雪組「カラマーゾフの兄弟」チームのみなさま、千秋楽おめでとうございます★
って、千秋楽を観てきたわけではないのですが(汗)、赤坂ACTシアターにて、宝塚雪組公演「カラマーゾフの兄弟」を観劇してまいりました。




胸を張って宣言したい。
私は齋藤作品が好きだ!!


その勢いで、14日までベニサン・ピットで上演していた「届かなかった手紙」(演出:齋藤吉正、出演:今拓哉、高野力也、麻乃佳代)も観にいくつもりだったのですが………仕事が終わらず(T T)。
どんな作品だったんでしょうね?チラシの雰囲気も、キャスティングも、あんまり齋藤さんらしくなくてすごく興味をもったのですが。
なにも、自身が演出した「カラマーゾフの兄弟」東京公演と同時にやることないじゃん!!と言いたかったです。解体前に、最後にベニサンに行くちょうどいい機会だと思ったのに。昔はよく行ったベニサンですが、ここ数年あんまり行ってなかったんですよねぇ……(; ;)。

ご覧になられた方がいらっしゃいましたら、様子を教えてくださーい!




…まぁ、観られなかった公演のことはおいといて。

「カラマーゾフの兄弟」。


もしも。
駅かどこかに貼ってあったポスターを見て、「へー、宝塚ってドストエフスキーもやるのね」な~んて興味を持ってご来場くださった元・文学少女の方がいらっしゃったなら。

齋藤さんに代わって心よりお詫びを申し上げますm(_ _)m。


…っていうか、翻訳の亀山さんとか、こないだトークショーでお話してくださった明治大学の斎藤孝明教授とか、そういった方々はご覧になってどんな感想をもたれたのでしょうか…?

こ、こわい。

「ロシア文学」を重苦しいものと捉えていらっしゃる方には、受け入れが難しいであろう有り余るエネルギーとパワーに溢れかえった物語世界。「愛」と「肉欲」と「トラウマ」と「政治」と「精神」と「神」と「民衆」……すべてを同じテーブルに載せて、全く同じエネルギーで表現しようとする、その表現者としての齋藤さんの“欲深さ”を、これでもか、これでもか、と舞台から見せ付けられるような気がしました。
あの長大な原作を、ミーチャとグルーシェニカを中心に、実に巧くまとめあげたことにまず感心します。登場人物もよく整理されていたし、宝塚的にイワンの思想的な部分ははしょらざるをえないし、スメルジャコフの扱いもこれ以上でもこれ以下でもおかしいという絶妙なバランスにあって、見事なものです。
二幕頭の「大審問官」が戦隊モノのテーマソングみたい(振り付けも)だったり、「欲望、渇望……」だの「衝動、衝動……」だの、と、お前はどこの木村信司だ!?と目を背けたくなるような面白い歌詞があったりもしましたが。
齋藤さんの良いところは、そういう歌詞を書いても押し付けがましくならないところ。
ただただ、溢れてしまったエネルギーのままに言葉を並べるとそういう歌詞になるんだな、と妙に納得してしまうんですよね。それ以外の部分もエネルギーが溢れすぎているから。

雪組さんのトップコンビ+二番手も揃って、かなり平均年齢の高いチームだったと思うのですが、本当にびっくりするほど皆さんパワフルでした(^ ^;
こうなってくると、「エル・アルコン~鷹~」も、一本ものにしてもう一度練り直してほしくなりますねー!!齋藤さんに足りないものは時間であって、構成力ではないみたいだから(^ ^)






とにかく。
プロローグから、いきなり「衝動、衝動、衝動、衝動、カラマーゾフの衝動!」と歌われて、激しい眩暈に襲われたのですが。

…齋藤さんが、このドストエフスキーの長大な原作から感じたものは、『衝動』であり『無茶なエネルギー』だったんでしょうね。
それが、本能的で野生的な男である父・フョードル(未来優希)や長兄・ミーチャ(ドミトリー/水夏希)の“わかりやすい”性的なエネルギーと、次兄・イワン(彩吹真央)の“陰にこもった”知的なエネルギー。どちらも同じ『衝動』であり、現れ方は違っていても、『衝動的な』『持て余すほどの』『扱いきれないほどの』膨大なエネルギーを抱えたカラマーゾフ家、という存在がすべてのきっかけをつくり、話を動かしていき、

そして、裁判でころころと態度を変える民衆、という『衝動的な存在』に行き着く。





原作を読んだのはもう遠い昔すぎて細かいことはすっかり忘れていた所に、齋藤さんの物語があまりにも衝撃的で、すっかりいろんなことが吹っ飛んでしまったのですが。

宝塚、というジャンル、もうあと5年もすれば伝統芸能の一員になろうというこの劇団に、まだまだこれだけの膨大なエネルギーが眠っていることを知って、とても嬉しかったです。
「カラマーゾフの兄弟」が名作かどうかは猫には判りませんが(だって齋藤ファンですから)、「この作品が創れる宝塚はまだ大丈夫」かもしれない、と、そんなふうには思いました。




そして。
すっかり優雅で美しい姫役者という評価を確立しつつあった白羽ゆりに、アグラフェーナ(グルーシェニカ)というどっしりと地に足のついた大地の女を与え、今までにない最大の魅力を引き出して見せてくれたことにも、心から感謝します。
そういえば、となみちゃんの猫的ベストアクトを書いたときに、日生劇場での「スカーレットII」を挙げるのを忘れていました。大好きだったんですよ、あの気の強さと気っ風の良さが。
アグラフェーナは、あの延長線上にある役だったんじゃないかと思いました。彼女は、自分で自分の生き方を選ぶ女ですから。「待つ」という生き方も含めて、流されたいと思うことはあっても、実際に流されることのない女。
月組時代からお気に入りだったとなみちゃんが、こんなに素敵な女優として大輪の華を咲かせてくれて……。育ててくださった雪組・星組のみなさま、特に相手役の水さんには、感謝の言葉もありません(感涙)。



そして。
水くんはじめ、メインのキャストは皆さん嵌り役すぎてあんまり書くことがない…(^ ^;ゞ
素敵でした。そして、説得力があった。水くんも、ユミコさんも、ひろみちゃんも、コマちゃんも、さゆちゃんも、ハマコさんも、大凪さんも……とにかく全員!


長くなりそうなので、続きはまた今度書きます。





……願わくば。
齋藤さんには、今後も名作文学シリーズを手掛けていただきたい!!
柴田さんで上演されているものは、もうちょっと齋藤さんが成長するまでは大事にとっておきつつ、
宗教方面で深い話(レ・ミゼラブルとか)は、今回のイワンの様子を観ているとそれだけで話を作るのが無理そうなので避けて通りつつ、

愛とか恋がひっ絡まって、どろどろしまくる話が向いていると思うので……

えーっとえーっと、「嵐が丘」とかどうでしょう!?
ヒースクリフ祐飛さんで。いや、祐飛さんの黒髪ロンゲをもう一度観たいだけなのがバレましたか(^ ^;ゞ
あるいは、ヘミングウェイとか向いているんじゃないでしょうかねぇ。軍服コスできるし、齋藤さんやりたそう。



……かくも妄想は翼を拡げ、天を覆う……



コメント

nophoto
はにはに
2009年1月15日19:12

ビジネス英語e-mail研修のため、千秋楽にいかれなかった私です。くやしーーー

代理で初めて千秋楽公演をみた夫が超興奮して、「水さんはいい人だなぁ~、最後に心が温かくなった(ぽわん)」とか言ってほめまくってました、ちぇっ

で、斎藤先生&寺嶋先生のコンビがいいですよね、これからも頑張っていただきたい!
この位の人数だとそれほど破綻が無いし、やりたいこともちゃんと伝わるということも
判りましたし。
で、「嵐が丘」賛成です。絶対に観にいきます。

で、本日の発表、月の『エリザ』 なんなんだ、いったい?!
これからどこの組もこの調子じゃないだろうなぁ

みつきねこ
2009年1月16日0:59

>「水さんはいい人だなぁ~、最後に心が温かくなった(ぽわん)」

あー、すっごくよく判ります!!ほんと仰るとおり~~!!
水さんは本当に優しいですよね。ミーチャするには優しすぎるのかも、と、ちょっとだけ思いました(^ ^)

寺嶋さんとのコンビはぴったりですね~。あの戦隊モノっぽい音楽が好きだ!
ぜったいこの二人で世界名作全集やってほしい。「嵐が丘」楽しみに待っててください(^ ^)(←おい)