花組の、次回公演での卒業生が、とても寂しいです。
4人とも可愛い花っ子で、銀ちゃんチームで、大事な大事なひとたちだった。


マメちゃん(日向燦)、(紫陽)レネちゃん。
……87期は、何か「同期数人で仲良く卒業する」誓いでもたてているんでしょうか?
(初姫)さあやが可哀相だと思わないのかっっっっ!!
せめて、さあやはいつまでも居てね。お願いね。(切祈)


まさかマメちゃんレネちゃんが卒業してしまうと思わなくて、本当に油断してました。
ああ、「ME AND MY GIRL」観に行ってよかった。「フィフティ・フィフティ」、いっぱい観ておいて、本当に良かった!!

祐飛ファン的には、トメさんとイルスのマメちゃんは、もう本当に特別なひとで。このひとが居ない花組って想像できない、ってくらい、本当に寂しい。
そしてレネちゃん、本当にお芝居好きなんだよね。トレバーさん、本当に良かったよ。お髭も似合うし、芝居できるし、これからやっと仕事をさせてもらえるようになると思っていたのに……
寂しいよ。本当に寂しい。


そして、9人の大所帯だった88期の一人、聖花まいちゃん。可愛い子ぞろいの花娘の中でも、結構目立つ位置で芝居している人ですが、「哀しみのコルドバ」のリサがすごく良かったから、このタイミングでの卒業はとても残念(T T)。もう少しがんばって、大人の女役で魅せてほしかったのになあ…。
嶺乃一真くんは、ラスト新公で、準主役級の役をやるのに何故(T T)…とても悔しいです。


でも。
ご自身の決められたことなら、悔やむことなく真っ直ぐに、幸せに向かってがんばってほしいと思います。藤井さんのショーが大好きなので、たぶん結構通っちゃうんじゃないかな(笑)。しっかり魅せていただきたいと思っています!
卒業されるみなさまの、ご活躍をお祈りしつつ。
(「外伝ベルサイユのばら」が一時間で、ショーが一時間半だったらいいのに…)






さて。
本日は、月組新人公演「エリザベート」を観てまいりました。

みりお(明日海りお)くんと(羽桜)しずくちゃんは、本当に相性が良いですね。
何もしなくても美しい二人なんですが、芝居の方向性がぴったりと噛み合って、きちんと心の交流が見えるところが本当に素晴らしい。
同期だから遠慮がない面はもちろんあるでしょうけれども、同期ならなんでもいいというものではもちろん無いわけで。やっぱり、この二人の相性が良いというのはあるんだろうと思います。
立場上、トップコンビとして組むことはあり得ない二人なのが、とても残念なくらい、本当によく似合う二人でした。


月組再演版の本公演は、「人間トート」という面白い試みをやっていたので、新人公演もそれを踏襲するのかな?と思っていたのですが、新人公演はごくオーソドックスな演出でした。
演出は小柳奈穂子。みりお、しずく、(紫門)ゆりやと今回と同じトリオがメインキャストを張った「二人の貴公子」を経ているだけに、主演コンビ二人の芝居の力量にすべてを任せて、下級生の育成と脇筋の芝居に力を入れたっぽい印象。「エリザベート」という作品としてはオーソドックスながら、本公演とは全くちがう演出をよくまとめきったな、と感心しました。
……そういえば、彼女の新公演出を観るのは初めてなのかな?あまり記憶にないけど…。


最初から最後まで緊張感を切らさない、“異世界感”の消えないトート。
エリザベートという一人の少女を深く愛し、誰よりも理解していながら、手の届かない闇の向こうで彼女の孤独な闘いを見守りつづける、寂しげなトート。
みりおくんのトートは、見た目はちょっと幼いので、まさに森川久美さんが描いた“少年”トートのようで。エリザベート自身が選ぶまで待っているのは、彼の希みが彼女の幸せだからなのだ、と素直に思えました。彼女を手に入れることではなく、彼女が幸せであることが彼の希み。だから、宮廷で孤独な闘いをしている彼女に怒りを隠せない。「それで君は幸せになれるのか?」と問わずにいられない。
子供だから、彼女を奪ったハプスブルクのことは憎んでいるかもしれない(←ミルク、闇が拡がる)。でも、ルドルフのことは愛している。トートは、ルドルフの不幸を望んだわけじゃない。シシィ同様、ハプスブルクの宮廷ではルドルフが幸せになれないことがわかっていたから、彼をそこから解放してあげたかったのだろうな、と、そんなことを思いました。



最初から最後まで頑なで一途で、諦めの悪いエリザベート。
本公演の少年ルドルフの歌がとても良かったので、エリザベートも大丈夫かな、と思ったのですが………甘かった(涙)。やっぱり、レベルが違いすぎたか…(T T)。特に、本公演のカチャも苦戦している「パパみたいに」と「私だけに」はかなり悲惨でした。
でも、彼女の芝居は、本当に素晴らしかった!

シシィってこういう人だったのか!!と目から鱗がたくさん落ちました。頑なで、一途で、諦めが悪くて、ひたむきで、真っ直ぐで。ルドルフを拒絶するところにも、「夜のボート」にも、きちんと一人の“大人の女性”として一本筋を通してくれたのが、素晴らしかったです。

長いこと私のマイ・ベスト・(宝塚版)シシィは麻子さんだったのですが(コンサートで観たマヤ・ハクフォートは、作品が違うので別カウント)、麻子さんのシシィの芝居のキーワードは「子供」だったと今でも思います。「子供に子供は育てられない」という侍女たちのナンバーが全てを物語っている、というか。
でも。しずくちゃんのシシィは、少女だったけど、子供じゃなかった。彼女の個性は“少女”なんですよね。子供じゃなくて、ファンタジーのある少女性。あの硬質な美貌は、それだけで価値があるのではなく、魔法のある存在感と、リアルで頑固な一途さがあって初めて、強烈に人を惹きつける。愛さずにはいられない存在感。なのに、こんなにも愛されキャラなのに、一度誰かを愛したら、簡単に自分を捨ててしまえる一途さも持っていて、しかも未練がない。揺らぐことのない、明解な価値観と意志。

「エリザベート」という作品は、音楽で全てが語られるオペラ形式の作品だから、メインキャストでありながら歌えないということは、どうしたって許されない罪です。いくら初舞台からのファン(?)な私でも、その点で彼女を擁護することはできません。実際一幕は全く歌えていなかったし、かろうじて歌えた曲(二幕のナンバー)であっても、作曲者が意図するところの半分も表現できていなかったと思う。
やっぱり、今でも(彩星)りおんのシシィは観てみたかったし、聴いてみたかったし、今回実現しなかったことがとても残念でもあります。他にも、花陽みらちゃんとか、シシィのナンバーを聴いてみたい娘役さんはたくさん居るし。

でも。
すべてを超えて、しずくちゃんのシシィが大好きだ!(断言)

たった一回の新人公演だからこそ出来たことだし、許されることでもあるんですけれど、ね。



みりおくんのトートは、いつかトップになったら、本公演でもやってほしいと思う。
りおんのシシィも、残念ながら新公はダメだったけど、もし万が一彼女がトップ娘役になることがあったりなんかしちゃったら、ぜひ、素敵なトート役者と組んで「エリザベート」を上演してほしい、という夢をみることもできる。

でも、しずくちゃんのシシィは、本公演では絶対にありえない。それだけは勘弁してくれ、と、誰よりも私が思う。

……とかいいながらも、考えずにはいられない、コト。
病院の場面があったらどう演じてくれたのか、観てみたかったナ……(; ;)。




異世界の少年としての、みりおくんのトート、

ファンタジーの塊のような、しずくちゃんのシシィ。

オーソドックスな演出と共に、得難い二人の役者によって描き出された「エリザベート」という痛々しい物語が、とても気持ちよく心に入ってきました。
耳に多少痛くてもいい。たった一回に全てを賭けた役者の気迫が、東宝劇場の空間を埋め尽くし、サラサラと音をたてて降り積もる。

一ヶ月という長期間にわたってテンションを保たなくてはならない本公演では、紡げない物語があるんだな、と、しみじみと思った2時間でした。




……ファンって、痛いな……。




他のメンバーも皆良かったのですが、とりあえず、今夜はこの二人のことだけ、で。


コメント

nophoto
KS
2009年7月26日14:58

みつきねこさま
今回の新公批評、まさに同感です。
みりおちゃんは童顔なのに包容力あるんですよね!
狂気にも似た愛が全身に溢れていて、あんな死なら魅入られてみたいと思う色気がありました。
しずくちゃんは、歌のことはおいといて(本人比ではいいほうですよね)
気品のある姿とやや寂しげな面だちが。私の見たいシシィそのもの。
しかも、実在のシシィはこんなふうに不器用で頑なだったんだろうなと思わせる、孤独で切ないシシィでした。
今回の2人は、それぞれのエピソードでの心の揺れがうまく表に出ていて、
情感のある空間を作り出していたし、
宝塚版エリザのスタンダードである「恋愛ドラマ」になっていたのが
いちばん嬉しかったです。

みつきねこ
2009年7月27日1:34

KSさま♪
コメントありがとうございまーす!同感していただけて嬉しいです(^ ^)。

>狂気にも似た愛が全身に溢れていて、あんな死なら魅入られてみたいと思う色気がありました。

ですよねーーー!!!おお、まさにそのとおり。私もこのくらい巧い表現をしてみたい(^ ^)

>しかも、実在のシシィはこんなふうに不器用で頑なだったんだろうなと思わせる、孤独で切ないシシィでした。

しずくちゃんの、純粋で頑固な持ち味が本当に大好きです。今回は本当に、実在のエリザベートはこうだったんだろうな、と思わせるリアル感があって、すごく良かったですよね♪♪♪

>宝塚版エリザのスタンダードである「恋愛ドラマ」になっていたのがいちばん嬉しかったです。

そう!!「恋のドラマ」だった!!
トップコンビだから恋しているのが前提なんじゃなくて、みりおくんのトートとしずくちゃんのシシィだから恋に落ちた、という説得力があったのがすごく幸せでした。今の月組でこれだけのお芝居を(新公なのに)魅せていただけて、とても幸せです(^o^)。

また、遊びにいらしてくださいね~♪