東京宝塚劇場宙組公演「Paradise Prince/ダンシング・フォー・ユー」、そして新人公演「Paradise Prince」。



月組以外、89期以下はわからない方の方が多くて…(^ ^;ゞ、とりあえず、印象に残った方々だけになってしまってごめんなさい。

…と書き始めたのですが、はにはに様がそれはそれは素晴らしい詳細レポを一昨日の日記のコメントに入れてくださったので、ぜひそちらもお読みくださいませ(^ ^;)。
感想自体はほぼ同意なので、ちょっと補足するくらいにさせていただいて……と思ったのですが、意外に長くなっちゃった(^ ^;ゞ。結構本役さんの感想とか、作品自体の感想が入り混じってますが、ご容赦を。




凪七瑠海(アンソニー/蘭寿とむ)
ちょっと小柄だけどスタイルバランスが良くて、美貌で芝居も巧くて歌もばっちりなカチャ。本当にキレイでした。彼女が本当に全力を尽くして、やれることはすべてやった上で本番に臨んだことがひしひしと伝わる美しさ。

でも、
…苛めかと思ってしまいました……。

カチャは悪くない。
絶対に悪くない。
型どおり、本公演のとおりにアンソニー役を作らせようとした上田久美子さんの経験不足が出たのかな、と思ってしまいます。確かに、本公演でも作品そのものの矛盾を一身に集めた役を経験豊富な上級生が力技で捻じ伏せたような役だったので、解釈を変えるのも難しかったとは思うのですが……でも、もう少し冒険してみても良かったのでは?

せめて、衣装だけでもカチャの身体のラインに沿った、似合う衣装にしてあげてほしかった(T T)

とりあえず。
私は、カチャのラルフを観てみたかったです。独特の解釈で役を作り上げるだけの力を持つカチャが、あのラルフをどう解釈して演じるのかを観てみたかった。カチャのラルフ、ちーちゃんのアンソニーだったら、作品そのものの完成度も格段に上がっただろうな、と思うのです。それを観られなかったことが、凄く残念でなりません。

カチャも、上田さんも、次で挽回してくれることを祈りつつ。




純矢ちとせ(ローズマリー/美穂圭子)
みーちゃんハワードの項でも書きましたが、本当に素晴らしかったです。美穂さんが本当にステキで、これは新公大変だろうなあと思っていたら、せーこちゃんも素晴らしかった!!
ありがとう。

細い茎の上で風に揺れるコスモスのような、柔らかくて不安定な心。子供たちを守る強さもなく、ただ守られてひっそりと微笑んでいる美しい母。恋を喪うことへの恐怖で心がいっぱいで、愛を見失っていることに気がつかない。
幸せは、恋の中ではなく、愛の中にあるのに。

ローズマリーという役がホントにおいしい儲け役であることも確かですが、実際に演じるには案外難しい役なんじゃないかと思います。美穂さんも、雪組時代はもっと強くて真っ直ぐなところが目立つ女優さんだったので、専科に異動してこんなに柔らかな雰囲気が出せるようになられたことに本当に感動したし……(マジ泣きしました)。
せーこちゃんは、もともとあたりが柔らかくて芯が強いタイプだから、こういう役はむしろ得意なのかもしれませんね。

ああ、やっぱり彼女の梅川を観てみたいよーーーー!!
大くんの忠兵衛にみーちゃんの八さまとかどうでしょう。大くんは、ああいう優しいけど優柔な色男がすごく似合うような気がするのです。……あ、でも封印切にちょっと無理があるか(汗)
あるいは「月の燈影」の喜の字。相手はみーちゃんとちーちゃんWの役替りで(^ ^)。ああ、観たいよ~~~っ。




愛花 ちさき(キャサリン/陽月華)
可愛くて達者でスタイルもいい。でも、“キャサリン”として舞台に立つために絶対に必要なナニカが、一つだけ足りなかった……。それが、正直な感想です。
ちさきちゃんに何の不満もありません。でも、今回のキャサリン役を演じきるには、足りないものがあったことは事実。それは、真ん中に立つための魅力、真ん中に立って、一番格好良いスターに「一目ぼれ」されるために必なナニカで、ウメちゃんには、何はなくてもそれだけは昔からあったのだと思う。
台詞もほとんどなかった「イーハトーブ・夢」の車掌さんでキラキラしていた、あの頃から。

ウメちゃんは、技術的なことではいろいろ問題の多いひとですけれども、こと「人を愛する」パワーにかけては並ぶもののない大女優だと思っています。「バレンシア」のイザベラ、今回のキャサリン、共通するのは「愛のために身をひく」ところだと思うのですが、ウメちゃんの凄いところは、「自己犠牲に酔う」ところが全く無いところ。
それはいっそドライなくらいに、すっぱりと自分自身を捨てることができるんです。
「自分」という器を100%「相手への愛」だけで満たしてしまっているから、自分への憐れみを感じる隙間がないんですよね。「相手の幸せが、イコール自分の幸せ」なのだ、と本気で思っているから。

ちさきちゃんのキャサリンは、もっとウェットな、「あなたのためになら、どんな夢も諦められるわ!」という押し付けがましさが感じられて、この作品のキャサリン役としてはちょっと違うんじゃないかなーと思いました。
芝居は達者だけど、ちょっと重たいのかな。微妙に自己完結している雰囲気もあって、もっとがっつり踏み込んでくる相手役の方がやりやすいのかなーと思ったりしました。宙組さんは割と芝居が軽めな人が多い(そこが軽やかで魅力な)ので、他の組の方があの個性は生きるのでは?と思ったりもしましたが、どうなのでしょうか。




七海ひろき(シャルル/悠未ひろ)
元々巧い人だし、髪型も工夫してよく似合っていたし、全然問題ないはずなのですが……
残念ながら、心ときめかないシャルルさんでした。ときめきがないと、あまり目立つ役じゃないんですねぇ。ともちんのシャルルはどうしてあんなにステキだったんだろう……?




萌野りりあ(キム/藤咲えり)
キャサリンの、学生時代の仲間の一人。月組の萌花ゆりあちゃんが好きなので、ついついチェックしてしまうのですが、いやー、可愛かった!!ちゃんと、“ちょっとオリエンタルな美人”になっていて、ステキでした。本役の藤咲さんも美人さんだけど、りりあちゃんも可愛いなあ☆




琴羽桜子(メグ/愛花ちさき)、蒼羽りく(ケヴィン/七帆ひかる)
チームキャサリンの友達チームその2。カップルなので、りくくんだけちょっと繰り上げで(^ ^)。
ケヴィンって良い役なんだな~、と改めて思いました。芝居としてどうこう言うほどの役ではありませんが、とにかくメグが大好き!っていう気持ちが前に出ていて可愛かった。そして、微妙に雰囲気がお姉さんっぽいメグがまた可愛い!!本公演の、普通にカップルな感じの二人もいいんですが、なんだかお姉さんを慕う弟みたいな新公の二人も凄く好きでした。

琴羽さんが芝居上手なのは前からですが、また一段と自然になりましたね♪
りくくんは初めて認識しましたが、“くしゃっ”とした笑い方が凄く好き。星組さんの真風涼帆くんを思い出しました。声も良い!!この調子ですくすくと育ってほしいです(*^ ^*)。




藤咲えり(アンジェラ/美羽あさひ)
本当に美人さんだなー!シャープで硬い美貌なので、もう少し髪型とか工夫して柔らかさを出したほうがよかったかな?と思いますが、とにかくキレイで冷たい雰囲気がアンジェラ役としてハマってました。
ただ、ブラックチームは今回バランスが悪かったからなぁ……。アンソニーがちーちゃんで、シャルルももう少しシャープな男役さんだったら、藤咲さんの美貌も生きたと思うのですが…ちょっと残念。




すみれ乃麗(マギー/花影アリス)
つい、月組の蘭乃はなちゃんとはあんまり似ていないんだなーとか思いながら観てしまいました。っていうか、宙組と月組、下級生に姉妹多すぎ(^ ^;ゞ

本役のアリスちゃんが最強の妹キャラなので、真似しようったって真似できず、だいぶ苦戦してはいましたが、可愛いかったです。ただ、とりあえず大くんとの並びはあまり似合わないような…(T T)。みーちゃんハワードの方が似合ってたような気がします。後半の、マギーを慰めようと抱きしめるハワードさんが、ものすごーーーーくステキだったので(←いや、それ誰もチェックしないから!)。




月映樹茉(プルート/寿つかさ)
彼女自身は芝居の巧い人だと思うし、今回も超上級生の役をよくやっていたと思うのですが、プルートチームの芝居全体がどうもまとまりに欠けていたのは、やっぱりプルート役の求心力が弱いからかなー?と思ってしまいました。
まだまだすごい下級生(92期)なのにそんなことを求められても困るだろうし、その学年にしては本当に巧い人だと思うんですけどね……。うーん、そのあたりも演出家の課題なんでしょうねぇ。




天咲千華(アンジェラ/和音美桜)
私は、天咲さんの魅力って凄く認めているほうだと思うのですが……
この役は難しかった、でしょうね。嫌なことを言う役で、しかも、それが“嫌なこと”である、ということを本人が判ってて言う(酔ってるけど)という芝居をするのは、若い役者にはかなり難しいことなのだと思っています。

また、植田景子さんって結構これをやらせる作家なんですよね。「シニョール・ドンファン」でも、卒業する汐風幸ちゃんに「俺はお前になりたかった!」と血を吐くような台詞を叫ばせていて、荻田さんとは違う意味で残酷な作家だなーと心の底から思ったものです。
今回も、あえて卒業していくたっちんに似たような台詞を言わせていますが、酔わせているだけ、景子さんも大人になって丸くなっちゃったのかな?

まぁ、この手の台詞を言わせるということは、一人の“役者”として全幅のの信頼をおいているということなのでしょうけれども。
…まだ若い天咲さんには、さすがにあの台詞を本音のように言うことは出来なかったのも無理はないかな?ロフトの場面では、痛い台詞だけど嫌味に聞こえてはいけない。NYから帰ってきたキャサリンに謝る場面では、自分がキャサリンを追い詰めていることに気づいてはいけない。でも、彼女の様子がおかしいことを、全く無視してもいけない。
場面ごとの気持ちの変化が複雑微妙で、デキる人なだけに、逆にがんばりすぎて気持ちが空回りしてしまっていたのが気の毒な感じでした。

……まぁ、まだあの役ができなくてもいいと思います。いつかきっと、わかる日が来ると思うから。

髪型とか、ずいぶん工夫しててとっても可愛かったんですが、服の着こなしはもう少しがんばってほしいかな。たっちんの着こなしは、本来のスタイルを考えると天才的だったので、卒業してしまう前にしっかり盗んでおいてほしいなーと思います。
本役のウェンディ(チギちゃんの彼女)がめっちゃ可愛くて、ああいう砂糖菓子みたいな女の子がまだまだニンなんだな、とほほえましい(^ ^)。これからの活躍を期待しています!!




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