新潮文庫の季刊誌「yom yom」に、作家・小野不由美さんの短編が掲載されています。

http://www.shinchosha.co.jp/yomyom/

2月末には店頭に並んでいたはずの雑誌なのですが、先月からあまり人間的な生活を送っていない猫はずっと本屋にいく暇がなく(T T)。会社の近くのちっぽけな本屋は、ビジネス書ばっかりでyom yom置いてないしさー(溜息)、というわけで、
今日、かーなーり無理矢理買いにいって参りました。


この日記を読んで下さっている方のうち、どのくらいの方が小野さんをご存知なのかわからないので、ちょこっと解説を。

小野不由美。
もともとはホラーとミステリを中心に書いていた作家。その後、ホラー色の強いファンタジーを書くようになって、今、一番有名なのは講談社ホワイトハートのファンタジー「十二国記」シリーズ(数年前にアニメにもなりました)。
もちろん、それ以外にも色々書いていらっしゃいます。1998年に出した「屍鬼」が大ヒットして、いろんな賞の候補になってたけど…何か受賞したんだっけかな、ちょっと忘れてしまいましたが。

ちなみに、プライベートでは推理小説作家・綾辻行人さんの奥様でいらっしゃいます。


まぁ、なんとなくですが、京極夏彦さんあたりと同期っぽい印象をもっています。よく対談とかしてたし、仲良いっぽかったし。
ホラー色の強いミステリやファンタジー、純然たるホラー、などなど……分類しようとすると結構幅広く書いていらっしゃるのですが、


一番の特徴は、世界設定の緻密さと、その緻密な設定をあますところなく伝えきる、卓越した文章力。


ミステリを読めば、その緻密な設定や構成力に感心するばかりですし、
ファンタジーやホラーを読めば、「実在しない存在」「現実ではない世界」の表現のリアルさに圧倒されて、存在しないことが信じられなくなってきます。

それだけの表現力を持った、稀有な作家。


…しかーし。
細かい設定の緻密さが仇となって、「十二国記」シリーズは2001年の「黄昏の岸 暁の天」の後、翌年に短編集が出ただけで、新作は待てど暮らせど出ないままに、丸7年。
「黄昏…」の前も5年ばかりあいたので、待ちぼうけには慣れてますけどねぇ、ファンは。…それでも長かった………。


やっと出た新作は、「丕緒の鳥」。
シリーズの番外編なので、本編を読んだことの無い方にはあまりお勧めできない、のかなあ?単独でも面白いと思うのですが、世界設定の説明があんまり書いていないので、全然意味がわからないかもしれませんね。
うーん、残念。

でも、せっかく新作が出たところなので、これを機会に、ご興味のある方はぜひ「十二国記」本編のほうを読んでみてくださいませ。

“ちょっと怖い話”が嫌いでない方は、新潮文庫に入っている「魔性の子」から読み始めることをお勧めします。
「魔性の子」は「十二国記」シリーズではないのですが、先にこの作品を読んでから、講談社ホワイトハートの「月の影 影の海」上下二巻を読むのが、ねこのお奨めです(はぁと)。

怖い話があまり好きではない方でしたら、ぜひ「月の影 影の海」からお読みくださいませ。
前半は痛くて辛い話ですが、後半はカナリ号泣ポイントがたくさんあります。

今回の新作は、「月の影 影の海」の、ちょっと後…の物語、です。
7年ぶりの「十二国記」。小野さんの文章力には一点の曇りもなく、相変わらず緻密に構築された世界観に圧倒され、結構ぼろ泣きしました。
待っていて良かった……っていうか、これが出たってことは、もう遠からず本編も出るってことですよねっっっ!!!?
……またここから5年、とか言わないよね?(ちょっと弱気)


こうやってプロモーションして、ちょっとづつ小野作品のファンを増やして、少しでも作者に次作へのプレッシャーをかけモチベーションをあげてもらおう、という気持ちをこめて。


ちなみに、私が彼女の作品で一番好きなのは、
なんといっても「東亰異聞」です。

文庫にもなったので(たぶん、新潮文庫)ご興味のある方はぜひ本屋で探してみてくださいませ。お勧めです(そんなに怖くはないです)。

個人的な希望としては、大野さんにうまく脚色していただいて、外部の小劇場作品として上演してくれないかなー、なーんて儚い希望を抱いていたりします。

“人ならぬモノ”が出てくる作品なので、いろいろとタネも仕掛けも必要だし、恋愛が絡まないので現役では無理なのですけれども(涙)。


作品の内容には全くふれていませんが………とりあえず、小野さんという作家をご紹介するという目的は果たされたかな?
…っていうか、こんな内容なら「yom yom」が手に入るまで待たなくても、出てすぐ書けばよかったんじゃないのか…?(T T)。


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