座・高円寺にて、ミュージカル「ユーリンタウン」を観劇してまいりました。
世界的な大干ばつに襲われた世界で、水資源をどのように護るか、という物語……なんていう言い方をしたら、全然イメージ違うんですよねぇ……実際、そういう話なんですが(汗)。
2001年にオフ・ブロードウェイで開幕。2002年のトニー賞で、作品賞を含む10部門にノミネートされ、3部門(演出・脚本・楽曲)を獲得した作品。
日本初演は2004年。演出は宮本亜門、劇場は日生劇場でした。
「有料公衆トイレの話」としかあらすじには出てなくて、いったいどんな話なんだろう??とハテナをいっぱい飛ばしながら観にいって、興行側のあまりの作品軽視にあきれ果てて帰った記憶があります。
100歩譲って、宮本亜門はいい。彼は本来、もっとテーマがシンプルで具体的な作品をわかりやすく華やかに演出することが得意な人で、ああいうひねりにひねって最後にとんぼを切って逃げちゃうみたいな作品はいまひとつなことが多いのですが、まぁ、演出の名前で客が呼べる数少ない人の一人だし。
でも、大劇場の真ん中に慣れた、メインキャストの面々。この人たちが日生に集ってトイレの話とか、ありえないから。演出・脚本・楽曲三賞を獲っておきながら、作品賞を逃したのは何故だと思っているんだ(汗)。
なので。
今回の公演は、上演を知ったときからメチャクチャ楽しみにしていました。
元々歌や踊りのある演劇をやっていた流山児★事務所が「ユーリンタウン」に目をつけてくれたか!!と。
いや~、期待以上のできでした♪♪ そうよ、これが私の観たかった、むこうでの劇評を読んで楽しみにしていた「ユーリンタウン」ですよ!!
コメディ仕立てではあるけれども、実際はもの凄く悲惨な話なんですよ。
世界的な大干ばつで、水資源が枯渇しつつある、近未来の地球。
すべての水資源を一括で管理し、使用量を抑えるために、自宅用のトイレを禁止し、すべての用足しは有料の公衆トイレを使わなくてはならなくなっている。
正規の場所以外のところで用足ししたら、“ユーリンタウン(小便街)”へ追放=死刑。
トイレの規制とか、そういうシモの規制っていうのは人間の尊厳に関わる話だから、本来なら規制するとしても最後の最後のはずなんですよね。だけど、たとえばトイレの水は簡単に処理して、何度でもトイレを流すためだけに使う、ってなことを考えるなら、汚物処理装置つきのトイレを少数設定するのが一番効率的。同じ水を繰り返し使うんだから、一日に何回使われても必要な水の量は変わらないし。
そういうことを考えると、割と早い段階でトイレを規制するっていうのはあり得ない話じゃない。
まして、そこに巨大な利権が絡むとなれば。
ただ、市民たちにはあまり詳しい情報を与えていないから、彼らは状況がそこまで深刻であることを知らない。
だから当然、強い反発が生まれる。きっかけ一つで、抑圧された人民はすぐに立ち上がってしまう。
そして。
一度立ち上がってしまえば、そうそう簡単に座りなおすことはできない。
もう公演も終わったから、ネタバレしてしまいますが。
革命のリーダーとなった青年(遠山悠介)が、トイレ(=水資源)を管理するUCC(ウッシッシ)のクラッドウェル社長(塩野谷正幸)の罠にはまって殺された後。
彼の恋人にしてクラッドウェルの娘・ホッピー(関谷春子)は、彼の遺志を継いで革命を続行。自分のIDで平民たちを連れてUCCビルに侵入し、父親を倒します。
こうして革命は成功。彼らは『入りたいときに入りたいだけトイレに入る権利』を得て、じゃんじゃん水を流しまくります。
その結果、どうなるか。
当然、残り僅かだった水資源を僅かな時間で使い切り、彼らは皆、ばたばたと斃れていく……という、ラスト。
「じゃあ、どうすれば良かったのかねぇ?」と、皮肉な口調で尋ねられたような後味。
物語としての結論がないところが、私はとても納得できます。
だって、この物語ってびっくりするほどリアルな問題を扱っているから。ここで、すっきり納得できるような結論があったら、しのごの言わずにそれを今すぐやれっ!!っていう話になるだろうし。
小野不由美さん著「華胥の幽夢」に収録された中篇「華胥」で語られる、「責難は成事にあらず」という言葉を、あらためて思い出しました。
今現在権力を持って事を成そうとしている人(UCC)を非難することはたやすい。だって、現実に今、目の前に困っている人がいるんだもの。
でも、それはただ、彼らが事を成すことを邪魔しているだけで、何一つ解決しない。
ただ、UCCが成した事(トイレの規制)を非難するだけで、否定するだけで、彼らが何故、なんのためにそれを成したのかを理解しようとしない。トイレの規制をすることが何故悪で、それを撤廃したらどういう問題が起こって、その問題を解決するのに「トイレの規制」以外にどんな方法があるのか、そこまで事前に検討してから撤廃しなくてはいけないのに。
クラッドウェルの娘でありながら、ホッピーは全く父親のやっていたことを知らなかった。
利権を独占していたことも知らなかったし、水資源を護っていたことも知らなかった。
……知っていなくてはいけなかったのに。
「水」という限られた資源に対する計画経済社会において、自由主義者たちが反乱を起こしたようにも解釈できるし、
横暴な資本家に対して、労働者が革命を起こしたようにも見える。
いずれにしても、『革命』を起こす当事者たちは、いつだって真剣で、生真面目で、理想に燃えている んですよね。
旧ロシアのボルシェビキたちもそうだっただろうし、
全共闘の闘士たちもそうだったんだろう。
……たぶん。
そして、この「ユーリンタウン」の瀬戸際な労働者たちの希望も、実に生理的に切実でリアルなだけに、外から見ていると非常に滑稽なんですけれども。
でも、彼らが本当に真剣に、生真面目に、理想に燃えて、必死で立ち上がろうとする姿は、ひどく痛々しく響いてくるんですよね。
………でも。
だけど、この革命はうまくいかないだろう、と。……それが、話の途中でも、あからさまにわかってしまうことが、一番の喜劇であり、かつ悲劇でもある。
ラストの皮肉の切れ味が、さすが百戦錬磨な流山児★事務所、見事なものでした。流山児祥さんの手腕は素晴らしい!大劇場では表現の難しい脚本的な難所、皮肉・嫌味・回りくどい説明・ちょっとハズした会話………細かいネタを落とさずにちゃんと拾って組み立ててくれたのが、とても嬉しかった!
なんだか長くなってしまった……。
くだくだと書いてしまいましたが、結論としては「私は今回の公演、すごく面白かった!!再演希望!」ってことで。
最後に、キャストについて、一言ずつ。
名前は、ブロードウェイ版の名前をちょっとずつ変えた名前をつけていたので、そちらで書きます。()の中は、日生劇場版キャスト(わかる人のみ)。
巡査部長ロクスッポ(南原清隆)千葉哲也
すごく良かったです。エリザベートで言えばルキーニみたいな存在(←ちょっと違う)で語り手なんですけど、とにかく存在感があって。彼が居るだけで、あやしげでヤバげな空気が漂うのが素敵だな、と。
最初の語りだし(歌いだし)も彼だし、ラストのオチを語るのも彼だし……。面白い役者でした。
巡査バレバレ()曾我泰久
ロクスッポの部下。ロクスッポと会話しながらいろいろ観客に説明してくれる人。
歌はあまり無かったですが、なかなか良いキャラでした。曾我さんは巧いねー!
ちびサリ(高泉淳子)坂井香奈美 ホームレスの少女
「30歳すぎて九州から出てきて子役だなんてっ!」と自分で言ってらっしゃいましたが(笑)、
自然に子供に見えて、可愛かったですよ?(真顔)。
ちょっと「レ・ミゼラブル」のガブローシュみたいな存在(途中では死なないけど)なんですよね。ロクスッポと会話したり、あちこちで独り言言ったりして(^ ^)いろいろ説明してくれる。
この芝居って、とにかく話が複雑なせいか、ロクスッポ・バレバレ・ちびサリと説明役が3人もいるんだな…(今頃気づいたか)
クラッドウェル社長(藤木孝)塩野谷正幸
いやー、藤木さんの社長がかなり好きだったので微妙かな~?と思っていたのですが、すごく良かったです!チョビ髭が笑えた(^ ^)。ちょっとヒトラーを意識しているようにも見えましたが、どうなんでしょうか。
彼が単純な悪ではなかったことが、今回の公演の成功の要因だったんではないか、と思います。
ホッピー(鈴木蘭々)関谷春子 クラッドウェルの娘。
東宝ミュージカルアカデミー出身なんですね(^ ^)。華やかな美貌、伸びやかな歌声、上流階級の娘にちゃんと見える確かな芝居。ヒロインとしてきちんと立った存在感が見事でした。ビンボーとの会話のトンデモさとか、いろんな意味ですごく良かった。彼女の明るさに救われた面は大きいと思います。
ペニペニ(マルシア)伊藤弘子 “街で一番汚い公衆便所”の管理人。
素晴らしかった!歌も芝居も、本当に良かった(^ ^)
ふてぶてしいのに痛々しくて、クライマックスの、革命軍(?)に告白する場面の迫力とか、クラッドウェルに裏切られたときの反応とか、本当に凄いって感じでした。
日生劇場公演はマルシアだったのか……全然印象に残ってない(^ ^;ゞ
ビンボー・スットボケ(別所哲也)遠山悠介 ペニペニの助手。
世間知らずの女の子が「あらちょっと素敵」と思う程度の見掛けで、しかも優しくて誠実。偶然出会ったホッピーと、恋に落ちるのも当然のキャラ。
だけど、彼は主役じゃないんです。ヒロインが恋をする相手だけど、物語的には主役じゃない。彼が主役だと、ラストの衝撃が意味を為さないから。
そういう劇構造を考えても、日生劇場版は、この役を別所さんにふったのがそもそもの間違いだったな……歌は素晴らしかったんですけどね(T T)。
遠山さんは、芝居は悪くないけど歌は……がんばれ(励)。
ヒップご意見番()三ツ矢雄二
こんなところでお会いできるとは(汗)。いやー、三ツ矢さんの七変化、って感じでとても面白かったです。歌もさすが。以前舞台でお見かけしたとき、今後はもっとミュージカルにも挑戦したいとか仰ってたけど、、、お忙しいのかしら。
マッキッキ()栗原茂 クラッドウェル社長の秘書、なのかな…?
ラストシーンの直前、革命が成功してホープの下に降った後。
「ホープ様、社長は水不足を解消するために今までコレだけの研究を重ねてまいりました……」
と訴えるシーンが凄く好き。
そして、その必死の訴えをあっさりと退けて、
「私たちは、父のやり方ではなく、私たちのやり方で幸せを手に入れるのです!」
と宣言するホープの、何もわかってない純真っぷりに対する、彼の絶望が身に沁みました。
クラッドウェルの秘書&警官をやっていた、元月組OGの青葉みちる嬢は、それはそれは美しく、スタイルも抜群でロケットの脚もきれいにあがって、とにかく華やかで素敵でした(はぁと)。
次は是非、芝居をしているみちるに逢いたいです………(祈)。
.
世界的な大干ばつに襲われた世界で、水資源をどのように護るか、という物語……なんていう言い方をしたら、全然イメージ違うんですよねぇ……実際、そういう話なんですが(汗)。
2001年にオフ・ブロードウェイで開幕。2002年のトニー賞で、作品賞を含む10部門にノミネートされ、3部門(演出・脚本・楽曲)を獲得した作品。
日本初演は2004年。演出は宮本亜門、劇場は日生劇場でした。
「有料公衆トイレの話」としかあらすじには出てなくて、いったいどんな話なんだろう??とハテナをいっぱい飛ばしながら観にいって、興行側のあまりの作品軽視にあきれ果てて帰った記憶があります。
100歩譲って、宮本亜門はいい。彼は本来、もっとテーマがシンプルで具体的な作品をわかりやすく華やかに演出することが得意な人で、ああいうひねりにひねって最後にとんぼを切って逃げちゃうみたいな作品はいまひとつなことが多いのですが、まぁ、演出の名前で客が呼べる数少ない人の一人だし。
でも、大劇場の真ん中に慣れた、メインキャストの面々。この人たちが日生に集ってトイレの話とか、ありえないから。演出・脚本・楽曲三賞を獲っておきながら、作品賞を逃したのは何故だと思っているんだ(汗)。
なので。
今回の公演は、上演を知ったときからメチャクチャ楽しみにしていました。
元々歌や踊りのある演劇をやっていた流山児★事務所が「ユーリンタウン」に目をつけてくれたか!!と。
いや~、期待以上のできでした♪♪ そうよ、これが私の観たかった、むこうでの劇評を読んで楽しみにしていた「ユーリンタウン」ですよ!!
コメディ仕立てではあるけれども、実際はもの凄く悲惨な話なんですよ。
世界的な大干ばつで、水資源が枯渇しつつある、近未来の地球。
すべての水資源を一括で管理し、使用量を抑えるために、自宅用のトイレを禁止し、すべての用足しは有料の公衆トイレを使わなくてはならなくなっている。
正規の場所以外のところで用足ししたら、“ユーリンタウン(小便街)”へ追放=死刑。
トイレの規制とか、そういうシモの規制っていうのは人間の尊厳に関わる話だから、本来なら規制するとしても最後の最後のはずなんですよね。だけど、たとえばトイレの水は簡単に処理して、何度でもトイレを流すためだけに使う、ってなことを考えるなら、汚物処理装置つきのトイレを少数設定するのが一番効率的。同じ水を繰り返し使うんだから、一日に何回使われても必要な水の量は変わらないし。
そういうことを考えると、割と早い段階でトイレを規制するっていうのはあり得ない話じゃない。
まして、そこに巨大な利権が絡むとなれば。
ただ、市民たちにはあまり詳しい情報を与えていないから、彼らは状況がそこまで深刻であることを知らない。
だから当然、強い反発が生まれる。きっかけ一つで、抑圧された人民はすぐに立ち上がってしまう。
そして。
一度立ち上がってしまえば、そうそう簡単に座りなおすことはできない。
もう公演も終わったから、ネタバレしてしまいますが。
革命のリーダーとなった青年(遠山悠介)が、トイレ(=水資源)を管理するUCC(ウッシッシ)のクラッドウェル社長(塩野谷正幸)の罠にはまって殺された後。
彼の恋人にしてクラッドウェルの娘・ホッピー(関谷春子)は、彼の遺志を継いで革命を続行。自分のIDで平民たちを連れてUCCビルに侵入し、父親を倒します。
こうして革命は成功。彼らは『入りたいときに入りたいだけトイレに入る権利』を得て、じゃんじゃん水を流しまくります。
その結果、どうなるか。
当然、残り僅かだった水資源を僅かな時間で使い切り、彼らは皆、ばたばたと斃れていく……という、ラスト。
「じゃあ、どうすれば良かったのかねぇ?」と、皮肉な口調で尋ねられたような後味。
物語としての結論がないところが、私はとても納得できます。
だって、この物語ってびっくりするほどリアルな問題を扱っているから。ここで、すっきり納得できるような結論があったら、しのごの言わずにそれを今すぐやれっ!!っていう話になるだろうし。
小野不由美さん著「華胥の幽夢」に収録された中篇「華胥」で語られる、「責難は成事にあらず」という言葉を、あらためて思い出しました。
今現在権力を持って事を成そうとしている人(UCC)を非難することはたやすい。だって、現実に今、目の前に困っている人がいるんだもの。
でも、それはただ、彼らが事を成すことを邪魔しているだけで、何一つ解決しない。
ただ、UCCが成した事(トイレの規制)を非難するだけで、否定するだけで、彼らが何故、なんのためにそれを成したのかを理解しようとしない。トイレの規制をすることが何故悪で、それを撤廃したらどういう問題が起こって、その問題を解決するのに「トイレの規制」以外にどんな方法があるのか、そこまで事前に検討してから撤廃しなくてはいけないのに。
クラッドウェルの娘でありながら、ホッピーは全く父親のやっていたことを知らなかった。
利権を独占していたことも知らなかったし、水資源を護っていたことも知らなかった。
……知っていなくてはいけなかったのに。
「水」という限られた資源に対する計画経済社会において、自由主義者たちが反乱を起こしたようにも解釈できるし、
横暴な資本家に対して、労働者が革命を起こしたようにも見える。
いずれにしても、『革命』を起こす当事者たちは、いつだって真剣で、生真面目で、理想に燃えている んですよね。
旧ロシアのボルシェビキたちもそうだっただろうし、
全共闘の闘士たちもそうだったんだろう。
……たぶん。
そして、この「ユーリンタウン」の瀬戸際な労働者たちの希望も、実に生理的に切実でリアルなだけに、外から見ていると非常に滑稽なんですけれども。
でも、彼らが本当に真剣に、生真面目に、理想に燃えて、必死で立ち上がろうとする姿は、ひどく痛々しく響いてくるんですよね。
………でも。
だけど、この革命はうまくいかないだろう、と。……それが、話の途中でも、あからさまにわかってしまうことが、一番の喜劇であり、かつ悲劇でもある。
ラストの皮肉の切れ味が、さすが百戦錬磨な流山児★事務所、見事なものでした。流山児祥さんの手腕は素晴らしい!大劇場では表現の難しい脚本的な難所、皮肉・嫌味・回りくどい説明・ちょっとハズした会話………細かいネタを落とさずにちゃんと拾って組み立ててくれたのが、とても嬉しかった!
なんだか長くなってしまった……。
くだくだと書いてしまいましたが、結論としては「私は今回の公演、すごく面白かった!!再演希望!」ってことで。
最後に、キャストについて、一言ずつ。
名前は、ブロードウェイ版の名前をちょっとずつ変えた名前をつけていたので、そちらで書きます。()の中は、日生劇場版キャスト(わかる人のみ)。
巡査部長ロクスッポ(南原清隆)千葉哲也
すごく良かったです。エリザベートで言えばルキーニみたいな存在(←ちょっと違う)で語り手なんですけど、とにかく存在感があって。彼が居るだけで、あやしげでヤバげな空気が漂うのが素敵だな、と。
最初の語りだし(歌いだし)も彼だし、ラストのオチを語るのも彼だし……。面白い役者でした。
巡査バレバレ()曾我泰久
ロクスッポの部下。ロクスッポと会話しながらいろいろ観客に説明してくれる人。
歌はあまり無かったですが、なかなか良いキャラでした。曾我さんは巧いねー!
ちびサリ(高泉淳子)坂井香奈美 ホームレスの少女
「30歳すぎて九州から出てきて子役だなんてっ!」と自分で言ってらっしゃいましたが(笑)、
自然に子供に見えて、可愛かったですよ?(真顔)。
ちょっと「レ・ミゼラブル」のガブローシュみたいな存在(途中では死なないけど)なんですよね。ロクスッポと会話したり、あちこちで独り言言ったりして(^ ^)いろいろ説明してくれる。
この芝居って、とにかく話が複雑なせいか、ロクスッポ・バレバレ・ちびサリと説明役が3人もいるんだな…(今頃気づいたか)
クラッドウェル社長(藤木孝)塩野谷正幸
いやー、藤木さんの社長がかなり好きだったので微妙かな~?と思っていたのですが、すごく良かったです!チョビ髭が笑えた(^ ^)。ちょっとヒトラーを意識しているようにも見えましたが、どうなんでしょうか。
彼が単純な悪ではなかったことが、今回の公演の成功の要因だったんではないか、と思います。
ホッピー(鈴木蘭々)関谷春子 クラッドウェルの娘。
東宝ミュージカルアカデミー出身なんですね(^ ^)。華やかな美貌、伸びやかな歌声、上流階級の娘にちゃんと見える確かな芝居。ヒロインとしてきちんと立った存在感が見事でした。ビンボーとの会話のトンデモさとか、いろんな意味ですごく良かった。彼女の明るさに救われた面は大きいと思います。
ペニペニ(マルシア)伊藤弘子 “街で一番汚い公衆便所”の管理人。
素晴らしかった!歌も芝居も、本当に良かった(^ ^)
ふてぶてしいのに痛々しくて、クライマックスの、革命軍(?)に告白する場面の迫力とか、クラッドウェルに裏切られたときの反応とか、本当に凄いって感じでした。
日生劇場公演はマルシアだったのか……全然印象に残ってない(^ ^;ゞ
ビンボー・スットボケ(別所哲也)遠山悠介 ペニペニの助手。
世間知らずの女の子が「あらちょっと素敵」と思う程度の見掛けで、しかも優しくて誠実。偶然出会ったホッピーと、恋に落ちるのも当然のキャラ。
だけど、彼は主役じゃないんです。ヒロインが恋をする相手だけど、物語的には主役じゃない。彼が主役だと、ラストの衝撃が意味を為さないから。
そういう劇構造を考えても、日生劇場版は、この役を別所さんにふったのがそもそもの間違いだったな……歌は素晴らしかったんですけどね(T T)。
遠山さんは、芝居は悪くないけど歌は……がんばれ(励)。
ヒップご意見番()三ツ矢雄二
こんなところでお会いできるとは(汗)。いやー、三ツ矢さんの七変化、って感じでとても面白かったです。歌もさすが。以前舞台でお見かけしたとき、今後はもっとミュージカルにも挑戦したいとか仰ってたけど、、、お忙しいのかしら。
マッキッキ()栗原茂 クラッドウェル社長の秘書、なのかな…?
ラストシーンの直前、革命が成功してホープの下に降った後。
「ホープ様、社長は水不足を解消するために今までコレだけの研究を重ねてまいりました……」
と訴えるシーンが凄く好き。
そして、その必死の訴えをあっさりと退けて、
「私たちは、父のやり方ではなく、私たちのやり方で幸せを手に入れるのです!」
と宣言するホープの、何もわかってない純真っぷりに対する、彼の絶望が身に沁みました。
クラッドウェルの秘書&警官をやっていた、元月組OGの青葉みちる嬢は、それはそれは美しく、スタイルも抜群でロケットの脚もきれいにあがって、とにかく華やかで素敵でした(はぁと)。
次は是非、芝居をしているみちるに逢いたいです………(祈)。
.
コメント
でも今回の芝居は非常に難しい使い方をしていたとヅカOGの友人が観劇して
言っていました。
そして、この作品ってそういう話なんだーーー
今の私は見なくて正解だった。
見るときの気持ちとか体調とか余り関係しませんか?
私はたまに「しまった、今の私にはこの芝居はハードだった」とか
「ああ、今日、これを観て本当に良かった、元気も貰ったし幸せ・・・」とかあります。
劇場はすごく面白い空間でした。L字型に二方向に客席を作って、本当の正面はその「L」の直角に曲がった角、みたいな感じ……というのかな?うまく説明できないのですが。
もともとオフ作品なので、万人むけにはできてないんですよね。夢も希望も無いラストだし、題材はシモの話だし。
でも、内容的にはおもしろいので、もし再演されたら、体調と相談してご検討くださいませ(^ ^)。
いつもすごく批評が面白くて、愛読させていただいております。
流山児ユーリンタウン、大成功でしたね。
私にとっても日生版が拍子抜けでしたから、
このエネルギーが大事だなと納得!
気持ちいい劇場だし、野外劇的な装置もよかったですね。
たまたま小池先生もいらしてて楽しげに観ていらっしゃいました。
エリザや星ぺでお忙しいのに、
話題作には足を運ばれるなんて、さすがだなと感動しました。
コメントありがとうございます~!
>流山児ユーリンタウン、大成功でしたね。
ですよね!!
>私にとっても日生版が拍子抜けでしたから、
>このエネルギーが大事だなと納得!
私だけじゃなかったんですね(^ ^)<日生が拍子抜け
小池さんがいらしていたとは。年間4作という脅威の作品数ですが、こういうところでも
新しい刺激を受けて、これからも面白い作品を創っていただきたいと思います♪