月組東宝劇場公演「夢の浮橋」、キャストごとの感想のつづきです。
すみません、もう花組公演が始まってしまったので、超特急でいかせていただきます(汗)。
小宰相の君(城咲あい/咲希あかね)
物語のキーパーソン。今の月組で、あいちゃんをどう使うのかなーと思っていたら、こうきたか!!という新鮮な驚きがありました。
すごく良かったです、あいちゃんの小宰相。あいちゃんの大人っぽい容姿と、おきゃんな声の可愛らしさのギャップを生かした、二面性のある役でしたね。
「自由な人なんていやしない。…あたしたちだって」という独白が胸に痛い、いい女っぷりでした。
新公のちゅーちゃんは、ハロー!ダンシングあたりから目立ちはじめた91期。ショーではだいぶ小人数口に入るようになってきたけど、芝居で大役がついたのは初めてかな?「Hollywood Lover」組で楽しそうに小芝居していた姿が印象的。今回は、思いのほかあいちゃんの小宰相そっくりな役作りで、驚きました。容姿はあまり似ていないのに(似ているのはスタイルがいいところくらいかな?)声がそっくりなんですよねぇ…(感心)。違和感なく演技していて、すごく魅力的でした♪次のバウでも、活躍を楽しみにしています♪
光源氏(萬あきら/彩央寿音)
すべての“罪”の象徴。きっしーも芝居巧者なんですけど、残念ながら萬さんの存在感の巨きさにはまったく対抗できず…という感じでしたね。新公の方が、匂宮の光源氏への思い入れが薄い(その分、薫への思い入れが深い)気がしたので、あえてそういう演出だったのかもしれませんが。
きっしーの光る君は、萬さんほど壊れていなくて“傀儡であること”の怖さがあまり感じられなかったです。ただ、喪われた人(紫の上)への深い愛と、彼女の望みを叶えなかった後悔に苛まれた辛さは、逆にリアルに感じられました。新公の光源氏は、可哀想だった……。
ラスト、壇上で待つ光る君の怖さは、萬さんもきっしーもさすがでした。それはむしろ、大野さんの演出の力かも。
夕霧(磯野千尋/美翔かずき)
本公演と新人公演、その解釈の違いが面白かったです。いかにも貴公子然としてすっきりキレイなのに、腹の底は真っ黒な気がした新公のみっしょんと、最初から腹黒親父にみえて、意外にちゃんと“人民の幸せ”みたいなことも考えていそうな磯野さん。
「源氏物語」は、やはり当時は政治から完全に切り離されていた女性が書いただけあってあまり具体的な政治生活が描かれることはないので、今回描かれているような「圧倒的なスターをトップに戴くことで人民の心をとらえる」といういかにもタカラヅカな政治思想がぴったりと嵌るのですが、磯野さんはやはり結構したたかで、「人民の目を眩ませるような華やかなスターを真ん中において、裏では好きなようにやろう」みたいな感じがありました。
みっしょんは真顔で「人々は華やかなスターが見たいんだから」とか思っていそうな、ある意味すごく怖い人でした(汗)。でもステキ。
最初の「雲隠」での、「今日だけは父上にもしっかりしていただかねば」という台詞、磯野さんは当たり前の「政治的判断」の賜物としての台詞でしたが、みっしょんはちょっと、憧れの父に愛されなかった息子が、やっと父親を思いのままに動かす喜びに憑かれているように聴こえて、怖かったです。この人は、やっぱりどこかに狂気を宿した役が似合う人なのかもしれない、と思いました。
…大野さん、また月組担当してくださいね(*^ ^*)
明石の中宮(梨花 ますみ/羽咲まな)
梨花さん、やっぱり好きだ。ああいう“愛のない母親”の役をやらせるとピカ一の役者だと思います。素晴らしかった!「マラケシュ」の役も大好きでしたけど、今回はまたいいですねぇ♪
大野さんは、本当に専科の使い方が巧い…。
新公のまなちゃん、いい役者だなあとあらためて感心しました。瀧川末子姐とか、(青葉)みちるちゃんとか、上級生の“唄える女役”候補が次々に卒業していしまっているので、まなちゃんは是非是非これからも末永く!!月組にいてほしいなあ、と、心の底からお願いします。
女一宮(花瀬みずか/夏月都)
あーちゃん、久々のヒット!でしたね(はぁと)。「雲隠」の後、上手花道にせり上がってきたときの目を奪うような美しさ。下手の子供時代(花陽みらちゃん)と交互に語り、歌いだすまでのたおやかな風情。
薫が憧れていた、というのも納得の美しさ。匂宮ともう少しで濡れ場に突入しそうだったあやうい色気。最後に匂宮を送り出すときの「その方(浮舟)を連れてこられても、同じことですよ」という子供に言い聞かせるような言い方が良く似合う、あくまでも「姉」の立場を貫く強さ。
匂宮が、そして薫が欲しかったのは、華やかで幸せな「紫の上」の御殿での生活、子供時代の輝きであって、一宮自身ではないことを100も承知で、軽くかわしてみせる女心。
新公のなっつも良かったです。コケティッシュに可愛くなっちゃうかな?と思っていたのですが、意外とそんなこともなく、普通に温かみのある、大人のオンナでした。蘭ちゃんの浮舟がコドモな分、落ち着いた包容力が感じられて良かったです。
なっつもいい声ですよねぇ(*^ ^*)歌もがんばってました。鬼に金棒!卒業後の活躍が楽しみです。
二宮(遼河はるひ/宇月颯)
匂宮の項で散々書いたような気がしますが、二宮って今回本当に良い役ですよねーっ!!
あひちゃんの心優しい(そして弱い)皇子様っぷりと、宇月くんの堅苦しいマジメな優等生っぷり。匂宮が反発しながら愛している兄の、それぞれの個性の違いが、匂宮のキャラの違いとちゃんと呼応していて、大野さんさすがだなーと思いました。
あひちゃんの二宮は上宮(ちなみに本来は“しょうくう”と濁らないはず?)王家の剣を匂宮に渡すときにあまり気負いを感じないのですが、宇月くんはかなり強い思い入れを篭めて渡していたのが印象的でした。もしかして、宇月の二宮が剣を握った瞬間に考えたことは、匂宮暗殺だったのかもしれない、と、、、、そんなことさえ思ったくらいに。自分を愛しているあの弟を、この剣で斬り捨ててしまいたい、と。自分の人生から。
自分自身が、誰よりもあの輝きに魅せられていることを自覚していながら。
紅梅の姫との逢瀬は、さすがにあひちゃんは慣れているなあ、と感心しました。
宇月くんだって、それなりに新公ジェラルドとか良かったのに……なんか段取りどおりという感じがしてしまって残念でした。みらちゃんも不慣れだから、ある程度は仕方ないんでしょうけれども…(T T)。
五宮(明日海りお/煌月爽矢)
いやあ、もう、みりおの華やかさにはいろんな意味で目が眩みましたとも(感涙)。
煌月くんも相当かっこいいし群舞でも目立つのに、なんか覇気が足りない気がしてなりませんでした…ごめんなさい。五宮はホントにみりお宛書だったんだなあ。
演出的にも、新公では五宮は少し下げられていた印象でした。二宮の扱いが大きくなっていたから(本公演に比べて、匂宮の前向きでリアルなところを中心に描かれていたので…)、そのせいかもしれませんが。
仲信(越乃リュウ/華央あみり)
ナホちゃんもあちょうさんも、なんというか大人の色気と包容力で勝負してくれてありがとう!という感じでした。
ナホちゃん、組長になってすっかり芝居が落ち着きましたねぇ。一時期の荒れた芝居が嘘のようです。元々ファンなので嬉しいです♪
あちょうさんは、本当になぜ新公に出ているのかと一瞬思ってしまったくらい落ち着きに溢れていました。薫を陰からみまもる姿が、まるで実の父親みたいでちょっと泣けます。そこまで愛さなくてもいいような気がしますが、あちょうさんステキだからいいのよね!
あちょうさん、宇治田楽の場面で五十鈴ひかりさんと沢希理寿さんが歌っている花道の歌手に入っていましたが、いやー良かったです。良い声だ♪惚れ惚れ♪
……あの学年なのに重臣に入ってしまいそうな、しかも違和感がなさそうなあちょうさんが大好きです(きっぱり)。
横川僧都(一色瑠加/鼓英夏)
なんだかすごく今更なんですけど、ガチャって良い役者になったよなあ、と改めて思ったんですよね…。存在感がすごくあるし、声がやわらかくて、俗世を離れたアチラ側の人という感じがすごく強く感じられました。
小芝居の帝王・鼓さんが、こういう小芝居のしようがない役をやってるのを見るとなんとなく気の毒になってしまうのですが(出番も少ないし/汗)、決してそんなことはなく、良い役をちゃんと良い感じでこなしてました。やっぱり芝居が出来る人はいいですねぇ……。
しかーし、鼓さん隙をみてちゃんと小芝居もしてたんだけど、、、あれはいいんだろうか(^ ^;ゞ
時方(桐生園加/響れおな)
園加が麻子さんの従者をしているのは、やっぱり微笑ましい気がしてしまう…。
なんか、時方は本公演も新人公演も宛書に見えました。園加も響くんも、どちらも果てしなく優しいタイプだからかな?匂宮を愛して、ひたすら匂宮のために動くのが幸せそうで、観ていて楽しかったです。
特に解釈の違いといったこともなく、ひたすら可愛い二人という印象でした♪
道定(龍真咲/千海華蘭)
新公では、小君が道定をやっている……と思ってしまって、ちょっと混乱しました(汗)。
華蘭ちゃんの小君、ホント可愛いですよねぇ(*^ ^*)。
さて。まさお好きな猫としては、今回銀橋で歌っちゃうまさおにちょっとびっくりしました。
あぁ、やっぱり良い声だなあ(*^ ^*)。口軽く薫の秘密をベラベラ喋っちゃって、匂宮が「宇治へ行くぞ!」言い出したときの「し、しまった…」と臍を噛む表情が結構好きでした。
秘密は守れないけど、憎めない奴ですね!
華蘭ちゃんも、これだけの大役は珍しいと思うのですが、落ち着いてお芝居していましたね。歌もがんばってた!(^ ^)。響くんとの並びの相性が良くて、可愛いコンビでした♪
女三宮(天野ほたる/羽桜しずく)
柏木(美翔かずき/瑞羽奏都)
いやもう。美しすぎた罪、って、実際に美しくないと説得力がないんだなーと納得した、わずか5分の名場面。しずく、本公演で浮舟やっているだけあって、表情の変化が絶妙でした。プロだわ。
……すみませんすみません、本公演はほたるとみっしょんに、新公はしずくとみづきちゃんに見惚れて、結局匂宮と浮舟の濡れ場は一度も見られませんでしたワタクシ。誰かDVD見せてください、お願い(祈)。
六の君(夏月都/彩星りおん)
かーわーいーいーーーーっ!!(二人とも)
本公演のなっつは、どちらかといえば気の強いしっかりした姫君、という感じでした。旦那を尻に敷きたいタイプ。雲居雁(頭の中将の娘)の子じゃないはずなんだけど、なんとなくそっち系の血を感じる(^ ^;。匂宮みたいな、一人にのめりこむことに忌避を感じている人にとっては、ウザイ存在だったんだろうなあ、という感じ。
政治向きの話にもちゃんとついていって、自分は源家のために匂宮を繋ぎとめておかなくては、という使命感を感じているんだろうな、というのも感じました。可愛らしい顔をして、したたかで強引な、諦めないオンナ。……いい女だなぁ(*^ ^*)。
新公のりおんは、おとなしいけれども芯が強いというイメージで演じていらしたような気がします。ちょっと「エリザベート」のヘレネみたいな感じ。あるいは、ちょっと違いますけど「忘れ雪」の静香みたいだったかも?多くの女たちを次から次と手折っている間はなんとも思っていないけれども、一人のオンナを特別扱いして、自分の邸に迎えいれるという話になったら別…みたいな。源家のためというより、自分の愛ゆえに匂宮が欲しい、と言っているようにも見えて、興味深い違いだなあと思いました。
歌は(ワンフレーズですが)さすがでした。ああ、本当にこの声好きだ…。次の本公演、あひちゃんかもりえちゃんの時の子ルドルフとかやらないかなあ。(みりおの子供時代はちょっと無理だと思いますが…)
菊(琴音和葉/舞乃ゆか)
犬(彩星りおん/真愛涼歌)
舞乃ゆかちゃん、可愛いばかりじゃなく歌えるんだー♪と幸せな気持ちになりました。匂宮を惑わす台詞の声もいい!本役の子薫もめっちゃ可愛いんですけど、田楽場面の巫女の衣装も良く似合ってて可愛いです。
真愛涼歌ちゃんって、やっぱり琴音和葉ちゃんに似てる…同じ衣装に白塗りすると見分けがつかないかも、と思ってしまいました(汗)。そんなことないでしょうか?…“あれ?ここ本公演も琴音さん出てるよね?”と思ってしまったのは私だけ?
真愛さんもすごく良い声してるし歌も巧いんですけど、りおんの声は非常に個性的で力があって、この場面の「異世界」感を出すのに大きく貢献しているんですよね…。新公では普通に美声の歌手が歌っているだけになってしまって、異世界感が薄れてしまった印象がありました。
光る君もあんまり“異世界の怪物”らしい雰囲気ではなかったし。
みりおくんの匂宮は、あまり後ろ向きに異世界を覗き込んで喜ぶタイプではないので、そのせいで演出的にも“異世界感”を薄めたのかな、とも思いましたが。……大野さんを信用しすぎの考えすぎでしょうか…(^ ^;
他にも書きたい人はたくさんいるのですが、いったんここで終了させていただきます。
いずれにしても、「夢の浮橋」はよく出来た作品でしたし、大野さんの演出家としての矜持も非常に感じられました。面白い実験作だったと思います。
願わくば、今回の経験を生かして、次の「ロシアン・ブルー」を更なる名作に仕上げてくださいますように!
今後ますますのご活躍を、強く強く期待しています!!
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すみません、もう花組公演が始まってしまったので、超特急でいかせていただきます(汗)。
小宰相の君(城咲あい/咲希あかね)
物語のキーパーソン。今の月組で、あいちゃんをどう使うのかなーと思っていたら、こうきたか!!という新鮮な驚きがありました。
すごく良かったです、あいちゃんの小宰相。あいちゃんの大人っぽい容姿と、おきゃんな声の可愛らしさのギャップを生かした、二面性のある役でしたね。
「自由な人なんていやしない。…あたしたちだって」という独白が胸に痛い、いい女っぷりでした。
新公のちゅーちゃんは、ハロー!ダンシングあたりから目立ちはじめた91期。ショーではだいぶ小人数口に入るようになってきたけど、芝居で大役がついたのは初めてかな?「Hollywood Lover」組で楽しそうに小芝居していた姿が印象的。今回は、思いのほかあいちゃんの小宰相そっくりな役作りで、驚きました。容姿はあまり似ていないのに(似ているのはスタイルがいいところくらいかな?)声がそっくりなんですよねぇ…(感心)。違和感なく演技していて、すごく魅力的でした♪次のバウでも、活躍を楽しみにしています♪
光源氏(萬あきら/彩央寿音)
すべての“罪”の象徴。きっしーも芝居巧者なんですけど、残念ながら萬さんの存在感の巨きさにはまったく対抗できず…という感じでしたね。新公の方が、匂宮の光源氏への思い入れが薄い(その分、薫への思い入れが深い)気がしたので、あえてそういう演出だったのかもしれませんが。
きっしーの光る君は、萬さんほど壊れていなくて“傀儡であること”の怖さがあまり感じられなかったです。ただ、喪われた人(紫の上)への深い愛と、彼女の望みを叶えなかった後悔に苛まれた辛さは、逆にリアルに感じられました。新公の光源氏は、可哀想だった……。
ラスト、壇上で待つ光る君の怖さは、萬さんもきっしーもさすがでした。それはむしろ、大野さんの演出の力かも。
夕霧(磯野千尋/美翔かずき)
本公演と新人公演、その解釈の違いが面白かったです。いかにも貴公子然としてすっきりキレイなのに、腹の底は真っ黒な気がした新公のみっしょんと、最初から腹黒親父にみえて、意外にちゃんと“人民の幸せ”みたいなことも考えていそうな磯野さん。
「源氏物語」は、やはり当時は政治から完全に切り離されていた女性が書いただけあってあまり具体的な政治生活が描かれることはないので、今回描かれているような「圧倒的なスターをトップに戴くことで人民の心をとらえる」といういかにもタカラヅカな政治思想がぴったりと嵌るのですが、磯野さんはやはり結構したたかで、「人民の目を眩ませるような華やかなスターを真ん中において、裏では好きなようにやろう」みたいな感じがありました。
みっしょんは真顔で「人々は華やかなスターが見たいんだから」とか思っていそうな、ある意味すごく怖い人でした(汗)。でもステキ。
最初の「雲隠」での、「今日だけは父上にもしっかりしていただかねば」という台詞、磯野さんは当たり前の「政治的判断」の賜物としての台詞でしたが、みっしょんはちょっと、憧れの父に愛されなかった息子が、やっと父親を思いのままに動かす喜びに憑かれているように聴こえて、怖かったです。この人は、やっぱりどこかに狂気を宿した役が似合う人なのかもしれない、と思いました。
…大野さん、また月組担当してくださいね(*^ ^*)
明石の中宮(梨花 ますみ/羽咲まな)
梨花さん、やっぱり好きだ。ああいう“愛のない母親”の役をやらせるとピカ一の役者だと思います。素晴らしかった!「マラケシュ」の役も大好きでしたけど、今回はまたいいですねぇ♪
大野さんは、本当に専科の使い方が巧い…。
新公のまなちゃん、いい役者だなあとあらためて感心しました。瀧川末子姐とか、(青葉)みちるちゃんとか、上級生の“唄える女役”候補が次々に卒業していしまっているので、まなちゃんは是非是非これからも末永く!!月組にいてほしいなあ、と、心の底からお願いします。
女一宮(花瀬みずか/夏月都)
あーちゃん、久々のヒット!でしたね(はぁと)。「雲隠」の後、上手花道にせり上がってきたときの目を奪うような美しさ。下手の子供時代(花陽みらちゃん)と交互に語り、歌いだすまでのたおやかな風情。
薫が憧れていた、というのも納得の美しさ。匂宮ともう少しで濡れ場に突入しそうだったあやうい色気。最後に匂宮を送り出すときの「その方(浮舟)を連れてこられても、同じことですよ」という子供に言い聞かせるような言い方が良く似合う、あくまでも「姉」の立場を貫く強さ。
匂宮が、そして薫が欲しかったのは、華やかで幸せな「紫の上」の御殿での生活、子供時代の輝きであって、一宮自身ではないことを100も承知で、軽くかわしてみせる女心。
新公のなっつも良かったです。コケティッシュに可愛くなっちゃうかな?と思っていたのですが、意外とそんなこともなく、普通に温かみのある、大人のオンナでした。蘭ちゃんの浮舟がコドモな分、落ち着いた包容力が感じられて良かったです。
なっつもいい声ですよねぇ(*^ ^*)歌もがんばってました。鬼に金棒!卒業後の活躍が楽しみです。
二宮(遼河はるひ/宇月颯)
匂宮の項で散々書いたような気がしますが、二宮って今回本当に良い役ですよねーっ!!
あひちゃんの心優しい(そして弱い)皇子様っぷりと、宇月くんの堅苦しいマジメな優等生っぷり。匂宮が反発しながら愛している兄の、それぞれの個性の違いが、匂宮のキャラの違いとちゃんと呼応していて、大野さんさすがだなーと思いました。
あひちゃんの二宮は上宮(ちなみに本来は“しょうくう”と濁らないはず?)王家の剣を匂宮に渡すときにあまり気負いを感じないのですが、宇月くんはかなり強い思い入れを篭めて渡していたのが印象的でした。もしかして、宇月の二宮が剣を握った瞬間に考えたことは、匂宮暗殺だったのかもしれない、と、、、、そんなことさえ思ったくらいに。自分を愛しているあの弟を、この剣で斬り捨ててしまいたい、と。自分の人生から。
自分自身が、誰よりもあの輝きに魅せられていることを自覚していながら。
紅梅の姫との逢瀬は、さすがにあひちゃんは慣れているなあ、と感心しました。
宇月くんだって、それなりに新公ジェラルドとか良かったのに……なんか段取りどおりという感じがしてしまって残念でした。みらちゃんも不慣れだから、ある程度は仕方ないんでしょうけれども…(T T)。
五宮(明日海りお/煌月爽矢)
いやあ、もう、みりおの華やかさにはいろんな意味で目が眩みましたとも(感涙)。
煌月くんも相当かっこいいし群舞でも目立つのに、なんか覇気が足りない気がしてなりませんでした…ごめんなさい。五宮はホントにみりお宛書だったんだなあ。
演出的にも、新公では五宮は少し下げられていた印象でした。二宮の扱いが大きくなっていたから(本公演に比べて、匂宮の前向きでリアルなところを中心に描かれていたので…)、そのせいかもしれませんが。
仲信(越乃リュウ/華央あみり)
ナホちゃんもあちょうさんも、なんというか大人の色気と包容力で勝負してくれてありがとう!という感じでした。
ナホちゃん、組長になってすっかり芝居が落ち着きましたねぇ。一時期の荒れた芝居が嘘のようです。元々ファンなので嬉しいです♪
あちょうさんは、本当になぜ新公に出ているのかと一瞬思ってしまったくらい落ち着きに溢れていました。薫を陰からみまもる姿が、まるで実の父親みたいでちょっと泣けます。そこまで愛さなくてもいいような気がしますが、あちょうさんステキだからいいのよね!
あちょうさん、宇治田楽の場面で五十鈴ひかりさんと沢希理寿さんが歌っている花道の歌手に入っていましたが、いやー良かったです。良い声だ♪惚れ惚れ♪
……あの学年なのに重臣に入ってしまいそうな、しかも違和感がなさそうなあちょうさんが大好きです(きっぱり)。
横川僧都(一色瑠加/鼓英夏)
なんだかすごく今更なんですけど、ガチャって良い役者になったよなあ、と改めて思ったんですよね…。存在感がすごくあるし、声がやわらかくて、俗世を離れたアチラ側の人という感じがすごく強く感じられました。
小芝居の帝王・鼓さんが、こういう小芝居のしようがない役をやってるのを見るとなんとなく気の毒になってしまうのですが(出番も少ないし/汗)、決してそんなことはなく、良い役をちゃんと良い感じでこなしてました。やっぱり芝居が出来る人はいいですねぇ……。
しかーし、鼓さん隙をみてちゃんと小芝居もしてたんだけど、、、あれはいいんだろうか(^ ^;ゞ
時方(桐生園加/響れおな)
園加が麻子さんの従者をしているのは、やっぱり微笑ましい気がしてしまう…。
なんか、時方は本公演も新人公演も宛書に見えました。園加も響くんも、どちらも果てしなく優しいタイプだからかな?匂宮を愛して、ひたすら匂宮のために動くのが幸せそうで、観ていて楽しかったです。
特に解釈の違いといったこともなく、ひたすら可愛い二人という印象でした♪
道定(龍真咲/千海華蘭)
新公では、小君が道定をやっている……と思ってしまって、ちょっと混乱しました(汗)。
華蘭ちゃんの小君、ホント可愛いですよねぇ(*^ ^*)。
さて。まさお好きな猫としては、今回銀橋で歌っちゃうまさおにちょっとびっくりしました。
あぁ、やっぱり良い声だなあ(*^ ^*)。口軽く薫の秘密をベラベラ喋っちゃって、匂宮が「宇治へ行くぞ!」言い出したときの「し、しまった…」と臍を噛む表情が結構好きでした。
秘密は守れないけど、憎めない奴ですね!
華蘭ちゃんも、これだけの大役は珍しいと思うのですが、落ち着いてお芝居していましたね。歌もがんばってた!(^ ^)。響くんとの並びの相性が良くて、可愛いコンビでした♪
女三宮(天野ほたる/羽桜しずく)
柏木(美翔かずき/瑞羽奏都)
いやもう。美しすぎた罪、って、実際に美しくないと説得力がないんだなーと納得した、わずか5分の名場面。しずく、本公演で浮舟やっているだけあって、表情の変化が絶妙でした。プロだわ。
……すみませんすみません、本公演はほたるとみっしょんに、新公はしずくとみづきちゃんに見惚れて、結局匂宮と浮舟の濡れ場は一度も見られませんでしたワタクシ。誰かDVD見せてください、お願い(祈)。
六の君(夏月都/彩星りおん)
かーわーいーいーーーーっ!!(二人とも)
本公演のなっつは、どちらかといえば気の強いしっかりした姫君、という感じでした。旦那を尻に敷きたいタイプ。雲居雁(頭の中将の娘)の子じゃないはずなんだけど、なんとなくそっち系の血を感じる(^ ^;。匂宮みたいな、一人にのめりこむことに忌避を感じている人にとっては、ウザイ存在だったんだろうなあ、という感じ。
政治向きの話にもちゃんとついていって、自分は源家のために匂宮を繋ぎとめておかなくては、という使命感を感じているんだろうな、というのも感じました。可愛らしい顔をして、したたかで強引な、諦めないオンナ。……いい女だなぁ(*^ ^*)。
新公のりおんは、おとなしいけれども芯が強いというイメージで演じていらしたような気がします。ちょっと「エリザベート」のヘレネみたいな感じ。あるいは、ちょっと違いますけど「忘れ雪」の静香みたいだったかも?多くの女たちを次から次と手折っている間はなんとも思っていないけれども、一人のオンナを特別扱いして、自分の邸に迎えいれるという話になったら別…みたいな。源家のためというより、自分の愛ゆえに匂宮が欲しい、と言っているようにも見えて、興味深い違いだなあと思いました。
歌は(ワンフレーズですが)さすがでした。ああ、本当にこの声好きだ…。次の本公演、あひちゃんかもりえちゃんの時の子ルドルフとかやらないかなあ。(みりおの子供時代はちょっと無理だと思いますが…)
菊(琴音和葉/舞乃ゆか)
犬(彩星りおん/真愛涼歌)
舞乃ゆかちゃん、可愛いばかりじゃなく歌えるんだー♪と幸せな気持ちになりました。匂宮を惑わす台詞の声もいい!本役の子薫もめっちゃ可愛いんですけど、田楽場面の巫女の衣装も良く似合ってて可愛いです。
真愛涼歌ちゃんって、やっぱり琴音和葉ちゃんに似てる…同じ衣装に白塗りすると見分けがつかないかも、と思ってしまいました(汗)。そんなことないでしょうか?…“あれ?ここ本公演も琴音さん出てるよね?”と思ってしまったのは私だけ?
真愛さんもすごく良い声してるし歌も巧いんですけど、りおんの声は非常に個性的で力があって、この場面の「異世界」感を出すのに大きく貢献しているんですよね…。新公では普通に美声の歌手が歌っているだけになってしまって、異世界感が薄れてしまった印象がありました。
光る君もあんまり“異世界の怪物”らしい雰囲気ではなかったし。
みりおくんの匂宮は、あまり後ろ向きに異世界を覗き込んで喜ぶタイプではないので、そのせいで演出的にも“異世界感”を薄めたのかな、とも思いましたが。……大野さんを信用しすぎの考えすぎでしょうか…(^ ^;
他にも書きたい人はたくさんいるのですが、いったんここで終了させていただきます。
いずれにしても、「夢の浮橋」はよく出来た作品でしたし、大野さんの演出家としての矜持も非常に感じられました。面白い実験作だったと思います。
願わくば、今回の経験を生かして、次の「ロシアン・ブルー」を更なる名作に仕上げてくださいますように!
今後ますますのご活躍を、強く強く期待しています!!
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