シアターサンモールにて、ブルーシャトルプロデュース アクサル公演「11人いる!」を観てまいりました。
言わずとしれた萩尾望都の名作SF漫画「11人いる!」を、かなり原作に忠実に舞台化した作品でした。
演出がすごく面白かった。原作読んでいるときは思わなかったんですが、舞台にするといわゆる“ワンシチュエーションもの”になるんですね!!「宇宙船の中」という、完全に閉ざされた空間での物語ですから。
舞台上にセットがわりに置かれた白い布の遣い方が巧くて、現実の風景とタダの幻想(記憶のフラッシュバック)の切り替えが見事でした。記憶のヴェールに隠された真実を、一枚一枚剥がしていくようなイメージがあって、クライマックスの電導ヅタの真実の姿と、それにつながるパニックへの演出が、凄い迫力。
結構歌も多くて、ちょっとミュージカルっぽいつくりだったのにちょっとびっくりしました(^ ^)。
そして、なにより驚いたのが、原作の色をしっかりと残しながら、そこかしこにお笑い要素をいれていたところ(^ ^;ゞ。脚本・演出の吉谷光太郎さんをはじめ、みなさん大阪出身っぽかったですね。真面目さとお笑いの行ったり来たり感が、いかにも大阪チックで斬新でした。吉谷さん(教官役で出演)なんて、登場から大笑いだったもんなあ……。
……まぁ、お笑い系のゲストを出すのは作品のイメージを考えるとちょっとヤリスギかな、とも思いましたが(←私が観たときは、長州小力さんがゲスト。「キレてないっすよ」ネタですっげー盛り上がりました/笑)、力技でしたけれども意外とうまく流れてた、かなー?
あと、原作よりもアマゾンが大きな役になっていて、彼と王様の対立と和解がテーマの一つになっていたのが印象的でした。ちょうど、花組&月組の「王様」たちのことを考えているときだったので、マヤ王バセスカの逡巡と挑戦への気概、そしてアマゾンの「プロレタリアート」の自信と他人への信頼が気持ちよかったです。
「アクサル」という劇団(?)、私は全然知らなかったのですが、劇団ひまわり系列のユニットだそうですね。二枚目の男優ばかりの集団というので、同じく萩尾作品をいくつも舞台化しているスタジオライフと同じようなイメージで観にいったのですが、それよりはずっと堅実な作品作りをする集団、という感じでした。
まぁ、美形度はライフの方が上かな?とは思いましたが(^ ^;ゞ。
それでは、キャストについて一言づつ。
タダトス・レーン(加藤巨樹)=タダ
良くも悪くも「普通の人」という印象でした。タダって「普通の人」だったんだなあ……。クソ面白くない真面目な優等生、って感じ。
多分それを狙って演じていたのだと思うので、もっと弾けた役での彼を観てみたいです。
フロルベリチェリ・フロル(大河元気)=フロル
“美少年”でしたねぇ~!原作ファン的には、やっぱりフロルには巻き毛でいてほしいのですが(笑)、黒髪ストレートも悪くなかった(はぁと)。汚い言葉遣いがちょっと慣れてない感じでしたが、いっそのこと関西弁でやったほうがよかったかもね(笑)。
色気の無さが、逆に萩尾作品のヒロイン(?)っぽくて似合ってました。船内温度があがって服を脱いじゃう場面は、素肌に白い布を巻いた形で肩をむき出しにして登場したんですけど、思わず皆が欲情してしまうのもわかる気が(^ ^)。
姿勢がもう少し良くなると、もっとビジュアル度が増すと思います★がんばれ★
アマゾン・カーナイス(柄谷吾史)=アマゾン
とにかくカッコよかったです。美形だしスタイルいいし、声も素敵♪原作でもおいしい役ですけど、さらに輪をかけてカッコよく描かれてました。王様との対立の場面も凄く良かったし、フロルの裸にドキドキしてるときは可愛かった♪
マヤ王バセスカ(林修司)=王様
複雑なキャラクターで、芝居としては一番難しいところを担当していましたが、さすがに巧かったあ~!ルドビコ★そのものは何回かしか観てないんですが、彼は結構よく外部出演していますよね。さすがな感じです。
しかしカッコよかった。自分自身への迷いとタダへの嫉妬まじりの猜疑心、アマゾンの指摘への反発…いろんな要素をきちんと一人のキャラクターとしてまとめてみせたのがさすが。続編の「東の地平、西の永遠」を彼の王様で観てみたいです♪♪
グレン・グロフ(田中照人)=石頭
まず衣装というか髪型をがんばって「石頭」にしていたことに感動(笑)。かなりお笑い系の芝居でしたが、今までどんな役をやってきた人なのかしら?ラストに、教官に声をかけらたれたときの芝居が面白かったです!!
ソルダム四世ドリカス(古川貴生)=フォース
原作では、育ちが良くて屈託のない、明るい二枚目という感じのキャラクターですが、舞台では王様のキャラに近い、猜疑心の強い根暗な雰囲気になってました。それはそれでありだけど、「東の地平・西の永遠」にはつながらない感じになってしまって残念かも。
コロスとしてタダの周りで踊るときなど、動きがキレイで目につきました。かなり踊れる人なのかな?
ヴィドメニール・ヌーム(松木賢三)=ヌー
鱗をどうするのかなーと思っていましたが、特に何事もせず、髪を僧侶っぽい雰囲気にしただけで演じていましたが、台詞の声に深みがあって良かったです。「すべては宿命」という口癖が自然でした。
……原作ファン的には、酔っ払ってるヌーが最高だったかも(^ ^)
ガニガス・ガグトス(山本建史)=ガンガ
カッコよかったし芝居もさすがでしたけど、なんというか……下腹が出てるガンガって許せない(←言っちゃった…ごめんなさい!)
ううう。ガンガはサイボーグで身体鍛えてる健康体なんだから、マッチョならわかるんだけどなあ…(T T)。
原作以上においしい、良い役でした。でもでも、優しいお父ちゃんみたいなんだよなぁ……(悲)
ドルフ・タスタ(田倉伸紘)=赤鼻
「赤いボタン(スクランブル発生=試験終了)のボタンを押したくなったら、この鼻を押してよ」っていう台詞って原作にありましたっけ…。その台詞にあわせてみんなでバシバシと鼻を叩く場面がメチャメチャ面白かったです。シリアスなのにね。
パンフの写真で観るとかなりの美形なのに、舞台では……(^ ^;ゞ。役者ですねぇ(感心)。
トト・ニ(田渕法明)=トト
トトがすっげー美少年なんでびっくりしました(汗)。植物への愛を歌いあげるナンバーがあったりして、大活躍。原作とは一番かけ離れたキャラで、面白かったです!
チャコ・カカ(八百谷匡洋)=チャコ
原作でもあんまり活躍の場のないキャラですが、舞台でも…って感じ。ただ、お笑い場面では常にリードしていたような?(^ ^;
公演パンフレットは、なんというか、昔の「タナボタ企画」のパンフみたいでした……(お笑い系の企画ものがあるあたりが)
うーん、確かにコアなファンが圧倒的に多そうな感じの客席でしたけど、もう少しどんな活動をしてきた劇団なのか、とか、キャストのプロフィールとかをもう少し書いといてほしかったなあ…。
知らない私がいけないのかもしれないけど。
だって原作の名前だけでふらっと観にいったんだもん、パンフレットに解説があるかなーと思うじゃないですか(汗)。
ま、大きく宣伝している様子もないのにサンモールが1週間埋まるんだから(私が観たときはほぼ満席でした)、ファンがついているってことなんでしょうね。
確かに面白かったし、原作の雰囲気を忠実に守っているわけでもないのにちゃんと世界を創っていたのは凄いなーと思いました。SFなのに、特殊メイクをするでなく自然な感じで。原作の構成の妙があってこそですけれども、舞台化するにあたってはいろんなハードルがあったはずなのに、そういう苦労を感じさせず、さらっとやっていたのが凄いなーと思いました!
次は、春に吉田秋生の「BANANA FISH」を上演するそうです☆ど、ど、どういう感じになるんだろうか……ちょっと興味アリです☆
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言わずとしれた萩尾望都の名作SF漫画「11人いる!」を、かなり原作に忠実に舞台化した作品でした。
演出がすごく面白かった。原作読んでいるときは思わなかったんですが、舞台にするといわゆる“ワンシチュエーションもの”になるんですね!!「宇宙船の中」という、完全に閉ざされた空間での物語ですから。
舞台上にセットがわりに置かれた白い布の遣い方が巧くて、現実の風景とタダの幻想(記憶のフラッシュバック)の切り替えが見事でした。記憶のヴェールに隠された真実を、一枚一枚剥がしていくようなイメージがあって、クライマックスの電導ヅタの真実の姿と、それにつながるパニックへの演出が、凄い迫力。
結構歌も多くて、ちょっとミュージカルっぽいつくりだったのにちょっとびっくりしました(^ ^)。
そして、なにより驚いたのが、原作の色をしっかりと残しながら、そこかしこにお笑い要素をいれていたところ(^ ^;ゞ。脚本・演出の吉谷光太郎さんをはじめ、みなさん大阪出身っぽかったですね。真面目さとお笑いの行ったり来たり感が、いかにも大阪チックで斬新でした。吉谷さん(教官役で出演)なんて、登場から大笑いだったもんなあ……。
……まぁ、お笑い系のゲストを出すのは作品のイメージを考えるとちょっとヤリスギかな、とも思いましたが(←私が観たときは、長州小力さんがゲスト。「キレてないっすよ」ネタですっげー盛り上がりました/笑)、力技でしたけれども意外とうまく流れてた、かなー?
あと、原作よりもアマゾンが大きな役になっていて、彼と王様の対立と和解がテーマの一つになっていたのが印象的でした。ちょうど、花組&月組の「王様」たちのことを考えているときだったので、マヤ王バセスカの逡巡と挑戦への気概、そしてアマゾンの「プロレタリアート」の自信と他人への信頼が気持ちよかったです。
「アクサル」という劇団(?)、私は全然知らなかったのですが、劇団ひまわり系列のユニットだそうですね。二枚目の男優ばかりの集団というので、同じく萩尾作品をいくつも舞台化しているスタジオライフと同じようなイメージで観にいったのですが、それよりはずっと堅実な作品作りをする集団、という感じでした。
まぁ、美形度はライフの方が上かな?とは思いましたが(^ ^;ゞ。
それでは、キャストについて一言づつ。
タダトス・レーン(加藤巨樹)=タダ
良くも悪くも「普通の人」という印象でした。タダって「普通の人」だったんだなあ……。クソ面白くない真面目な優等生、って感じ。
多分それを狙って演じていたのだと思うので、もっと弾けた役での彼を観てみたいです。
フロルベリチェリ・フロル(大河元気)=フロル
“美少年”でしたねぇ~!原作ファン的には、やっぱりフロルには巻き毛でいてほしいのですが(笑)、黒髪ストレートも悪くなかった(はぁと)。汚い言葉遣いがちょっと慣れてない感じでしたが、いっそのこと関西弁でやったほうがよかったかもね(笑)。
色気の無さが、逆に萩尾作品のヒロイン(?)っぽくて似合ってました。船内温度があがって服を脱いじゃう場面は、素肌に白い布を巻いた形で肩をむき出しにして登場したんですけど、思わず皆が欲情してしまうのもわかる気が(^ ^)。
姿勢がもう少し良くなると、もっとビジュアル度が増すと思います★がんばれ★
アマゾン・カーナイス(柄谷吾史)=アマゾン
とにかくカッコよかったです。美形だしスタイルいいし、声も素敵♪原作でもおいしい役ですけど、さらに輪をかけてカッコよく描かれてました。王様との対立の場面も凄く良かったし、フロルの裸にドキドキしてるときは可愛かった♪
マヤ王バセスカ(林修司)=王様
複雑なキャラクターで、芝居としては一番難しいところを担当していましたが、さすがに巧かったあ~!ルドビコ★そのものは何回かしか観てないんですが、彼は結構よく外部出演していますよね。さすがな感じです。
しかしカッコよかった。自分自身への迷いとタダへの嫉妬まじりの猜疑心、アマゾンの指摘への反発…いろんな要素をきちんと一人のキャラクターとしてまとめてみせたのがさすが。続編の「東の地平、西の永遠」を彼の王様で観てみたいです♪♪
グレン・グロフ(田中照人)=石頭
まず衣装というか髪型をがんばって「石頭」にしていたことに感動(笑)。かなりお笑い系の芝居でしたが、今までどんな役をやってきた人なのかしら?ラストに、教官に声をかけらたれたときの芝居が面白かったです!!
ソルダム四世ドリカス(古川貴生)=フォース
原作では、育ちが良くて屈託のない、明るい二枚目という感じのキャラクターですが、舞台では王様のキャラに近い、猜疑心の強い根暗な雰囲気になってました。それはそれでありだけど、「東の地平・西の永遠」にはつながらない感じになってしまって残念かも。
コロスとしてタダの周りで踊るときなど、動きがキレイで目につきました。かなり踊れる人なのかな?
ヴィドメニール・ヌーム(松木賢三)=ヌー
鱗をどうするのかなーと思っていましたが、特に何事もせず、髪を僧侶っぽい雰囲気にしただけで演じていましたが、台詞の声に深みがあって良かったです。「すべては宿命」という口癖が自然でした。
……原作ファン的には、酔っ払ってるヌーが最高だったかも(^ ^)
ガニガス・ガグトス(山本建史)=ガンガ
カッコよかったし芝居もさすがでしたけど、なんというか……下腹が出てるガンガって許せない(←言っちゃった…ごめんなさい!)
ううう。ガンガはサイボーグで身体鍛えてる健康体なんだから、マッチョならわかるんだけどなあ…(T T)。
原作以上においしい、良い役でした。でもでも、優しいお父ちゃんみたいなんだよなぁ……(悲)
ドルフ・タスタ(田倉伸紘)=赤鼻
「赤いボタン(スクランブル発生=試験終了)のボタンを押したくなったら、この鼻を押してよ」っていう台詞って原作にありましたっけ…。その台詞にあわせてみんなでバシバシと鼻を叩く場面がメチャメチャ面白かったです。シリアスなのにね。
パンフの写真で観るとかなりの美形なのに、舞台では……(^ ^;ゞ。役者ですねぇ(感心)。
トト・ニ(田渕法明)=トト
トトがすっげー美少年なんでびっくりしました(汗)。植物への愛を歌いあげるナンバーがあったりして、大活躍。原作とは一番かけ離れたキャラで、面白かったです!
チャコ・カカ(八百谷匡洋)=チャコ
原作でもあんまり活躍の場のないキャラですが、舞台でも…って感じ。ただ、お笑い場面では常にリードしていたような?(^ ^;
公演パンフレットは、なんというか、昔の「タナボタ企画」のパンフみたいでした……(お笑い系の企画ものがあるあたりが)
うーん、確かにコアなファンが圧倒的に多そうな感じの客席でしたけど、もう少しどんな活動をしてきた劇団なのか、とか、キャストのプロフィールとかをもう少し書いといてほしかったなあ…。
知らない私がいけないのかもしれないけど。
だって原作の名前だけでふらっと観にいったんだもん、パンフレットに解説があるかなーと思うじゃないですか(汗)。
ま、大きく宣伝している様子もないのにサンモールが1週間埋まるんだから(私が観たときはほぼ満席でした)、ファンがついているってことなんでしょうね。
確かに面白かったし、原作の雰囲気を忠実に守っているわけでもないのにちゃんと世界を創っていたのは凄いなーと思いました。SFなのに、特殊メイクをするでなく自然な感じで。原作の構成の妙があってこそですけれども、舞台化するにあたってはいろんなハードルがあったはずなのに、そういう苦労を感じさせず、さらっとやっていたのが凄いなーと思いました!
次は、春に吉田秋生の「BANANA FISH」を上演するそうです☆ど、ど、どういう感じになるんだろうか……ちょっと興味アリです☆
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