宝塚花組日本青年館公演「銀ちゃんの恋」
第二場 キャバレーセット。
羽織っていた楽屋着と、捨てられていた手弁当を付き人(梅咲衣舞)に渡して、小夏が立ち位置に立つ。
ライト。
と同時に、満面の笑みを浮かべて踊りだす小夏。
紗幕があがり、女性ダンサーたちのセクシーなダンスが始まる。バックダンサーは聖花まい、雫花ちな、瞳ゆゆ、鞠花ゆめ。
4人とも、いえ、小夏いれて5人とも超可愛いです。はい。リリアンダルマ…とはいわないのかな、ひらひらした幅広のリボンが足元にゆれる、セクシーなダルマ姿なのに、まっっったく退廃感がないのはすみ花ちゃんの個性なんでしょうか。後ろの4人のほうが、それぞれにコケティッシュな小悪魔感をだそうとがんばってました。
すみ花ちゃん、立場的に必要とされる技術的なものには文句無いんですけど、こういう場面をやらせると、ただ若いだけじゃなくて本当にピュアすぎてしまうんですよね……うーん、ショー場面の一つとしては華やかでいいんですけど、ちょっと“場末のキャバレー”って感じはしなかったかも。
芝居としては十分“落ち目の元スタァ”になれているので、あとはショーでも七変化できるように女を磨いてくだされば、大劇場でも十分真ん中が務まると思うし、めちゃくちゃ楽しみにしています♪♪
音楽が変わって、男性ダンサーが登場。噂の(私の回りだけかも?)お2人です。煌雅あさひ&輝良まさと。この2人って90期と91期だったのか…。若いなあ。私が花組エンカレでアーサーに惚れたとき、研いくつだったんだ?
スパニッシュ系の紅い衣装に身を包んだ2人。まずはアーサーが小夏に絡む。色っぽい振付です…たぶん。うーん、すみ花可愛い………(*^ ^*)輝良くんと絡んでるときよりは、アーサーとの方が少しは色っぽいかな。さすが一学年とはいえ先輩は違いますね。
誘うように下手奥のテーブルへ向かい、そこでまたひとしきり2人に絡む小夏。ここ、初演と振り付け同じなんでしょうか…。なんだか、「あはは、うふふ」っていう声が聞こえてきそうな、なんだか幸せそうな3人に見えるのは気のせいでしょうか(←気のせいです)。ちょっと絡んで、ふいっと離れる間際に見せる微笑が、本当に可愛くって、たまんないんですけど。
アーサーも輝良くんも、真剣に「誘惑されてます僕」的な顔をしているから、楽しそうで幸せそうな小夏との対比で、面白い場面になってました。いっそ、“場末のキャバレー”っていう無理のある場面コンセプトをあっさり捨てて、「仲良し三人組のピクニックダンス」くらいの改変をしてしまえばいいのに!(←落ち目の女優はピクニックにはいかねぇだろ…)
音楽が変り、また女の子たちが戻ってきたあたりで、スターダンサー・光子(小夏)のヒモ(橘)が乱入してくる。
短銃を手に。
光子を銃で脅し、「お前は俺なしじゃ生きていけねぇんだよ(だから戻って来い、と続くのでしょう)…」と言ったあたりで、小夏が具合を悪くして倒れてしまう。
小夏が倒れたとき、とっさにびっくりして腕の中の小夏を支えるめおちゃんの腕の優しさが結構好きです。なのに、言葉ではいじめっ子なところがそそる。
「銀の字にせよ、水原にせよ、京都での仕事はろくなことがねぇなぁ」
という、その独特のリズムに乗った喋り方にかなりはまってます(笑)。
さて。
ちょっと考えてみたこと。場面の場所と、時間経過。
オープニングの「会議」は、まぁなかったことにして。
第一場の「オープンセット」は、太秦の東映映画村(旧撮影所)をイメージしているんでしょうか?あそこって京都駅から案外遠いので、顔も着替えもそのままでタクシーに飛び乗らないと40分後の新幹線は厳しいと思うんだけど…。あのとき、橘の顔はキスマークでいっぱいだったよな……いや、まぁ、そんなことはどうだっていいんですけど。
で、「御開帳」の場面があって、そこに小夏がお弁当を持って現れる。そして、そのままの衣装で撮影に臨む。その中に橘が出演していて、しかも「京都での撮影は…」と言ってるってことは、このドラマの撮影も京都で行われているってこと。
橘が、化粧を替えて、衣装を替えて、坂本竜馬からヒモになって、40分後の新幹線に乗ることは、物理的に不可能。
ってことは、「新撰組」の撮影から「ねぇ監督、この映画の主役は俺なんですかい?」の間に、1日や二日の隙間があるってことなんでしょうかねぇ…?
ちなみに、小夏がこのとき撮っているのはテレビの映像(「ブラウン管の前の視聴者には…」)です。たぶん、ドラマの一場面なんでしょう。
橘には都会的でシャープなイメージがあるので、それなりにテレビでも売れてるんだけど、銀ちゃんはちょっと古臭いタイプのスターで、映画にしか出てない…だから、あんまり一般的な知名度がない、っていうイメージで、合っているんでしょうか…。
銀ちゃんたちは、「映画スター」の最後の世代、ってことになるんでしょうね、多分。それ以降は、渥美清みたいな例外をのぞいて、「テレビに出ない、映画だけのスター」は存在しえなくなっていったはずだから。
…ま、石田作品なので、あんまり厳密な時代考証を考えても意味がないんですけどね。現代ネタもたくさん出てくるし。衣装もかなりてきとー(っていうか強烈)だし。
小夏が倒れて、撮り直しになったところで「俺はもう当分無理だよ~」と、また不思議なリズムに乗って言う橘さん。
橘「東京でクイズ番組のレギュラー回答者に選ばれたんだ~ピンポンピンポ~ン」
身振り手振りつきで。いやー、素敵だわめおちゃん。
スタッフの真瀬はるかさんが、本当にいい声で「撮影放棄でファイナルアンサー?(アドリブあり)」と訊くのにいつもうっとりします。何度でも書きますが、本当に巧いです、この人。
立ち去る橘に「ちょっと待って~~!!」と追いかける様が面白い。
机に突っ伏していた小夏が、ふと顔をあげて、待機している女の子たちに言う。
「ごめんなさいね」
4人はニコニコ笑顔で「いいのよお~」「お大事にね♪」と言いながら。
くるりと背を向けた瞬間に
「水原小夏!どうしちゃったんだろうねぇ」
「噂じゃ男に捨てられて酒びたりらしいわよ」
「一世を風靡した女優も、」
「今じゃ事務所のお・に・も・つ!」
噂、噂、噂…。
ぱちん、と弾けるように笑う女の子たちの残酷さが、「スター」という看板を背負う人の影なんだろうな、と思わせる場面。最後にトドメをさす鞠花ゆめちゃん(?)の、小悪魔的な可愛らしさと鮮やかな台詞回しが印象的です。
女の子たちの陰口を、ひそかに聞いていた小夏。
橘がおいていった小道具の短銃を頭にあてて……
暗転。
そして、銃声。
第三場A カラオケスナック「ししとう」
ここは……えーっと。
まず一つ忠告。初めての観劇の時は、下手奥はなるべく見ないようにして、舞台前面の銀ちゃん一党の芝居に集中してください。
うっかり下手奥を観てしまったら、もうそこしか見えなくて、話がさっぱり見えなくなりますから(T T)
下手奥の謎に挑戦したい方は、2回以上ご観劇くださいね♪
というわけで、下手奥のさあやと嶺乃くんについては、今回は触れません。
ぜひ、その目でじっくりと(二回目以降に)ご覧ください。
舞台前面。
前場からの続きのように、小夏の構えとそっくりそのまま、銀ちゃんが短銃を頭にあてている。
毎回見事な転換だなあ、と感心します。
後ろから短銃を取り上げて、「駄目じゃないですか!小道具からこんなもの持ち出して!」と叱るヤス。
完全に酔っ払いの絡み酒で、「俺、死にてぇよ…」と泣き喚く、銀ちゃん。
そこにかかる、名曲「みちのく一人旅」。『ここで一緒に死ねたらいいと』ってアレです。
「死にてぇよ」と「ここで一緒に死ねたらいい」と。あまりのタイミングの良さに、一瞬呆然とする銀ちゃん一党。でも、ヤスが咄嗟に手拍子をはじめて、盛り上げようとする。
そんな彼らの気持ちもお構いなく、銀ちゃんは嘆く。
「売れてねぇんだよ、俺…売れてねぇんだよ。だってさぁ、さっきからこの店、小一時間もいるのに、だぁ~れもサイン頼みにこないもんねぇ~~↓↓↓」
銀ちゃんのそんな嘆きに、右往左往する子分どもが超可愛いです。
細かくは覚えていないのですが(というか、毎回違うような)、カウンターの方に行ってカウンターの客かママ(月野姫花)に頭下げて頼んでたのはマコト(夕霧らい)かな?ジミー(望海風斗)は、銀ちゃんについていたような…。とりあえず、店の中をみて肩を落とすトメさん(日向燦)がとても好きです。
ちなみに、サインを貰いに来そうにない客は、全部で5人。カウンターにいるのが桜帆ゆかりちゃん、真ん中奥のカップルが初輝よしやくんと菜那くららちゃん、そして下手奥のカラオケ組が、さあやと嶺乃一真くん。
…あ、下手奥を視ちゃった。いけないいけない、舞台中央に戻りましょう。
銀ちゃんが、テーブルのボトルを掴んでラッパ飲みし始めると、いったん解散していたメンバーがよってたかって取り上げる。子分どもは、マコト以外はみんな小さいので、基本的に銀ちゃんが何かしても敵わない(手が届かない/笑)というネタになっているんですが、マコトもあえてここは小さく膝を屈めて、負けてあげているんですよね。可愛いなあみんな。
「てめぇら大部屋に、俺の気持ちがわかってたまるか!」と暴れた銀ちゃん、後ろに回って、下手奥のカラオケ組からマイクを奪い取る。
さあやから解放されてちょっと安心した感じの嶺乃くん(^ ^)。喉元を緩めた、ちょいセクシーな姿。
完全に傍若無人な酔っ払いと化して部下(?)にセクハラしまくりの秘書・さあや(←衣装がそのままだから、秘書のままと思っていいんですよね?)は、トメさんに羽交い絞めにされたまま、暴れまくり。せっかくのタイトスカートが……デキる美女が、台無しですよ中山さん。
ちなみに、さあやが頭に巻いている赤いチェックのネクタイは、本来嶺乃くんがしているはずのネクタイなんですよね…?(さあやがネクタイを持っている理由が無い)その背広にそのネクタイ?銀ちゃんじゃなるまいし、ちょっとセンスを疑うわ>嶺乃くん(←いや、嶺乃くん本人が決めたんじゃないから…)。
って、あぁいかん、だからそこは観ちゃいけないんだってば。
銀ちゃんに戻りましょう、銀ちゃんに。
マイクを奪いとった銀ちゃん、ママに難癖をつけ、真ん中奥のカップルテーブルからボトルを取り上げて撒き散らし……暴れまわった末に、ジミーとヤスに取り押さえられる。
それでも、そんな枷はものともせずに暴れ回り、トメさんを蹴り、ヤスを蹴り、、、興奮しきって、
ぽろっ、と、鼻の血管が切れてしまう…。
トメさん「銀ちゃんの鼻血はいりまーす!」
マコト「はい、よろこんでー!」
というやり取りは、ドラマシティの最初はちょっと外し気味だったのですが、後半嵌ってきてからどっかんと笑いが出るようになりました。ホントおかしいです。抜群の間。
「銀ちゃん、水でも呑んで少しおちついて…」
というマコトに、頭ごなしに
「おめぇ、俺に命令すんのか!?」
と難癖をつける銀ちゃん。
止まらない罵詈雑言の嵐に焦れたヤスが、いきなりカウンターに走る。
ナイフを掴んで、テーブルに突き刺して、場をとめて。
「銀ちゃん、いったい何が気に入らないんですかっ!」
キレた眼、というには、みつるくんのヤスは全体の雰囲気が可愛らしすぎるのですが。
でも、テーブルから抜いたナイフを見る眼つきは、結構イッちゃってて怖さがあったと思います。
「俺、銀ちゃんのためだったら……」
その思いに凝り固まって、他のものは何もいらない、と、思いつめた瞳。
ナイフを振り回すヤスを、心配そうに追いかけるメンバーたち。特に、奥のテーブル席のカップルを守ろうと、必死で手を広げて眼をつぶるジミーがめちゃめちゃ可愛いです。
そこに聴こえてくる音。銀ちゃんの高鼾。
一気に空気が弛緩する。
っていうかさ、ヤスもみんなも、酔っ払いの戯言に真面目に対応しすぎなんではないでしょうか…。
愛くるしいキュートな若いチーママが、「あんたたちの映画のことが出てるよ!」と新聞を渡す。
そこに載っているのは、監督の談話。
「滅びゆく新撰組の、集団のエネルギーを表現したい」、と。
ヤスに庇われて、安心して寝ていたはずの銀ちゃんなのに、なぜかそういう嫌な話は耳に入る。
「俺のアップ撮ってる振りして、群集撮ってやがったのか…やっぱり俺、主役じゃなかったんだ
な…」
切ない呟き。
今の、声がかすれまくっている祐飛さんの「切ない呟き」は、なんというか、最終兵器って感じに色っぽいです。思わず駆け寄って、抱きしめてあげたいって感じ。「大丈夫よ、ちゃんとあなたが主役よ」って、言ってあげたい気がするんです。
…たとえ、それが嘘だとわかっていても、そう言ってしまうのが女だと思う…。
さて。
公演をご覧になったみなさま。
この「ししとう」の場面、わずかに5分弱だって知ってましたか!?
この間にも、さあやと嶺乃くんが汽車ポッポをしていたり、カップルの片割れだったハズの菜那くららちゃんが、さあやの紹介で嶺乃くんといい雰囲気になって、肩を抱かれて出て行ったり、くららちゃんの代わりに初輝くんの隣にちゃっかり座り込んださあやが、今度は初輝くんにセクハラしようとしていたり、上手のカウンターの方はあまりちゃんと見る暇がないほど忙しい、密度の濃い5分間。
いやー、何度も書きますが、とにかく下手を観るのは、二回目以降まで待ってくださいね。
銀ちゃんチームもがんばってますので、一回くらい観てあげてください…。
ってなとこで。
次回は、銀ちゃんの『最高の』テーマソングからの予定☆
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第二場 キャバレーセット。
羽織っていた楽屋着と、捨てられていた手弁当を付き人(梅咲衣舞)に渡して、小夏が立ち位置に立つ。
ライト。
と同時に、満面の笑みを浮かべて踊りだす小夏。
紗幕があがり、女性ダンサーたちのセクシーなダンスが始まる。バックダンサーは聖花まい、雫花ちな、瞳ゆゆ、鞠花ゆめ。
4人とも、いえ、小夏いれて5人とも超可愛いです。はい。リリアンダルマ…とはいわないのかな、ひらひらした幅広のリボンが足元にゆれる、セクシーなダルマ姿なのに、まっっったく退廃感がないのはすみ花ちゃんの個性なんでしょうか。後ろの4人のほうが、それぞれにコケティッシュな小悪魔感をだそうとがんばってました。
すみ花ちゃん、立場的に必要とされる技術的なものには文句無いんですけど、こういう場面をやらせると、ただ若いだけじゃなくて本当にピュアすぎてしまうんですよね……うーん、ショー場面の一つとしては華やかでいいんですけど、ちょっと“場末のキャバレー”って感じはしなかったかも。
芝居としては十分“落ち目の元スタァ”になれているので、あとはショーでも七変化できるように女を磨いてくだされば、大劇場でも十分真ん中が務まると思うし、めちゃくちゃ楽しみにしています♪♪
音楽が変わって、男性ダンサーが登場。噂の(私の回りだけかも?)お2人です。煌雅あさひ&輝良まさと。この2人って90期と91期だったのか…。若いなあ。私が花組エンカレでアーサーに惚れたとき、研いくつだったんだ?
スパニッシュ系の紅い衣装に身を包んだ2人。まずはアーサーが小夏に絡む。色っぽい振付です…たぶん。うーん、すみ花可愛い………(*^ ^*)輝良くんと絡んでるときよりは、アーサーとの方が少しは色っぽいかな。さすが一学年とはいえ先輩は違いますね。
誘うように下手奥のテーブルへ向かい、そこでまたひとしきり2人に絡む小夏。ここ、初演と振り付け同じなんでしょうか…。なんだか、「あはは、うふふ」っていう声が聞こえてきそうな、なんだか幸せそうな3人に見えるのは気のせいでしょうか(←気のせいです)。ちょっと絡んで、ふいっと離れる間際に見せる微笑が、本当に可愛くって、たまんないんですけど。
アーサーも輝良くんも、真剣に「誘惑されてます僕」的な顔をしているから、楽しそうで幸せそうな小夏との対比で、面白い場面になってました。いっそ、“場末のキャバレー”っていう無理のある場面コンセプトをあっさり捨てて、「仲良し三人組のピクニックダンス」くらいの改変をしてしまえばいいのに!(←落ち目の女優はピクニックにはいかねぇだろ…)
音楽が変り、また女の子たちが戻ってきたあたりで、スターダンサー・光子(小夏)のヒモ(橘)が乱入してくる。
短銃を手に。
光子を銃で脅し、「お前は俺なしじゃ生きていけねぇんだよ(だから戻って来い、と続くのでしょう)…」と言ったあたりで、小夏が具合を悪くして倒れてしまう。
小夏が倒れたとき、とっさにびっくりして腕の中の小夏を支えるめおちゃんの腕の優しさが結構好きです。なのに、言葉ではいじめっ子なところがそそる。
「銀の字にせよ、水原にせよ、京都での仕事はろくなことがねぇなぁ」
という、その独特のリズムに乗った喋り方にかなりはまってます(笑)。
さて。
ちょっと考えてみたこと。場面の場所と、時間経過。
オープニングの「会議」は、まぁなかったことにして。
第一場の「オープンセット」は、太秦の東映映画村(旧撮影所)をイメージしているんでしょうか?あそこって京都駅から案外遠いので、顔も着替えもそのままでタクシーに飛び乗らないと40分後の新幹線は厳しいと思うんだけど…。あのとき、橘の顔はキスマークでいっぱいだったよな……いや、まぁ、そんなことはどうだっていいんですけど。
で、「御開帳」の場面があって、そこに小夏がお弁当を持って現れる。そして、そのままの衣装で撮影に臨む。その中に橘が出演していて、しかも「京都での撮影は…」と言ってるってことは、このドラマの撮影も京都で行われているってこと。
橘が、化粧を替えて、衣装を替えて、坂本竜馬からヒモになって、40分後の新幹線に乗ることは、物理的に不可能。
ってことは、「新撰組」の撮影から「ねぇ監督、この映画の主役は俺なんですかい?」の間に、1日や二日の隙間があるってことなんでしょうかねぇ…?
ちなみに、小夏がこのとき撮っているのはテレビの映像(「ブラウン管の前の視聴者には…」)です。たぶん、ドラマの一場面なんでしょう。
橘には都会的でシャープなイメージがあるので、それなりにテレビでも売れてるんだけど、銀ちゃんはちょっと古臭いタイプのスターで、映画にしか出てない…だから、あんまり一般的な知名度がない、っていうイメージで、合っているんでしょうか…。
銀ちゃんたちは、「映画スター」の最後の世代、ってことになるんでしょうね、多分。それ以降は、渥美清みたいな例外をのぞいて、「テレビに出ない、映画だけのスター」は存在しえなくなっていったはずだから。
…ま、石田作品なので、あんまり厳密な時代考証を考えても意味がないんですけどね。現代ネタもたくさん出てくるし。衣装もかなりてきとー(っていうか強烈)だし。
小夏が倒れて、撮り直しになったところで「俺はもう当分無理だよ~」と、また不思議なリズムに乗って言う橘さん。
橘「東京でクイズ番組のレギュラー回答者に選ばれたんだ~ピンポンピンポ~ン」
身振り手振りつきで。いやー、素敵だわめおちゃん。
スタッフの真瀬はるかさんが、本当にいい声で「撮影放棄でファイナルアンサー?(アドリブあり)」と訊くのにいつもうっとりします。何度でも書きますが、本当に巧いです、この人。
立ち去る橘に「ちょっと待って~~!!」と追いかける様が面白い。
机に突っ伏していた小夏が、ふと顔をあげて、待機している女の子たちに言う。
「ごめんなさいね」
4人はニコニコ笑顔で「いいのよお~」「お大事にね♪」と言いながら。
くるりと背を向けた瞬間に
「水原小夏!どうしちゃったんだろうねぇ」
「噂じゃ男に捨てられて酒びたりらしいわよ」
「一世を風靡した女優も、」
「今じゃ事務所のお・に・も・つ!」
噂、噂、噂…。
ぱちん、と弾けるように笑う女の子たちの残酷さが、「スター」という看板を背負う人の影なんだろうな、と思わせる場面。最後にトドメをさす鞠花ゆめちゃん(?)の、小悪魔的な可愛らしさと鮮やかな台詞回しが印象的です。
女の子たちの陰口を、ひそかに聞いていた小夏。
橘がおいていった小道具の短銃を頭にあてて……
暗転。
そして、銃声。
第三場A カラオケスナック「ししとう」
ここは……えーっと。
まず一つ忠告。初めての観劇の時は、下手奥はなるべく見ないようにして、舞台前面の銀ちゃん一党の芝居に集中してください。
うっかり下手奥を観てしまったら、もうそこしか見えなくて、話がさっぱり見えなくなりますから(T T)
下手奥の謎に挑戦したい方は、2回以上ご観劇くださいね♪
というわけで、下手奥のさあやと嶺乃くんについては、今回は触れません。
ぜひ、その目でじっくりと(二回目以降に)ご覧ください。
舞台前面。
前場からの続きのように、小夏の構えとそっくりそのまま、銀ちゃんが短銃を頭にあてている。
毎回見事な転換だなあ、と感心します。
後ろから短銃を取り上げて、「駄目じゃないですか!小道具からこんなもの持ち出して!」と叱るヤス。
完全に酔っ払いの絡み酒で、「俺、死にてぇよ…」と泣き喚く、銀ちゃん。
そこにかかる、名曲「みちのく一人旅」。『ここで一緒に死ねたらいいと』ってアレです。
「死にてぇよ」と「ここで一緒に死ねたらいい」と。あまりのタイミングの良さに、一瞬呆然とする銀ちゃん一党。でも、ヤスが咄嗟に手拍子をはじめて、盛り上げようとする。
そんな彼らの気持ちもお構いなく、銀ちゃんは嘆く。
「売れてねぇんだよ、俺…売れてねぇんだよ。だってさぁ、さっきからこの店、小一時間もいるのに、だぁ~れもサイン頼みにこないもんねぇ~~↓↓↓」
銀ちゃんのそんな嘆きに、右往左往する子分どもが超可愛いです。
細かくは覚えていないのですが(というか、毎回違うような)、カウンターの方に行ってカウンターの客かママ(月野姫花)に頭下げて頼んでたのはマコト(夕霧らい)かな?ジミー(望海風斗)は、銀ちゃんについていたような…。とりあえず、店の中をみて肩を落とすトメさん(日向燦)がとても好きです。
ちなみに、サインを貰いに来そうにない客は、全部で5人。カウンターにいるのが桜帆ゆかりちゃん、真ん中奥のカップルが初輝よしやくんと菜那くららちゃん、そして下手奥のカラオケ組が、さあやと嶺乃一真くん。
…あ、下手奥を視ちゃった。いけないいけない、舞台中央に戻りましょう。
銀ちゃんが、テーブルのボトルを掴んでラッパ飲みし始めると、いったん解散していたメンバーがよってたかって取り上げる。子分どもは、マコト以外はみんな小さいので、基本的に銀ちゃんが何かしても敵わない(手が届かない/笑)というネタになっているんですが、マコトもあえてここは小さく膝を屈めて、負けてあげているんですよね。可愛いなあみんな。
「てめぇら大部屋に、俺の気持ちがわかってたまるか!」と暴れた銀ちゃん、後ろに回って、下手奥のカラオケ組からマイクを奪い取る。
さあやから解放されてちょっと安心した感じの嶺乃くん(^ ^)。喉元を緩めた、ちょいセクシーな姿。
完全に傍若無人な酔っ払いと化して部下(?)にセクハラしまくりの秘書・さあや(←衣装がそのままだから、秘書のままと思っていいんですよね?)は、トメさんに羽交い絞めにされたまま、暴れまくり。せっかくのタイトスカートが……デキる美女が、台無しですよ中山さん。
ちなみに、さあやが頭に巻いている赤いチェックのネクタイは、本来嶺乃くんがしているはずのネクタイなんですよね…?(さあやがネクタイを持っている理由が無い)その背広にそのネクタイ?銀ちゃんじゃなるまいし、ちょっとセンスを疑うわ>嶺乃くん(←いや、嶺乃くん本人が決めたんじゃないから…)。
って、あぁいかん、だからそこは観ちゃいけないんだってば。
銀ちゃんに戻りましょう、銀ちゃんに。
マイクを奪いとった銀ちゃん、ママに難癖をつけ、真ん中奥のカップルテーブルからボトルを取り上げて撒き散らし……暴れまわった末に、ジミーとヤスに取り押さえられる。
それでも、そんな枷はものともせずに暴れ回り、トメさんを蹴り、ヤスを蹴り、、、興奮しきって、
ぽろっ、と、鼻の血管が切れてしまう…。
トメさん「銀ちゃんの鼻血はいりまーす!」
マコト「はい、よろこんでー!」
というやり取りは、ドラマシティの最初はちょっと外し気味だったのですが、後半嵌ってきてからどっかんと笑いが出るようになりました。ホントおかしいです。抜群の間。
「銀ちゃん、水でも呑んで少しおちついて…」
というマコトに、頭ごなしに
「おめぇ、俺に命令すんのか!?」
と難癖をつける銀ちゃん。
止まらない罵詈雑言の嵐に焦れたヤスが、いきなりカウンターに走る。
ナイフを掴んで、テーブルに突き刺して、場をとめて。
「銀ちゃん、いったい何が気に入らないんですかっ!」
キレた眼、というには、みつるくんのヤスは全体の雰囲気が可愛らしすぎるのですが。
でも、テーブルから抜いたナイフを見る眼つきは、結構イッちゃってて怖さがあったと思います。
「俺、銀ちゃんのためだったら……」
その思いに凝り固まって、他のものは何もいらない、と、思いつめた瞳。
ナイフを振り回すヤスを、心配そうに追いかけるメンバーたち。特に、奥のテーブル席のカップルを守ろうと、必死で手を広げて眼をつぶるジミーがめちゃめちゃ可愛いです。
そこに聴こえてくる音。銀ちゃんの高鼾。
一気に空気が弛緩する。
っていうかさ、ヤスもみんなも、酔っ払いの戯言に真面目に対応しすぎなんではないでしょうか…。
愛くるしいキュートな若いチーママが、「あんたたちの映画のことが出てるよ!」と新聞を渡す。
そこに載っているのは、監督の談話。
「滅びゆく新撰組の、集団のエネルギーを表現したい」、と。
ヤスに庇われて、安心して寝ていたはずの銀ちゃんなのに、なぜかそういう嫌な話は耳に入る。
「俺のアップ撮ってる振りして、群集撮ってやがったのか…やっぱり俺、主役じゃなかったんだ
な…」
切ない呟き。
今の、声がかすれまくっている祐飛さんの「切ない呟き」は、なんというか、最終兵器って感じに色っぽいです。思わず駆け寄って、抱きしめてあげたいって感じ。「大丈夫よ、ちゃんとあなたが主役よ」って、言ってあげたい気がするんです。
…たとえ、それが嘘だとわかっていても、そう言ってしまうのが女だと思う…。
さて。
公演をご覧になったみなさま。
この「ししとう」の場面、わずかに5分弱だって知ってましたか!?
この間にも、さあやと嶺乃くんが汽車ポッポをしていたり、カップルの片割れだったハズの菜那くららちゃんが、さあやの紹介で嶺乃くんといい雰囲気になって、肩を抱かれて出て行ったり、くららちゃんの代わりに初輝くんの隣にちゃっかり座り込んださあやが、今度は初輝くんにセクハラしようとしていたり、上手のカウンターの方はあまりちゃんと見る暇がないほど忙しい、密度の濃い5分間。
いやー、何度も書きますが、とにかく下手を観るのは、二回目以降まで待ってくださいね。
銀ちゃんチームもがんばってますので、一回くらい観てあげてください…。
ってなとこで。
次回は、銀ちゃんの『最高の』テーマソングからの予定☆
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