シラノ・ド・ベルジュラック
2009年5月24日 ミュージカル・舞台日生劇場にて、ミュージカル「シラノ」を観劇してまいりました。
音楽は「ジキルとハイド」「スカーレットピンパーネル」のフランク・ワイルドホーン。
脚本はレスリー・ブリカス、演出は山田和也、座長は鹿賀丈史、劇場は日生……「ジキルとハイド」日本初演と同じ組み合わせですが。
……うーん、やっぱり山田和也はワイルドホーンみたいな重厚でドラマティックな音楽にはあまり向いてないような気がするんですよねぇ(T T)。彼の演出作品もずいぶん観ているし、軽やかな楽しいコメディは最高なんだけどなあ…。
作品的には、ワイルドホーンらしい音楽も随所にあったし、脚本もしっかりしていてとても良くできていました。「シラノ」のミュージカル版を観るのは二度目(前回観たのはオランダ版)ですが、今回の方が作品的には面白かったかな?(単に、ワイルドホーンのファンなだけかも)
ただ。
率直に書きますが、鹿賀さんは、また病気(?)が復活してしまわれたのでしょうか…?
もしそうだとしたら、今すぐ休演してでも療養されたほうがいいのではないかと思うのですが……。
声が出ない。舌が回らない。台詞も歌もかすれがちで、しかもそれが3時間の舞台が進むにつれて目に見えて酷くなっていく。あと一週間とはいえ、2年前の「ジキルとハイド」の後、一度は快復されたのに、あのときと同じくらい、いえ、あの時は歌は大丈夫だったので、あの時より悪いかもしれない。
もし、あれで安定しているのだとしたら、舞台役者としてはもう終わっていると思います。そのくらい、観ているのが辛い状態でした。作品のラストシーン、瀕死の状態でロクサーヌを訪ねてくる場面の緊迫感が半端なくて、本当に恐ろしかったです。こんな恐怖感は、観客としてあまり味わいたくないです…(T T)
のっけから暗い話になってしまいましたが、それ以外はとても良かったと思います。
助演陣も実力派ぞろいでよかったですし、アンサンブルも凄い迫力でした。個人的に、一番の名場面は「我らガスコン!」ですね(^ ^) いやー、あれは名曲です♪
アンサンブルはレ・ミゼラブル組がすごく多くて、ガスコン青年隊の場面は、どれもABCカフェやバリケードシーンに見えて、仕方なかったです(笑)。佐山さん……は、学生はやってないかな?でも、、林アキラさん、大須賀さん、小関さん、、、、懐かしい面々です。もちろん、阿部さん、岩田さん、大江さん、中山さん、、、(他にもいらしたらごめんなさい!)皆さん短いながらもソロもあって、どれもワンフレーズで誰だかわかる自分にちょっと驚いてしまいました(汗)。しかも台詞では全然わからないところがレ・ミゼ組(笑)
…学生の面影は、ある人もいれば無い人もいましたが(^ ^)。
女性アンサンブルも、皆さん美人で素敵でした!宝塚OG(85期)の岡本茜(神月茜)ちゃんが、凄く可愛かった~~!!出演していることを知らなくて、最初の場面で白い豪華なドレスを着てスポットライトを浴びて出てきたとき(マダム・シャヴニー役)、しばらく私はロクサーヌだと信じて疑わなかったという(汗)。ドレスから出ている胸元の柔らかさ、デコルテの美しさ、長い首とバランスの良い小さな頭。華やかな美女が出てきたぞっ!という雰囲気があって…(*^ ^*)。
オペラグラスで観て、“あれっ?ロクサーヌはコムさん(朝海ひかる)だったはずなのに?”と思ったというオチがつきましたが。
その後に出てきたロクサーヌは、ちょっと胸元は寂しかったけど(←おい)、もちろん!とっても美しかったです(*^ ^*)。私は、コムさんの男役時代の芝居はあまり好きではなかったのですが、女役の芝居は結構好きなんですね。TSミュージカルのカルメンも素晴らしかったし、今回のロクサーヌも、思い込みの激しい“若い娘”っぷりがよく似合っていて、歌も案外良かったです。
クリスチャンは、Wキャストの片方、浦井健治さんの方を観ました。
イケメンで優しくて、でも頭の中身は筋肉…という役ですが、なかなか魅力的なクリスチャンでした。ただ、シラノと掛け合いで歌う「完璧な恋人」(シラノの頭脳とクリスチャンの外見が合わされば、完璧な恋人が出来上がる…という歌)で、シラノの美点は「知識」「知性」「剣」「腕力「度胸」「愛嬌」と次から次と出てくるのに、クリスチャンはひたすら「美貌」と繰り返すばかり……というネタが(^ ^;ゞ。浦井くんはイケメンだけど、なんというか、そこまで絵に描いたような美貌というのとはちょっと違うタイプだと思うので……(汗)(汗)(汗)。
ただ、他のアンサンブルメンバーよりちょっと肌の色を白めにして、貴族の若者っぽく見せていたのはさすがだなと思いました。回りのガスコン青年隊メンバーとは違う空気を纏っている感じが出ていて、良かったと思います。…首や生え際は塗っていないので、横顔はちょっと違和感ありましたけどね。
中河内さんも観てみたかったなあ……写真で見るとすごく美形だし(笑)。
ロクサーヌの求愛者であるド・ギッシュ伯爵役の、鈴木綜馬さん(*^ ^*)。
いやー、壮年期のちょっとコミカル風味の色悪ぶりと、ラストシーン(15年後)の枯れた美老人ぶり、どちらも素晴らしかったです。歌が思ったより少なかったのが残念ですが、良い役ですよね。
戸井勝海さんは、シラノの友人、ル・ブレ。ガスコン青年隊のサブリーダー的な存在で、シラノの片腕(?)みたいな感じでした。彼がメインの場面こそ無いけど、歌もちょこちょこあって……なんとなく、レ・ミゼラブルのコンブフェール役を思い出して、とても懐かしかったです。
15年後の場面にも出てくるのですが、これがまた ものすごいイケメンな美老人で、ちょっとうっかり惚れ直してしまいました(^ ^;ゞ
いやー、「エリザベート」の重臣かツェップスあたりに出てくれないものでしょうか。美老人役をぜひまた観てみたいです。
しっかし。ガスコン青年隊は全員似たような栗色の長髪ソバージュの鬘で、見分けるのが本当に大変でした……(涙)。小関さんぐらい小柄だとか、体型的に特徴があれば解るんだけど(涙)。
光枝明彦さんは、ガスコン青年隊御用達のレストランのオーナー、ラグノー。
相変わらず硬軟自在で本当にステキ(*^ ^*)。大きなナンバーはレストランのナンバー(「料理人で詩人」)くらいだと思うんですが、あれを聴くだけで結構モトを取れたような気がしてしまいます(^ ^)。
作品的な目玉であるバルコニーシーン(シラノとクリスチャンが入れ替わりながらロクサーヌに愛の言葉を捧げる場面)は、一幕の半ばに。いやー、最初はクリスチャンに口伝えで言葉を教えてやって客席の爆笑を誘っているのに、そのうち次第にシラノ自身の歌に移り変わっていくあたりが、実に感動的で素晴らしかったです。鹿賀さんが100%なときに観てみたかった!!
その後のド・ギッシュとのやり取りもかなり笑えます。あのあたりの呼吸は、コムさん巧いなあ、と感心。ド・ギッシュの嫉妬で最前線に送られることになったガスコン青年隊、というか、クリスチャンの身を心配してロクサーヌが歌う「Take care of him」がとても良かったです♪
二幕はほぼ、最前線の砦で進行します。
包囲戦のはずなのに、何故か飢えに苦しむガスコン青年隊。しかしシラノは、ロクサーヌに約束したとおりクリスチャンをさりげなく護りつつ、毎日“クリスチャンの手紙”を送るために前線をこっそり突破し、手紙を送っていた。
ちょっと細かい突っ込みなんですけど、“包囲戦”なのにどうして“前線を突破して”郵便を届けるんだろう…??
そんな砦に、男装をしたロクサーヌが訪ねてくる。
この物語のミソは、この時点でロクサーヌが愛している(命を賭けて遭いに来る)のは、手紙をくれるクリスチャン(=シラノ)であるところなんだと思うんですよね。
でも、シラノはそれを信じない。彼女がシラノに言う「もう、私が愛しているのはあの人の美しさではないの」「あの人が世界で一番醜いものでも、私の愛は変わらないわ」という台詞が、どれほどに残酷な響きを持って彼の耳に到達することか。口ではそんなことを言っても、実際に手紙を書いたのが俺だと知ったら泣くだろうに…… と。
けれども、実際にロクサーヌと話をしたクリスチャンは気づいてしまう。彼女が愛しているのは既に自分ではないことに。
彼女の気持ちが解ってしまったクリスチャンが、断腸の思いでシラノに訴える「She Loves You」が素晴らしい名曲でした。この作品の中でも白眉になる名場面だったと思います。
シラノに「彼女に言ってあげてください!手紙を書いていたのは自分だと!」と言って、「外を見守ってきます」と砦から出て行くクリスチャン。
ロクサーヌに話そうか話すまいか迷っているうちに、敵軍が接近。クリスチャンが撃たれて運ばれてくる。
嘆くロクサーヌを慰める言葉を持たないシラノ。ただ「決して言えない…」と呟くばかり。
嘆きの歌「I Can Never Tell Her」「So Young, So Beautifull」もいい曲でした。
15年後の修道院の場の演出も、夕暮れの演出が印象的で美しかったです。
喪服に身を包んだロクサーヌがしっとりと美しく、未亡人の艶やかさがあって魅力的でした。静かな修道院に、ちょっと不思議な響きのあるまろやかな低い声がよく似合って、とても良かったです。
実年齢を考えれば、浦井くんとは随分な差があるはずなのですが、クリスチャンとの恋に身を焦がしている前半は同い年か浦井くんより下くらいにちゃんと見えたのがすごいなあ、と、この喪服の場面の落ち着きっぷりを見て思いました。ちゃんと芝居で若く見せていたんですね。凄いかも!(*^ ^*)
純粋な愛の物語で、宝塚でも上演したらいいかも、、と思いましたが……うーん、キャストがばっちり嵌る組がないなあ、今は。
トップが知性的な役が似合って、二番手が若く無鉄砲な超イケメンの体育会系で、色悪ができる上級生がいて、、、うーん、トウコさん時代後半の星組とか合いそうなんだけどなあ…。
…という話をしたら、友人に「剣と恋と虹と」という、シラノを元にした作品があったということを教えてもらいました。おおー、さすが宝塚。こんな有名な名作を見逃すはずはなかったですね(^o^)
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音楽は「ジキルとハイド」「スカーレットピンパーネル」のフランク・ワイルドホーン。
脚本はレスリー・ブリカス、演出は山田和也、座長は鹿賀丈史、劇場は日生……「ジキルとハイド」日本初演と同じ組み合わせですが。
……うーん、やっぱり山田和也はワイルドホーンみたいな重厚でドラマティックな音楽にはあまり向いてないような気がするんですよねぇ(T T)。彼の演出作品もずいぶん観ているし、軽やかな楽しいコメディは最高なんだけどなあ…。
作品的には、ワイルドホーンらしい音楽も随所にあったし、脚本もしっかりしていてとても良くできていました。「シラノ」のミュージカル版を観るのは二度目(前回観たのはオランダ版)ですが、今回の方が作品的には面白かったかな?(単に、ワイルドホーンのファンなだけかも)
ただ。
率直に書きますが、鹿賀さんは、また病気(?)が復活してしまわれたのでしょうか…?
もしそうだとしたら、今すぐ休演してでも療養されたほうがいいのではないかと思うのですが……。
声が出ない。舌が回らない。台詞も歌もかすれがちで、しかもそれが3時間の舞台が進むにつれて目に見えて酷くなっていく。あと一週間とはいえ、2年前の「ジキルとハイド」の後、一度は快復されたのに、あのときと同じくらい、いえ、あの時は歌は大丈夫だったので、あの時より悪いかもしれない。
もし、あれで安定しているのだとしたら、舞台役者としてはもう終わっていると思います。そのくらい、観ているのが辛い状態でした。作品のラストシーン、瀕死の状態でロクサーヌを訪ねてくる場面の緊迫感が半端なくて、本当に恐ろしかったです。こんな恐怖感は、観客としてあまり味わいたくないです…(T T)
のっけから暗い話になってしまいましたが、それ以外はとても良かったと思います。
助演陣も実力派ぞろいでよかったですし、アンサンブルも凄い迫力でした。個人的に、一番の名場面は「我らガスコン!」ですね(^ ^) いやー、あれは名曲です♪
アンサンブルはレ・ミゼラブル組がすごく多くて、ガスコン青年隊の場面は、どれもABCカフェやバリケードシーンに見えて、仕方なかったです(笑)。佐山さん……は、学生はやってないかな?でも、、林アキラさん、大須賀さん、小関さん、、、、懐かしい面々です。もちろん、阿部さん、岩田さん、大江さん、中山さん、、、(他にもいらしたらごめんなさい!)皆さん短いながらもソロもあって、どれもワンフレーズで誰だかわかる自分にちょっと驚いてしまいました(汗)。しかも台詞では全然わからないところがレ・ミゼ組(笑)
…学生の面影は、ある人もいれば無い人もいましたが(^ ^)。
女性アンサンブルも、皆さん美人で素敵でした!宝塚OG(85期)の岡本茜(神月茜)ちゃんが、凄く可愛かった~~!!出演していることを知らなくて、最初の場面で白い豪華なドレスを着てスポットライトを浴びて出てきたとき(マダム・シャヴニー役)、しばらく私はロクサーヌだと信じて疑わなかったという(汗)。ドレスから出ている胸元の柔らかさ、デコルテの美しさ、長い首とバランスの良い小さな頭。華やかな美女が出てきたぞっ!という雰囲気があって…(*^ ^*)。
オペラグラスで観て、“あれっ?ロクサーヌはコムさん(朝海ひかる)だったはずなのに?”と思ったというオチがつきましたが。
その後に出てきたロクサーヌは、ちょっと胸元は寂しかったけど(←おい)、もちろん!とっても美しかったです(*^ ^*)。私は、コムさんの男役時代の芝居はあまり好きではなかったのですが、女役の芝居は結構好きなんですね。TSミュージカルのカルメンも素晴らしかったし、今回のロクサーヌも、思い込みの激しい“若い娘”っぷりがよく似合っていて、歌も案外良かったです。
クリスチャンは、Wキャストの片方、浦井健治さんの方を観ました。
イケメンで優しくて、でも頭の中身は筋肉…という役ですが、なかなか魅力的なクリスチャンでした。ただ、シラノと掛け合いで歌う「完璧な恋人」(シラノの頭脳とクリスチャンの外見が合わされば、完璧な恋人が出来上がる…という歌)で、シラノの美点は「知識」「知性」「剣」「腕力「度胸」「愛嬌」と次から次と出てくるのに、クリスチャンはひたすら「美貌」と繰り返すばかり……というネタが(^ ^;ゞ。浦井くんはイケメンだけど、なんというか、そこまで絵に描いたような美貌というのとはちょっと違うタイプだと思うので……(汗)(汗)(汗)。
ただ、他のアンサンブルメンバーよりちょっと肌の色を白めにして、貴族の若者っぽく見せていたのはさすがだなと思いました。回りのガスコン青年隊メンバーとは違う空気を纏っている感じが出ていて、良かったと思います。…首や生え際は塗っていないので、横顔はちょっと違和感ありましたけどね。
中河内さんも観てみたかったなあ……写真で見るとすごく美形だし(笑)。
ロクサーヌの求愛者であるド・ギッシュ伯爵役の、鈴木綜馬さん(*^ ^*)。
いやー、壮年期のちょっとコミカル風味の色悪ぶりと、ラストシーン(15年後)の枯れた美老人ぶり、どちらも素晴らしかったです。歌が思ったより少なかったのが残念ですが、良い役ですよね。
戸井勝海さんは、シラノの友人、ル・ブレ。ガスコン青年隊のサブリーダー的な存在で、シラノの片腕(?)みたいな感じでした。彼がメインの場面こそ無いけど、歌もちょこちょこあって……なんとなく、レ・ミゼラブルのコンブフェール役を思い出して、とても懐かしかったです。
15年後の場面にも出てくるのですが、これがまた ものすごいイケメンな美老人で、ちょっとうっかり惚れ直してしまいました(^ ^;ゞ
いやー、「エリザベート」の重臣かツェップスあたりに出てくれないものでしょうか。美老人役をぜひまた観てみたいです。
しっかし。ガスコン青年隊は全員似たような栗色の長髪ソバージュの鬘で、見分けるのが本当に大変でした……(涙)。小関さんぐらい小柄だとか、体型的に特徴があれば解るんだけど(涙)。
光枝明彦さんは、ガスコン青年隊御用達のレストランのオーナー、ラグノー。
相変わらず硬軟自在で本当にステキ(*^ ^*)。大きなナンバーはレストランのナンバー(「料理人で詩人」)くらいだと思うんですが、あれを聴くだけで結構モトを取れたような気がしてしまいます(^ ^)。
作品的な目玉であるバルコニーシーン(シラノとクリスチャンが入れ替わりながらロクサーヌに愛の言葉を捧げる場面)は、一幕の半ばに。いやー、最初はクリスチャンに口伝えで言葉を教えてやって客席の爆笑を誘っているのに、そのうち次第にシラノ自身の歌に移り変わっていくあたりが、実に感動的で素晴らしかったです。鹿賀さんが100%なときに観てみたかった!!
その後のド・ギッシュとのやり取りもかなり笑えます。あのあたりの呼吸は、コムさん巧いなあ、と感心。ド・ギッシュの嫉妬で最前線に送られることになったガスコン青年隊、というか、クリスチャンの身を心配してロクサーヌが歌う「Take care of him」がとても良かったです♪
二幕はほぼ、最前線の砦で進行します。
包囲戦のはずなのに、何故か飢えに苦しむガスコン青年隊。しかしシラノは、ロクサーヌに約束したとおりクリスチャンをさりげなく護りつつ、毎日“クリスチャンの手紙”を送るために前線をこっそり突破し、手紙を送っていた。
ちょっと細かい突っ込みなんですけど、“包囲戦”なのにどうして“前線を突破して”郵便を届けるんだろう…??
そんな砦に、男装をしたロクサーヌが訪ねてくる。
この物語のミソは、この時点でロクサーヌが愛している(命を賭けて遭いに来る)のは、手紙をくれるクリスチャン(=シラノ)であるところなんだと思うんですよね。
でも、シラノはそれを信じない。彼女がシラノに言う「もう、私が愛しているのはあの人の美しさではないの」「あの人が世界で一番醜いものでも、私の愛は変わらないわ」という台詞が、どれほどに残酷な響きを持って彼の耳に到達することか。口ではそんなことを言っても、実際に手紙を書いたのが俺だと知ったら泣くだろうに…… と。
けれども、実際にロクサーヌと話をしたクリスチャンは気づいてしまう。彼女が愛しているのは既に自分ではないことに。
彼女の気持ちが解ってしまったクリスチャンが、断腸の思いでシラノに訴える「She Loves You」が素晴らしい名曲でした。この作品の中でも白眉になる名場面だったと思います。
シラノに「彼女に言ってあげてください!手紙を書いていたのは自分だと!」と言って、「外を見守ってきます」と砦から出て行くクリスチャン。
ロクサーヌに話そうか話すまいか迷っているうちに、敵軍が接近。クリスチャンが撃たれて運ばれてくる。
嘆くロクサーヌを慰める言葉を持たないシラノ。ただ「決して言えない…」と呟くばかり。
嘆きの歌「I Can Never Tell Her」「So Young, So Beautifull」もいい曲でした。
15年後の修道院の場の演出も、夕暮れの演出が印象的で美しかったです。
喪服に身を包んだロクサーヌがしっとりと美しく、未亡人の艶やかさがあって魅力的でした。静かな修道院に、ちょっと不思議な響きのあるまろやかな低い声がよく似合って、とても良かったです。
実年齢を考えれば、浦井くんとは随分な差があるはずなのですが、クリスチャンとの恋に身を焦がしている前半は同い年か浦井くんより下くらいにちゃんと見えたのがすごいなあ、と、この喪服の場面の落ち着きっぷりを見て思いました。ちゃんと芝居で若く見せていたんですね。凄いかも!(*^ ^*)
純粋な愛の物語で、宝塚でも上演したらいいかも、、と思いましたが……うーん、キャストがばっちり嵌る組がないなあ、今は。
トップが知性的な役が似合って、二番手が若く無鉄砲な超イケメンの体育会系で、色悪ができる上級生がいて、、、うーん、トウコさん時代後半の星組とか合いそうなんだけどなあ…。
…という話をしたら、友人に「剣と恋と虹と」という、シラノを元にした作品があったということを教えてもらいました。おおー、さすが宝塚。こんな有名な名作を見逃すはずはなかったですね(^o^)
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