まずは、タイトルとは関係ないんですけど、一言。
星組・水輝涼さん、お誕生日おめでとうございます☆スカーレット・ピンパーネル、良かったよ♪


さて。

今日になって、やっと「凍てついた明日」初演の映像を、ちょっとだけ観てみました。
#録画したのは随分前だったんですが、見てなかった(T T)。

…あー、ほんっとー!に全然違ーーーーう!

舞台セットは、違うよねーとは思っていました。オーディエンスが、もっと舞台後ろの高い所にいた記憶があったんですよね。
オーディエンス的な演出って外部舞台でも時々ありますが、あそこまで客席に相対する角度で「群集」になりきって視ている演出は観たことがなかったので、結構違和感があったのです。

個人的に、舞台装置は再演版方が好きです。初演では、位置的にどうしてもオーディエンスが舞台を見下ろすと、その延長線上に客席があるので、「向こうから視られている」みたいな違和感があって……。
この違和感は意図されたものなのかどうなのか?と、観ている間中ずーっと気になっていたんですよね。

再演版では、八百屋になった(しかも、横方向にも傾いているらしい)“通路”上で演技をする場面が多いので、出演者のみなさんは大変そうでした(初演では、セット手前の平らな部分がもっと広い)が、舞台効果の差は大きいと思うので、良かったなあ、と…って、そんなふうに思うのは私だけなんでしょうかねぇ。両方ご覧になっているみなさんのご意見は、いかがなものなのでしょうか。

…私が初演を観たのは、額縁の大きい青年館でしたので、バウの映像とはまたちょっとバランスが違っていたのかもしれません。
映像で観るよりもっと高くて、もっと遠かった印象でした。
やっぱり、初演もバウホールで観ていたら違ったのかもなぁ…。

などとあれこれ考えながら、
一応、感想をひととおり書き終わるまでは我慢、と思って、ジェレミーがクライドに駆け寄ってきた所で止めてみました(笑)。
しっかしトウコさん、若くて可愛くて良い声だぁ……(感動)


と言うわけで、今日のお題はジェレミー(凜城きら/真那春人)とビリー(花夏ゆりん/早花まこ)、そして、ジョーンズ(冴輝ちはや/彩風咲奈)。

本当に本当に本当にごめんなさい!!なんですが。
私、Aチームでは正直、ジェレミーはあんまり印象に残らなかったんですよね…(T T)。
Aチームは、とにかくボニーが痛々しくて、作品全体の痛みのすべてをボニーが引き受けていた印象があって。
ジェレミーの痛みや悩みは、相対的にですが、軽めに扱われていたような気がします…(←言い訳)。

凜城きらさんのジェレミーを観て、一番印象に残ったのは、“キレイで大人っぽいひとだなあ”。
トウコさんの、痛々しい美少年っぷりがかなり印象的だったので、大人っぽい、ちょっとおっとりした感じのジェレミーのキャラクターは意外でした。
ちょっとだけですけど、ジョーンズのキャラクターにかぶる感じもありましたし。

凜城さん自身の持ち味も、すごく「まとも」なものなんじゃないかと思います。さゆちゃんに通じる「まとも」さ。「リアル」な優しさ。新公などでも役がついている人なので、経験値も高いんでしょうね。きちんと男役らしい、良い声をしていましたし、達者な芝居だったと思います。

ただ、演出としては比較的普通の、健康的な人物像だったのが、私のツボにこなかった理由かな、と思います…(ごめんなさい)。


ジョーンズのお二人は、どちらも可愛かったです。
ハマコさんのジョーンズには、もう少しなんというか…見た目よりずっと子供っぽい子、というイメージを持っていたのですが、
Aチームの冴輝ちはやさんは、随分しっかりした感じでした。…まぁ、ジェレミーも大人っぽかったから、それに比べると凄く幼い感じでしたけど。……おかしいなあ、冴輝さんの方が上級生のはずなのに(笑)。

Bチームの彩風咲奈さんは、実際に観るまで、名前といい、プログラムの写真といい、花組の天宮菜生ちゃんみたいな小柄で可愛らしいタイプなのかな?と想像していたのですが。

……でかい(@ @)。
おとめによると、173cm、か。もっと大きい印象を受けましたね、舞台では。ジェレミー(同169cm)より頭一つ大きかった感じ。だから余計、ちゃきちゃきした小型犬ジェレミーが、自分よりでかくて、ちょっとゆっくりな大型犬ジョーンズの世話を焼いているのがなんともいえず微笑ましい(^ ^)。
…いや、あの、ジェレミーの真那さんも、そんなに小さくないんですけど、ね(汗)。

Aチームは、微妙にジェレミーの方が柄も大きいし、キャラクター的にもある程度の年齢差(ジェレミーの方が年上)を感じましたが、Bチームは同い年か、下手するとジェレミーの方がひとつふたつ下じゃない?という印象。
…おかしいなあ。学年は逆なのに(^ ^;ゞ


で、Bチームのジェレミー。真那春人くん。
……登場から痛いひとでした(T T)。
悪いことをしている自覚のひとかけらもない、子供。
明るい笑顔で、まっすぐにクライドを見詰める、キラキラした瞳の、目に痛い眩しさ。

クライドの歩く先にいちいち先回りして、ぐるぐる回っている、躾の良くない小犬。
クライドを後から追いかけるのじゃなく、その隣を歩きたいんだ!と、全身で叫んでいる、子供。

クライドと同じものを見ていた女(ボニー)と、

クライドが一緒に行きたかった女(アニス)、そして

連れて行きたくなかった、少年


初演では、メスヴィン農場への小径を歩き去る二人を見送りながら、安蘭ジェレミーが泣きながら歌っていたはずの、歌。

惜別のレクイエム。


真那ジェレミーに、そんな歌は歌えない。

そんな余力のひとかけらも残っているはずもない、渾身の慟哭。


ついていくことが出来なかった自分。
彼らの見ているものが、視えなかった、自分。

彼らが自分を、見捨てたわけじゃない。
裏切られたわけじゃ、ない。

視えない自分が、
わからない自分が、
ついていけない自分が、

罪は自分自身にあるというのに、
どうして自分は、まだ息をしているんだ?

あの二人がいる所が俺の居場所だと思っていたのに、

二人の居る処が、俺の世界だ、と。

なのに、

なぜ空は落ちてこない?
なぜ世界は崩壊しない?

なぜ神のいかづちは自分の身体を真っ二つに裂かないのだろうか、と。


傍らに寄り添おうとするビリーの柔らかな存在感も、
今の彼にとっては何の意味もなくて。

 

 

 
真那くんは、経験不足のせいか、感情が高ぶるとコントロールできなくなってしまうのがすこーし目立ちました。
私が観たときには、もうだいぶ声が枯れていたけど、初日頃はもう少し声も出ていたのかしら?あまり喉が強そうじゃないのがちょっと心配。声も高いし。

特に、終盤、クライドたちと別れてビリーの所に戻ってからの芝居で、あちこち声がひっくり返っていたのが残念でした。
「ビリー、俺を売ったのか!?」と叫ぶところとか、せっかく良い芝居をしているのに、声で台無しになっていたのが……がんばれ〜っ!


そして、ビリー。
初演では紺野まひるちゃんが演じた、ジェレミーの(自称)恋人。

Aチームの花夏ゆりんちゃん、Bチームのきゃびぃ(早花まこ)。
どっちも良かったです。この二人、一年違いなんですよね。ジェレミーの二人より、ゆりんちゃんで3学年、きゃびぃで4学年、上。初演はまひるちゃんとトウコさんだから、……えーっと、5学年下?かな?まひるちゃんは学年の割に経験値の高い人だったので、それほどの年の差は感じませんでしたが。

ただ、いかんせん彼女は“包容力”とか“母性”みたいなものをどっかにおいてきたタイプの役者だったので(ものすごく可愛くて巧いのに…涙)、どちらかといえば「ウザい」キャラになっていた。そのため、ジェレミービリーの許に戻る心理にはちょっと納得し難い面があったのですが。

今回、ジェレミーを思い切って下級生にしたことで、ビリーの包容力がかなり出て、ラストの説得力が増していたと思いました。
「俺は、行き場所がなくて…」って言う台詞が、泣きつくようになっていたのが凄く印象的。


ゆりんちゃんは、とにかく可愛い!!
ちょっと手の置き場所に困っていた風だったのが気になりましたが、とにかく可愛いのと、台詞の声が柔らかくてきゃんきゃん叫んでいても煩くなかったのが良かったと思います。

きゃびぃは、
すいません、私は彼女に今の愛称がついた頃からのお気に入りなので、ちょっと贔屓目なんですが。
あの、切なくも痛々しい、そしてコントロールを喪いがちな真那ジェレミーと組んで、よくフォローしていたと思います。
役づくり自体を思い切って年上設定にしたのも正解だったかと。

「あんたを電気椅子に座らせたくないの!」と叫ぶ、迫力。
真那ジェレミーが、完全にぶっ飛んで叫び芝居に入ってしまうところを、きちんと抑えながら場面を作る、芝居力。


ゆりんちゃんときゃびぃは、ほんとに全然違うキャラクターでしたけど、特に「あたしって、ホントに…莫迦だ…」って台詞が痛かったなあ…。

ゆりんちゃんは幸せそうに、笑顔で。
…普通に、あんまり振り向いてくれない冷たい恋人に、珍しくキスされて舞い上がってる少女。

きゃびぃは、切なく、寂しげに。
…彼のキスに、言葉に、真心がないことを知っている女の溜息をひとつ。

それだけ“ビリー”の立ち位置が違ったんですよね、チームによって。
それがすなわち、作品におけるジェレミーの位置の違いであり、ボニーのキャラクターの違いだったのだ、と、思います。

ラストの、銃弾の雨の幻影の中、悲鳴を上げて駆け出そうとするジェレミーを、全身で引き留める強さも、ずいぶん違いましたね。
ともすればクライドたちについていこうとするジェレミーを、現世に引き留めようとする、きゃびぃビリーのリアルな存在感。


音もなく崩れ落ちた、真那ジェレミーのシルエット。
ジェレミーの“凍りついた朝”が、溶け出す日が来るのかどうか。
…凍りついた世界が動き出す、そんな朝が?

そんな朝が来ないことを、誰よりも良く知っているのは、
実は、ビリーなのかもしれない…
そんなふうに見えた、二人。

きゃびぃと、真那くん。
こんなに痛々しいコンビが、あるんですねぇ。

…荻田さんって、ホントに酷いひとなんじゃないか…?



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