で中心となっている烏丸大通りではなく、かなり西に寄った千本通り付近であったはず(朱雀大路の南の始点だった羅城門址の位置からみても)。
現・京都御所は、後世、戦乱や火災などで内裏が機能しなくなったときに仮の御所として使った里内裏がそのまま御所になったもので、平安時代の大内裏はもっとずっと西側にありました。
従って、堀川は御所の西を流れる川ではなく、東側を流れていたはず。堀川にかかる一条の橋は、すなわち御所の東北、いわゆる鬼門、艮の方角にあたるということになります。
……だからこそ、一条戻橋には、鬼も気軽く出てくるし、陰陽師・安倍晴明も邸を構えたのでしょうね。
一条戻橋、という名前自体、“死者が戻ってくる橋”という伝説があってついた名前のようですし、『異界へつながる橋』である、というイメージが色濃く残る橋だったのでしょう。
現在に残るのは、暗渠すれすれの細い川にかかるコンクリ造りの情緒もへったくれもない普通の橋だし、東北の方向もひらけていないし、そもそも内裏の跡地も見えないし……、ありし日の姿を想像するにはちょっと難しい感じでした。
(かなり昔に晴明神社を観光したときの記憶で書いていますので、今はもしかしたら違うのかもしれません)
ただ。残念なことに、大江山は丹後半島説(大江山)を取っても亀岡市説(大枝山)をとっても平安京より西側になってしまって、鬼門じゃないんですよね(T T)。うーん、亀岡説だと微妙に未申(裏鬼門)かな?という感じだけど、一条戻橋とは関係ないし、……うみゅー、なんか残念だ(^ ^; せっかくここまで道具立てが揃ったのになー(↓)
なーんて薀蓄はどうでもいいですよね。つい長くなってすみません。
頼光さま(寿つかさ)のお邸から、渡辺綱(北翔海莉)だけにスポットが当たって独白→みっちゃんが回れ右(?)して、頼光の部下という立場らしく“ちょっと急ぎ気味”の足取りで数歩舞台奥へ向かう→ライトが点くと、そこにはもう戻橋のセットが…という展開が、実にキレイで判りやすかったです。
しかし、頼光の邸は左京の一条にあったはず。そこから戻橋を通って、綱はどこへ帰ったんでしょうか。御所の警備にあたっていたのかな?
みっちゃんは、舞台の中ごろまで進んでそこで上手に折り返し、端で待っている部下二人(美月遥、風馬翔)と合流。軽く一息入れて、『お館さま』らしい悠然とした足取りで、京の街を歩き出します。
空気を切り裂くような、ピィーッという鮮やかな笛の音。
橋の上には、被布をかぶった上臈姿(えらくデカいですけどなにか?)のシルエット。その、距離感が不思議です。
橋のたもとに控える侍女(春風/蒼羽りく)から声がかかる。
「もうし。渡辺綱どのとお見受けいたします。」
場面転換の間、ちゃんと吹いている振りをしていた横笛を、胸元にしまいこもうと密かに四苦八苦しているりくちゃんは、なんだか凄く可愛かったです。公演の後半にはすっかり慣れて落ち着いてしまったのが、ある意味残念(^ ^;ゞ
ふわりと橋を降りた被衣のシルエットは、土手の柳の下で履物を脱いで、侍女たちの傍に立つ。
もう一人の侍女(秋風/星吹彩翔)が、やわらかく問いかける。
「頼光四天王のおひとり、綱さまに、主よりお尋ねがございます」
この93期コンビの、研3とは思えぬ台詞のなめらかさは凄いなあと思うんですよね。声も良いし、表現力もある。
この場面は侍女だから女声だけど、後半の鬼として喋るところも本当に巧い(*^ ^*)…この期は本当に各組人材が豊富で凄いなあと感心します。成績最上位の男役だけでも、月組なら輝城みつるくん、花組なら大河凛ちゃん、雪なら彩風咲奈さん、と、すぐ活躍ぶりが思い出せる人が揃っているし。組にもよるんでしょうけれども、もうすぐこの辺りが新人公演の中心クラスになっていくんでしょうねぇ…。い、いつまでついていけるだろうか私(涙)。
「女人がたばかりの夜歩きは無用心」と諭す綱に、異世界から吹き来る風のような声が応える。
「……大江山の、鬼が出ると謂やるかえ?」
初日は、この不思議な響きにちょっと吃驚しました(^ ^;ゞ
祐飛さんの素の女性の声じゃなくて、男役を作ったうえで、女の声の作り声をした響き。二重・三重のフェイク。
なかなか慣れなかったけど、あれはあれで、なかなか真似のできない技術のような気がする…。
「お気をつけください。水に映った被衣の中は、まさしく魔性!」
そう注進にくる綱の部下も、初日はただ段取りどおりに教えに来るだけだったと思うのですが、お盆頃には、ちゃんと“ん?”という表情をしながら、ふと川面を覗き込んで→吃驚して→慌てて注進に走る、という流れがちゃんとできるようになっていたし、最後の頃には、“あやしい上臈”の被衣の中を覗き込もうとしてみたり、同輩に川面に映る影を指差して教えたり、二人で一緒に首を傾げていたり、なんだか色んなことをするようになっていました(汗)。
こちらは研2、94期のお二人。……お芝居、楽しそうですね(^ ^)。
「おのれ!」
気合一発、剣を抜く綱。
被っていた被衣で太刀を受け流し、そのまま小刀で応戦する茨木。距離が離れたら、妖力で相手を“独楽のようにくるくると回し”て翻弄する。
しかし綱も剛の者。振り返りざまの一刀で鬼の腕を斬りおとすところは、タイミングといい、なんといい、さすがです♪
で、ラストのキメの「その腕、ひととき預け置くぞ!」という声は、本来の茨木の声なんですよね。
ちょっと戦闘モードだけど、なんとなく好きな声です。
個人的なツボは、この戦いが始まると同時にそそくさと下手にハケて、着替えてすぐに出る春風・秋風。
もちろん、ここで初登場する鬼さんたち(四面/花露すみか、五蔵/風羽玲亜、六歩/月映樹茉、七曲/松風輝)も大好きです★ポーズが、なんというか、仁王像みたいですよね♪
一番最後、盆下がりでセリ下がった茨木を見送って、しばらく妖術にかかってくるくる回っている綱一党。超高速で安定して回っているみっちゃんが素敵です(^ ^;ゞ
で。この場面について、突っ込みポイントは二つ。
○腕を斬られてセリ下がるときの衣装なんですけど、あれは両肩落ちているのが正解なのでしょうか?片袖残っているほうが正解なのでしょうか?落ちないのが正解かと思っていたのですが、それだとあまりにも、私が正解を観た確率が低すぎ…(T T)。
○「近頃、お邸に召抱えられた人の中に、主の存知よりが…」と春風ちゃんが言ってましたが、、、いったい、藤の葉(野々)を綱が雇い入れたのはいつのことなんでしょうか?
■第五場 茨木、取り返す
みっちゃん+部下二人の見得切りで舞台が暗転すると、入れ替わるように下手花道にスポット。
ヒロイン・藤の葉(野々すみ花)の登場です。
プロローグで歌われた主題歌「うす紫の恋」を口ずさみながら、綱の邸の庭掃除をする藤の葉。桂の左側の前髪と横を長めに作り、軽くフェースラインにかける。髪の隙間からのぞく横顔も可憐で美しく、「オグリ!」で鍛えた白塗り化粧は、多少時代は違いますが、さすがに綺麗♪ 紅の入れ方も自然で、すみ花ちゃんらしい『美しい姫』だったと思います。
顔に特別な瑕をつけることはせず、観客の想像(創造?)に任せていたのですが、その点は初演もそうだったのでしょうか?私は、宝塚では、そうそう(心情的・予算的・時間的に)特殊メークは使えないでしょうから、中途半端に瑕痕をつくるくらいなら何もしないでいてくれた方が好きなように想像できて良いと思っているので。この演出は、大賛成です。
下手花道から、舞台中央からやや上手よりあたりまで掃除をすすめてきたところで、次の場面が始まります。
上手袖から、大きな台を運んでくる綱の邸の使用人たち。
無邪気に話し始める少年役は、93期の結ちゃん(結乃かなり)。頬骨の目立つ大人っぽい美人ですが、ここは少年役なのでちょっと仕草も男っぽい感じ。宙組の子役、特に男の子の役をやっている娘役は巧くて感心しました。皆、とても自然で、無理のない男の子に見えますね♪ 声もしっかりしていて、良い芝居をする人たちでした。
結ちゃんについては、今回は残念ながら娘役としては台詞が無かったのですが、今後の活躍が楽しみです。
鬼の腕が入った櫃から恐ろしげに目を逸らす侍女は、94期の咲花莉帆ちゃん。おとめを見ると、かなりの美人さんだと(丸顔だけど)思うのですが、まだ日本物の化粧が苦手なのかなあ?台詞は短い一言だけなんですが、可愛いらしくてちょっとお気に入りです(*^ ^*)。
「あの、腕に残る、あの花びらのようなものは何でござろう?」と、わいわい語り合う主従。
その台詞がふと耳に入って、驚きのあまり箒を取り落とす藤の葉。目を見開いて空を睨むすみ花ちゃんの、あの空気はすごいなーといつも思います(汗)。
箒が倒れて大きな音がしても、しばらくは誰も気づかず……間があいてから、やっと綱が振り向いて藤の葉の様子に気づく。
「藤の葉?どうした?」
「い、いいえ、なんでもございませぬ」
当たり障りのない会話で空気が動き出したところに、綱の部下の兼吉(美月遥)が軽口をたたく。
「最近雇い入れた者の中に知人がいると鬼が言っていたが…まさか、お前ではないだろうな?」
傍にいた広次(風馬翔)が、軽くいなすように
「いくらなんでも、鬼の知り合いは可哀想だ」
と諭すときの言い方が、凄く好きです♪
「もう間もなく悪霊退散の行者が来るから…」と部下たちを下がらせたところに、頼光一行の登場。
綱の武勇を讃えつつ、四天王の4人もきちんと順番に並んだところで、『鬼の腕』を見ようと唐櫃に手をかける頼光。
「その唐櫃、開けてはなりませぬ」
その声、さっきの「その腕ひととき預け置くぞ!」「また会おうぞ」と同じ声ですけど?
どーして判らないんだ、綱よ………。
……すごくどうでも良いことなんですけど、自ら頼光の座所をつくりに甲斐甲斐しく動いている保昌どの(雅桜歌)が、可愛くて可愛くてなりません。
なーんてことを告白しつつ、続きはまた、いずれ近いうちに。
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