月組新公「ME AND MY GIRL」。
今度こそ最後に!(2週間たってしまいましたが…)



ランベスの街角。

この場面は、とにかく好きでした。っつか、泣きました(T T)。

サリー(羽桜しずく)が可愛い(←デフォルト)。
ボブ(響れおな)が優しい。
アナスタシア(夏月都)が可愛らしい。
ジョニー(光月るう)が渋くてステキ。

…そして、ビル(明日海りお)が一途で可愛い…(T T)。



主要キャストはとりあえずおいといて。
果物屋のボブ。
優しい「友達」でした。実にさりげないたたずまい。響くんは、本当に芝居が巧いですね。心がある。サリーにあれこれ話しかけているときとか、最後に閉じられたドアに向かって、静かに「…幸運を祈っているよ、サリー」と伝えるところ、とか。
深い思いがたちのぼってくる感じで、本当に凄く良かったです。

かと思えば、ビルが投げたりんごを落としたときはすかさず「売り物だぞ!」と突っ込んでみたり。投げ返してよこされたりんごを、丁寧にためつすがめつ眺めてふきふきした末に、さりげなーく荷台に戻す仕草とか。
(う、売るの、それ…?と突っ込んだ人は多かったに違いない)

ふつーにそこに生きて、
果物を売って、
気になる女の子のひとりもいて、

いつかはランベスの街を出て、自分ひとりで歩くんだ、と、
俺も何者かになるんだ、と、
…そんな夢を持っていることさえ感じさせてくれる、一人の男。

あちょうさん演じる乞食と無言でやりとりしている様子とか、街の女たちとの会話とか、さりげなーい動きで「ランベスの住人」の様子を見せてくれる。
ランベスに生きている人、
ランベスの街、を。

ビルとサリーが、出会い、暮らし、別れようとする、街。

その、街の“象徴”としての、ボブの存在。
ランベスの温かさ、『自由でのんびり、縛られないで暮らせる』ところ。
ボブの優しさと、ビルの優しさ。
ボブの相手の幸せを祈る気持ちと、サリーの気持ち。

ビルはサリーのために伯爵の地位を捨ててランベスへ帰ろうとし、
サリーはビルのために、ランベスを捨ててどこかへ行こうとしている。
「幸運を祈っているよ、サリー」
その、嘘の無い気持ち。

ボブって良い役だなあ〜〜と思いました。博多座も楽しみにしています(*^ ^*)。




警官役は鼓英夏さん。小芝居の帝王だけあって巧いもんです。もったいぶって大仰で、“ランベスの人たち”と“お貴族さま”の距離感を見せてくれます。


電報配達(本公演はゆりやん)は、千海華蘭ちゃん。
さりげなーい感じで、なっつとのやり取りも自然でした。


まぐ(流輝一斗)ちゃんの役は、本公演にはいなかった…ような気がするんですけど、いましたっけ?台詞とかはないけど、ちゃんと役でしたよね?齋藤さんの愛か?

カーテンコールでジョン卿に戻らなくちゃいけないから、この場面が最後の出演。本当にカッコよかったです……
ううう、恨み言を言いたい。言わないつもりだったけど言いたい…なんでなんでなん(黙)


こほん。

アナスタシアのなっつ(はぁと)
素晴らしかったー!可愛くて可愛くてたまりません。みっぽーのブラウン夫人も可愛いけど、なっつはちょっと甲高い声で、舌っ足らずに喋ることで実に実に可愛らしいおばさんになってました。
巧いなあ〜!!
同期のるうちゃんとの芝居も、ホントに良かったです。「パリパリッと〜」ってとことか、間が良くてすごく笑えました。
ああ可愛い〜〜〜。

そして。なっつのもう一つGJは、カゲ口笛(^ ^)。巧いです〜!



夜の女の3人は、まだまだ工夫の余地あり、かな。しかし3人ともまだ若いのに、しっかり工夫しはじめているところがさすが月娘、ですね(笑)。



幻想のダンサーたちは、本公演より若返った分、溌剌とした幸せ感がものすごくて。その真ん中でサリーを探すみりおビルが、段々涙目になっていくのが本当に切なかったです。
サリーを見つけた瞬間のはじける笑顔。
見失ったことに気づいた瞬間の、怒りを含んだ悲しみ。

ああ、みりおくんのビルは、ここで怒るのか、と思いました。
悲しみながら、怒る。
帰ってこないサリーに、
隠してしまったマリア(誤解なんだけど)に、

二人とも家族だと思っているから、家族に裏切られて怒っている。


場面のラストにポーズを決めるのは、ちゃんと笑顔(多分)できっちりやってたと思うんですが。
それがどこか投げやりで、場面のキメとしては弱かったことが、芝居としては物凄く嵌っていたような気がします。

みりおくんの計算なのか、齋藤さんの演出なのか、偶然なのか…
音楽も振付もほとんど変更のなかったこの場面が、ショーになるか芝居になるか、それはすごく微妙な違いなんだな、と思いながら。
ほんとに涙が止まらなくて、我ながらびっくりしました……。





ラストシーン、ヘアフォード邸のホール。


本公演を観た時も強く思ったのですが。
ここの、ジェラルドとジャッキーの袖での芝居は、演出的にもう少しなんとかならないんですかねぇ……。
あんなに「あはんうふん」みたいな声を何度もやらなくても。
叩く音がして、しばらくはジャッキーが嫌がってて、でもそのうちに「(*^ ^*)ジェラルドぉ〜(はぁと)」ってなっちゃう…っていう場面なら、色っぽい声を聞かせるのは一回でいいと思うんですよね。

ビルとマリアが非常に緊迫した対話をしているところに横から聞こえてくるのが…オリジナルも同じ演出なんでしょうけれども、ちょっとしつこいような気がするんですよ。
…「あはんうふん」の言い方というか、声があんまり色っぽくないから、余計にそう思うのかなあ…?

2幕のジェラルドは宇月颯くん。ジャッキーは変わらず、蘭乃はなちゃん。
宇月くんは、「ホフマン物語」なんかを観ていてもダンサーなだけでなく十分に芝居もできる人なんですが、ジェラルドはちょっと苦戦してました。まぁ、二幕のジェラルドは、芝居としてはぶつ切れでやりにくい役だとは思いますが…。あとは、台詞の喋り方とかがあひちゃんにそっくりだったことに驚きました(^ ^;。あんな声でしたっけか…?



ビルとマリア。

出て行くよ、と、事実を事実として告げるビル。
愛する家族になったばかりの人、に。

「おばさんが、可愛い甥にキスしてくださらなくっちゃ」

「…あなたは、本当のヘアフォードの人間ですよ」

涙を拭きながら袖に退場する、というか、その場から逃げていく、ビル。

この邸にいたい。
マリアと、ジョニーと、新しい家族と一緒に、幸せに。

それでも、サリーがいないところでは、自分は幸せになれないから。

だから、

…さよなら、と。涙をぬぐって。



観ているこっちまで貰い泣きしたっつうの。




ジョニーとマリア。

るうちゃんとまなちゃん、こちらも同期ですね。
決死の覚悟でプロポーズするジョニー(最後まで言えないけど)と、それを受け入れたんだか受け入れないんだか誤魔化して去っていくマリアが、とても良い雰囲気でした。
本役のタキさんと比べると、お堅いイメージが強いまなちゃんのマリアが、ちょっと恥ずかしそうにジョニーをちらっと見て袖にひっこむときの色っぽさが良かったです。

一幕のりおんくんは普通に美人で華やかな貴婦人、っていう感じだったので、まなちゃんの厳格でお堅い、近寄り難い雰囲気は、いかにもマリアらしい不器用な感じもあって、すごく良かったと思います。
そういえば、東宝で観た涼風マリアも、華やかで美人だけど硬質で不器用な雰囲気があるのが凄く良かったんですよね。マリアってそういうキャラクターなんでしょうね。なんたって、30年以上もジョン卿の気持ちを無視して(?)来たんですものね。



ヘザーセット(二幕は海桐望)とジョン卿の会話も好きだし、パーチェスターもさりげなーく良い味出してたし…。
これだけ芝居のできる人が揃う場面って、本公演でも滅多にないので、ホントに楽しいです♪みんなすくすく育ってほしいなあ♪



ラスト。

ライトを浴びて、白いドレスで登場するサリーの美しさ。
純粋無垢、という名の輝き。


扇をゆっくり下ろすサリー。

両手にトランクを提げて、ふ、とそちらを視やる、ビル。



時間が止まる。

ビルの顔から表情が消える。

驚愕とか、怒りとか、喜びとか、
いろんな感情がいっぺんに表に出ようとして、あまりにも感情の幅が大きすぎて通り抜けられなくて。

無表情、という名の、表情。

嵐の前の静けさ。

サリーはこの瞬間にはもう泣いてたような気がします。
ビルが爆発した瞬間には。


「馬鹿野郎!」




可愛い、可愛い、

生きて動いてそこにいた、ビルと、サリーと、ヘアフォード家のみんなと、ランベスのみんなと、貴族階級のみなさんに、

乾杯。



(思い出しただけで泣けてくるよ……ああ、もう一回観たい…)

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