シアタークリエにて、『戸井勝海&辛島小恵joint live with石井一彰 「Welcome to Musical Tour!」』を観てまいりました。



東宝芸能所属の俳優たちが、さまざまなパフォーマンスを見せる、一夜かぎりの夢の舞台。
26日から31日までいろんな方がやられていて、26日の高橋由美子さんから始まって今日が三日目。出演者は、戸井勝海、辛島小恵、石井一彰のお三方。
ミュージカル界ではそれなりに知名度もあるメンバーで、ミュージカルの名曲を歌いまくろう、という企画。
企画・制作・主催は東宝芸能。

おそらくは。
宝塚でいう、「イゾラベッラ・サロン・コンサート」みたいな企画なのかな、と思いました。いや、イゾラベッラコンサートは行ったことないんですけど(汗)、演出家は無しで、プロデューサーと、制作のいろんな手配をする担当者はいるけれども、どんなパフォーマンスをするか、どんな歌を歌って、どう動いて……みたいなのはある程度出演者に任されていた感じ。



こんなコンサートがあること自体全く知らなかったので、週末に観た「サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ」で配布されていたチラシの束の中にこの案内を発見したときは仰天しました。これでも一応、戸井さんはチェックしていたつもりだったのにぃ(T T)。
なんとか仕事を抜けられたので行っちまえ!と思って行ってまいりましたが、実力派ぞろいでなかなか面白いコンサートでした。
もうちょっと、ちゃんと心構えをもってじっくり聴きにいきたかったです(汗)。




1997年から「レ・ミゼラブル」に参加し、2001年までにグランテール・コンブフェール・マリウスと三役を演じた戸井勝海。(その後、コンサートツアーにもマリウス役で参加)
2007年の「レ・ミゼラブル」にコゼット役で参加した辛島小恵。
同じく、2007年の「レ・ミゼラブル」フィイ役でデビューした石井一彰。
歌唱力も表現力も半端ない、なかなかいい組み合わせで、実のあるコンサートでした(はぁと)


しかし。


お願いですから、こういうキャストでコンサートをやらせる場合は、司会をつけるか、きちんと喋れる人をまぜてあげていただけませんか。
とにかく、キャリアも年齢も一番上だからって、戸井さんに喋らせるな。無理なものは無理なんだから。あの人は、きちんと脚本を与えて役作りさせるか、歌だけ歌わせておけばいいんです。ファンの集いと公式のコンサートの区別がつかない子供みたいな人なんだから、フォローしてあげてほしい(汗)。


なんて。いきなりちょっと文句モードに入ってしまいましたが、歌は文句無く素晴らしかったです。
曲目リストが無かったので、印象に残った曲だけになりますが。

「This is the Moment」(ジキル&ハイド)を聴くことができて、とても幸せです。
昔から、戸井さんに一度歌ってほしいと思い続けていた曲の一つだったので。
ラストの方で辛島さんと歌った「Take Me As I Am」も素晴らしかった!ワイルドホーンのナンバーは、戸井さんの鋼のように強くもなり、薄衣のように軽やかにもなれる幅の広い声に、よく似合うんです。私の夢は「スカーレット・ピンパーネル」のショーヴランのナンバー、とくに「マダム・ギロチン」を戸井さんの声で聴きたい!というものなので、いつか夢が叶ったら嬉しいなあ……


あと、特に希望してはいなかったのですが、予想外に素晴らしくて感動したのが、辛島さんとデュエットした「Phantom Of The Opera」(オペラ座の怪人)。「Music Of The Night」を歌う戸井さんはあまり想像ができませんが(あまり甘い声ではないので…)、そういえばこのテーマ曲とか、「The Point Of No Return」はいかにも似合うなあ(*^ ^*)。


あまり大型ミュージカルのメインキャストをはったことが無い人なので、持ち歌は少ないんですが、あえて「Empty Chairs at Empty Tables」(レ・ミゼラブル)を歌わなかったことは評価したいです。そのかわりに歌った「STARS」は、今後に繋がるといいなあ、と思わせる出来でした。
持ち歌といえるのは、「I Love You~愛の果ては?~」のナンバーくらいだったかな?あれはもう、さすがの一言ですね。全体通して、やっぱり持ち歌は違うな、と思いました。あれはいい作品だったのでもう一度観たいんですけどねぇ……初演のメンバーがあまりにもハマっていたから、再演は難しいんだろうなあ……。

「Bui Doi」(ミス・サイゴン)は、舞台でジョンを演じたことはないけど、ある意味持ち歌なんですよね。何度か聴いていますが、今回が一番良かったかなあ。久しぶりに鳥肌がたちました(*^ ^*)。
「アンセム」(チェス)は、ここ数年、お気に入りみたいで何かと言うと締めに歌っていらっしゃる曲ですが、だいぶ持ち歌っぽくなりましたね。緩急の付け方とか。歌詞を大切に、一言一言を芝居のように表現するのが、同じ歌を持ち歌みたいにしている岡幸二郎さんとの違いなんですが、良い歌だなあ、と毎回思います。

あとは何か歌ったっけ……?(記憶障害)。すみません!!覚えてないよー(T T)。
あ。幕開きのメドレーに続けて、「君住む街」(マイ・フェア・レディ)と「夜のボート」(エリザベート。辛島さんと)を歌ってたのを思い出した。そのくらいかな?(←すごくあやしい)




非常に残念だったのは、今回石井さんが「サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ」の公演中ということで、あまりお稽古もできなかったらしく、戸井さんと石井さんのデュエット、っていうのが無かったんですよね。
「モーツァルト!」のヴォルフとレオポルドのナンバーとか、「闇は広がる」とか、そういう男性二人のデュエットを聴いてみたかったなあ、と思いました。





辛島さんは、私もこの日記でその歌を絶賛したことがあるような気がしますが、2007年にコゼットでミュージカルデビューするまで、オペラ界を目指していた方。今回もさすがの歌声でした。

一番感動したのは、バーンスタインの名作「キャンディード」より、「着飾って、きらびやかに」。これはもう、本当に素晴らしかった!!稽古場で男二人が“ぽかぁん”と口をあけて聞き入ってしまう、というのも納得でした。歌も素晴らしかったけど、とにかくパフォーマンスとして素晴らしい。どんなキャラクターの、どんな場面なのか、「キャンディード」という作品を観たことがなくてもすんなり理解できてしまいそうな表現力でした。
この次に歌った「Take Me As I Am」もやわらかな響きに包容力があってよかったですし、後半はとにかく良かったです。ただ、残念ながら前半は、五線譜を超えた高音になると急に響きが低めになってしまって……聴かせどころの音域でピッチが低くなるので、ビブラートでぶれてしまったり、ピタッとこないもどかしさがありました。特に残念だったのは「Phantom Of The Opera」のオブリガード。オペラ歌手が歌うクリスティーヌって滅多に聴けないので、すごく楽しみにしていたのですが……(↓)しょぼん。

……なんでかなあ。緊張していらっしゃったのでしょうか。
それがあったので、余計にキャンディードの名唱とその後に歌った数曲の見違えるような煌びやかさに感動したんですけれども(汗)(←計算?)

途中、「クラシックを勉強していた自分の背景とつながるものを」ということで、A. L=ウェッバーの「レクイエム」より「Pie Jesus」と「Time To Say Goodbye」を歌われましたが。
どちらも大好きな曲なので、調子が万全の時に聴きたかったなあ(T T)。

彼女自身のラスト一曲に選んだのが、ミス・サイゴンの「命をあげよう」だったのは意外でした。あの歌は、もっと強い声の人でないと映えないので。
メロディラインをキレイに聞かせる歌唱はさすがでしたが、私は、せっかく彼女が万感こめて歌うなら、シェーンベルクならせめてファンティーヌが聴きたかったし、希望を書いていいなら、“クリスティーヌのナンバー”、ロイド・ウェッバー版の「Think Of Me」か、コーピット版の「Melody」とか「My True Love」を歌ってほしかったです…。




石井一彰さんは、幕開きのメドレーの後の最初の一曲が「Maria」(ウェストサイドストーリー)。あと、「ライト・イン・ザ・ピアッツァ」の歌と、辛島さんと「愛していればわかりあえる」、ソロで「残酷な人生」(モーツァルト)……だけだったかな?とにかく、彼は現在公演中ということで、出番も少なめだったし歌も少なかったんですよね。
しかし、美形だしスタイルが良くて(戸井さんがすごくおじさんに見えたわ…/涙)声も良い。なかなか存在感があって、華やかな人でした。マリウスもアンジョルラスも出来そうだし、ルドルフなんかも(軍服が)似合いそう。ヴォルフも悪くなかったし、すごく正統派の二枚目になりそうで、東宝ミュージカルアカデミーもいい人材を育てましたねぇ♪ これからの活躍が、凄く楽しみです♪

戸井さんがカフェ・ソングを歌わなかったので、彼が歌うのかなあ?と思ったのですが、残念ながらやらなかったですね。聴きたかったなー。「Why God, Why?」とかも似合うんじゃないかと思うんですよね。トゥイは持ち歌がないから残念だなあ。
若手の二枚目俳優は、井上・浦井、それに続くマリウス陣といっぱいいるので、そう簡単に役がもらえるものではないのかもしれませんが、将来有望な実力派の二枚目だと思うので、がんばってほしい!





感想の最初に、トーク(というか、進行)のぐだぐださについて書かせていただきましたが。

本音を言えば、このコンサートの最大の“もったいない”は、演出家がいなかったことだと思います。
誰がトークを仕切って進行をコントロールするか、っていうのも、ある程度演出家が台本を作ってあげればなんとかなったろうし。コンサート全体を見渡して構成を考える人がいなかったのが残念。
だって。
歌のプロである三人(特に戸井さんと辛島さん)のコンサートのラストを、ボディーパフォーマンスメインの「I GOT RYTHEM」で締めるなんて、あり得ない!

ボディーパーカッションに三人で初挑戦するのは良いと思うんです。がんばってたし、楽しかった。
でも、プロなら、自分の専門じゃないモノをラストには持って来ないはず。挑戦系のパフォーマンスは、オープニングの次くらいに持って来るのが当たり前です。
で、ラストは一番得意なもので締める。それが普通です。終わりよければ全てよし、なんですから。

この三人なら、ありがちですけどうまく編集して「ONE DAY MORE」で盛り上げるとか、そういうのが一番良かったんじゃないかと思うんですよね。カーテンコールもなかったから、なんだか拍子抜けしたまま終わってしまって、残念でした。
コンサート全体の演出を考える人がいなかったのが残念だなあ、というのは、そういうところです。出演者にそういう能力があればいいけど、、、それって歌の実力とは全く違う能力だからなあ(涙)。


……なんて、文句も書いてますけれども、他では聴けない素晴らしい歌を聴くことができて、楽しいコンサートでした。
価格もお手ごろだし、またやってほしいです(^ ^)。東宝芸能さん、よろしくね♪



コメント

nophoto
hanihani
2009年7月29日12:14

ねこさま、これ、行こうと思っていたのに、忘れました~キャラメルも今回は行かれないかもだし、85期祭りの影響はまだまだ続いてます。ご報告有難うございました。確かに演出は必要ですよね岡さんとか、そうしてみるとすごい能力ですね(笑)

みつきねこ
2009年7月30日1:00

はにはにさま、コメントありがとうございます(はぁと)
滅多に聴けないコンサートでしたよ♪CSもないし(^ ^)。私も行けてよかったです。

>85期祭りの影響はまだまだ続いてます。ご報告有難うございました。

私なんて、85期祭りと博多祭にはさまれて、今月は本当に大変でした………(^ ^;ゞ
今日は、無事行けて本当に良かった(涙)。


>岡さんとか、そうしてみるとすごい能力ですね(笑)
「4Knights」として一緒にコンサートしたりして仲良かった岡・石井・吉野・戸井の4人のうち、演出能力がないのは戸井さんだけなので………(汗)、出来ないほうが少数派なのかもしれませんけど(涙)。