東京宝塚劇場にて、宙組公演「Paradise Prince/ダンシング・フォー・ユー」、そして新人公演「Paradise Prince」を観劇してまいりました。




新公演出は上田久美子氏。
私は全く初めて名前を聞いたのですが、前からいらっしゃる方ですよね?どんな活躍をされていたのかな…。オリジナルの演出を丁寧になぞりつつ、役者たちの個性にあわせてキチッと作品世界を構築していたと思います。ちょっと“型どおり”だった印象もありますが、これからのご活躍を楽しみにしています。




多士済々だった宙組88期も、これで新公卒業。
花影アリスちゃん、春風弥里ちゃん、鳳翔大くん、花露すみかさん、綾音らいらさん、蓮水ゆうやさん、麻音颯斗さん…。名前を並べるだけでうっとりするほど人材豊富ですね♪いい公演でのご卒業、おめでとうございます!



「雨に唄えば」キャシーで大舞台のセンターを踏んだアリスちゃんは、今回は新境地でしたね(サマンサ/美風舞良)。声も仕草も作りこんで、すごく良かったです(*^ ^*)。最後の新公に、面白い経験をさせるなあと感心しました。いい経験になったのではないでしょうか♪
次は、また新たな気持ちで『普通の』大人の女性の役に取り組むアリスちゃんを観てみたいです。




みーちゃん(ハワード/一樹千尋)は、もう~~~っ(*^ ^*)ステキすぎます。ダンディすぎですっ!!吉田茂に続き、ハワードでも舞台を浚って完全に持って行っちゃうなんて、罪な人★
これで新公卒業しちゃったら、もうあんなにお髭が似合うのに、つける機会も当分回ってこないじゃないですか…泣けてくるほど残念です。「バレンシア」のフェルナンドも最高にステキでしたけど、吉田茂にハワードとあんなにステキで優しい小父様を続けてやられてしまうと、本気で惚れてしまいそうです。

ああ、いつの日か、フランツとか、キャリエールとか、ジョン卿とか、そういうステキなおじさま役を演じられるような上級生になってほしい~~っっ!!
……別に準主役格じゃなくてもいいんです。ハワードもステキだし、立さんがよく振られていたような役を、ぜひ!(はぁと)。




大くん(スチュワート/大和悠河)は、とってもキャラが合っていて良かった!!等身大の現代っ子はよく似合いますね。タニちゃんの衣装を全部着こなしたのはさすが!!(感心)
そして、「おにいちゃん」らしい優しさがあって、キャサリンにも、マギーにも、ローズマリーにもすごく深い愛が感じられたのが良かったです。特に、後半のマギーからの電話でのやりとりや、ママとの会話に篭められた愛情がすごく好き。それと、本公演ではパパ役を演じているせいか、「家族の傷」の場面の重みを強く感じました。いろいろ考えたでしょうねぇ、きっと。
あのパパ役がすごく好きだったので、なんだか嬉しかったです。

あと、やっぱり私はこの人の声が好きなんだなあ……(しみじみ)。ちゃんと“若い男”の声なんですよね(*^ ^*)。あれだけの容姿と声に恵まれて、芝居も素直で決して悪くない(滑舌は悪いけど…^ ^;;;)。劇団が使いたがるのも解るなあと思いました。

だからこそ、本当に本当にお願いだから歌だけはどうかお願い、、、、と、祈る思い(T T)。
台詞の声はあんなに甘いのに、歌いだすと硬くキンキンするのは、苦手意識があるからなんでしょうねぇ…。緊張で肩に力が入って、呼吸が浅くなる。腹にチカラを入れているつもりで、腕とか顔が固くなってるだけ。あれだけ良い声なんだから、台詞の声のまま歌ってくれれば、音程が多少外れてたって全然気にならないかもしれないのに……(T T)。




花露さん(エヴァ/鈴奈沙也)は、相変わらず危険な香りが漂ってステキでした☆本役の鈴奈さんは「遣り手」って感じの有能さでしたが、花露さんは「デキる女」って感じ(←違いがよくわかんないけど…)。
美人で声が強くて目が効く。花露さんが新公卒業して、宙組のイイオンナ枠はますます熾烈な争いになりそうですね☆




綾音らいらさんは、ローズマリーをじっと見守るメイ(彩苑ゆき)。「エリザベート」でいうスターレイみたいな役ですが、控えめな佇まいなのに意外と存在感があるところが良かったです。



ちーちゃん(ラルフ/北翔海莉)は、難しい役をよくこなしてましたねー!(感心)。本役のみっちゃんがぶっ飛んだ役づくりなので、ちーちゃんはどうするのかなー?と思っていたのですが、“盛り上げ役”に徹してあんまり「変な人」感を出さなかったのと、ラストで正体を現したときにかっこつけすぎないのがポイントだったかな?(^ ^)
ただ、せっかく美形なので、髪型はもう少し工夫してほしかったなー。大人っぽくて細くて縦に長い顔型の人は、あんまり縦にボリュームを持たせないで、タイトにまとめるか横に拡がったような髪の方が絶対似合うと思うんですよねぇ……。
(美形は『綺麗だなー』と思いながら鑑賞したいんですぅ。もったいなーい!)

残念ながら、ちーちゃんの良い所は封印された役でしたけれども、いろいろな人生経験の感じられる、大人っぽくて勉強家なラルフでした。スチュワートの演説に盛り上がる仲間たちを見守る目が優しくて、良い奴だなーと思いましたよ♪
仲間たちの真ん中に入っても違和感無く、端に居てもふと目を惹くナニカがありました。本公演でも観客の目を意識した動きが出来るようになったな、と思いましたし、佐助を演じた経験も生きているような気がします。良い感じでいろんな役を経験していると思うので、今のうちにしっかり色々吸収して、がんばってほしいです☆




麻音颯斗さんは、オクラホマの大富豪・ドナルド・ブラウン(風莉じん)。なんだか余裕の役作りでしたね。お髭もとってもよくお似合いで、落ち着いた貫禄が役に良く似合ってました。
この人も声がよくて嬉しい。「お金を出すのは我々素人ですよ!」みたいな台詞がめっちゃカッコイイです☆ちーちゃんと親子にちゃんと見えたのは、二人ともが凄い!のかな?(^ ^)






いきなり新公の役者感想になってしまったので、作品について全然触れていませんが、私はこの作品、結構好きです。
……うん、かなり。

植田景子さんの大劇場作品は、時間が足りなくて伏線を張り切れず、誰かに説明させて台詞ですませちゃったり、なのにラストにいらない場面をつけて10分無駄にしたり、ということが良くあるんですが、今回は比較的、うまくまとまっていたと思います。
まぁ、ホントは無理して“アート”とか“アニメ”とかを持ち出して新しさを出すより、素直に「シンデレラ・ロック」を1幕ものに再構成して出したほうが良かったんじゃないかな?、とか思ったりもするのですが。

……でも、あれだとウメちゃんの役が歌手志望になっちゃうからなぁ……(涙)。

じゃなくて!!

当時のタニちゃんは「普通の男の子」だったし、「シンデレラ」が似合ったけれども、
今のタニちゃんは、あくまでも「王子様」であって「普通の男の子」には戻れないんだから、
……だから仕方が無い、という景子さんの判断もわかるような気がします。

そのくらい、タニちゃんは「リアル」な世界から離れた存在になってしまったんだな、と。

新人公演で大くんが描きだした、リアルで、普通で、優しくて、そして誰よりも愛情深い「おにいちゃん」なスチュワートを観ながら。


「Paradise Prince」を夢見たスチュワートは、


この世のものならぬ王子様だったのか、

それとも、
夢を諦められなかっただけの“普通の”男の子だったのか……



舞台作品に正解なんてないんですけれども、本公演を観てからあまり日をおかずに新人公演だったので、観劇しながらそんなことを凄く考えこんでしまいました。





…作中で誰よりも「愛」に生きていたのは、本公も新公もハワードさんでしたけど、ね(^ ^)。



.

コメント

nophoto
dasy
2008年12月3日15:08

残念ながら新公は見に行けませんでしたが、宙88期 いいですよねぇ
彼らのこれからが本当に楽しみです。
本公演のハワードさんとローズマリーさんの佇まいに惚れ惚れとしていたので、
みーちゃんハワード見たかったな~~
明日のニュースを楽しみにします。

nophoto
soratan
2008年12月4日0:40

上田久美子先生は今回が初演出ですよ。

みつきねこ
2008年12月4日1:01

dasyさま、みー&せーこちゃんの雰囲気は、涙がでるほど切なくて、すごく良かったですよ~♪
美穂さんのローズマリーは言葉にできないほど素晴らしかったけど、せーこちゃんもお見事でした!(^ ^)みーちゃんのハワードは言わずもがな☆
明日のニュースが本当に楽しみですね♪

soratanさま!上田さんは初演出なんですね!情報ありがとうございます~!
初めてとは思えないほど、良くまとまった演出だったと思います☆今後のご活躍に期待できそうで嬉しいです♪♪

nophoto
はにはに
2008年12月4日17:01

私も感想を・・・長文でごめんなさい。

全体を見終わったすぐの感想としては、宙組らしいというか、よくも悪くも宙組っぽい新公だなと。 他の組だと、新公なんだけど上下がわりとあったりして下級生のほうが大きい役なのに遠慮が見えたりしちゃうんだけど、宙組はそれがない。
でも裏返すと全員が「私を見て」状態になってしまって芝居のなかで、この場面は誰がメインなのか、何を話したいのかが判らなくなってしまったときがあったかと。
演出家はそこを整理してあげてほしいなと観ながら思いました。

スチュアート@鳳翔大
大ちゃんは『黎明』新公では、いや、その前の『バレンシア』ではそりゃもう大変なことになっていて、 見ながら手に汗だったのですが、今回はだいぶ成長していました。
大ちゃんの声は男役らしい自然な声で、スタイル良くて素敵ですよね。
主題歌は本公演を観ながら「この歌ってどんな歌なんだ?」と思った曲。そういえば大ちゃんは『黎明』のときにそこそこ歌はこなしていたような気もする。
ってことは、オリジナル曲だし、主演が素敵に見えなくさせちゃう作曲家のほうが、プロとしては心得違いなのでは?だって、自分のとこの商品にケチつけてどーすんだよと。
←そこまで言い切るかって言われそうですが(笑)
これは本公演のウメちゃんの歌にも思うんだけど
ウメちゃんは、歌が下手でもこんなに可愛くてお芝居もちゃんと心が通っていて、
そしてダンスもうまいんだから本人が歌うのはサビだけで、あとは宙組の特技コーラス抜群さでカバーしても良いと思ったんですよ。新公をみて、その怒りが彷彿したました。
ま、大ちゃんは歌はともかく暖かな人柄が見えて、良い息子であり、よいお兄ちゃんでした。妹のすみれ乃麗ちゃんの「おにいちゃん!」の言い方も超可愛くて◎。
でもコンビ的にはこの二人は微妙。

キャサリン@愛花ちさき
なんというのか、キャサリンの健気さや愛らしさが余り見えなかった。
おうちにスチュアートを呼んで画集をみるとことか、本役の二人はもうキューンとなる可愛さなんですが、
それってウメちゃんがスチュアートを心配したり、
共通の感覚を見つけて「あら?!」と驚いてみつめたり、
そしてそして次の場面ではスチュアートの机の横でふと目を見交わして
ニコニコしあったりしてるのが「いかにも」なんだけどニヤニヤしちゃうところなのに、
残念ながら愛花さんはキャサリンとして大ちゃんに絡んでない。
大ちゃんが顔を覗き込んでも、目を見交わすタイミングがずれてるから、ちっとも二人が恋に落ちていく感じがしないし。
新公を観て、改めてウメのビジュアルの素晴らしさと華やかさと共に、タニちゃんへの思いという表現がいかに私を幸せにしてくれていたのかがよく判りました。
ただ、足がすごくきれいなのと声質がいいとは思います。
彼女は先ず芝居の中で相手役をもっと意識することが学んでほしいと思いました。

アンソニー@凪七瑠海
なんというのか、カチャの良さがあまり出てこない役だったと思う。いっそのことラルフをカチャがやったほうが可愛くて面白かったと思う。
細くて顔が小さいのも男役としてはどうかなぁって時があるなと。
これ、暁郷がやったら最高だったのになぁと退団を惜しむのでした。
ただ、髪型とか指輪とかのこだわりも良かったし、カチャは芝居が下手な人ではないので、2月のオスカルはきっと素敵だと思います。

ラルフ@蓮水ゆうや
アンソニーが外した分、明るい笑いもふくめて全部もっていかれたというかんじ。
みっちゃんを観たときには、なんかどうしたらいいのかって感じに見えたのですが、ちーちゃんはすごく良かった。やり手の息子さんを持ってお父さんも幸せだろう。
本来の姿に戻ったちーちゃんがまたカッコよくて、ちーちゃんは本当に包容力が見える役者になったなと思いました。
今の面子ならアンソニーをちーちゃんでも良かったと思う。

 続く ひとんちで続くって・・・

nophoto
はにはに
2008年12月4日17:11

続きは みーちゃんから

ハワード@春風弥里
宙組って、八雲さんも新公でレットバトラー並みにカッコよかったし、代々かっこよくて巧い人が脇に廻ってしまうのが特徴かも。
とても良かったです。ラストのせいこちゃんとの銀橋シーンは劇場全員が「この人たちが主演だ!」と感じたと思う。
ちらっと白髪の入った髪に髭で渋くてせいこちゃんもきれいだし上手だし、おまけに二人共主演を経験しているだけに芝居が大きくて余裕を感じました。

新公って学年差が無いだけに主演より技術があったりすると、あっさりと立場逆転するところが難しいところですね。

ローズマリー@純矢ちとせ
「遣らずの雨」のせいこちゃんがよかったし歌が本当に上手なので、雪組からの組替えは残念でしたが、これから頑張って欲しいです。
そうだよ、早くえりことかまさこの隣に上がってくるんだ!!! 待ってるぞー!

娘役さんは組によってうまく使えないときがあるので、もう少しグルグルしても良いような気がします。もったいない人多々あり。

その他色々な役の感想:
*藤崎えりちゃんがまちゃみのやっている女秘書でしたが、きれいだけど地味でしかもまちゃみの衣装が似合わない。鬘とか替えてみたらいいのだろうか?

*七海ひかるさんがともちんの男秘書で、これまたきれいだし、色々髪型からアクセから全てに工夫がみえて良かったんだけど、なんか違うというか・・・印象が薄い。好きなんだけどなぁ

*花露すみかさんの画商のマダム、綾音らいらさんのメイドさん二人とも88期だったんですね。良かったです。
花露さんは本公演もメイクをもう少しきれいにしたら、個性的な美人で、もっと目を引くのになぁ。

*麻音颯斗さんが今回もしっかりと声が出ていて脇をしめてました。良い脇役さんだなと思ってたのに退団でがっかりです。

今回は団体チームが二つありました。
*一つはスチュワートの就職したアニメ会社メンバー
課長のプルート(月映樹茉)、秘書のサマンサ役の花影アリス、ドロシー(妃宮さくら)、ジャック(鳳樹いち)、アリス(千鈴まゆ)、トム(澄輝さやと)、アン(百千糸)
*もう一つはキャサリンの大学の同級生たち
キム(萌野りりあ)、メグ(琴羽桜子)、ティム(光海舞人)、マシュー(天輝トニカ)、アンジェラ(天咲千華)、ケヴィン(蒼羽りく)、エイミー(夢涼りあん)、ヒロ(美月悠)
名前を見ても同級生チームは全然判らないので研3くらいから研1?って感じですが、こっちのチームワークが良いというか、お芝居感覚が優れていると思いました。 同級生チームお稽古がんばったんだね!!

**甘咲さんがかなり成長していました。彼女も「バレンシア」からの抜擢ですが、毎回観る度にぐんぐん力をつけてきたなと。次回はヒロインかな?

*りくちゃんも良かった。りくちゃんは文化祭のときに芝居がとんでもなく微妙だったのですが、上手になりましたね。良かった、良かった♪

**可愛かったのはありすの千鈴さん、キムの萌野さんでしょうか。

*お芝居で目を引いたのは『黎明』で彼のお財布を毎日チェックしていた琴羽桜子さん。本公演でのちょっとした工夫がちゃんと彼女には身についていたんだなと感動しました。

**花影アリスちゃんは脇に徹していましたが、色々芝居していて面白かったしやっぱりうまいよね~と思わされました。

最後の挨拶は長のアリスちゃんが締めて(とても良い挨拶だった)
そして主演の挨拶の大ちゃんが涙しつつ挨拶しているときに
後ろの88期同期が皆、うなづきながら涙していたのが感動的でしたねぇ

やはり新公は観て損な無いですね(笑)