とっくに終わってしまった公演ですが。

日生劇場にて、ミュージカル「ウェディング・シンガー」を観劇してまいりました。


いやー、サイコーにゴキゲンで楽しいミュージカルでした(はぁと)。
原作は1998年の同名映画。アダム・サンドラーとドリュー・バリモアがコンビで主演した作品だそうです。私は残念ながら観ていませんが、ゴキゲンな映画だったんでしょうね(^ ^)。
ミュージカル版は2006年に開幕。トニー賞も5部門にノミネートされたようですが、「ジャージーボーイズ」と同じ年だったため、全部逃してしまったようです。…まだこの年の作品はほとんど日本に来ていないので、これが嚆矢になるのかな?「ウェディング・シンガー」を抑えてトニー賞を総なめにした「ジャージー・ボーイズ」を観てみたくなったくらい、今回の公演は楽しかったです(^ ^)。



主人公のロビー(井上芳雄)は、結婚式を盛り上げるバンドのボーカル。アメリカではこれが一つの職業として成立しているんでしょうか。ウェディング・シンガー、か…いい肩書きだなあ(笑)。

ヒロインのジュリア(上原多香子)は、ロビーが契約している宴会場のウェイトレス。彼女の恋人・グレン(大澄賢也)は、ウォール街の証券マン…なのかな?とにかく金儲けの巧いエリートの大金持ち、という設定でした。ジュリアとグレンは婚約一歩手前。ジュリアはグレンからのプロポーズを心待ちにしている状態。

ジュリアの従姉妹・ホリー(樹里咲穂)も同じ職場でウェイトレスしていて、ロビーのバンド仲間のサミー(鈴木綜馬)と付き合っていた(る?)。ホリーは「あんな冴えない男はもう嫌」と思っているが、サミーはまだまだ未練たらたら。

ロビーのバンド仲間のもう一人、キーボードのジョージ(新納慎也)は心優しいニューハーフ。これに、ロビーの恋人・リンダ(徳垣友子)、ロビーの祖母・ロージー(初風諄)、ジュリアの母親・アンジー(ちあきしん)が絡んで物語が進みます。



最初の事件は、ロビー本人の結婚式。
愛するリンダは「ロックスターじゃないあなたには興味がなくなった」と手紙を残して結婚式をドタキャン。
衝撃のあまりPTSDに陥ったロビーを心配して、必死に慰めようとするロージー、サミー、ジョージ、そしてジュリア。
心優しく愛に純粋なジュリアに、次第に惹かれていくロビー。

ジュリアはジュリアで、恋人グレンの傍若無人さに傷つき、心優しく夢を大切にしてくれるロビーに惹かれていく…
さて、二人の恋の行方は?


…ってなところでしょうか、あらすじは。



なんといいましょうか。
ストーリーはかなりどうでも良かったです、はい。
とにかくキャラクターが強烈に面白い人ばっかりで、その人たちが織り成すタペストリーがものすごく面白かったです。
演出もべたべたのベタ演出で、ある意味、演出家・山田和也の真骨頂でしたね。そして最高に面白かったのは、やはりキンクリートの飯島早苗の脚本でしょう(*^ ^*)。テンポのよさ、語呂合わせの巧さ、そしてキャラクターにあわせた言葉遣いの隙のなさ。
翻訳ミュージカルが楽しくなるかツマンナイかは、特にコメディの場合は脚本の良し悪しの影響ってものすごーく大きいので、飯島さんで本当に良かったなー、と思いました♪



ホリーもグレンもサミーもリンダもロージーもジョージも、いろんな役をこなすアンサンブルのメンバーもホントに皆芸達者で凄かった!!いやもう、樹里ちゃんまた惚れ直しちまったよ(汗)。素敵すぎます。

だけど。この作品で一番驚いたのは、ロビーを演じる井上くんの成長っぷりでした。
元々私は、「エリザベート」のルドルフより「ファンタスティックス」のマットが好きなのです。声が日本人には珍しいくらい軽やかなテノールなので、あまり重厚な作品よりも「軽さ」や「優しさ」のある役の方が似あうんじゃないかなーと思っていたんですよね。
でも、「ME&MY GIRL」のビリーは、もちろん悪くはなかったけど、そんなに「素晴らしい!!」ってほどでもなかったので。あれ?と思っていたのですが。

この作品のロビーは、本当に素晴らしかったんですーっ!!

まぁ、私が観たのは公演も終盤に入ってからだったので、初日頃はもっとだいぶん堅かったという話も聞きましたが。
…もう、最後の1週間のテンションは凄かったですね。リンダに振られて、ぼろぼろになってベッドに転がっている場面とか鬼気迫るものがありましたし、そんな精神状態で歌う「Somebody Kill Me!」なんてホント絶品でした。

あれだけの壊れっぷりは、なかなかできるものじゃあありません。井上くんも、さぞ楽しかったのではないでしょうか。
元々彼は大のミュージカルファンで、有名作品に出られるのが嬉しくて嬉しくてしょうがない、みたいな可愛いところがありましたけれども、今回の作品との出会い、今回のカンパニーとの出会いは、彼にとってものすごく大きなものだったんじゃないかなー、と思いました(はぁと)。


このウェディング・シンガーに出る直前に出ていた「ロマンス」もとても良かったらしいんですが、

他の作品を見て“井上くんってどこがいいのかワカンナイ”って思っていらした方にこそ、ぜひ観ていただきたかったです!



ジュリアの上原さん。さすがに可愛いし歌も良かったです。他のメンバーが割りと重厚な歌手ぞろいだったので、良い意味で浮世離れした感じがあったのが役にあっていたと思います。ちょっと不思議な存在感の持ち主ですね。個性的な登場人物ばかりの作品の中で、一条の光というか、透明な水のような印象があって、一人だけ別世界を観ている感があったのが印象的でした。

ただまぁ、台詞はね……。舞台に出続ける気があるのなら、台詞の勉強はぜひお願いしたいところです(汗)。




ホリーの樹里ちゃんは、もうホントに言うことなくミュージカル女優でした。いやーホントに、人妻とは思えませんわ!!腹を出しても可愛い、サイコーにイイオンナ。優しくて情に厚くて、ホント樹里ちゃんそのものみたいな役でした♪



グレンの賢也さん、面白すぎ。口調から仕草の細かい一挙手一投足まで完璧に作りこんで、工夫しつくした「変なヤツ」っぷりが!!ツボりまくりでした。こういう人がいるから面白いんですよね、舞台って。



ロビーの祖母、ロージーの初風諄サマ。素敵だったわ……(惚)。
秋に「蜘蛛女のキス」のモリーナの母親役で観たとき、初演で同役を演じた大方斐紗子さんに声や喋り方が良く似ていてびっくりしたのですが、今回も「あれっ?大方さん出てたっけ?」と何度か思ったくらい、よく似ていらっしゃいました。
「エリザベート」のゾフィみたいな役より、こういう役の方が似合うような気がするなぁ…。可愛らしいおばあちゃま、でも時々かっこよく変身!みたいな。…ブロードウェイにはこういうおばあちゃん役者がたくさんいるんでしょうねぇ。日本では他にあまり思いつきませんけれども。
毒も邪気もない、素敵なおばあさまでした。変身してもかっこいいし(*^ ^*)。…当分忘れられそうにありません…。



キーボードのNIROくんは、また極端に色濃い役で出てきましたね(汗)。何作か2枚目で観ていて、すっかりそちらに定着したのかと思っていたのに、まだこんな役もやれたんですか(!)
常に小指をたてて、足には紅いハイヒール(これがまたデカイんですが)。度肝を抜く衣装が妙に似合っているところが最高でした。うん、可愛かったです!けなげで一生懸命で明るくて、ね。いい子なんですよー、ホントに(^ ^)。

一番ツボだったのは、ロージーとのラップデュエット。
サイコーでした。他に言葉が見つかりません…。




リンダの徳垣さん。音楽座でも見ていましたが、印象的だったのはGODSPELL。大好きな女優さんの一人ですが、日生劇場でこれだけの大役は初めてだったのでは?いやー、可愛いくて毒々しくて素敵でした!
結婚式をドタキャンした時の置手紙の歌も最高でしたし、2幕のベッドでのやりとりも素晴らしかった!!
この役を、この作品を足がかりに、また大きく羽ばたいてほしい魅力的な女優さんです☆



いやー、思い出してみても実に実に楽しかった!
2月は本当に忙しくて、一回しか観ることができなかったのがとても残念です。
もう一回観たかったなぁ〜!!

ぜひぜひ再演希望です。それも、絶対にこのキャストで、ね!!



コメント

nophoto
でるふぃ
2008年3月3日7:58

みつきねこさま
素敵なご報告、ありがとうございます。
私も文章、読ませて頂いただけで、わくわくしてきました。
すご〜く、個性的なメンバーですね。
頭が混乱しそうですが、これで一緒になったら、どうなるんだろ??

『芳雄くんのどこがいいんだ?』なんて、絶対に思ってませんよ!(でも、綜馬さんのほうが好き^^)

多香子ちゃんと、芳雄くんとの並びも興味あるし、
樹里ちゃんのイイオンナ、見たいなぁ〜〜♪

初風さん、綜馬さん、芳雄くん、NiROくん(←ほんとに、スタイルよくて、いい子なんですよね)
このメンバーたち、つらつら見ていると、
これって、東宝エリザベート・メンバーじゃないですかっ!
なんで、一路さん、いないの〜?と、探してしまいそう(^^)

この方たちが、今も(さらに)ご活躍なのが、うれしいです。
ほんとに、ありがとうございました!!

nophoto
でるふぃ
2008年3月3日8:28

すみません、上の投稿文、一件、訂正があります。
「東宝エリザベート・メンバー」を、
『かつての、東宝エリザベート・メンバー』に変更させてください。

みつきねこ
みつきねこ
2008年3月3日23:31

個性的でしたよ〜〜〜!!ホントに。
綜馬さんのことはあえて書きませんでしたけど、そりゃ最高に面白かったです。はい。サエナイ中年男でしたけど(^ ^)。

途中で、ロージーとNIROくんのジョージでデュエットする場面んがあるんですが、それを観ながら「おお〜、ゾフィーとトートダンサーが歌ってるよ♪♪」と思ったのが、『エリザベートファン』的には一番強烈でしたね。あと、初風さんと芳雄くんは、またもや祖母と孫なのね、とか。(今回はむちゃくちゃ仲良しの祖母孫でしたが)

まぁ、そんな雑念はおいといても本当に楽しい公演でしたよ(はぁと)。ぜひ観ていただきたかったな〜!