タイタニック号の悲劇【2】
2009年2月4日 ミュージカル・舞台東京国際フォーラムC「タイタニック」について、のつづき。
■ウィリアム・マードック(一等航海士)戸井勝海
ちょっとインテリっぽい容貌がこの役にはぴったりでした。その割に、底が浅いキャラクターが得意なのはこの人の強みなのか、それとも弱みなのか?などと思いつつ。
彼の見せ場は、船が沈むことが確定した後、船長に「私はあなたの期待に応えられなかった…」と言うところだと思うのですが、ちょっと芝居としては中途半端な印象があったのが残念です。
良い場面なのになあ。
…中途半端、っていうとちょっと違うのかもしれません。
一幕で船長に「何故君は船長にならずに(私の下で)航海士をしているんだね?」と聞かれた時の芝居と、この場面での芝居が続きすぎていて、この台詞自体が頭で考えた台詞に見えてしまったんですよね。
血を吐くような悔恨の中から出てきた言葉、のはずなのに。
一幕での「自信がありません」という台詞が、本当に自信がないから正直にそう言った、っていう芝居に見えたんです。戸井さんの解釈がどうであったのかわかりませんが、私にはそう見えた。だけど、「船長の期待に応えたい!」「応えなくっちゃ!」というプレッシャーに苦しみ、負けてしまった、というふうには見えなかった。
真ん中に立つ自信がなくて、船長を偉大な人だと尊敬しているという解釈なら、もっと熱い瞳で船長を見凝めていてほしかった。憧れの船長を、憧れの目でみてほしかった。
逆に、「あんたがとっとと引退してくれてれば、この船の船長は俺だったんだよ!」くらいの生意気さをもっている解釈もありだと思うのです。芝居的には、このあと銃を持って乗客を脅す(パニックを抑えるために)場面もあるので、そのくらい自信過剰なタイプも解釈としては成立するので。…でも、戸井さんの芝居は、ところどころに自信がほのみえつつも、そこまで確信的ではなかったんですよね。
だから、“中途半端”という印象だけが残ってしまったのでした…。
……すみません、戸井さん好きなので、ちょっと要求が細かすぎるかもしれません(汗)。
歌は多くは無かったですが、相変わらず良い声してますね。嬉しかったです♪
あああ、でも、初演では岡田浩暉さんがマードックだったと聞くと、どんな解釈で演じられていたのか観たくてたまらない気持ちになります…(涙)。船長を憧れの眼で見上げる、一生懸命で優しい航海士を想像してしまったら、止まりませんっ!
誰か教えて。どんなマードックだったのーっ!!
ちなみに、カーテンコールの引っ込みの時。上手側に船長(宝田)、バレット(岡田)、マードック(戸井)と並んでいたのですが。
船長が引っ込むのを袖の入り口で直立不動で(たしか敬礼もしてたはず)待つ岡田さんを見ていたら、岡田さんのマードックはこんな感じだったのかなー?と思ってしまいました(^ ^)。
■ジム・ファレル(三等船室の客)Kimeru
■ケイト・マクガワン(三等船室の客)華城季帆
ジムは、有名な映画「タイタニック」でレオナルド・ディカプリオが演じたジャックと同じような役なのかと思いましたが、だいぶ違ってました。
3等船室、っていうのは、最低の船室。タイタニック号ともなれば、さすがに雑魚寝ではなくて蚕棚みたいなベッドがあったかもしれませんが、おそらくは大部屋です。
彼らは客ではないので甲板に上がる権利はほとんどなく、ほぼ荷物に近い存在として“運ばれて”いた。
それでも彼らは、一等船客よりも皆、若く、明るく、夢を抱いて生きている。
一幕での、一等船客たちのパーティー(船長列席)と、三等船客たちのパーティーの違い。生きているというリアル感の多寡が印象的でした。溢れんばかりのパワーに溢れた三等船客たちが眩しくて、楽しそうで。
ケイトの複雑な人生の陰影、それを丸ごと守ろうとするジムの包容力。
生き残った二人の新天地での生き様は、きっとそれだけで一本のミュージカルになるに違いありません。
Kimeruさんは、舞台で観るのは初めて、かな?だいぶ個性的なお化粧でしたが、元々美形なんだからもっと普通でよかったのに、と思いました。でも歌は良かったです。ケイトに振り回されっぱなしの情けなさがすごく良かった。
ナルちゃん(華城季帆)ちゃんは、「黒蜥蜴」集合日での衝撃の退団から、はやくも2年たったんですねぇ…。宝塚の娘役現役時代は、どうも芝居が空回りしがちな人だという印象しかなかったのですが、今回はすごく良かったです。たしかにこういう芝居をする人に娘役は難しかったかもね…と思ったりしました。
こういう、歌で芝居をつづっていく作品はいいですね。気が強いのにどこか脆い、弱みをもっている女の子がとっても似合ってました。歌はさすがです。胸声で張るところから頭声で響かせるところまで、音色のコントロールをきちんと仕切っていたのが凄い。ボイトレしたんでしょうねぇ………。
■アリス・ビーン(エドガーの妻)入絵加奈子
■エドガー・ビーン(二等船室の客)青山明
金物屋、って言ってたかな?ちょっと成功して小金持ちになった2等船室の客。
まぁ、「中産階級」なんでしょうねぇ、たぶん。同じ船に有名人がたくさんいると知って、「なんとかお近づきになりたい!!」と猪突猛進していく行動力のある妻・アリスが、めちゃめちゃ可愛かったです。加奈子ちゃん相変わらずすごいパワーだなあ(*^ ^*)。
青山さんのおっとりゆっくりと良い感じに対照的で、眼が離せませんでした。そして、そんな二人のキャラクターを如実にあらわしつつ、ついでに一等船客のメンバー紹介をしてしまう波止場の場面の構成に、脚本のピーター・ストーンの底力を感じました。
それにしても……ラストの別れの芝居もそうですが、加奈子ちゃんって、あいう子供っぽいところの残ったおばさんをやらせたら右に出る者はいませんねぇ~!歌はもちろん文句ないし、本当にステキでした。
■ウォーレス・ハートリー(バンドマスター)浜畑賢吉
何がどう、ということもないのですが、居てくれるだけで場面が締まる、さすがの存在感でした。
結構、オケの人が舞台の方まであがってきて演奏することも多かったのですが、浜畑さんは本当に弾いていたような……。あれがフリだったら、それはそれで凄い技術だと思います。
ラストのパニックの中、「もう誰も聴いてませんよ!」という部下の訴えに「音楽は人の心を落ち着かせるんだ」(だったかな)と応える落ち着いた声。ああ、この声がパニックを鎮めるんだな、と納得した声でした。
浜畑さんが居てくれたことが本当に嬉しいです。ステキでした!(^ ^)。
■J・ブルース・イズメイ(ホワイト・スターライン社社長)大澄賢也
イヤらしい、クソ忌々しい“いばりんぼ”な小物、という存在感を全身で醸し出した大澄さんに、心からの拍手を。
イズメイは、この人しか考えられません!とにかく記録が創りたくて仕方が無い、記録のために処女航海の船に無理をさせようとする。無理なはずがないだろう、君が設計した船で、君が船長なんだから、と殺し文句を重ねながら、少しづつ少しづつスピードを上げて、少しづつ少しづ
、逃げ道をふさいでいくその話術の見事さ。
大澄さん、ちょうど一年前の「ウェディングシンガー」のグレンも独特のキャラクターが生きた面白い役でしたけれども、今回も本当に似合っていましたよーっ(*^ ^*)。
二幕。
「誰のせいだ」と船長やアンドリュースに責任を押し付けたイズメイ。
オケボックスの隅に創られた「救命ボート」に、“最後の一人”として“ちょこん”と正座して(?)乗って、タイタニックに残る人々が賛美歌を歌うなかセリ下がっていくときの、パラパラといろんなものが毀れていくようなその貌に、見入ってしまいました。
彼はたぶん、助かってももう、まともな社会生活は営めないのだろう、と、そんな予感の残る壊れ方でした。
■ヘンリー・エッチィズ(一等船室の客室係)藤木孝
なにもかもが終わって、救命ボートが去って、あとは沈むのを待つばかり、となった長くて短い夜。
1等船室を回って、超高級なシャンパンを注いで回る彼。諏訪マリーさんに「あなたは?」と薦められて、「わたくしは未だ仕事中でございますから」とサラリとかわすエッチィズ。
いい男だなあ、と感じ入りました……
■キャプテン・E・J・スミス(タイタニック号船長)宝田明
いやあー、なんかもう、絶対この人ホンモノのタイタニックに乗っていたでしょう!?と思ってしまうほど、船長そのものでした。
久しぶりの宝田さんでしたが、最強ですね。戸井さんゴトキのたちうちできる相手じゃない、って感じでした。
これはもう、「貫禄」の一言で終わり、ってことで…(^ ^)。。
謎の未亡人、ミセス・カルドザ(岡千絵)と、ロジャース(その正体は、トランプ詐欺師のイェーツ/泉拓真)のちょっとしたエピソード、
三等船室の“三人のケイト”の大ナンバー、
小さな物語があちらこちらに散りばめられた、巨大な「船」。
一つの世界そのものでもあった船の中でみた夢、叶った夢、忘れた夢……たくさんの夢の欠片を拾いに行く、観客たち。
世界の全てかと思った船が沈んでも、それでも地球はまだ回ってる。
だから、明日もまた陽は昇り、また沈んでいくのだろう…きっと。
人間の叡智と、神の気まぐれと。
故障もせずに最大速度を超えた速度を維持しつづけた、優秀なエンジンと、
氷山の配置と、いつにない規模。
それでも人は智恵をしぼり、“誰も行った事のない世界に行く”ことを望みつづけるのだろう。
新井素子が「ネプチューン」で語ったとおり、単細胞で海を漂っていた超古代から、ずっと。
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■ウィリアム・マードック(一等航海士)戸井勝海
ちょっとインテリっぽい容貌がこの役にはぴったりでした。その割に、底が浅いキャラクターが得意なのはこの人の強みなのか、それとも弱みなのか?などと思いつつ。
彼の見せ場は、船が沈むことが確定した後、船長に「私はあなたの期待に応えられなかった…」と言うところだと思うのですが、ちょっと芝居としては中途半端な印象があったのが残念です。
良い場面なのになあ。
…中途半端、っていうとちょっと違うのかもしれません。
一幕で船長に「何故君は船長にならずに(私の下で)航海士をしているんだね?」と聞かれた時の芝居と、この場面での芝居が続きすぎていて、この台詞自体が頭で考えた台詞に見えてしまったんですよね。
血を吐くような悔恨の中から出てきた言葉、のはずなのに。
一幕での「自信がありません」という台詞が、本当に自信がないから正直にそう言った、っていう芝居に見えたんです。戸井さんの解釈がどうであったのかわかりませんが、私にはそう見えた。だけど、「船長の期待に応えたい!」「応えなくっちゃ!」というプレッシャーに苦しみ、負けてしまった、というふうには見えなかった。
真ん中に立つ自信がなくて、船長を偉大な人だと尊敬しているという解釈なら、もっと熱い瞳で船長を見凝めていてほしかった。憧れの船長を、憧れの目でみてほしかった。
逆に、「あんたがとっとと引退してくれてれば、この船の船長は俺だったんだよ!」くらいの生意気さをもっている解釈もありだと思うのです。芝居的には、このあと銃を持って乗客を脅す(パニックを抑えるために)場面もあるので、そのくらい自信過剰なタイプも解釈としては成立するので。…でも、戸井さんの芝居は、ところどころに自信がほのみえつつも、そこまで確信的ではなかったんですよね。
だから、“中途半端”という印象だけが残ってしまったのでした…。
……すみません、戸井さん好きなので、ちょっと要求が細かすぎるかもしれません(汗)。
歌は多くは無かったですが、相変わらず良い声してますね。嬉しかったです♪
あああ、でも、初演では岡田浩暉さんがマードックだったと聞くと、どんな解釈で演じられていたのか観たくてたまらない気持ちになります…(涙)。船長を憧れの眼で見上げる、一生懸命で優しい航海士を想像してしまったら、止まりませんっ!
誰か教えて。どんなマードックだったのーっ!!
ちなみに、カーテンコールの引っ込みの時。上手側に船長(宝田)、バレット(岡田)、マードック(戸井)と並んでいたのですが。
船長が引っ込むのを袖の入り口で直立不動で(たしか敬礼もしてたはず)待つ岡田さんを見ていたら、岡田さんのマードックはこんな感じだったのかなー?と思ってしまいました(^ ^)。
■ジム・ファレル(三等船室の客)Kimeru
■ケイト・マクガワン(三等船室の客)華城季帆
ジムは、有名な映画「タイタニック」でレオナルド・ディカプリオが演じたジャックと同じような役なのかと思いましたが、だいぶ違ってました。
3等船室、っていうのは、最低の船室。タイタニック号ともなれば、さすがに雑魚寝ではなくて蚕棚みたいなベッドがあったかもしれませんが、おそらくは大部屋です。
彼らは客ではないので甲板に上がる権利はほとんどなく、ほぼ荷物に近い存在として“運ばれて”いた。
それでも彼らは、一等船客よりも皆、若く、明るく、夢を抱いて生きている。
一幕での、一等船客たちのパーティー(船長列席)と、三等船客たちのパーティーの違い。生きているというリアル感の多寡が印象的でした。溢れんばかりのパワーに溢れた三等船客たちが眩しくて、楽しそうで。
ケイトの複雑な人生の陰影、それを丸ごと守ろうとするジムの包容力。
生き残った二人の新天地での生き様は、きっとそれだけで一本のミュージカルになるに違いありません。
Kimeruさんは、舞台で観るのは初めて、かな?だいぶ個性的なお化粧でしたが、元々美形なんだからもっと普通でよかったのに、と思いました。でも歌は良かったです。ケイトに振り回されっぱなしの情けなさがすごく良かった。
ナルちゃん(華城季帆)ちゃんは、「黒蜥蜴」集合日での衝撃の退団から、はやくも2年たったんですねぇ…。宝塚の娘役現役時代は、どうも芝居が空回りしがちな人だという印象しかなかったのですが、今回はすごく良かったです。たしかにこういう芝居をする人に娘役は難しかったかもね…と思ったりしました。
こういう、歌で芝居をつづっていく作品はいいですね。気が強いのにどこか脆い、弱みをもっている女の子がとっても似合ってました。歌はさすがです。胸声で張るところから頭声で響かせるところまで、音色のコントロールをきちんと仕切っていたのが凄い。ボイトレしたんでしょうねぇ………。
■アリス・ビーン(エドガーの妻)入絵加奈子
■エドガー・ビーン(二等船室の客)青山明
金物屋、って言ってたかな?ちょっと成功して小金持ちになった2等船室の客。
まぁ、「中産階級」なんでしょうねぇ、たぶん。同じ船に有名人がたくさんいると知って、「なんとかお近づきになりたい!!」と猪突猛進していく行動力のある妻・アリスが、めちゃめちゃ可愛かったです。加奈子ちゃん相変わらずすごいパワーだなあ(*^ ^*)。
青山さんのおっとりゆっくりと良い感じに対照的で、眼が離せませんでした。そして、そんな二人のキャラクターを如実にあらわしつつ、ついでに一等船客のメンバー紹介をしてしまう波止場の場面の構成に、脚本のピーター・ストーンの底力を感じました。
それにしても……ラストの別れの芝居もそうですが、加奈子ちゃんって、あいう子供っぽいところの残ったおばさんをやらせたら右に出る者はいませんねぇ~!歌はもちろん文句ないし、本当にステキでした。
■ウォーレス・ハートリー(バンドマスター)浜畑賢吉
何がどう、ということもないのですが、居てくれるだけで場面が締まる、さすがの存在感でした。
結構、オケの人が舞台の方まであがってきて演奏することも多かったのですが、浜畑さんは本当に弾いていたような……。あれがフリだったら、それはそれで凄い技術だと思います。
ラストのパニックの中、「もう誰も聴いてませんよ!」という部下の訴えに「音楽は人の心を落ち着かせるんだ」(だったかな)と応える落ち着いた声。ああ、この声がパニックを鎮めるんだな、と納得した声でした。
浜畑さんが居てくれたことが本当に嬉しいです。ステキでした!(^ ^)。
■J・ブルース・イズメイ(ホワイト・スターライン社社長)大澄賢也
イヤらしい、クソ忌々しい“いばりんぼ”な小物、という存在感を全身で醸し出した大澄さんに、心からの拍手を。
イズメイは、この人しか考えられません!とにかく記録が創りたくて仕方が無い、記録のために処女航海の船に無理をさせようとする。無理なはずがないだろう、君が設計した船で、君が船長なんだから、と殺し文句を重ねながら、少しづつ少しづつスピードを上げて、少しづつ少しづ
、逃げ道をふさいでいくその話術の見事さ。
大澄さん、ちょうど一年前の「ウェディングシンガー」のグレンも独特のキャラクターが生きた面白い役でしたけれども、今回も本当に似合っていましたよーっ(*^ ^*)。
二幕。
「誰のせいだ」と船長やアンドリュースに責任を押し付けたイズメイ。
オケボックスの隅に創られた「救命ボート」に、“最後の一人”として“ちょこん”と正座して(?)乗って、タイタニックに残る人々が賛美歌を歌うなかセリ下がっていくときの、パラパラといろんなものが毀れていくようなその貌に、見入ってしまいました。
彼はたぶん、助かってももう、まともな社会生活は営めないのだろう、と、そんな予感の残る壊れ方でした。
■ヘンリー・エッチィズ(一等船室の客室係)藤木孝
なにもかもが終わって、救命ボートが去って、あとは沈むのを待つばかり、となった長くて短い夜。
1等船室を回って、超高級なシャンパンを注いで回る彼。諏訪マリーさんに「あなたは?」と薦められて、「わたくしは未だ仕事中でございますから」とサラリとかわすエッチィズ。
いい男だなあ、と感じ入りました……
■キャプテン・E・J・スミス(タイタニック号船長)宝田明
いやあー、なんかもう、絶対この人ホンモノのタイタニックに乗っていたでしょう!?と思ってしまうほど、船長そのものでした。
久しぶりの宝田さんでしたが、最強ですね。戸井さんゴトキのたちうちできる相手じゃない、って感じでした。
これはもう、「貫禄」の一言で終わり、ってことで…(^ ^)。。
謎の未亡人、ミセス・カルドザ(岡千絵)と、ロジャース(その正体は、トランプ詐欺師のイェーツ/泉拓真)のちょっとしたエピソード、
三等船室の“三人のケイト”の大ナンバー、
小さな物語があちらこちらに散りばめられた、巨大な「船」。
一つの世界そのものでもあった船の中でみた夢、叶った夢、忘れた夢……たくさんの夢の欠片を拾いに行く、観客たち。
世界の全てかと思った船が沈んでも、それでも地球はまだ回ってる。
だから、明日もまた陽は昇り、また沈んでいくのだろう…きっと。
人間の叡智と、神の気まぐれと。
故障もせずに最大速度を超えた速度を維持しつづけた、優秀なエンジンと、
氷山の配置と、いつにない規模。
それでも人は智恵をしぼり、“誰も行った事のない世界に行く”ことを望みつづけるのだろう。
新井素子が「ネプチューン」で語ったとおり、単細胞で海を漂っていた超古代から、ずっと。
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