蘇れ!真実
宙組日本青年館公演「逆転裁判ー蘇る真実」を観劇してまいりました♪♪



…それとは関係ないのですが、以前から気になっていた銀座のバーの看板をアップしてみたりします。
かなり曖昧な記憶なのですが、まさに宙組が出来た頃に出来た店、だったような。少なくとも、私が気づいたのはその頃でした。なので、勝手に関係者がやっているお店なのかなあ、それとも単にママが宝塚ファンだとか?と思っていたんですが(^ ^)。
もしご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください(笑)。
#月組ファン的には、字が黄色なところがちょっと嬉しい(^ ^)。






とゆーところで、話を戻します!

「逆転裁判」。

カプコンとのコラボレーションということで話題になった作品。ごく普通に、話題作だし、みーちゃん(春風弥里)も出るし……ということで取ったチケットだったのですが。



…面白かったーーーーーっ!!



正直、いわゆる「推理劇」とか「法廷劇」としては弱いというか無理があるというか、
…いくらなんでもそれは論理的におかしいだろう?というところがたくさんあるんですけれども。(←詳細はネタバレになるので割愛)(っていうか、おかしな点が多すぎて覚えていられなかった…涙)(あと、いくらなんでも捜査が杜撰すぎるよ!>みーちゃん)

なんだかもう、そんなことはどうだっていい!と心の底から思いました。
たぶんゲームも、ネタについてはこんな感じなんでしょうしね。(やったことがないので判りませんが)




作・演出は鈴木圭。
私は、鈴木さんの作品は観たことが(多分)無いと思います。「里見八犬伝」「The Second Life」「逆転裁判」…宙組専科なんですよね(^ ^;)。新公なら、「愛と死のアラビア」を観ましたが、オリジナルはやっぱりぜんぜん違うんでしょうしねぇ。

でも、評判は良く聞いていました。「テンポが良い」「洒脱」「バランス感覚がある」「的確」…そんな、評判を。
実際に観てみて、納得~!、と思いました。

とにかくテンポがいい。そして、抜くところをちゃんと抜いてくれる。
軽妙洒脱でセンスがいい。バランス感覚があって、役者の個性を生かしてくれる。
題材的に、こういう世界なら齋藤さんが良かったんじゃないの?と思ったりもしていたのですが、実際観てみると鈴木さんしか考えられないですね。キャストとスタッフがぴったりと噛み合って、今できる最高のものに仕上がったのではないかと思います。
……私はサイトーファンなので“齋藤さんだったらどんな作品になったかな?”とか思ってしまうのですが。彼だったらたぶん、もっとウェットでドラマティックな構成にして、ゲーム感覚はあえて残さなかったんじゃないかな、と想像します。そうなると、今回の蘭寿とむ・美羽あさひ・七帆ひかるというキャストだとちょっともったいないなーと思うので、鈴木さんで正解だったなあ、と(*^ ^*)。




いやぁ、本当に面白かった。

蘭トムは、前回の大野さんのバウ「Never Sleep」も凄く良くて、今回も大当たりで…作品に恵まれた人だなあと思います。いや、本人の魅力がこういう作品を連れてくるんでしょうけれども。
「Never Sleep」のサミュエルは、ちょっと無鉄砲(^ ^)で一生懸命でまっすぐで考えなしで妹に弱い、……一言で言うならカワイイヤツ、でしたが。
今回のフェニックス(ニック)も、大きく分ければ似たようなタイプだった…ような気がします。妹は出てこないけど、助手のマヤが可愛すぎだし(笑)。ひたすら愛する人を信じて、彼女の無罪を信じて突き進む、誠実で熱い、犬系の男。「月の燈影」の次郎吉、「Never Sleep」のサミュエル、「バレンシアの熱い花」ロドリーゴ、、、そして、このニック。今まで、トムくんは他にもいろんな役をやっていらっしゃいますけれども、こういう男が本当に良く似合いますよね(はぁと)!!
しかも、人気ゲームとのコラボ、という作品の特徴を意識してか、アニメっぽい…というのかな、ちょっとした仕草にもそういう要素を入れて、場面場面を盛り上げることを忘れないエンターテイメント性も、さすがです。とにかく良かったです!!(盛り上がりすぎ)

好きな女と一緒にいるときの幸せそうな(鼻の下がでろーんと伸びた/笑)可愛い笑顔。パンフレットの裏表紙の写真とか、最高です♪ 彼女と向かい合って立っていて、ふと気持ちが高まって、思わずというように引き寄せるときの性急さとか、彼女に拒否されたときの泣きそうな貌もいいです。ええ、素敵だなあ☆

いかにもゲームらしい、相当に強引な展開ですけれども、なんとなく納得してしまうのは、蘭トムくんのパワー(エネルギー)があるからなんだろうな、と思います。
本当にいい作品に当たって、客席も物凄い盛り上がりようでした。
公演の成功、おめでとうございます~\(^o^)/




まちゃみ(美羽あさひ)は、蘭トムとは二作目。本公演でもロドリーゴとシルヴィア、アンソニーとヴィクトリア…なんとなくずっと組んでいる印象ですね。たしかに、蘭トムの熱をしっかり受け止めて、受け流せる大人な雰囲気は、よく似合うなあといつも思います。いいコンビですよね。
今回は、前半の感情を見せない冷静な女弁護士っぷりが際立って、すごく格好良かったです。ただ、そこを凄くハンサムに作りこんだだけに、回想やラストに殻を脱ぎ捨てた後の“可愛い”レオナちゃんが、ちょっとぶりっ子に見えちゃったのが残念かも。




七帆くんも、「Never Sleep」に引き続き二番手。この上三人は全く同じなんですねぇ…。
こういうケースも珍しいような気がしますが、作品的にも蘭トムとの相性も、この二人しか考えられなかったのがわかるような気がします(*^ ^*)。蘭トムと七帆くん、本当に相性がいい!ちょっとS気味の立ち役系の七帆と、微妙にM風味の入った受け芝居の蘭トム。七帆の作りこんだ怜悧さやクールさは、裏(過去)に熱いものを秘めていることをちゃんとわからせてくれるので、明らさまに熱くて真っ直ぐな蘭トムの芝居と合わさったときの相乗効果があるんだと思います。
七帆くんと組むと蘭トムがすごく格好良く見えるし、蘭トムと組むと七帆くんがすごく魅力的になる。相性の妙、というものを感じます。




みーちゃん(春風弥里)は、すべての台詞の後に「~ッス!」とつく、相当にトンデモな捜査官。捜査はいい加減だし、証拠管理は杜撰だし、この人さえいなければ、この事件も最初から問題なく真実が表に出ていると思うのですが、、、まぁ、こういう人がいないとゲームに(舞台に)ならないしなあ(^ ^;ゞ。

台詞の滑舌の良さと仕草や小道具(バンドエイドとか)の作りこみっぷりはさすがです。っていうか、声がいいとこのウザい台詞の数々も耐えられるんだなあ、と思ったり。
相当に面白い役で、美風舞良嬢とともに間違いなく1幕の主役を勤めてくださいました(汗)。




(鳳翔)大くんは、ニックの学生時代の友人で、ヘタレなオモロキャラ。いちおう、ニックとレオナとマイルズ(七帆)の過去の物語を語る語り手として必要な存在ではあるのですが、まぁあまり深い意味はなかったかな。固くなりがちな法廷シーンが続くのを避けるため、気持ちを切り替えるために散りばめられた息抜きの場面、という印象でした。
研究科で蘭トムと6年も違うので、なかなか「同級生」には見えない、というのは難でしたが、大くん自身はいい芝居をしていたと思います。とくに、ヘタレキャラなときと女の子口説くモードに入ったときの声の違いが凄かった!(^ ^)。大くんの声、大好きなので嬉しかったです♪




すっしーさん(寿つかさ)は、レオナの雇い主、アーサー・ミラー上院議員。大統領候補にもなっている有能な政治家です。
眼鏡が良く似合う、神経質な感じの芝居でした。久しぶりにみる“カッコイイすっしーさん”全開!って感じで、くらくらするほど渋くて男前♪


美風舞良さんは、スキャンダルカメラマンのロッタ・ハート。いやーーーーー、ほんとに一幕の主役の一人、でした。こういう巧い人に思う存分やらせると話が飛んで行ってしまいがちなんですが、そこをきっちり抑えた鈴木さんは偉いなあ、と感心するほど。
美人なのに思いっきり崩した鬘と化粧に関西のおばちゃん系の喋り方。いつ観ても何を演じても本当に巧い人ですが、今回も実にお見事でした。


風莉じんさんは、温かみがあって優しい裁判長閣下。……まりえさん(美郷真也)ふたたび。
この人が、最後にある人物に語りかける言葉が、誠意に溢れていてとても素敵です。やわらくて厚みのある声が、ちょっとぎこちない台詞回しが、ごくシンプルなあの台詞に心を与えているんですよね。素晴らしい!


純矢ちとせちゃんは、レオナの妹モニカ・クライド。事件の鍵を握る人物ですが、巧い人なのにちょっと苦戦していたかも…。

れーれ(すみれ乃麗)は、ニックの助手でラリー(大)の片思い(?)の相手、マヤ・フェイ。
……妖精のように可愛らしく、不可思議な存在感と天然にもほどがある頭の中身が物凄く魅力的な、可愛い助手でした。突拍子のない衣装(霊媒の血筋だということで常に巫女系コスプレ)も良く似合って、実に実に可愛いです。月組の蘭乃はなちゃんとはあまり似ていないなあと思っていたのですが、あの掴みどころのない可愛らしさは、やっぱり姉妹かも(*^ ^*)。
あれはちょっと、反則!異議アリ!!と思ったほどに可愛かったです。


クリステルの萌野りりあちゃん(89期)、ロバートの風羽玲亜さん(かぜはねれいあ/90期)、ルイスの蒼羽りくさん(そらはねりく/93期)は、映像のみの登場。
映像の使い方も面白くて、さすがゲームだなあと感心するような処理がたくさんありました。
いやホント、鈴木さんのセンスには脱帽します。

ミラー上院議員の秘書・サラ・シェリーの綾瀬あきなちゃん(91期)は、抜擢…なのかな?
小人数のダンス場面にも入っているし。芝居(とくに台詞回し)はまだまだでしたが、小顔で可愛くて、群舞でも目立ってました♪

花音舞ちゃん(90期)・天輝トニカちゃん(92期)は、記者として目立つソロがあり、陪審席でも小芝居していて面白かったです。なかなかに、あの陪審席は目が離せない感じでした(^ ^)。
新聞売りの瀬音リサさん(93期)は、滑舌がよくて芝居上手だった!一幕の幕開き早々、いきなり笑いを取りに来る役ですが、安定していて良かったです。こんなに若いとは思わなかったなあ。

エッジワースの影で「キレイな人だなあ」と思った雅桜歌さん(みやび・おうか/89期)とか、陪審席でもピカ一可愛かった千鈴まゆちゃん(90期)、映像のジャックの美貌と、陪審席のぽけっとした風情が別人のようだった颯舞音桜さん(そうま・ねお/91期)、、、宙組の下級生も人材豊富だなあ、と感心。
これからはがんばって覚えなくては………φ(・・)メモメモ。






作品全体を貫くテーマは、人を信じること…、でしょうか。
人を信じることで真実は蘇る。信頼することで、相手を立ち直らせることができる。
その明快な主張が心地よく、
また、登場人物が本当にみんな優しくて、最後に裁判長が語りかける言葉がとても心に沁みてきます。

人気ゲームとのコラボレーション。面白い試みだと思うし、もしかしたら、「ベルサイユのばら」以上の金鉱脈を掘り当てたのかもしれない、と思います。
またやってほしいなあ☆「逆転検事」というゲームが5月に発売されるらしいので、次はエッジワワース(=七帆)編でどうでしょう(^ ^)




コメント

nophoto
はにはに
2009年3月2日19:20

ちょっとーーー

目を離したすきにもう『逆転裁判2』が発表になってます!!

しかも8月から9月で夏休みのお子様も呼び込もうという魂胆ですね。

東京はACTシアターですし、カプコンの偉い人が青年館にきて
「もうちょっと新しい劇場で」とか言ったのかななんて(笑)

ほんと、公演楽しかったですねぇ~
そして、ちゃんとお約束の「意義アリ!」ポーズをやりました。

なんというのか、宝塚であるようなないような
恥ずかしいような、ちょっと誇らしいようななんとも言えませんが
楽しかったことは確かです。

これは宙組じゃないとできないよなぁと思ったりして。
タニちゃんがトップのときには、こういう作品も相応しいと。

そして、今後祐飛さんがトップになったら
ちょっとしっかりと芝居ができる作品がいいなぁと思っています。
博多の『大江山花伝』は期待できます。いいなぁ~

なんとなく最近思うのですが、
宙組下級生はかつての「動く大道具」時代が長かったこともあり
どうも小芝居というのが余りよくわかってないのではと
観ていて感じるときがたまにあります。
顔だけで芝居しちゃうとか、思い切りはいいけど、この場面全体を考えると
それは少し違うだろうとかね。
前回も軽い芝居だったからそれが顕著だったのかもしれませんが
『黎明』でふと感じたときがありました。

まぁそういうノウハウはすみ花ちゃんが入れば最強ですよね~
ほんと、これから宙組がどんな刺激を受けて変化しているのか楽しみです。

で、『逆裁』ですが土曜日に見たときにアンケートがあって
「逆転裁判をもっと見たいか」とか「蘭寿とむじゃないと見ない」とか
「それ以外でもみる」とか色々項目がありました。
すくなくとも、もっと『逆裁』を観たい!という人が多かった
ということは確実ですね♪

あと、確かに公演を観た後、気持ちが良いというか、ニコニコして帰宅できました。
それが、

>作品全体を貫くテーマは、人を信じること…、でしょうか

なんですね。ねこさまの感想を読むと自分の気持ちが整理できてありがたりです。へへ

そう考えると夏休みの再演も楽しみだし、押し付けないテーマというのは
鈴木先生の作風、いいかも。

きっと2も観ちゃうな、私(笑)

みつきねこ
2009年3月3日1:37

びっくりしましたねー!「逆転裁判 2」。
…って話は今日の日記に書かせていただきましたが。

本当に楽しかったです。“初めて宝塚を観た”っぽい人も多くて、青年館全体が熱気に包まれているみたいでした。

>これは宙組じゃないとできないよなぁと思ったりして。

ですよねー。宙組の、あんまりタカラヅカタカラヅカしていない芸風にも合っているんじゃないかなーと思いました。いい作品だけど、なんだかあまり“他の組で観たい”とか“他の人で観たい”とか思わないんですよね。
蘭トムくん+宙組さんでの続演はすごく嬉しいし、楽しみです。(蘭トムくんは誰よりもタカラヅカタカラヅカした濃い芸風だと思うのに……なぜだろう汗)

>どうも小芝居というのが余りよくわかってないのではと

どうなんでしょうねぇ。そういうのは、演出家の意図もあると思うので、よくわかりませんけどね。
まぁ、一口に小芝居といっても、組によって違うんだなあ、と花組を観るようになって思いましたので、宙組には宙組流の小芝居があるんだろうなあ、とは思うのですが、全体の調和を一番に考えて、個性を抑える傾向はあるような気がします。
今回、陪審席に座っているメンバーが、お互いにお喋りしたりニックの言動に吃驚したりブーイングしたり、という“リアクション”は、それなりに個性を出してやっているんですけれども、たとえば一幕二幕と通し役としてキャラクター設定を考えるとか、そういうのはやっていないような気がしたんですよね。だから、ただの“リアクション”になってしまって、小芝居になってないなぁ、と。
まぁ、陪審員が勝手なことを始めたら裁判にならないので、やりすぎてはいけないんですけど。そういうときに、ギリギリを見極めよう、どこまで許されるのかやってみたい!という意欲とか、そういうのをもっと見せてもいいのになぁ…と思ったりはしますね。

>まぁそういうノウハウはすみ花ちゃんが入れば最強ですよね~

ええ、すみ花ちゃんのお芝居は最強です!(*^ ^*)。

>で、『逆裁』ですが土曜日に見たときにアンケートがあって

あれっ!?日曜日もあったのかなあ?私も書きたかった…(しょぼん)


>>作品全体を貫くテーマは、人を信じること…、でしょうか
>なんですね。ねこさまの感想を読むと自分の気持ちが整理できてありがたりです。へへ

えへっ(^ ^;ゞ。
でも、蘭トムくんの「信じる」パワーは凄い!と思うんですよ。
そして、ホゲ様は結局、誰のことも信じなかったんだな、と切なくなったんです(涙)。
せめてイルスやチョク・ファンのことくらい信じてあげれば良かったのに、と。

で、鈴木さんの偉いところは、「信じる」ことを押し付けないところ、なんですよね。
「俺はレオナを信じる」、ただそれだけ。
「お前はどうして信じないんだ」とは言わない。
「レオナを信じればみんなが幸せになれるのに」とも言わない。(←当たり前)
そこにあるのは『ニックがレオナを信じた』事実と、その結果として『二人が幸せになった』こと。
そして、『マイルズ・エッジワースがニックを信じた』事実と、その結果として『隠されていた真実が明らかになり、マイルズが反省して超・可愛くなった(…え?)』こと。
どちらも、原因と結果に非常に密接な関係があり、そこに到る過程に無理がなくて説得力があるんですよね。だから、すごく納得できる。すとんと落ちて、素直に「ああ、良かったね」といえる。

……本当に良かったです。「逆転裁判」。ACTのチケットが手に入るか、いまから戦々恐々です(笑)。