東京宝塚劇場花組新人公演「太王四神記」。


どういう順番で書くか迷っていたのですが、ここはやっぱり、学年順に88期から☆



ヤン王(扇めぐむ/星原美沙緒)
なんかコメントが見つからない。あまりにも当たり前に渋くて巧くて格好良くて、髭が似合ってて。何の違和感もありませんでした。
「愛と死のアラビア」でも同じくほっしゃん先輩の役だったので、もうちょっと違う役が観たかったなー、とも思うのですが。そうは言っても、何が観たいのかというと特に……だしなあ。
優しくて温かみがある個性の持ち主なので、いっそのこと、正反対のチョ・ジュドとか一度演じてみたら勉強になっただろうに、とも思うのですが…。でもあれは、ネコちゃんぴったり適役だったしなあ。うーん難しい。
…あ、フッケ将軍なら観てみたかったかも。重厚な芝居を得意とする人だけど、本公演でああいう役が本当に来るようになるまでには何年もかかるから…(T T)。その点、フッケ将軍みたいな役なら案外多いし、とみぃがあまりやったことのない役のような気がするので。逆に、よっちもああいう軽みのある役は本当に巧いけど、格の高い役はあまり観たことがないから、この二人が交代するとお互いすごく勉強になるんじゃないかな、と。

……独立した一つの公演としてみるならば、とみぃのヤン王とよっちのフッケ将軍という配役で正解なんですけどね。どっちも本当に巧かった。
ヤン王は歌が無かったのがとても残念です。せっかく歌えるのにぃ。




カグン将軍(夕霧らい/高翔みずき)
か、か、か、かっこいい………。
新公は、神話からそれに続く「チュシンの夜」の一連の事件が割愛されているため、チョロの胸に“城主”が神器を隠す場面がなかったりして、本公演以上に『謎な人物』なのですが(アルバイトも多いし)。
しかし格好良かった!らいらいは、やっぱりどこか色っぽいんですよね。大人の男の色気がある。さお太さんのカグン将軍が、どちらかといえば枯れた“老将”だとしたら、らいらいのカグン将軍は、まだまだ現役!という空気がありました。
素顔はあんなに童顔でかわいいのになあ(^ ^)

二度目の、武道籤を売っているポンファ通りにカグン将軍がいないので、あれっ?と思いました。確かに、居てもあまり意味が無い場面ではあるんですけどね。本公演でも、観るたびに「どうしてここにカグン将軍が…」と思っちゃいます。一回や二回観た程度の観客は「チュシンの夜」にチラッと出てきたことなんて覚えてないし、カグン将軍自身も名乗らないし、何をするでなく、出てきて引っ込むだけだし。
もし、“意味が無いからパス”したのであれば、生田さん天晴れ!!なんですけどね(^ ^)。

カグン将軍は、武道会での居方がポイント!
武道会は忙しいので、あまりじっくり注目していたわけではないのですが、最後の方でタムドクが怒って神器が発動したときの反応が、回りの人たちと全然違っていて「ああ、この人はちゃんと知ってるんだな」と解る芝居をしていたのが面白かったです。
食い入るようにタムドクの方を視るカグン将軍。最初は神器が光っている方を視て、そこから視線をずらしてタムドクを視る。そのときの、大きくうなずいた感じ(たぶん)がカッコよかったです(*^ ^*)。

二幕のカンミ城の場面では、ほとんど将軍というより乳父(?)か何かのようにチョロ(瀬戸かずや)を見守っていて、すごく微笑ましかったです。チョロもすごく将軍を頼りにしている感じがして、“城主”があのチュシンの夜の騒ぎで死んでから、ずっと守ってきたんだろうなあ、とか、そういうつながりを感じさせる二人でした。
そして、チョロを見守り、タムドクの前に膝をつくらいらいのカグン将軍は、やっぱり色っぽかった(*^ ^*)。

◇アルバイト情報◇
最初のポンファ通りで、かわいい童顔の美青年がいるなーと思ったららいらいでした。ここはかなり忙しい場面で、メインのメンバーを見て、らいらいとルナちゃんと由舞ちゃんをチェックしたあたりで力尽きてしまったのですが……。みんな勝手なことするのやめようよ(T T)。
らいらいは……あれっ?何色だったっけ。芥子色?あああ、やっぱり5日もほっぽったら忘れちゃうよねぇ~(せっかくチェックしたのに/涙)。




ヨン・ガリョ(祐澄しゅん/夏美よう)
本公演ですっかり煮えまくったしゅん様のヨン・ガリョ。ヨン・ガリョ単体でどうこう、というよりも、人間関係をきっちり造りあげてきたのが凄く良かったです。
セームとガリョの夫婦関係、ホゲとの親子関係、チョ・ジュドとの力関係、そして、プルキルとの関係。すごくきめ細かく、相手を見て芝居をしていたと思います。キャラクターとしては硬軟両方できるけど、芝居のタイプは基本的に受け芝居の人なんですね。

はっちさんに比べて、かなりおっとりとした、優しくて気の弱いパパでした。降嫁してきた王家の姫を大事にして、どんな我侭でもきいてきたんだろうな、という感じ。妻を愛して、大事に思っていて、彼女の望みを叶えることが自分の望みになってしまっているタイプ。
ガリョの性格は、しゅん様の性格なのかなあ。それとも、生田さんの指導なんでしょうか。あそこまではっきりとキャラクターが違うと、本当に面白いです。

本公演の靺鞨の場面で、マメちゃんだけに歌わせてしゅん様は台詞なので、しゅん様って歌えないんだーと素直に納得していたのですが(汗)、なんのことはない、巧いじゃないか!
とみぃみたいな、いかにも“美声”というタイプではないですが、台詞としてきちんと気持ち伝えられる芝居歌でした。やわらかみのある良い声♪ ああ、あの歌が聴けただけでも結構幸せです(笑)。

「愛と死のアラビア」の新公で、アジズの格好良さにはかなり落ちていたんですが、あらためて“老け役”のしゅん様を観ると、この人が作るキャラクターの優しさっていうのが興味深いですね。なんとなく、桐生園加ちゃんに似たイメージを持っていたんですが、園加はどちらかというと“愛されキャラ”で、しゅん様は“愛しているキャラ”あるいは“許すキャラ”なんだな、なんてことを思いました。相手の良い所も悪い所もひっくるめて、許してしまうタイプ。
ちなみに、らいらいは多分“愛するキャラ”で、とみぃは……何だろう(汗)。しゅん様に似てるかな?




トラジ(愛純もえり/初姫さあや)
気合一発!完璧に作りこんだ“美少女”モードのさあやに比べると、比較的落ち着いた感じの「女主人」でした。お客様が来ても飛び上がって喜んだりしてなかったよね?(^ ^)。
ソロもさすがだし、お芝居も良かったです。

◇アルバイト情報◇
二幕のヤン王葬儀の場で、赤メンバーに入ってあれこれ小芝居してましたよね?可愛かったー!(それでいいのか?赤チーム!)




産婆(聖花まい/初姫さあや)
これまた、気合一発!!悪魔の笑みを浮かべた妖しい美女・さあやに比べて、仕事熱心なマジメな産婦人科医、って感じがしました。……っていうかさ、今気がついたんですけど、聖花さんって「銀ちゃんの恋」でも産婦人科医やってたよね?(^o^)。しかも産むのは子夏(野々すみ花)だし。……ぴったりじゃないか!!(吃驚)

白衣があんなによく似合っていた聖花さん、赤と黒の衣装もちゃんと着こなして、キレイでした。「まもなく産み落とされます」というさあやの名調子も、聖花さんなりの解釈で聞かせてくれました。
…アルバイトはあちこちでしていたけど、ごめんなさい、チェックする余裕が無かったです…(T T)。




プルキル(朝夏まなと/壮一帆)
いやぁ、もう、楽しそうで楽しそうで、見ているだけで幸せでした。
見た目は驚くほど壮ちゃんにそっくり!!よくあそこまで作りこんだなあ、と感心しました。
声が全然違うんですけど、黙って立っているだけの場面だったら、途中で入れ替わってても解らなかったんじゃないか、と思うほど似てましたね。外見は(笑)。

役作りがどうこうという役ではない(解りやすく世界征服を夢見る“悪役”)ので、あまり深いところは突っ込みませんが、今まで新公主演をずっとやってきて、最後にこの役をやらせてもらったまぁくんは、とても幸せな人だと思います。
今までは役をこなすだけで精一杯で、舞台全体が見えてないなーと思うことが多かったのですが、今回は、本当に全体が見えているなあ、と感心したので、その空気を忘れずに、これからもがんばってほしいです♪♪
本公演のチュムチもすごく良いし、伸び盛りなんでしょうね、今。「Mind Traveller」もとても良かったし、小池さんはまぁくんみたいなタイプが好きなんでしょうねぇ…。




セーム(華耀きらり/花野じゅりあ)
素晴らしかった!!
鮮やかな色の衣装と、何がどうなっているのか良くわからない、不思議な髪型。華やかで毒々しくて美しい、しゅん様のヨン・ガリョが足元にひざまづいて香油を奉げるのもわかるような、圧倒的な美女でした。

そして、
とにかく芝居の解釈が本公演とぜんぜん違っていて、吃驚しました!!

最初の、「わが子ホゲこそ王にふさわしい!」と息子自慢を始めてしまうあたりは本公演ともそんなには違わないんですけど、タムドクとの会話がぜんぜん違いました。
セームも違うし、タムドクも違う。だいもんの芝居で一番印象的だったのは、この短い叔母との会話の間に、まるで別人のように変貌してしまった(仮面を脱ぎ捨てた)ことだったのですが。
きらりんのセームが、また、だいもんの芝居を細かく受けて、その印象を増幅してくれるのが凄かった。まるで見てはならぬものを見てしまったかのように、仮面を脱いだ皇子を凝視しているセーム。彼女はこの時、どんな地獄を見たのだろうか、と。
搾り出すような「お・ま・え・は~~~っ!!」というかすれ声を聴きながら、鳥肌が立ちました。

芝居としては、高度なものを求めすぎて技術が追いついていなかった印象もありますが、まあ新公だからなあ。自分に足りない部分、特に声のコントロールの必要性は切実に感じたところでしょうから、これから頑張ってくれればいいです。自分のやりたい芝居をイメージどおりにやれる役者になってほしいなあ、と、心から思います。

きらりんって、可愛い遊女はホントに可愛いし、お嬢さまな姫君をやらせればうっとりするほどだし、ミニスカにブーツでアイドルすればもう「きゃーっ!」って感じだし、何をやっても本当に素敵で魅力的なんですけど、一般的にはきゃぴきゃぴした役の方が得意だと思われているような気がするんですよね。
でも、こういう痛々しいほどプライドの高い、譲らない女、というものを、萌えを持って演じられる役者って、実は珍しいと思うんです。「銀ちゃんの恋」の朋子が良かったのも、姿の可愛らしさや思い切りの良いぶっ飛び具合だけじゃなくて、その裏にある女心の痛さと怖さをちゃんと表現していたからだと思っているのです。
誰かに対する悪意をきちんと自覚した上で、悪意を持つに到った経緯を納得させ、悪意を持つことによる自分自身の心の痛みまでちゃんと伝えてくれる役者、それも脚本には何も書いていないのに…というのが、今回セームを見てつくづくと感激したところでした。

今の公演が終わったら、次は全ツですね。
祐飛さんの最後の花組公演を、一緒に回ってくれて、嬉しいです(*^ ^*)
ああ、一場面でもいいから祐飛さんと組んでくれぇぇぇ~!!(祈)




フッケ将軍(月央和沙/悠真倫)
…この人は、本公演ではフッケ将軍の息子のセドルなんですよね………。
私のアタマの中では、新公以来ずーっと、よっちのフッケ将軍とよっちのセドルが会話してます(^ ^;ゞ
また、新公セドルの真輝いづみさんが、なんとなーくよっちに似てるんですよね。
いやはや、あんなに完璧な親子、初めて見ましたよ。
生田さん、絶対確信犯(←別に犯罪じゃないから…)だよね?
【お詫び:最初にアップしたとき、真輝さんのお名前を間違えておりました。謹んでお詫び申し上げますm(_ _)m】

まりんさんのフッケ将軍は、相当にウザいおっさんキャラ。新公も、芝居の骨子は変わっていないし、スジニに花嫁衣裳を着せる場面も確かにウザいことはウザいんですけれども、本公演よりはまだ“タムドク皇子に幸せになってほしい”という祈りを感じることができたような気がします。
タムドク皇子が自分の息子を助けようとしてくれたことを心から信じて、苦労している皇子に、少しでも幸せになってほしい、と…。
そんな気持ちが嵩じての嫁探しだとわかるので、大神官のくみちゃんも本公演の絵莉さんほど本気で怒らないし、まわりのメンバーも、なんとなーく生温い目で見守っていたような気がします。
あと、この場面については、タムドクだいもんの反応の間も良かったです(*^ ^*)。「あー、みんなが僕のことを気にしてる…どうしよう…」という逡巡がちゃんと見えて、話を切るタイミングをはかっているのが解るんですよね。回りの空気が変わったのに気づかないで、スジニを褒めているまとぶんのタムドクも可愛いんですけど(^ ^;、やっぱりここは、タムドクが庇ってあげないとフッケ将軍が可哀相なことになるので、ね(苦笑)。

で。
よっちのフッケ将軍は、朴訥な田舎者ですけれども、決して“面白い人物”では無いんですよね。
彼がマジメにやればやるほど、周りとのテンポがずれて面白いことになってしまうんですけど、彼自身が面白いわけではない。そのあたり、生田さんもきっちり抑えて指導したんだろうな、と思いました。
出番前半の「チョルロ族の長」として出てくるところは普通の老人(?)なんですけど、鎧を着てカンミ城に行くあたりから、「ああ、そっかこの人将軍なんだ」という雰囲気があったのも良かったと思います。若い頃は本当に強くて、人望もあった将軍。年齢を重ねて軍人としては引退して予備役生活だったけれども、鍛錬を怠っていたわけではない(腹は出てますけどね)。戦場勘を取り戻せれば、まだまだ戦える!!……と、そんな感じにちゃんと見えたので。
一本筋のとおった「将軍」ぶりで、タムドクチームの長老としてきちんと機能していました。

真瀬くんのヒョンゴが割と軽めの役作りだったので、フッケ将軍が長老、ヒョンゴが参謀、コ将軍が重石、みたいな役割分担がはっきりしていたのも良かったです。役割分担がはっきりしない軍隊は、見るからに弱そうなので(汗)。



以上8人。芸達者ぞろいの88期も、ついに新公卒業ですね。
これからは本公演で、もっともっとご活躍くださいますように♪

そういえば、トップ娘役のあやねちゃんも88期だけど、今回は出てないんですね。
みなこちゃんも、すみ花ちゃんも、トップになったら新公出ないのでしょうか……。若くして就任すると、アンサンブルで出たりしますよね?下級生も彼女たちの芝居を間近で観る機会があると勉強になると思うので、ぜひ出て欲しいなあ(^ ^)。


コメント

nophoto
hanihani
2009年3月4日12:07

ねこさま、ちょっと訂正が・・・

セドル 本役はよっちですが、新公は真輝いづみちゃんです。彼女がよっちに似てるんですよ。
ほんと、親子だなぁとおかしくて、じーちゃんがまりん??とか訳のわからない想像して
新公の最中にニヤニヤしちゃいました。しかも息子が殺されてる場面だというのに・・・

めぐむのチョ・ジュド賛成です☆
本役も大人なおっとり系だから、本当は新公は若い役とか色濃い役でお願いしたかったかなと。
新公チョ・ジュドの彩城レアちゃんは声が高いのと、身体の芯がすっきりしてなくて
なんか軽いというのか、ふみかちゃんを見ると「本当の悪はこいつだ!」というインパクトが
あるのですがそういう感じは全然しませんでした。
そうだよ、めぐむの悪役が見たかったですね。

セームのきらりちゃんは、タムドクにだまされた~ という怒りとショックで自殺したくらいな
演技ですごかったですね。
ああ、きらりちゃん、素敵☆と思いました。そしてあの髪型、どーなっとるんじゃ?!

まぁくんのプルキルは見た目は完璧でしたよね~
明日変わっても気づかないかも(笑)
でも、いつも中心にいた人だからか、脇で誰かを助けたり悪い子チームをリードしたりというのか
そういう細かいことが身についてないんだなぁと感じたところがありました。
やっぱり一人っ子政策はよくないよね
そして本役の壮ちゃんが結構芝居を色々頑張っていたことが判りました。
壮ちゃん、素敵です♪(笑)

その3お待ちしてます!

みつきねこ
2009年3月4日23:53

はにはにさま、ご指摘ありがとうございますm(_ _)m。本当にお恥ずかしい……。
それにしても似てますよね、あの二人(笑)。

チョ・ジュドのネコちゃんについては後で書きたいと思いますが、私はあれはあれでOK派なんですよ。でも、それとは全く無関係に、とみぃのチョ・ジュドは観てみたかったです!とみぃの悪役って観たことないし…。

きらりんは、割と毎回髪型に懲りすぎてイッちゃってる印象があります(笑)。可愛いのにー。

>そして本役の壮ちゃんが結構芝居を色々頑張っていたことが判りました。

ですね。なんだかんだ言って、壮ちゃんの芝居は意外と細かいし、重厚さがあるのも今回の役にはあっているんですよね。個人的に、雪組時代の壮ちゃんって余り印象に残っていないのですが(ごめんなさい)、花に来て、雪っぽさが良い意味でアクセントになっていて素敵だなあ、と毎回思います♪