ゾフィーの恋

2009年4月7日 読書
ゾフィーの恋
コバルト文庫「帝冠の恋」(須賀しのぶ著)


…diarynoteには、本にレビューをつける機能もあるらしいのですが、なぜか機能していないらしい……。なんだかなあ、もう。




えーっと。愚痴はおいといて。
この作品は、ミュージカル「エリザベート」の影の主役・ゾフィー大公妃の、若き日の恋物語を描いた作品です。

舞台は19世紀、ウィーン。

ハプスブルク家に嫁いだ美しく聡明なバイエルンの王女ゾフィーと、ナポレオンの血をひく美青年フランツとの禁断の恋模様。




著者は須賀しのぶ。コバルト文庫の「キル・ゾーン」シリーズが好きでずっと読んでいたのですが、これはちょっと毛色が変わっていて、「こんなものも書くのかー!」と感心した作品。

発売されたのは2008年の4月。私が買ったのは、たぶん夏ごろ…だと思うのですが。
読み終わってからほどなくして月組「エリザベート」の発表があったので、「エリザベート」のゾフィー役の配役が発表されたら書こう!」と楽しみに取っておいたネタでした(^ ^)。



……まさか、あいあい(城咲あい)のゾフィーが観られるとは、露ほども思っていなかったのですが!





話としても大変面白い作品ですが、この美しく聡明でやんちゃなゾフィーが、長じてあのゾフィー大公妃になるのか、と思いながら読むと、余計楽しいです。
そして。クンツェ&リーヴァイが残酷なまでにリアルに描いた、人生の終わりに近づきつつある厳格なゾフィー大公妃を観ながら、彼女の若かりし日々を思い描くであろう自分が、その時にいったい何を思うのか、興味津々です。





全てを賭けてフランツ青年を愛し、求めたバイエルンの王女ゾフィー。
バイエルン王家の血を色濃く継いだ、早熟の天才であったゾフィー。


一皮剥いてしまえば、ゾフィーもエリザベートも、結局のところは“バイエルンの天使”たち。案外と近しい生き物だったんでしょうね。
ハプスブルク家のフランツ・ヨーゼフとは、別種の生き物。近くに寄り添っているようで、まるっきり重なり合うところのない親子。


ただ、ゾフィーは恋よりも国を選んだ「王者」の血筋であり、シシィは最後まで「国」を理解できなかった「子供(瀬奈)」または「天使(白羽)」だった、という違いはありましたけれども。
…あ、いえ、あいあいやカチャ(凪七瑠海)がどういう役作りをするかわからないので、そのあたりの解釈も違うかもしれませんね。お二人の解釈がどんな方向に落ちるのか、幕が開くのを楽しみに待っています(^ ^)。





…個人的には、バウあたりで上演しても面白いんじゃないか、と思ったりするんですけどね。
具体的にキャストとかを考えているわけではありませんが。っていうか、主役のフランツがちょっとヘタレなので、脚色が難しそうですけれども。(ゾフィーの方が何倍も格好良い)
「エリザベート」の番外編、ってことで、小池さんが創ってくれたらいいのになー。…無理か(^ ^;。






「帝冠の恋」は、ミュージカル「エリザベート」とは全く関係のないところで、ひとつの歴史小説として普通に読んでも面白いと思います。
私が須賀作品を好きなのは、リズムのある読みやすくて明朗な文体とか、事物の描写のわかりやすい的確さとか、キャラクターの個性が豊かで意外性に富んでいるところとか、ストーリーの突拍子のない面白さとか……いろいろあるのですが。
この作品は彼女の良いところが前面に出つつ、キャラクターにはきちんと時代性に合わせた思考をさせていて、安心して読めたと思います。扱う時代も興味深いし、せっかく文章力・構成力のある人なので、もっと歴史物を書いてほしいなあ、と思ったりします(^ ^)。



……とりあえず、あいちゃんのゾフィーを観る前に、ゾフィーという一人の女傑の、ミュージカルでは語られていない一面を知るともっと面白いかもね、ということでご紹介させていただきました☆




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