雪組バウホール公演「凍てついた明日」について語るのは、とりあえず今日で一段落つけたい…。
と、思いつつ、その前に一言だけ。
まっつ(未涼亜希)、みりお(明日海りお)、みっしょん(美翔かずき)、お誕生日おめでとうございます〜!
……なんか、私の好きな人ってかに座が多いような気がするんですが…何か共通点とかあるのでしょうかねぇ……?
さて。
初演と一番“違う役”になっていたのは、(涼花)リサちゃんのネルと、キタロウ(緒月遠麻)のテッドでした。
彼ら二人は、初演ではただの「クライドを取り巻く二人」だったのに、再演ではアニスやジェレミーと同じ位置に居たので。
テッドは“なれなかったクライド”であり、“クライドになれなかった”男。
ネルは“バロウ家の女”であり、「どうして変わってくれなかったの!?」と責める権利を持っていた、女。
「幼馴染でした」
作品の、第一声。それが、テッドの回想の言葉であったこと。
「弟は、大それた悪人なんかじゃないんです」
「何も特別だったわけじゃない」
「良い奴なんだ…」
「神様、ちょっとした間違いなんです…」
普通の男だった。
可愛い弟だった。
親友だった。
そして、
…愛して、いました…。
ネルもテッドも、AチームとBチームでそんなに大きな違いはなかったと思います。基本的に役替りのないクライド・カミー・フランクくらいしか接点のない役ですから、当然と言えば当然ですが。
キタロウのテッドは、本当に可哀相な男でした。
幼馴染を、さりげなく庇って、守ろうとして、結局何一つ守れなかった男。
ラストの佇まいの胸を打つ寂しさ。
あまり笑顔を見せない役でしたが、ああいう、熱いものを胸に収めて、たった一人で立っている姿が似合う男ですよね、キタロウって(惚)。ステキでしたー!!
ネルは、ホントに何もかも良かったんですけど。
私はやっぱり、花束を渡す場面が好きです。
万感の思いをこめて、弟に花束を渡す、姉。
「ボニーに、愛する人に、渡してあげて?」
クライドの傍らを通り過ぎ、すれ違う、青い服の幻影。
「アニス、花を贈るよ。…お祝いの、花束を」
星空の下で、一緒に歩いてくれた女に花束を差し出す、クライド。
…みなこボニーは、左手(舞台奥)で受け取り、見ようともしないでそのまま落としてました。
さゆボニーは、右手で受け取って、一度じっとみつめてからそのまま落としたんですよね。
ぐんボニーの、肩をすくめて鮮やかに投げ捨てていた印象が強くて、みなこちゃんのさりげない「なかったことに」する態度に驚きましたが。
さゆちゃんの、欲しい花束じゃない事実をかみ締めるような一瞬の間が、好きです。
ネルの思いを受け止めて、でも受け取らない。そんな、想いが。
三役をこなした、ハマコさん。
さすが。と、そうとしか言いようのない芝居力。
初演の風早さんの役者ぶりもしみじみと素晴らしかったけど、ハマコさんの迫力も凄かった。ビリーを捕えてジェレミーを脅しつける場面とか、テッドを責める場面とか、マジ怖かったです。
しかし。
ラストシーンの歌を聞きながら。
透明感のあるオーディエンス(白渚さん、雛月さん)の歌にかぶせていくドラマティックで重厚なハマコさんの声に聴きほれながら。
ハマコさんは、もう、ストレートな色の薄い歌は歌えないのかな、と思いました…。
レイモンドと、メアリー。
AチームもBチームでも、劇中での自分の役割を完璧に果たしていたコンビ。
コマちゃんって芝居できるんだなあ。
“悪人”の役のために、目許をかなりキツ目に作りこんでいて、どっかでみたような貌になっていました。ステキだった(はぁと)
別に息抜き役ではないので、あんまりやりすぎてはいけないんですけど、元々とても良い声なので、「ハニーっ!」というテンションの高い声でも不快にならなかったのは流石でした。
ラストの悲しさは、この物語の登場人物全員の中でもピカ一ですよね。初演よりあっさり目の死に様だったと思うのですが、とても心に残りました。
あまりにも下級生なメアリーたちを、よく導いて作品のレベルをあげていたと思います。お疲れさまでした!
Aチームメアリーの舞羽さんは、本当に可愛いうえに、芝居もものすごく良かったです。メアリー向きの役者なんでしょうね。なんて可愛いのかしら、どのへんの学年なのかしら、と思いながら終幕まで観て、フィナーレの並びに仰天したことは昨日も書きましたが。
歌はともかく、台詞声の良さに感動しました。泣き叫んでも喧しくなくて、可愛い(はぁと)。
これからの活躍が、とても楽しみです。
テッドの部下の、ボブ。
……、初演はしいちゃんだったもんで、私の中では「にこにこしてるだけの無能者」に分類されていたんですけど(汗)(しいちゃんファンの方ごめんなさい)(いや、彼女のスタイルの良さには釘付けでしたが)。
Aチームの梓晴輝さんも、Bチームの朝風れいさんも、めっちゃくちゃ強面で、有能そうで、ものすごくカッコよかったです。
前半は優秀なテッドの下について嬉しそうで、“尊敬する先輩”って感じなのに、後半になって、だんだん壊れていくテッドに焦れていく様子が、すごく丁寧に演出されていたと思いました。
Aチームは、どちらかといえば、煮え切らないテッドを庇って、“尊敬する先輩が本来の姿を取り戻すまで、俺が守るんだ!”的な気合を感じました。
Bチームは、後半は完全にテッドを見下している感じでしたね。朝風さんの、どちらかといえば冷酷な印象の美貌が、役柄に映えていたと思います。
どっちも好きだ(はぁと)
ただ。
朝風さんの声は素晴らしいと思うし、一幕半ばで、レクイエムを一曲、丸々歌いきるだけの技術も表現力も持っていることは承知の上で、あえて言いますが。
……その歌、ボブが歌うのはおかしいだろう…?
あの場面での朝風さんは、あくまでもボブではなくオーディエンスの一人であることはわかっているのですが(T T)、でもでも、やっぱりおかしいよ…。
ダイナーの店主と、シュミット保安官の、香音有希さん。
ちょっとともちん系?大きくてかっこいいので、群舞にいても目立っちゃってましたが(^ ^)。
ボニーを嘗め回すように見る目つきとか、意外と細かい芝居をする人だなあ、と。声がもう少し低いと、迫力も増すでしょうし、良い役者になりそう♪
他にも、ブランチが文句なく素晴らしかった千風カレンさんとか、ちょこちょこ小さな役がついていた透真かずきさんとか、達者な芝居で目立っていた悠月れなちゃんとか、「テレビで見たより、ボニーはキレイでした…」と万感こめてコメントしていた詩風翠さんの美貌とか、どこに居ても目立っていた凰華れのさんのスタイルとか……
言い出せばきりがないくらい、巧い人ぞろいで。
おかげさまで、雪組下級生もかなり覚えることができました(幸)。
次回の大劇場公演が、楽しみです♪♪
この作品の舞台は、アメリカ中西部。
その中でも、「ダラス」という街、この「どうしようもない街」「まともな男のいない街」という印象が、この作品の根底に流れていますよね。
私が好きなヤングノベルの某シリーズには、全然違う土地ですけれども、「そこに生まれて育ったばっかりに、まともな道を歩くことができない」と思い込んでいる男が出てきます。
彼は、犯罪者を輩出し、「檻に入る以外の方法でここを出て行くことはできない」と言われた土地を、ひょんなことで知り合った人物によって救い出されて東京へ来て、そこで愛する人と出会うのですが。
この物語も、カミーが繰り返し呟くように、「悪いのはすべて、この時代とこの土地」なのだ、と思い込もうとしたことが、全ての悲劇の発端だったんじゃないのか、と思います。
生まれた土地ではないにせよ、育った街を愛せない人々。故郷喪失者。それは、生きるうえでの“鑑”が無い人たちなのだと思うのです。
ここに暮らしているんだから、ここなんだから仕方がない。
その赦しが、辛く面倒な「まともな道」を歩もうとする気力を奪った。
アニスと共に歩んでいける“光の道”を、怠惰の中で諦めてしまった、それがクライドの罪。でも、「ダラスだから、仕方が無い」という皆の認識も、それを助長したことは事実で。
ネルやテッドが踏み出した階段を、クライドは登ろうとはしない。
それは、個性なのか、守るべきものが彼にはなかったからなのか?
アニスを守ろう、と、
アニスを守るのは俺だけなんだ、と、
そう思わなかったのは…それが彼の個性だったから?
それとも?
…それとも、同じ風景を視ている人を、無意識のうちに探していたのか?
アニスではなく?
「あんたはあの時、俺を助けてくれたじゃないか」
「…誰だってそうする」
「他の誰かじゃない!!…あんただったんだ」
という会話と、
「誰でも良かった。あなたじゃなくても」
「誰でも良かった。…でも、君だったんだ」
という会話の、痛み。
故郷を持たない男と女が、お互いの中に、“還るべき処”を見出した、瞬間の。
そして。
後の方の会話を聞いているジェレミーがどんな貌をしていたのかは、(目が二個しかないので)観ることはできなかったのですが。
……想像するだけで、キリキリと胸が痛む…。
テルくんって、芝居が巧いと思ったことは一度もないんですけど、今回は本当に嵌り役でした。
凰稀かなめが、そのまんま何も飾らずに「クライド・バロウ」として舞台に立っていた。
彼をクライドに配しただけで、役の心象風景の表現は、格段に楽になったはず。
たとえば。正直、芝居の巧拙でいったらキタロウの方がテルくんよりずっと巧いと思うのですが(ごめんなさい)、この役をキタロウがやってもうまくいかなかっただろう、と。キタロウのテッドが良すぎたのもありますが、やっぱり初演と同じ轍をふんだんじゃないかな、と。
とにかく、この「凍てついた明日」という作品でクライド役を演じるにあたって、必要なものは「立ち姿の美しさ」と「未熟さ」であった、ということ。
タータンさんに何の不足があるのではなく、ただ、熟して満ち足りた男役には決して演じることのできない役というものがある、そういうことなのだろう、と思ったのです。
テルくんが演じたことで、この「凍てついた明日」という作品は一つの結論が出たのかな、と思いました。再演してくださって、本当に良かったと思います。
テルくんの、そして彼と共に闘い抜いた27名(+専科2名)の、
今後の更なる活躍と幸せを、ねがってやみません。
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と、思いつつ、その前に一言だけ。
まっつ(未涼亜希)、みりお(明日海りお)、みっしょん(美翔かずき)、お誕生日おめでとうございます〜!
……なんか、私の好きな人ってかに座が多いような気がするんですが…何か共通点とかあるのでしょうかねぇ……?
さて。
初演と一番“違う役”になっていたのは、(涼花)リサちゃんのネルと、キタロウ(緒月遠麻)のテッドでした。
彼ら二人は、初演ではただの「クライドを取り巻く二人」だったのに、再演ではアニスやジェレミーと同じ位置に居たので。
テッドは“なれなかったクライド”であり、“クライドになれなかった”男。
ネルは“バロウ家の女”であり、「どうして変わってくれなかったの!?」と責める権利を持っていた、女。
「幼馴染でした」
作品の、第一声。それが、テッドの回想の言葉であったこと。
「弟は、大それた悪人なんかじゃないんです」
「何も特別だったわけじゃない」
「良い奴なんだ…」
「神様、ちょっとした間違いなんです…」
普通の男だった。
可愛い弟だった。
親友だった。
そして、
…愛して、いました…。
ネルもテッドも、AチームとBチームでそんなに大きな違いはなかったと思います。基本的に役替りのないクライド・カミー・フランクくらいしか接点のない役ですから、当然と言えば当然ですが。
キタロウのテッドは、本当に可哀相な男でした。
幼馴染を、さりげなく庇って、守ろうとして、結局何一つ守れなかった男。
ラストの佇まいの胸を打つ寂しさ。
あまり笑顔を見せない役でしたが、ああいう、熱いものを胸に収めて、たった一人で立っている姿が似合う男ですよね、キタロウって(惚)。ステキでしたー!!
ネルは、ホントに何もかも良かったんですけど。
私はやっぱり、花束を渡す場面が好きです。
万感の思いをこめて、弟に花束を渡す、姉。
「ボニーに、愛する人に、渡してあげて?」
クライドの傍らを通り過ぎ、すれ違う、青い服の幻影。
「アニス、花を贈るよ。…お祝いの、花束を」
星空の下で、一緒に歩いてくれた女に花束を差し出す、クライド。
…みなこボニーは、左手(舞台奥)で受け取り、見ようともしないでそのまま落としてました。
さゆボニーは、右手で受け取って、一度じっとみつめてからそのまま落としたんですよね。
ぐんボニーの、肩をすくめて鮮やかに投げ捨てていた印象が強くて、みなこちゃんのさりげない「なかったことに」する態度に驚きましたが。
さゆちゃんの、欲しい花束じゃない事実をかみ締めるような一瞬の間が、好きです。
ネルの思いを受け止めて、でも受け取らない。そんな、想いが。
三役をこなした、ハマコさん。
さすが。と、そうとしか言いようのない芝居力。
初演の風早さんの役者ぶりもしみじみと素晴らしかったけど、ハマコさんの迫力も凄かった。ビリーを捕えてジェレミーを脅しつける場面とか、テッドを責める場面とか、マジ怖かったです。
しかし。
ラストシーンの歌を聞きながら。
透明感のあるオーディエンス(白渚さん、雛月さん)の歌にかぶせていくドラマティックで重厚なハマコさんの声に聴きほれながら。
ハマコさんは、もう、ストレートな色の薄い歌は歌えないのかな、と思いました…。
レイモンドと、メアリー。
AチームもBチームでも、劇中での自分の役割を完璧に果たしていたコンビ。
コマちゃんって芝居できるんだなあ。
“悪人”の役のために、目許をかなりキツ目に作りこんでいて、どっかでみたような貌になっていました。ステキだった(はぁと)
別に息抜き役ではないので、あんまりやりすぎてはいけないんですけど、元々とても良い声なので、「ハニーっ!」というテンションの高い声でも不快にならなかったのは流石でした。
ラストの悲しさは、この物語の登場人物全員の中でもピカ一ですよね。初演よりあっさり目の死に様だったと思うのですが、とても心に残りました。
あまりにも下級生なメアリーたちを、よく導いて作品のレベルをあげていたと思います。お疲れさまでした!
Aチームメアリーの舞羽さんは、本当に可愛いうえに、芝居もものすごく良かったです。メアリー向きの役者なんでしょうね。なんて可愛いのかしら、どのへんの学年なのかしら、と思いながら終幕まで観て、フィナーレの並びに仰天したことは昨日も書きましたが。
歌はともかく、台詞声の良さに感動しました。泣き叫んでも喧しくなくて、可愛い(はぁと)。
これからの活躍が、とても楽しみです。
テッドの部下の、ボブ。
……、初演はしいちゃんだったもんで、私の中では「にこにこしてるだけの無能者」に分類されていたんですけど(汗)(しいちゃんファンの方ごめんなさい)(いや、彼女のスタイルの良さには釘付けでしたが)。
Aチームの梓晴輝さんも、Bチームの朝風れいさんも、めっちゃくちゃ強面で、有能そうで、ものすごくカッコよかったです。
前半は優秀なテッドの下について嬉しそうで、“尊敬する先輩”って感じなのに、後半になって、だんだん壊れていくテッドに焦れていく様子が、すごく丁寧に演出されていたと思いました。
Aチームは、どちらかといえば、煮え切らないテッドを庇って、“尊敬する先輩が本来の姿を取り戻すまで、俺が守るんだ!”的な気合を感じました。
Bチームは、後半は完全にテッドを見下している感じでしたね。朝風さんの、どちらかといえば冷酷な印象の美貌が、役柄に映えていたと思います。
どっちも好きだ(はぁと)
ただ。
朝風さんの声は素晴らしいと思うし、一幕半ばで、レクイエムを一曲、丸々歌いきるだけの技術も表現力も持っていることは承知の上で、あえて言いますが。
……その歌、ボブが歌うのはおかしいだろう…?
あの場面での朝風さんは、あくまでもボブではなくオーディエンスの一人であることはわかっているのですが(T T)、でもでも、やっぱりおかしいよ…。
ダイナーの店主と、シュミット保安官の、香音有希さん。
ちょっとともちん系?大きくてかっこいいので、群舞にいても目立っちゃってましたが(^ ^)。
ボニーを嘗め回すように見る目つきとか、意外と細かい芝居をする人だなあ、と。声がもう少し低いと、迫力も増すでしょうし、良い役者になりそう♪
他にも、ブランチが文句なく素晴らしかった千風カレンさんとか、ちょこちょこ小さな役がついていた透真かずきさんとか、達者な芝居で目立っていた悠月れなちゃんとか、「テレビで見たより、ボニーはキレイでした…」と万感こめてコメントしていた詩風翠さんの美貌とか、どこに居ても目立っていた凰華れのさんのスタイルとか……
言い出せばきりがないくらい、巧い人ぞろいで。
おかげさまで、雪組下級生もかなり覚えることができました(幸)。
次回の大劇場公演が、楽しみです♪♪
この作品の舞台は、アメリカ中西部。
その中でも、「ダラス」という街、この「どうしようもない街」「まともな男のいない街」という印象が、この作品の根底に流れていますよね。
私が好きなヤングノベルの某シリーズには、全然違う土地ですけれども、「そこに生まれて育ったばっかりに、まともな道を歩くことができない」と思い込んでいる男が出てきます。
彼は、犯罪者を輩出し、「檻に入る以外の方法でここを出て行くことはできない」と言われた土地を、ひょんなことで知り合った人物によって救い出されて東京へ来て、そこで愛する人と出会うのですが。
この物語も、カミーが繰り返し呟くように、「悪いのはすべて、この時代とこの土地」なのだ、と思い込もうとしたことが、全ての悲劇の発端だったんじゃないのか、と思います。
生まれた土地ではないにせよ、育った街を愛せない人々。故郷喪失者。それは、生きるうえでの“鑑”が無い人たちなのだと思うのです。
ここに暮らしているんだから、ここなんだから仕方がない。
その赦しが、辛く面倒な「まともな道」を歩もうとする気力を奪った。
アニスと共に歩んでいける“光の道”を、怠惰の中で諦めてしまった、それがクライドの罪。でも、「ダラスだから、仕方が無い」という皆の認識も、それを助長したことは事実で。
ネルやテッドが踏み出した階段を、クライドは登ろうとはしない。
それは、個性なのか、守るべきものが彼にはなかったからなのか?
アニスを守ろう、と、
アニスを守るのは俺だけなんだ、と、
そう思わなかったのは…それが彼の個性だったから?
それとも?
…それとも、同じ風景を視ている人を、無意識のうちに探していたのか?
アニスではなく?
「あんたはあの時、俺を助けてくれたじゃないか」
「…誰だってそうする」
「他の誰かじゃない!!…あんただったんだ」
という会話と、
「誰でも良かった。あなたじゃなくても」
「誰でも良かった。…でも、君だったんだ」
という会話の、痛み。
故郷を持たない男と女が、お互いの中に、“還るべき処”を見出した、瞬間の。
そして。
後の方の会話を聞いているジェレミーがどんな貌をしていたのかは、(目が二個しかないので)観ることはできなかったのですが。
……想像するだけで、キリキリと胸が痛む…。
テルくんって、芝居が巧いと思ったことは一度もないんですけど、今回は本当に嵌り役でした。
凰稀かなめが、そのまんま何も飾らずに「クライド・バロウ」として舞台に立っていた。
彼をクライドに配しただけで、役の心象風景の表現は、格段に楽になったはず。
たとえば。正直、芝居の巧拙でいったらキタロウの方がテルくんよりずっと巧いと思うのですが(ごめんなさい)、この役をキタロウがやってもうまくいかなかっただろう、と。キタロウのテッドが良すぎたのもありますが、やっぱり初演と同じ轍をふんだんじゃないかな、と。
とにかく、この「凍てついた明日」という作品でクライド役を演じるにあたって、必要なものは「立ち姿の美しさ」と「未熟さ」であった、ということ。
タータンさんに何の不足があるのではなく、ただ、熟して満ち足りた男役には決して演じることのできない役というものがある、そういうことなのだろう、と思ったのです。
テルくんが演じたことで、この「凍てついた明日」という作品は一つの結論が出たのかな、と思いました。再演してくださって、本当に良かったと思います。
テルくんの、そして彼と共に闘い抜いた27名(+専科2名)の、
今後の更なる活躍と幸せを、ねがってやみません。
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コメント
「凍てついた明日」は、凰稀かなめのための作品ではなかった。でも、クライドが凰稀かなめだったからここまでの作品に仕上がった。って、ねこ様最初に仰ってましたよね。
この見事なまでの宛書を"何も飾らずに"演じきったのはすばらしいと思います。 影ながら見守るかなめファンとして、今後のご活躍を心から期待いたします。頼りになる同期2人が、やっぱりすばらしかったしね。
あと、新公フィラントに驚愕したがおり君はもちろんなんですけど、カオン君すっごく好きなんですよ。書いてくださってありがとうございます。 個人的にすごく期待してるんです。
研2-3という楽しみな若手をいっぱい見れて楽しい公演でした。 今日は集合日。 皆様の活躍を期待しています。
ありがとうございます♪雑文を読んでいただけて、こんなに嬉しいことはありません♪
テルくん、キタロウ、リサちゃん…雪組86期、いいですよね(はぁと)。今後のご活躍を祈っています!
がおりくん、フィラントだったんですよね、そういえば…やっぱり観るべきだったなあ。残念!そして香音くん、良かったですよ、ホントに(はぁと)。雪組さんのこれからが、とっても楽しみです♪♪