花組公演「銀ちゃんの恋」第一場B オープンセット/時代劇



軽快な音楽(ちゃんかちゃんか、って感じの/笑)に合わせて、立ち回りの撮影風景。
センターに土方歳三役の銀ちゃん(大空祐飛)、その後ろに沖田総司役のジミー(望海風斗)、マコト(夕霧らい)、煌雅あさひ、輝良まさと。
舞台前面には、こちらに背を向けて新撰組に対峙する、浪人役のヤス(華形ひかる)、トメ(日向燦)、嶺乃一真、初輝よしや。

見得をきって敵を睨みすえる銀ちゃん土方の、“上段の構え”を越えて頭の真上に剣を構える構えって…ああいうものなのでしょうか?土方の構えは。あれじゃあ力が入らないし、大振りになるだけだと思うんだけどなぁ。まぁ、土方の剣の腕はたいしたことない(“壬生の狼”と恐れられていたのは土方じゃない)っていう説もあるみたいなので、どうでもいいことかもしれませんが。

殺陣の斬られ役っていうのは、経験がものを言うので、下級生ばかりの今回の殺陣はちょっと厳しかったような気がします。殺陣師も映画界の殺陣師さんなので、普段の宝塚らしい殺陣とはちょっと違いましたしね。
花組さんって、殺陣のあるような江戸ものは…轟さんが特出した「野風の笛」以来?……いや、さすがにそんなことないだろう、きっと。月組も大劇場こそ覚えがないけど、中小劇場ではちょこちょこやっているし。苦しいなりに、みんな工夫してがんばってましたね。「キン、キン、ズサッ」ってう刃の音にちゃんと合わせていたところとか、みんなすごいなーと思いました。






下手にスタッフ陣登場。大道寺監督(悠真倫)、助監督の鈴木(白鳥かすが)、カメラマン(紫峰七海)。
ちょっと派手目な銀ちゃんの立ち回りを、追いかけるカメラ。フィルムが見るからに紙製なのがちょっと笑えますが、意外とカメラ本体のつくりは本格的です。
監督はゆったりとディレクターズチェアに座り(10ヶ月前には祐飛さんが座っていたアレですね)、回りをちあきがぱたぱたと飛び回る。きっと本当にあんな感じなんだろうなあ、監督と助監督の関係って。




銀ちゃんが何回目かのポーズを(カメラに向かって)キメたところで、その前をすーーーっと横切るヤス。同時に銃声が何発か響き、上手から派手な着物で芸者(菜那くらら、桜帆ゆかり)を両脇に抱えた坂本竜馬の橘(真野すがた)が上手から登場。




「ばっかやろう!てめえ今、キャメラの前を横切りやがったな!今のは俺のアップだぞ!」
ヤスの胸倉を掴み挙げて怒鳴りつける銀ちゃんは、そのまま下手の花道、いえ花道ではないんですけど、下手の舞台へりへ。
椅子に座らせ、鬢のあたりを直し、化粧も軽く直してかいがいしく世話するトメさん。
必死にうちわでパタパタ扇いでいるマコト。
一番下手で(…あれ?何をしてるんだ?何か世話をしてたと思うんだけど。銀ちゃんの刀の手入れかな?)しゃがんでいる、ヤス。


……まだ撮影は続いていて、新撰組はみんな出てるのに、マコト、あんただけそこに居ていいんかい?と思うんですが…




舞台中央では、短銃を構えた坂本竜馬が、刀を構えた沖田総司に気づく。
ぽいっ、という感じで芸者二人を投げ捨てて(←酷い)、

「会いたかったぜよ総司!」
「あんまりつれなくするもんじゃないぜよ。わっしの心は、でりけーとにできとるんじゃき!」

…ようするに幕末純情伝ネタなんですね、はいはい。
ここで、坂本に口説かれておろおろしているだいもんの総司が、死ぬほど可愛いです。あんなに可愛く嫌がったら、逆に燃え上がるにきまってるだろう。…確信犯としか思えん…。
それにしても、土方歳三主演の新撰組もので、大部屋役者が沖田総司を演じるなんてあり得ないと思うんですが。どうなんでしょうか。やらせてみたい気持ちはわかりますが。




長い長い、坂本竜馬と沖田総司のキスシーンの間に、本舞台は暗転。下手花道にライト。

「なぁヤス、橘のカット、これで何カット目だ?」

えーっと、と指折り数えて答えるヤス。15カットだそうです(Culさまご教示ありがとうございます)。そして、このときちょっとあらぬ方に視線を泳がせるトメさんは、とても芸が細かいと思いました。そして、な~んにも気づいてないらしいマコトが可愛い。

「…んで、俺は」

「3カット」

即答。だって、……数える必要、ないもんねー。

間髪いれずに、マコトを蹴り上げる銀ちゃん。涙目なマコト。
思わず目を背け、腰がひけてるトメさん。

「この映画は俺の主演映画だよっ!?」

嘆きながら向き直ってヤスを蹴り上げ、後ろのトメにエルボーを食らわす。

「今だってさぁ、俺の台詞なんてどんどんカットされて、橘と俺と、どっちが主役かわかんねぇよお~~~っっっ」

いいながら、椅子の上で身悶える銀ちゃん。…それがあまりに激しくて、椅子ごとどんどん進んでしまうのがメチャメチャおかしいです。ノンさんも同じようにやっていたと思っていたんですが、“椅子ごと進む”のはなかったらしい。……祐飛さんの駄々が最強ってことか?

「そりゃあもちろん、銀ちゃん主役っすよ!」

殴られても蹴られても、ヤスはそう答えるしかない。だって、ヤスの世界には銀ちゃんしかいないんだから。
今は、まだ。

何事か思いついた銀ちゃんは、手下どもを集めて何事か耳打ち。渋る彼らを団扇でペシペシはたきながら、撮影に戻る。




本舞台にライトが入って。
対峙する土方と竜馬。

橘「おんし、誰じゃい!」
銀「わーぁーーーたーぁーーーしーぃーーーはーーーぁー………」




くぅっ、と、椅子の上でずっこける監督。
思いっきり助監督をドつきながら、二人で腕をぐるぐる回す(←巻いて巻いて!の合図)。

もちろん、銀ちゃんは見やしない。
無視して、カメラに向かってたーーーーっぷりと百面相、いや、キメ顔を撮らせている。





今回の、演出的ハイライト、切り札を早速使う石田さん。
暗転中だったか、光が戻ったときだったかに、天からミニのスクリーンが降りてくるんですが。
そこに、この銀ちゃんの百面相、違う「キメ顔連写」をしっかり映してくれるんですよ。
これは、「Hollywood Lover」のオープニングに引き続き、舞台における映像の使い方としてベストなやり方だったと思います。


で。
何回か回を重ねてみるうちに、ふみかちゃん撮り方うまくなったなーーーーっ(^ ^)とか勝手に思っていたのですが。

……もしかして、録画なのかな、あれは?
カメラも本格的だし、袖まで続く尻尾(コード)をひきずってるし、しかも、私が観た回で一回、動画が出なくて静止画で誤魔化した回があったので、絶対ナマだ!とずーっと思っていたのですが……どうなんでしょうか。ナマであんなに見事に毎回構図ばっちりの絶妙なアングルで撮れるんだったら、ふみかはプロになった方がいいんじゃない?(んで、宝塚作品のビデオ撮りを全部任せたい!)って感じだしなー。

どうしたって映像より舞台のナマの役者を見るのがメインだから、映像はちらちらっとしか見て
いなかったのですが。
一度、じっくり観てみたいと思います。っつーか、DVDの特典映像に入れてほしい!お願いします!>TCA様






坂本竜馬と斬りあっていても、お互いカメラに映ろうと必死で、あるいは相手のアップを邪魔するのに必死で、まるでダンスでも踊っているかのような銀ちゃんと橘。
このときの橘さんの必死さがすごく好きです。銀ちゃんが必死なのは当たり前だけど、橘も負けないくらい必死なの。めおちゃんって割とクールというか冷めたキャラクターが多かったけど、こういうアツさも持っているんだなーと思いましたね。
しつこく銀ちゃんとカメラの間に割り込もうときょろきょろしているのが、すごく素敵。


そんな二人の争いの中で。
『銀ちゃんはいつも言ってた。スターは、芝居の呼吸とか、そんなこと考えちゃいけねぇんだ、って。主役はふんぞりかえってりゃあ、芝居は回りの芸達者がしてくれるもんだ、って!』
ヤスのモノローグ(録音)。内容はどうかと思うけど、一面の真実なんですよね。お能なんていうのはその最たるもので、「シテ」と「ワキ」は、そもそも家系が違うわけです。ワキにはワキの大事な仕事があって、シテの片手間にはやれない。専門職なんですね。
しかーし、あえて大空祐飛がやっている役についてそうコメントされると……ちょっとフクザツ。祐飛さんは決して「ふんぞりかえってる」主役型の役者ではないので。かといって「周りの芸達者」になれる人でもないしなぁ………(^ ^;ゞゞゞ



で。
そんな小難しいことはどうでもいいくらい、上手で腕を組んで(←だから殺陣の最中だっての)(←どうせ銀ちゃんと橘のアップだから大部屋は映らないもーん)、うんうんうなずいているヤスが、滅茶苦茶可愛いです。はい。







「銀のアップ、撮ってやれ。そしたら台詞言うから」

すっかり悟りきってカメラマンに指示する監督(←その間にも、助監督に八つ当たりしまくり)




そして、


…橘の隙を探している、銀ちゃんの手下たち。





そうそう。
このあたりは舞台と映像を観るのに必死で、あんまり両脇を見ている余裕がないのですが。この辺で、橘のマネージャー(紫陽レネ)が上手に登場してますよね?確か、芸者さんたち二人と上手の花道もどきのところに固まっていて、彼の持っている音の出るおもちゃ(京都土産か何かか?)の音が出てしまって大慌て、という一幕があるんですが。
…紫陽さんのファンの方、あそこで何が起こっているのか教えてください……(お願い)



たしか、銀ちゃんが完全にカメラを独り占めして百面相やっているのに焦れた橘が短銃の引き金を引くんだけど、弾がねい!ねぇ~!」叫ぶ、という場面の前後だったと思うんですが<マネージャー






…そのあたりできっかけを掴んだ銀ちゃんの部下たちが、思いっきり橘を取り押さえてしまい、思う存分銀ちゃんに場面を与えます。
橘を助けようと襲い掛かってくる“橘の部下”たち。新撰組同士で取っ組み合っているのがめちゃめちゃおかしい(笑)

で、張り切った銀ちゃんが「わたくしがぁ、ぁひぃ~じぃ~かぁ~たぁ~」ってやりはじめたあたりで、



フィルム切れで撮影終了。


監督は、鈴木にトドメをさしてましたね…。




橘さんは(銀ちゃんと違って)売れっ子なので、この後すぐに別の撮影があるから「すぐに京都行きに乗らなくちゃ」いけなくて、「もう無理だよ~♪」と言い置いて去っていきます。このときの、めおちゃん独特のリズムに乗った喋り方が最高に楽しい。
撮り直しが決まって、慌てて橘を追いかける鈴木。あの情けない走りっぷりが、ちあきの可愛いところです。




あらためてプログラムをみると、作曲・編曲は高橋城/甲斐正人なんですねぇ…。初演が久世星佳、風花舞、汐風幸。再演が大空祐飛、野々すみ花、華形ひかる。なんというか、腕の揮い甲斐があるような(いかにボロを出させないかが腕のみせどころ、って意味で)ないようなキャストだったんですねぇ。……いや、そもそもテーマ曲が既存の名曲「蒲田行進曲」なんだもんな。やぱり腕の揮い甲斐は無いほうかな。
でも、BGMの音楽はどれも最高なんですよ。場面に見事に色がつく。リズムが楽しくて、BGMになりきらない、主張のあるBGMなんですよね。ああいうのを存分に生かせるところは、石田演出のいいところなのかもしれません。






この後は、「階段落ち」の中止に異を唱える銀ちゃん一家(←土方歳三の名場面だもんね)と監督の言い争いがあって、「階段」のご開帳、となりますが。



この調子で書いていったら楽が終わっても終わらないことに気がついたので、次からは少しスピードアップしたいと思います。がんばります。………無理かもしれませんが。





コメント

nophoto
りんご
2008年10月19日13:16

 初めまして。これまでもたびたびお邪魔していましたが、コメントを書き込むのは初めてです。来週観劇予定の「銀ちゃんの恋」ですが、みつきねこさまのブログを読み、ますます楽しみになってきました。いつもとても丁寧に感想をお書きになっており、すごいなあと思っていました。どうかスピードアップなどと言わず、これまでのペースでじっくり感想をお書きください。(なんて言ったら叱られます?)みつきねこさまのブログを読んでいると、まだ見ていない舞台が想像できてワクワクします。続きを楽しみに待っています。

nophoto
Cul
2008年10月19日15:17

こんにちは。
詳細な感想にうんうんそうだったとニマニマしながら読ませていただいてます。
(あ、橘は15カットでしたね。)

ジミーの沖田は、常の芝居が認められての若手の抜擢なのでは?と想像しとります。
少なくとも銀ちゃんが頭下げて貰ってきた役ではないし(それならセリフない役だもんね)、銀ちゃんは沖田ジミーにはノータッチなので(まぁ子分に嫉妬なんてカッコ悪い真似もできないし)……
で、ジミーはヤスが拾ってきたエピソードを聞いて、銀ちゃんにとってジミーは「自分の子分」じゃなくて「自分の子分であるヤスの子分」認識もちょっとあるのかな〜と。
まぁヤスがめちゃくちゃ自分のもの(←いや子分)だから、銀ちゃんファミリー認識でかまわないんでしょうが。

あと実はジミーの芝居はヤス仕込みなんじゃないかとの疑惑があって…銀ちゃん仕込みじゃない(クサい芝居じゃない)から、役がついた…ってことはないでしょうか?(汗)
これは「銀ちゃんがいないとヤスは銀ちゃんみたいになる」エピソードからの想像ですが…ありえなくないですか?

実は、ジミーの顔が可愛いのでアイドル売りして当たれば儲けもんみたいな会社の企みか、日頃のジミーを見てて芝居的に気に入った専務あたりの口利きか、自分の映画に新しい風を入れたい監督の考え、クランクインしてから橘とジミー萌えした脚本家のワガママな変更なのかはわかりませんが…。
私も可愛い沖田ジミーだいもんお気に入りです♪

なんか偏った上に長くってすみません。
楽しみにしてますので、これからもじっくり書いてくださると嬉しいです。

みつきねこ
2008年10月19日23:02

Culさま♪
15カットでしたかー。ありがとうございます。本文は訂正させていただきました。

>少なくとも銀ちゃんが頭下げて貰ってきた役ではないし(それならセリフない役だもんね)
なるほど!確かにそうですね。

>実は、ジミーの顔が可愛いのでアイドル売りして当たれば儲けもん
そうなんですよー。私はずっとそう思っていて、でもジミーは銀ちゃん一門(ジミーにとってはヤス一門?)に居たいと思ってああいう行動をとっているのかな、と。
でも、この映画が公開されたら、準主役(橘)の恋人(…?)役のジミーは、絶対取材とか入りまくりますよね。あの美貌だから、ぜったいアイドル映画の二番手くらいの役が来て……
ああ、銀ちゃんとヤスが二人で拗ねまくりそう(^ ^;
そして、トメさんとマコトがおろおろしていそう!!観た~い!

>私も可愛い沖田ジミーだいもんお気に入りです♪
本当に“美少年”ですよね~!髪もほわほわで、天使みたい。あれで新公では渋くて怜悧なイブラヒムさまをクールに演じきっちゃうんだもんなあ…。
さらなるご活躍、お祈りしています~♪

みつきねこ
2008年10月19日23:07

りんごさま☆
こんばんは!コメントありがとうございます♪

来週ご覧になるんですね。ぜひぜひ、お楽しみに!
結構スゴイ話なので、気合を入れてご観劇いただけると嬉しいです♪専科の邦さんから下級生まで、みんながんばってますよ~♪

ではでは、私もがんばって(楽しく)書かせていただきます☆また遊びにいらしてくださいね☆

nophoto
はにはに
2008年10月20日15:29

今日初日ですね♪私は週末まで予定なしなので、どうぞながーーいご報告を楽しみにしています。
本当にりんごさまと同様舞台が想像できて、わくわくします♪

みつきねこ
2008年10月21日2:20

はにはにさま♪そんなぁ~、私のつたない日記なんかで想像してるばっかりじゃつまんないですよ~!お忙しいでしょうけれども、ちょっと足を運んであげてください~(T T)