アプローズ -喝采-
2008年9月30日 ミュージカル・舞台 コメント (5)東京グローブ座にて、ミュージカル「アプローズ」を観てまいりました。
※ちなみに、有吉京子さんの漫画とは全く関係ありません(^ ^)
「アプローズ」は、1970年にトニー賞を獲った名作ミュージカル。
映画「イヴの総て」を元にしていますが、映画版のタイトルロールであるイヴではなく、その先輩の大女優マーゴが主役。日本初年は1972年、劇団四季。その後何度か再演されましたが、1983年の公演で主役マーゴを演じたのが、当時○歳の前田美波里。
今回の公演は、劇団四季とは直接関係はないようですが、26年ぶりにマーゴを演じる前田美波里を主演に迎え、その相手役としてビルを演じたこともある浜畑賢吉を演出に迎えての公演でした。
マーゴの恋人・ビル(演出家)は、バリトン歌手で普段はオペラを主戦場にしている「二期会のプリンス(←プログラムにそう書いてあったんだもん!)」、宮本益光。
マーゴの友人・ドウェインには、俳優の佐野瑞樹。
ヒット脚本家のバズとその妻に、オペラ&ミュージカルの越智則英と、元四季の駒塚由衣。
プロデューサーのハワードに、俳優の倉石功。
主題曲「アプローズ」を歌う役者の卵に、宝塚OGの紫城るい。
そして、影の主役・イヴ役は、宝塚OGの貴城けい。
40年も前に作られた作品とは思えない、内容の濃い名作でした。
芝居としてもとても良く出来ていて、映画を観てみたくなりました。
役者も皆素晴らしかった~!!
特に、ビルの宮本さんとイヴのかしげ(貴城)ちゃんは、もう他のキャストが考えられないくらい嵌り役で、素晴らしい!!女優として走り始めたばかりのかしげちゃんは勿論ですが、宮本さんは、ぜひぜひまたミュージカルに出てほしい!と思いました。
名だたるミュージカル俳優の誰よりも素晴らしい歌声で、歌による芝居がきっちりと出来て、
歌じゃなくて台詞の芝居もそこそこやれて、しかも、オペラ歌手にしては細身でスタイル良くてカッコいい(*^ ^*)。なんて完璧なんだ!!
ぜひ、ハイバリトンの中年男性で包容力のある美声を必要とする役……
市村正親さんがザザを引退した後のジョルジュとか?(*^ ^*)、「レベッカ」とか…?
……ぜひとも、コンサートでもいいので聴いてみたいですっっっ!!
ちょっと宮本さんで頭がぶっ飛んでしまいましたが。
かしちゃんも、本当に良かったです。一幕での野暮ったさと、二幕での変身ぶりの素晴らしさ。
メークやかつらだけでなく、姿勢から喋る声、ちょっとした仕草まで、一分の隙も無い変身ぶりが本当に見事でした。
…少なくとも、私が観た中ではかしちゃんのベストアクトですね、今回のイヴ役は。
今後も、ご活躍をお祈りしています!
(紫城)るいちゃんは、可愛かった!
「アプローズ」という歌は、音域は広いし、音程は微妙だし、フレーズがぶつ切れになりがちで、歌いにくい難しい歌なのですが、よくがんばっていたと思います。……ま、まだまだ上を目指してほしい感じではありましたが。
でも。ジョー・アレン亭にたむろする「役者の卵」たちのリーダーとして、パッと目を惹く華やかなオーラと、駆け出しではない貫禄があったのが凄く役に合っていて、芝居の役としてはとても良かったと思います。歌で心情を表現する技術がずいぶん身について、わずか二年でこんなに変わるのか、と思いました。
そして。
「アプローズ」という、この作品のテーマ曲を歌うのが、スターたちではなくアンサンブルであるということが、映画をミュージカル化するときのキモだったんだろうな、と思いました。
「拍手があたしを燃やすの」
「とり憑かれたの魔法の音 アプローズ(拍手)に」
場末の酒場ジョー・アレン亭にたむろする“ジプシー”(コーラス)たちが、歌い、踊る。
「あの音の虜だわ、アプローズ!」
意地悪な新聞記者に
「どうしても金が必要になったら、どっちを売る?ダンスシューズか、自分の母親か」
と問われて、即答する青年。
「おふくろ」
……迷いも無く。
彼らは選ぶのだ。
世界のすべてよりも、アプローズを。
だけど、
スポットライトの中にいるスターは、どうする?
我侭で気紛れで躁鬱で、実は気が小さくて不安神経症気味な大スター・マーゴが、最後に択ぶものは、何か。
イヴが求めたものは、なんだったのか。
……そう。
ひとりの観客として、素晴らしい作品に酔い、物語を愉しみながらも、
幕切れのマーゴの選択に、微かな淋しさをおぼえたことも、事実ではあります。
それは、この名作ミュージカルが「舞台作品」だからこそ、
舞台の上でスポットライトを求めて蠢いている「彼ら」の叫びを直に聞いてしまう作品構成だからこそ感じずにはいられない後味の苦さであり、
その苦さを呑みこんで、はじめてわかる“大人の味”なのだと思いました。
少なくとも。
もしもこの作品に、もっと若い頃に出会っていたならば、私は、あのラストに凄く理不尽な思いをしたかもしれません。
でも、今はもう、マーゴの選択を祝福することができる。
彼女のラストソングを、一抹の寂しさを感じつつ受け入れることができる。
そうすることで初めて、この物語が「イヴの総て」ではなく、「アプローズ」の物語に、なるのです。
ひたむきにアプローズを、“光”を求めることができる【若さ】と、
アプローズの重みを支えきれなくなって、柔らかな優しい“闇”を求め始める、【老い】。
そんな、
“時間”という名の魔法使いの残酷な所業に想いを馳せながら、彼らの夢に酔う3時間を。
ぜひぜひ、のぞいてみませんか?☆
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※ちなみに、有吉京子さんの漫画とは全く関係ありません(^ ^)
「アプローズ」は、1970年にトニー賞を獲った名作ミュージカル。
映画「イヴの総て」を元にしていますが、映画版のタイトルロールであるイヴではなく、その先輩の大女優マーゴが主役。日本初年は1972年、劇団四季。その後何度か再演されましたが、1983年の公演で主役マーゴを演じたのが、当時○歳の前田美波里。
今回の公演は、劇団四季とは直接関係はないようですが、26年ぶりにマーゴを演じる前田美波里を主演に迎え、その相手役としてビルを演じたこともある浜畑賢吉を演出に迎えての公演でした。
マーゴの恋人・ビル(演出家)は、バリトン歌手で普段はオペラを主戦場にしている「二期会のプリンス(←プログラムにそう書いてあったんだもん!)」、宮本益光。
マーゴの友人・ドウェインには、俳優の佐野瑞樹。
ヒット脚本家のバズとその妻に、オペラ&ミュージカルの越智則英と、元四季の駒塚由衣。
プロデューサーのハワードに、俳優の倉石功。
主題曲「アプローズ」を歌う役者の卵に、宝塚OGの紫城るい。
そして、影の主役・イヴ役は、宝塚OGの貴城けい。
40年も前に作られた作品とは思えない、内容の濃い名作でした。
芝居としてもとても良く出来ていて、映画を観てみたくなりました。
役者も皆素晴らしかった~!!
特に、ビルの宮本さんとイヴのかしげ(貴城)ちゃんは、もう他のキャストが考えられないくらい嵌り役で、素晴らしい!!女優として走り始めたばかりのかしげちゃんは勿論ですが、宮本さんは、ぜひぜひまたミュージカルに出てほしい!と思いました。
名だたるミュージカル俳優の誰よりも素晴らしい歌声で、歌による芝居がきっちりと出来て、
歌じゃなくて台詞の芝居もそこそこやれて、しかも、オペラ歌手にしては細身でスタイル良くてカッコいい(*^ ^*)。なんて完璧なんだ!!
ぜひ、ハイバリトンの中年男性で包容力のある美声を必要とする役……
市村正親さんがザザを引退した後のジョルジュとか?(*^ ^*)、「レベッカ」とか…?
……ぜひとも、コンサートでもいいので聴いてみたいですっっっ!!
ちょっと宮本さんで頭がぶっ飛んでしまいましたが。
かしちゃんも、本当に良かったです。一幕での野暮ったさと、二幕での変身ぶりの素晴らしさ。
メークやかつらだけでなく、姿勢から喋る声、ちょっとした仕草まで、一分の隙も無い変身ぶりが本当に見事でした。
…少なくとも、私が観た中ではかしちゃんのベストアクトですね、今回のイヴ役は。
今後も、ご活躍をお祈りしています!
(紫城)るいちゃんは、可愛かった!
「アプローズ」という歌は、音域は広いし、音程は微妙だし、フレーズがぶつ切れになりがちで、歌いにくい難しい歌なのですが、よくがんばっていたと思います。……ま、まだまだ上を目指してほしい感じではありましたが。
でも。ジョー・アレン亭にたむろする「役者の卵」たちのリーダーとして、パッと目を惹く華やかなオーラと、駆け出しではない貫禄があったのが凄く役に合っていて、芝居の役としてはとても良かったと思います。歌で心情を表現する技術がずいぶん身について、わずか二年でこんなに変わるのか、と思いました。
そして。
「アプローズ」という、この作品のテーマ曲を歌うのが、スターたちではなくアンサンブルであるということが、映画をミュージカル化するときのキモだったんだろうな、と思いました。
「拍手があたしを燃やすの」
「とり憑かれたの魔法の音 アプローズ(拍手)に」
場末の酒場ジョー・アレン亭にたむろする“ジプシー”(コーラス)たちが、歌い、踊る。
「あの音の虜だわ、アプローズ!」
意地悪な新聞記者に
「どうしても金が必要になったら、どっちを売る?ダンスシューズか、自分の母親か」
と問われて、即答する青年。
「おふくろ」
……迷いも無く。
彼らは選ぶのだ。
世界のすべてよりも、アプローズを。
だけど、
スポットライトの中にいるスターは、どうする?
我侭で気紛れで躁鬱で、実は気が小さくて不安神経症気味な大スター・マーゴが、最後に択ぶものは、何か。
イヴが求めたものは、なんだったのか。
……そう。
ひとりの観客として、素晴らしい作品に酔い、物語を愉しみながらも、
幕切れのマーゴの選択に、微かな淋しさをおぼえたことも、事実ではあります。
それは、この名作ミュージカルが「舞台作品」だからこそ、
舞台の上でスポットライトを求めて蠢いている「彼ら」の叫びを直に聞いてしまう作品構成だからこそ感じずにはいられない後味の苦さであり、
その苦さを呑みこんで、はじめてわかる“大人の味”なのだと思いました。
少なくとも。
もしもこの作品に、もっと若い頃に出会っていたならば、私は、あのラストに凄く理不尽な思いをしたかもしれません。
でも、今はもう、マーゴの選択を祝福することができる。
彼女のラストソングを、一抹の寂しさを感じつつ受け入れることができる。
そうすることで初めて、この物語が「イヴの総て」ではなく、「アプローズ」の物語に、なるのです。
ひたむきにアプローズを、“光”を求めることができる【若さ】と、
アプローズの重みを支えきれなくなって、柔らかな優しい“闇”を求め始める、【老い】。
そんな、
“時間”という名の魔法使いの残酷な所業に想いを馳せながら、彼らの夢に酔う3時間を。
ぜひぜひ、のぞいてみませんか?☆
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コメント
金曜日に「アプローズ見ない?」という話が出たのですが
スカーレットピンパーネルのチケットがあって、B席だから売れないかもと迷って
そちらを選んでしまったの。あああ、大失敗!
というか、演出が浜畑さんというのを知っていたら早いうちにチケットを買ったのにな。
かしげちゃんが出ている作品が今までいまひとつだったので、二の足を踏んだともいえます。
ああ、かしちゃん、ごめんよー
で、1983年の劇団四季を観てますよ(またも、昔語り婆登場)
多分ダンボールにプログラムがあると思うけど
イヴが久野さんで本当に観ていて恐かったですよ、次々に策略を練って。
前田美波里 久野綾希子 浜畑賢吉 市村正親 沢木 順 光枝明彦 木村不時子 松宮五郎・・・
こんな配役だったのですが、久野さんがびばりさんを陥れるほどキレイとは思えず(ひぇぇ~!!)
なのに若いというだけで男がころりんと参るというのが、「なるほどねぇ、勉強になったわ」と印象に残っています。
この配役は、当時の四季としてはベストな配役でとても良かったです。多分2回くらい観劇していたはず。
新大久保で6時半って、せめて博品館とかこっちよりだったらな。
1時間遅刻したら前半終わりますよね(ぐちぐち)
グローブ座も懐かしいわぁ! よく四季で公演してましたよね。
はにはに様が出演者書いてくださってますけど、そうでしたねぇ。プログラムどこかにあるはず。
私も演出までは見ていませんでした。そうでしたか。
かなり見たかったかも。
良かったですよ~!!<かしちゃん。とっても(^ ^)。
残念ですねぇ。グローブ座、結構行きにくいんですよね~。
それにしても、その四季キャスト凄いなあ~!!それって、市村さんがドウェイン(ヘアデザイナー)で沢木さんがバズ(脚本家)?光枝さんがハワード(プロデューサー)?
四季版は(勿論)観たことがなくて、35StepsのCDで知寿さんの「アプローズ」を聴いて以来、観たいと思っていた作品でした♪観れて良かった♪
dasyさまも、四季版をご覧になったんですね!羨ましいです~。
>私も演出までは見ていませんでした。そうでしたか。
私は逆に、チラシ見て、浜畑さんは出演されるんだとばかり思ってました(^ ^;;。
浜畑さん、最近演出の仕事増えてますよね。やっぱりキャリアも知識もあるフロントランナーは引っ張りだこなんでしょうね。手堅い、役者のいいところを引き出す演出だなーと思いました。
でも、俳優としての活躍もお待ちしています!
また再演されるといいですね♪宮本さんのスケジュール抑えるのが難しそうですけど。
色々と感慨深くて年月の流れを自分の中で沢山感じることができて楽しかったです。
何しろ帰りにロビーで浜畑さんも見れたし・・・
こういう時に歌劇みたいな本で語ってくれる宝塚は便利ですね。
出演者感想☆
前田美波里さん、すごいです!!
昔のマーゴよりも輝いていて、なんか存在感がすごかったです。
素敵でした。かつてのマーゴは最後は引退しちゃうのかなぁとか考えたのですが
(私もまだまだ子供だったし)今のマーゴは「おばあちゃんの役」とかで
しっかり主演して素敵な作品を作りそうな気がします。
前田美波里さん自体の幅が拡がった感じ。
「マンマミーア」とかまたやってほしいなぁ☆
かしちゃんは余り色気のある感じがしないけど、今までの役のなかでは
一番良かったです。ラストも幕開きのあの女優っぷりを思い返して
イヴなりに頑張ったんだなぁと思わせられてジーンとなったし。
るいるいがすごく可愛くて華があって、可愛かったです。
プロデューサーはるいちゃんにもっと目をつけてしかるべきかと。
あと、アンサンブルには牧勢海ちゃんと山田裕美子さん(夢華あやりちゃん)が出ていて
二人ともダンスが上手だったので、活躍していて嬉しかったです。
山田裕美子さんは子供の時にアニーにも出ていたそうだし
雪組のエンカレで歌がものすごく上手だったこともあって東宝ミュージカルにも
出てくれないかしら。彼女は最近話題の88期なので、退団が早すぎたような気がします。
駒塚さんも四季時代を沢山拝見していたので、懐かしかったです。
昔はほっそりと面長な理知的な女優さんでしたが、今も年配だけど、
可愛い良い女優さんになられてました。
「アプローズ」のアンサンブルにいたように思いますが、そうだとするとご本人も感無量だったりして。
そして宮本益光さん・・・素敵でした~~☆★
すぐにHPを確認して12月のコンサートのチケット予約メールを入れました(爆)
公演中に本当にお誕生日を迎えられたそうで、
美波里さん他皆様にお祝いしてもらったってブログに書いてありましたよ♪
ほんと芝居心を感じる人なので、これから遠慮なくミュージカルな世界にも
でてくると嬉しいです。
ところで、グローブ座に数年ぶりに行ったら入り口の場所が変わっていて
線路側の小道を歩いていくようになっていてびっくりでした。
ジャニーズが購入して色々手直ししたとは聞きましたが
2Fの柱が無くなったりトイレが広くなったり改良点多々でしたが
前列端の席は全然見えないので、あの席は売るべきではないと思いました。
余りに見えないわ、首や背中が痛くなるわで休憩時間に座席変更してもらって
後半はゆっくり見れました。
あの場所で同じ料金ってジャニーズ以外ならとっくに苦情が出ているだろうに・・・
そんなこんなで、疲れたけど楽しい観劇でした。
ねこさま、「残業を捨て去る勇気」をくれて有難うございました。
>そんなこんなで、疲れたけど楽しい観劇でした。
よ、よかったです(滝汗)。お勧めした手前、ちょっとドキドキしていました。
よかったでしょう〜〜o(^-^)o、宮本さん!!o(^-^)o(←そこ?)
コンサートのチケットを早速確保なさったとは!さすがです。すばやい(@_@)。私も考えよう!!
プロデューサーは、かしちゃんを威しつけてるヒマがあったら、るいちゃんに気付け!というのは同感です。
あの役、25年前はどなたがされていたんですか?35StepsのCDでは保坂知寿さんが歌っていらっしゃいましたが、彼女は舞台でもやったのでしょうか…?